「電遊道」〜Way of the Gamer〜 ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ

ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ【第32幕】

 電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 「電遊道」は、RPGのようにレベルアップする。これまでの「一刀両断」や「イタヲタのレトロなゲームライフ」などの人気コーナーを提供しつつ、新しいコーナーをスタート!「みんなのGAME SHOP」では毎月、イタリアのゲームショップの1日を体験していく。期待作が発売された日のお客さんの反応とは?イタリア人の買い物を覗いたり、店長のコメントを訊きながら、ゲームショップの1日を密着取材!

 そして、「BORN TO BE GAMER」(和訳:ゲーマーになるために生まれた)では、日本のゲームを愛するイタリア人ゲーマーを紹介していきたいと思う。ゲームとのファーストコンタクトは?日本のゲームを愛する理由とは?その人物像を掘り下げたいと思う!これからも「電遊道」はレベルアップしていく。サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ (芸名)
国籍:
イタリア
年齢:
38才
職業:
俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:
テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:
銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)
ブログ:
ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
Twitter:
https://twitter.com/John_Kaminari
Facebook:
http://www.facebook.com/johnkaminari

 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること。


一刀両断〜話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!〜

話題のゲームニュースや注目のゲームイベントをピックアップして、僕の正直な感想を述べたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイディアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来のために!

テレビと一体化をはかるXbox One。ゲームはもう補足的な存在?

 初期段階で“Xbox 720”というネーミングで知られていたマイクロソフトの次世代ゲーム機の全貌が公開された。Xbox One。ONEは新たなスタートとしても解釈できるが、本当の意味はオールインワンだ。つまり、Xbox Oneは家庭のホームエンターテイメントの中心的な位置を目指しているということだ。

 ゲームだけでなく、テレビ番組、映画、ドラマ、スポーツなど、ゲームと同時に、そして、ゲームと連携しながら、様々なコンテンツやサービスが1つの“ボックス”で提供されることになる。本来のゲームだけが楽しめる家庭用ゲーム機の定義を覆すようなシステムになりそうだ。今回の記事で、欧米ゲーマーの間で疑問視されている点に触れながら、僕の感想を述べたいと思う。

 Xbox Oneのプレゼンテーションイベントはハリウッド並に豪華だった。登壇したマイクロソフトの方々、そして、ゲスト達は、Xbox Oneのことを誉め称えた。しかし、ゲームよりもテレビ的な機能やスポーツ番組が観賞できるという機能のほうがアピールされたのは、ゲーマーの疑問を招いたようだ。

 果たして、ゲーム機はテレビを観る為に利用するものなのか? ゲーム機はNFLを観ながらスカイプで友達と話す為に利用するものなのか? もちろん、それらは補助的なサービスとして考えれば問題ないが、今回のイベントで、ゲームよりも、「Halo」のテレビシリーズを観られるということに重点が置かれたという印象が強く、それを疑問に思ったゲーマーが少なくなかったようだ。

YouTubeでのパロディーが話題沸騰中のXbox One。ビデオデッキのようなレトロなデザインも指摘されている。確かにXboxだからボックスの形をしているが、デザインはシンプル過ぎる。見た目が重要だと主張したいわけではないが、もう少し個性を付けて欲しかった

高性能が全てではない。マイクロソフトが目指すオールインワンとは?

 何年か前までゲームメーカーは、独自の高性能なハードを製作しパワフルさで競争していたが、現在のキーワードはデベロッパーにとっていかにゲーム作りがスムーズに進められるかということだ。プレイステーション 4からも同じような印象を受けたが、Xbox Oneはパソコンに似たアーキテクチャーを提供するという事実が、グローバル化が進むゲーム市場にとって朗報であることは否めない。

 Wii Uで差別化をはかった任天堂は今、欧米では、ガラパゴス化するのではないかと懸念されているが、その見解にも確かに一理あると思う。Xbox OneとPS4はそれぞれ独占タイトルを提供していくことになるが、基本的には有名なフランチャイズの最新作はお互いのハードの性能が似ていることから、現行機のように同時に開発、移植されていくことが推測できるだろう。そういった分野で、最も苦戦を強いられるのはWii Uだと、僕も心配している。

 Xbox Oneはコンパクトになった高性能なゲーミングパソコンに例えられる。パソコンと違うのは性能ではなく、ゲーム、テレビ、各サービスをシームレスに繋げるユーザーインターフェイスだと思う。プレゼンテーション中はゲームよりも、より正確になった新しいKinectによる操作が大きくアピールされた。声でスポーツ番組からゲームセッションに一瞬で画面が切り替わるという直感的さ、快適さが強調された。

 そして、テレビやゲームをやっている間にスカイプやインターネットなど同時に操作できるというマルチタスク性も大きくアピールされた。Xbox OneはXbox 360より美麗なグラフィックスを実現させるのはもちろんのこと、メニューナビゲーションの快適さや処理の速さがどんな要素よりも重要視されていることがわかった。

 僕ははっきり言って、次世代ゲーム機が進もうとしている道がよく理解できない。スポーツ番組の鑑賞がゲームと一体、どういう関係があるのだろうか? Haloのドラマが製作されるのはファンにとっては朗報だろうが、ゲーム機には本当に付加価値を与えると言えるのだろうか?アカデミー賞を取った脚本家がゲーム性とどういう接点があるのだろうか? 超有名なハリウッド映画監督がゲームとはどういう関係があるのだろうか?

