「ガールズ&パンツァー」好きなら「World of Tanks」に来い!

【ガルパン×WoT連載】第10回:やられた車輌はシベリア送り25ルーブルよ!「T-34/85」を「WoT」で動かす

今回扱う車両:Tier6中戦車「T-34/85」

プラウダ高校「T-34/85」

 アニメ「ガールズ&パンツァー」(以下、ガルパン)とオンライン戦車アクションゲーム「World of Tanks」(以下、WoT)のコラボ連載。今回はプラウダ高校が使用する戦車「T-34/85」をご紹介する。

 プラウダ高校は、戦車道全国大会において大洗女子学園と準決勝を戦った相手。作中の前年の大会では、黒森峰女学園と決勝戦を争って勝利し、黒森峰女学園の10連覇を阻んだ。黒森峰女学園のフラッグ車(ティーガーI)を任されていた西住みほが、川に水没した戦車から仲間を助けるために戦車を離れ、無防備になったフラッグ車が狙われたことが勝敗を分けた。「ガルパン」の舞台設定において最も大事な要素だ。

 全国大会で準決勝を始める前、プラウダ高校の隊長カチューシャは西住みほに向かって、「去年はありがとう、あなたのおかげで私たち優勝できたわ」と挑発めいた発言をしている。しかし同校は運で勝ち上がってきたわけではない。複数の「T-34/85」や「T-34/76」に加え、「IS-2」や「KV-2」といった強力な戦車も有しており、優勝候補の一角と呼ぶにふさわしい力を持っている。

 「T-34/85」は、快速な車輌に当時最先端の傾斜装甲、大口径の85mm砲を搭載し、高い戦闘力を有する。加えて生産のしやすさも配慮されており、第二次世界大戦の終結までに「T-34/76」と合わせて約57,000輌が生産された、ソ連の傑作戦車である。

 「ガルパン」ではカチューシャやノンナ(後に「IS-2」へ移乗)、クラーラらが搭乗。カチューシャが戦略で勝つタイプのためか、はたまた「IS-2」が強力すぎるためか、「T-34/85」が活躍するシーンはそれほど多くない。では「T-34/85」はどういう戦車なのか、「WoT」を使って見ていきたい。

【プラウダ高校】
カチューシャ(隊長)
ノンナ(副隊長)
クラーラ

「T-34/85」を「WoT」で入手

「T-34/85」はソ連のTier6中戦車として登場する

 「T-34/85」は、「WoT」ではソ連のTier6中戦車「T-34-85」として登場する。開発ルートは3つあるが、いずれのルートでもTier4まで軽戦車で、Tier5中戦車「T-34」の開発へ進み、そこから「T-34-85」を開発することになる。

【ルート1】
[Tier1軽戦車]MS-1 → [Tier2軽戦車]BT-2 → [Tier3軽戦車]BT-7 → [Tier4軽戦車]A-20 → [Tier5中戦車]T-34 → [Tier6中戦車]T-34-85

【ルート2】
[Tier1軽戦車]MS-1 → [Tier2軽戦車]T-26 → [Tier3軽戦車]T-46 → [Tier4軽戦車]T-50 → [Tier5中戦車]T-34 → [Tier6中戦車]T-34-85

【ルート3】
[Tier1軽戦車]MS-1 → [Tier2軽戦車]T-60 → [Tier3軽戦車]T-70 → [Tier4軽戦車]T-80 → [Tier5中戦車]T-34 → [Tier6中戦車]T-34-85

 Tier4までの軽戦車にはそれぞれのルートで特徴がある。Tier4の戦車で見比べていくと、ルート1の「A-20」は機動性が頭一つ抜けて優秀だが、装甲はほぼないに等しい。武装は3台の中で唯一、大口径の76mm砲を使用できるが、小口径砲に比べて貫通力と連射力が落ちるため火力アップとも言いづらい。足を使った偵察や背後への回り込みなどが中心になる。

