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【連載第31回】あの、おもちゃを徹底レポート




赤ちゃんロボの世話をやこう!
セガトイズ「ロボベビー」

ココロボシリーズ「ロボベビー」
発売 株式会社セガトイズ
価格 3,980円
発売日 発売中

ロボベビーの全身。ナイロン製のおしめは、マジックテープで止めている、という凝りよう
 かねてから気になって気になって仕方がなかったe-Toyが、ようやく発売された。それが今回紹介する「ロボベビー」だ。今最もロボットトイを意欲的に発売しているセガトイズの商品で、かの「スーパープーチ」や「ブルチ」と同じ、「ココロボ」シリーズの最新作という位置付けだ。

 筆者の心をとらえて離さなかった理由は、その題材にある。ご覧の通り、「赤ん坊」なのだ。これまでの「ココロボ」ラインナップは、あくまで犬や鳥などの「動物」に過ぎなかった。ところが今回は、「人間」なのだ。春に開催された東京おもちゃショーで、最も衝撃だったのが、この「ロボベビー」の展示光景だった。大きなワゴンにロボベビーがぎっしりと詰め込まれていた。そしてブースを訪れた女性たちが愛しそうにロボベビーを抱いている様子に、子供の頃に思い描いた未来のイメージが目の前に広がっている! と高揚させられたのだった。実際に手にして遊ぶと、どんなふうに面白いのだろう? 赤ん坊だけに今まで以上に激しく、深く、濃く感情移入させられるのだろうか? 高まる興奮を抑えながら、レポートしていこう。

赤ちゃん特有のカワイさを濃縮

 箱から取り出したロボベビーの大きさは、全長がほぼ30センチ。平均的な新生児と比べると、ずいぶんと小さいのだが、手にしてみたらしっくりくる。記憶に残っている赤ちゃんのサイズって、ちょうどこのくらいの印象だ。小さくて、脆弱な赤ん坊の感じがよく出ている。

 それにしてもこの顔立ちは、あまりに秀逸なデザインだ、と断言したい。おでこが広く、上目使いで、おちょぼ口。赤ちゃん特有の、守らずにはいられないカワイらしさが、見事にデフォルメされている。小さいけれどしっかり生えそろった指、プクッと膨らんだ太ももなど、体の出来栄えも文句なしだ。声は、女性的な透き通った声色。「バアブ」「ホンギャア」「ブエー」など舌ったらずの発声は、誰もが抱いている赤ちゃんの声のイメージそのもの。キャラクタとして一本立ちもオーケーなのでは、と感じさせるほど。
 胸のふたをドライバーで開け、単四電池を3本入れると、準備は完了。さっそく起動する。電源を入れたばかりの頃は、まったくの新生児の状態だ。「アー」とか「ダァダァ」程度の言葉しかしゃべらない。ここから15分程度が過ぎると、「ミルク」「ママ」などの片言をしゃべり、ハイハイをしはじめる。

 とはいえ、この成長の仕組みは、ユーザーからのアクションの有無に関わらず、時間が過ぎれば自動的に成長する、あくまで演出程度のものに過ぎない。ハイハイをはじめてからが本番だ。