 ルート2の「T-50」は全周に渡って厚めの装甲で安定感がある。代わりに機動性は「A-20」よりぐっと落ちる。武装は連射力の高い45mm砲でそこそこの攻撃力がある。ただし3台中唯一、Tier4でありながらTier7までマッチングする仕様となっている(他はTier6まで)。Tier上位との戦いでは装甲はないも同然となるが、軽戦車としては足が遅めなので偵察も難易度が高いのがネックだ。

 ルート3の「T-80」は前が厚めの平均的な装甲で、最高速は3台中最も遅い。武装は「T-50」とほぼ同等。全体として欠点のないバランスで取り回しがよく、偵察も攻撃もそれなりにこなせる。

 偵察性能はどれも同程度で、他国の戦車に比べるとやや劣る。偵察を意識するなら、視界を広げるパーツを使うなど対策をしていきたい。

 また戦車そのものの違いの他に、Tier5の「T-34」を入手するための経験値の量が異なる。ルート1の「A-20」が最も少なく、次いで「T-50」、「T-80」となる。足と位置取りできっちり偵察できる自信があるなら「A-20」が手っ取り早いが、偵察より撃ち合いをしながら稼ぎたいなら「T-80」がいい。「T-50」も撃ち合いはできるが、最大で3つも上位となるマッチングの際に自分がどう動けるかを理解しているベテランの方が向いている。

 いずれにしても、3台ともに開発できるのは「T-34」のみで、「T-34」もそこから「T-34-85」を含む3通りの戦車を開発できる。ソ連の開発ツリーは、3つのルートが「T-34」でいったん収束し、再び3つに分かれていくという独特のツリー設計になっている。ソ連にとって「T-34」がいかに重要な戦車だったのかが、「WoT」のツリーにおいて表現されているのがユニークだ。

Tier5中戦車「T-34」。「57 mm ZiS-4」がかなり強力
「ガルパン」では「T-34/76」として登場している

 その「T-34」であるが、傾斜装甲によるスペック以上の装甲の堅さ、軽戦車を思わせるコンパクトさと軽快な動き、高い連射力で撃ち合いも優秀な砲と、文句なしに優秀な戦車である。同じTier5には、ドイツの「IV号H型」やアメリカの「M4シャーマン」などバランスのいい中戦車が並んでいるが、「T-34」はキビキビした動きと連射力のある小口径砲という、他にはない特徴を持っている。

 装備は76mm砲が並んでいるが、「T-34」で主役となる砲は「57mm ZiS-4」である。威力や貫通力は76mm砲にやや劣るものの、倍以上の連射力で単位時間当たりの攻撃力は圧倒的に高い。高速で移動しながら撃って着実に削るもよし、味方の視界をもらって敵の側面から弱点を連射するもよし。状況を対応してポジションを変えるのも楽で、その気になれば偵察もできる。万能で隙のない戦車だ。

 注意点は、「57 mm ZiS-4」までの主砲が低貫通力かつ低精度で使いづらいことと、Tier5辺りで猛威を振るう10.5cm榴弾砲に弱いこと。傾斜装甲とはいえ実際の装甲厚が薄い分、榴弾の爆発には弱く、大ダメージになりやすい。10.5cm榴弾砲を搭載できる戦車が敵にいる場合は、レーダーに注意して敵の位置をしっかり把握しておきたい。

大口径砲を快速で操る、神出鬼没の中戦車「T-34-85」

「T-34-85」の装甲厚。砲塔が厚めになっているが、Tier6だと安心できるほど堅くはない
「T-34-85 M1944」パッケージ。主砲に「85mm ZiS-S-53」を搭載
大学選抜の「M26パーシング」を側面からの砲撃で撃破した

 「WoT」での「T-34-85」は、前身の「T-34」の快速を活かしたまま、大口径砲を積極的に搭載した戦車となっている。「T-34」は連射力で押すタイプだったことを思うと、Tier5からTier6に上がって、砲の方向性は180度異なると言ってもいい。もっとも、大口径砲はソ連戦車のお家芸でもあるので(152mm砲を搭載する「KV-2」などはその筆頭である)、こちらのほうがソ連戦車らしいとも言える。

 車体は「T-34」から大きな変化がなく、ゲーム的にはHPが増えて耐久性は増したものの、装甲はほぼ変化がないため、敵の砲が強力になった分だけ貫通されやすくなっている。例外は砲塔部分で、大幅に装甲が強化されている。砲塔部分も装甲が薄かった「T-34」とは違い、砲塔だけを見せて戦うハルダウンを意識する価値はある。といってもTierも上がっているので、さほど信頼できるわけでもないが……。

 「ガルパン」に登場する「T-34/85」のスペックでは、主砲が「85mm ZiS-S-53」、エンジンが「V-2-34」となっている。「WoT」のパッケージを見ると、「T-34-85 M1944」がいずれも合致している。Tier6の砲としては貫通力120mmというのがやや物足りないが、威力と連射力はまずまずで、貫通できる相手に対してはかなり優秀な火力となり得る。

 120mmの貫通力をもとに「ガルパン」で戦った戦車を見ていくと、大洗女子学園の戦車についてはどれでも問題なく貫通が可能。命中さえすれば十分撃破できたわけで、122mm砲搭載の「IS-2」までは必要ない。射撃精度も悪くないので、最初からフラッグ車を集中攻撃していれば楽に勝てたのだろうと思う。

 逆に撃たれた場合は、「IV号戦車D型(F2型仕様)」や「III号突撃砲」、「M3中戦車リー」なら角度さえよければ貫通し得る。これらの戦車はTier4から5で、「WoT」でもマッチングするため、格下といっても油断しないようにしたい。また知波単学園の戦車も47mm砲搭載の「九七式中戦車」なら貫通可能だが、こちらはTier3なのでマッチングしない。

 昨年の大会で西住みほが離れたところを撃破したという「ティーガーI」も、Tier7なのでマッチングする。こちらは真正面からでも垂直に近い角度なら十分貫通を狙える。ただHPが高いので単独での撃破は困難だ。できれば履帯や弾薬庫などの弱点をきっちり狙って、味方と協力するつもりで撃っていきたい。

 大学選抜チームの「M26パーシング」は、「WoT」ではTier8「M26 Pershing」となっており、マッチングする。「85mm ZiS-S-53」なら、正面さえ避ければ概ね貫通が可能だ。ただし反撃されると、自慢の傾斜装甲が徹甲弾で悠々と貫通されてしまう。手数は「T-34-85」が有利なので撃ち合えばダメージ勝ちできる可能性もあるが、HPの差が大きいため1対1では撃ち負ける。余程いい角度を取らない限りは、履帯を狙うなどして味方のサポートに回りたい。

 「クルセイダーMk.III」ことTier5軽戦車「Crusader」は対戦相手ではなく味方だが、「ガルパン劇場版」でのエキシビションマッチの事件を鑑み、「T-34-85」と比較する。車体重量は倍近くあるので、衝突しても当たり負けしない。85mm砲を3発も当てれば倒せる相手なので、基本的には撃ち合って倒しておきたいが、高速で走り回って邪魔なら体当たりで黙らせてやることも可能だ。

【「World of Tanks」 「T-34/85」プレイ映像】

【T-34/85】
車体前面を斜めに切り取ったような形状が特徴
砲塔はそれなりに堅いので、ハルダウンを意識しておきたい
エキシビジョンマッチに登場したプラウダ高校。「T-34/76」と「T-34/85」が各3輌、「IS-2」が1輌の編成
例の店の前で止まる「T-34/85」。「WoT」なら「クルセイダーMk.III」の衝突にも耐えられるのだが……

122mm砲も搭載可能! 好みの戦い方を選べる車輌

「T-34-85 M1946M」パッケージ。「85mm D5T-85BM」を搭載する本機の主力
「T-34-122」パッケージ。もはや「T-34/85」ではないのだが、122mm榴弾の1発は強力だ
「T-34-122」パッケージは短砲身なので、注意すれば見た目で区別できる