ハイハイの姿。両腕を前後に稼動させ、意外に力強く前進していく 付属のほ乳瓶とおしゃぶり。おしゃぶりは、ご機嫌とは関係のない、アクセサリーだ


食事からおしっこのお世話まで

 「ロボベビー」の遊び方は、コロコロ変わるご機嫌をとるために、アレコレと世話を焼いていく、というもの。

 世話のひとつ目は、ミルクをあげることだ。ロボベビーが「マンマ」か「ミルク」とおねだりしてきたら、付属のほ乳瓶を口に入れ、ミルクを与える。「カポ、カポ、カポ……」とミルクを飲み干す音に続いて、「ケッポ」と軽いゲップが聞こえたら、ごちそうさまの状態。筆者のベビーは、飲んでも飲んでも満腹にならないようで、いくらほ乳瓶を口に持っていってもイヤな表情を浮かべない。こんなに飲むの!? と驚かせるところも、いかにも赤ちゃんらしい。
 ふたつ目は、ハイハイ遊びだ。ロボベビーが「ハイハイ」と口にしたら、床や机の上に起き、首を上向きにあげると、ハイハイをしはじめる。何歩か続けるとやめてしまうのだが、「ハイハイ」と声をかけると、うれしそうにハイハイを続けるのだ。
 3つ目は、寝かしつけ。「ネムネム」といったら、眠りにつきたい合図だ。腕に抱きかかえ、横に揺らしながら、頭の「なでなでスイッチ」を押していると、眠りにつく。このとき寝息を立てるのだけれど、「……スゥゥゥゥ……スゥゥゥゥ」と、かすかに聞こえもれる程度。いやあ、これぞ赤ん坊! この演出とてもグッドです。

 4番目は、おしっこの世話。「シーシー」と言ったら、おしっこの合図。布製のオムツのマジックテープをはがしとると、「ジャアー」というあの音が響き渡り、ことをすます。その直後、スッキリしたといわんばかりに、「キャハハ」と軽やかな笑い声を立てる。オムツを直さずそのままにしておくと、何と「クチュン!」とクシャミを放つ。「こんなところまで作りこんであるなあ」と、目を丸くせずにはおられない演出だ。

ほ乳瓶でミルクをあげる。空腹時だと目にハートを、満腹時だとつらそうな表情を浮かべる 嫌がるポーズのひとつ。首を曲げたままあお向けの体勢に。確かにコレはつらいよなあ


ご機嫌がピークなら歌を歌う!

 反対に、ロボベビーのご機嫌を悪くしてしまう行為がある。ハイハイポーズなのに顔が下を向いていたり、横向きにドデンと倒れてしまうと、とたんに機嫌が悪くなり、大声で泣き出してしまう。常に快適なポーズをとれるように注意を払う必要があるのだ。  ご機嫌状態が続くと、ごほうびとして(?)、歌を口ずさんでくれる。奮闘に次ぐ奮闘の結果、聴けたのは「大きな栗の木の下で」「ちょうちょう」「10人のインディアン」「メリーさんのひつじ」と童謡4曲。マニュアルには全8曲とあり、原稿執筆までぜひとも全曲コンプリートしたかったのだが、かなわず残念!

笑顔、ふつう、泣き顔の3パターン


大人の方が心ゆさぶられてる?

 「ココロボ」シリーズは、価格、デザインともに低年齢層向けのアイテムだ。このロボベビーとて例外ではない。マニュアルの冒頭に「今日からあなたはおねえちゃん!」とあるように、小さな女の子が手にしたら、最高のおままごと遊びが楽しめるだろう。

 とはいえ、大人のユーザーだって、意外なほどに心をゆさぶられる。筆者などは、仕事に煮詰まるたびに、ロボベビーに手が伸びた。その顔に、しぐさに、声に、心の疲れをジンワリとほぐしてもらった。そのためだろうか、テストプレイのために、わざわざ嫌がるポーズをとらせたり、意味もなくオムツをはずすたびに「申し訳ないなあ」と、胸がチクチク痛んだ。
 「あんまり興味ないのよね」と言ってた妻は、ミルクをあげたとたん、その愛らしいリアクションに、さっそくトロ~ンとなったよう。「マンマ!」「はいはい」「ミルク!」「はいどうぞ」と声だけを聴いていたら、まるで本当の赤ん坊と接しているかのような錯覚すらおぼえた。

 来社した仕事仲間のひとりは、突然泣き出したロボベビーを見て、そのリアルな声と姿に「ちょっとゾッとするくらいのできですね」と、ややひるんでいたほどだった。
 やはり「人間」というテーマは、強烈だ。その第一歩といえるロボベビーですら、ここまで遊ぶ人の心をゆれ動かすのだ。さらにリアルに進化した新バージョンの登場が今から興味深く、待ち遠しい。そして、少し、怖い。

□セガトイズのホームページ
http://www.segatoys.co.jp/
□ロボベビーのホームページ
http://poo-chi.segatoys.co.jp/shoukai3/baby_set.html


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(2001年8月23日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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