 「WoT」の「T-34-85」には他にもパッケージがある。最終パッケージとなる「T-34-85 M1946M」では、主砲が「85mm D5T-85BM」となり、貫通力と威力が増加。連射力が若干落ちるものの、精度も高くなるため使い勝手はいい。貫通力は144mmまで伸びるので、格上相手にもきっちり狙えばダメージを与えられる。またエンジンもより出力の高いものになり、機動性も一段と良くなる。

 他のパッケージでは、「T-34-122」がある。文字通り、「T-34」に122mm砲を搭載した仕様だ。砲身が短いため精度は低く、照準が定まるのもかなりの時間を要する。それでも動きの速い車体に大口径榴弾を搭載するメリットは大きく、敵の側面など装甲の脆い場所に当てられれば、相当なダメージが期待できる。落ち着いて照準を絞れる位置取り、あるいは近距離での射撃に持ち込めれば、他の砲よりも高い戦果を期待できる。ただしエンジンは改良前のもので、HPも後のパッケージより若干低くなる。

 85mm砲もTier6の中戦車としては高火力と言えるものなので、122mm砲が必要とまでは言えない。ただ「T-34-85」なら85mm砲を持っているだろう、と油断している敵に122mm榴弾の大ダメージは結構な驚きを与えるだろう。また85mm砲の貫通力がオーバースペックとなる格下相手になら、122mm砲の威力はやはり驚異的だ。

 パーツ選びに関しては、パッケージを問わず砲撃力を高める方向を優先したい。装填速度を高める「中口径戦車砲用装填棒」は常に重宝する。また122mm砲の場合は、照準速度を上げる「改良型射撃装置」があると、中長距離での撃ち合いが少しは楽になる。防御に関しては、とにかく撃たれないことが大事なので、「迷彩ネット」やスキルの「第六感」などを活用して、隠蔽・回避を優先にしていきたい。攻撃的に行くなら視界を広げる方向でもいい。

 総合的に見て、「T-34-85」は火力と機動力に優れた戦車だ。特に前進・後退の動きが機敏で使い心地がいい。市街地で出入りしながらの射撃も悪くないし、平地を大きく迂回して横を取る動きにも向いている。ただ目前の敵を撃つだけでなく、マップで敵味方の動きを見ながら適切な位置取りを考えれば、それにきっちり応えてくれる良好な性能を持っている。

 ただし装甲には難があるので、うかつに姿を晒して撃ち合うのは危険だ。堂々と真正面から撃ち合った末に爆散するようなことがあれば、シベリア送り25ルーブル(コントローラーを置いて冷たい床で腹筋25回)のつもりで、緊張感を持って戦っていただきたい。

 余談だが、「T-34」は傾斜装甲を採用したことで防御力は増したが、車体が斜めに削られたような形になるため、戦車内の居住空間が狭い。初期の「T-34」では砲塔部に2人しか乗れず、車長が砲手または装填手を兼ねている。「T-34/85」は新砲塔になり、砲塔部が大型化し3人乗れるようになったが、こういった事情から搭乗員には身長制限があったという話もある。カチューシャの身長が127cmしかないのも、この戦車の搭乗員としては優れた点である……のかもしれない。

小回りが利くので、地形を使った戦いに向いている
機動力を活かして、意外な場所から攻撃を仕掛けたい

次回はいよいよお姉ちゃんの登場です!

 次回は黒森峰女学園のフラッグ車「ティーガーI」をご紹介。戦車について詳しくなくとも、「ティーガー」あるいは「タイガー」という戦車の名前くらいは知っているのではないだろうか。「ガルパン」においては、「お姉ちゃん」こと西住まほの愛機であり、常に名シーンを演じる戦車だ。「WoT」ではTier7とやや上位にあるため、本車輌の獲得をプレイの目標にしている人も多い。果たして「WoT」でも驚異の存在となるのか? 次回をお楽しみに。

(石田賀津男)