 正直に言って、今回のカンファレンスで主人公になったのはゲームではなく、ショービジネスだったと思う。「ゲーム性が進化しますよ」ではなく、「有名な監督などが絡んでいるからゲームが面白くなりますよ」と言わんばかりだった。

音声認識操作もアピールされたが、ボタンを押すという動作の何が悪いのか? 雑音が混じった環境でも認識は完璧なのだろうか?
マルチタスク性もXbox Oneの見所の1つだ。スポーツ番組を観ながら、ネットが閲覧できる
ゲーマーがゲーム機から求めているものはクイズ番組ではないことは断言できるだろう

Xbox Oneはアメリカ専用ゲーム機になるのか?

現在、欧州・アジア向けのゲームや専用サービスが不明であることは指摘されている。E3の発表は現在の疑問を払拭する可能性もある。そう願いたい

 今回のXbox Oneイベントを観て、強く感じたのは、マイクロソフトが日本の市場をほぼ諦めているということだった。E3でもちろん状況が一変することも考えられるが、今回のプレゼンテーションで日本人向けのゲームやサービスが一切触れられなかったのは致命的だと思った。

 マイクロソフトは日本のソニーに特定のメッセージを送りたかったのではないだろうか。「アメリカの市場は私達が独占しますよ」というようなメッセージ。日本の市場で勝利を収めるのは難しいと認め、アメリカ人ユーザーを満足させる要素やサービスを強化したほうがいいという結論に至ったのではないだろうか。そうでなければ、カンファレンスには日本からのゲストも参加し、日本の有名なシリーズの続編や独占タイトルを披露していたと思う。

 ここまでは、Xbox Oneはアメリカ専用ゲーム機になると懸念している。その心配は欧州のゲーマーも共通しているようだ。NFLに興味を持つイタリア人は皆無に等しい。きっとマイクロソフトはエリアごとにサービスを調整、最適化させようとしていると推測できるが、それはカンファレンスではっきりとアピールするべきだった。何故なら、そのイベントは全世界のユーザーが注目していたからだ。現段階では、アメリカ人以外のユーザーがXbox Oneから十分な魅力を感じないことは当然だと思う。

 それに比べてPS4のプレスカンファレンスでは、世界中のゲーマーを喜ばせるような発表が多くあったと思う。日本からの新作。アメリカからの新作。欧州からの新作。あらゆるニーズに応えたカンファレンスだったと思う。Xbox Oneの場合、残念ながら、そういうバラエティはあまり感じることができなかった。アメリカ人はすごいと思うかもしれないが、他国のユーザーが感激するような内容ではなかったと断言できるだろう。

 今回のイベントではゲームの紹介に捧げた時間は少なかったが、E3では15本の独占タイトルが公開されることが発表された。その中に、8本の新しいIPが含まれているという情報も明らかになった。もちろん嬉しいが、もしその中に日本からの新作が入っているのであれば、何故、この大切なイベントで一切公開されなかったのだろう。期待感を上げるため? それでも、やはり、日本市場向けのキラーアプリケーション的なゲームソフトを見たかったというのは当然の気持ちだ。日本人もきっと同じ印象を受けたのではないだろうか。

欧州市場を制覇するのはPS4か、Xbox Oneか?

 PS4とXbox Oneとでは、どちらが勝者になるのだろうか? もちろん、予測することは難しい。ただ、今回のXbox Oneがあまり日本のユーザーを意識していないということだけは断言できる。Xbox 360の時は逆に日本の市場に浸透するようにマイクロソフトは宣伝に力を入れ、努力を惜しまなかったが、それでも良い成果には繋がらなかった。

 ナショナリズムに熱い日本人は日本の産業を守り続け、そして、日本の商品を優先し続けるだろう。アメリカ人も同じく、Xbox Oneでアメリカの市場を独占することを目指しているかのようだ。欧州は今回のゲーム機戦争のカギを握る地域として考えられる。

 欧州では、現時点でPS4のほうが優位だと感じられる反応が多い。現在、イタリアではPS4はXbox Oneよりも、魅力的なゲーム機として評価されているようだ。Xbox Oneに関しては、指摘のほうが多かったように感じた。ゲームラインナップのバラエティの乏しさも指摘されたし、欧州に向かないテレビ関係のサービスの必要性も疑問視されている。

 現段階では、僕も1つだけを選ぶとしたらPS4を購入しようと思う。日本のゲームが好きな僕は、日本のゲームの存在が一切確認できなかったXbox Oneは魅力的なシステムだとは思わない。やはり、ゲーム機は多種多様なゲームジャンルを提供するゲームラインナップに成り立つと確信している。

 スポーツは今のテレビでも観られるし、テレビドラマや映画が鑑賞できる手段もいくらでもある。ゲーム機の核心的な存在であるはずのゲームが、十分にアピールされていなかったところは賛否両論を招いたと思う。

 Xbox Oneは日本市場にも力を入れるべきだと思う。そして、日本人も海外のハードにもっとチャンスを与えるべきだと思う。PS4とXbox Oneが敵対するのではなく、お互い補い合うべきだと思う。日本のメーカーがXbox Oneをサポートすると同時に、欧米のメーカーがPS4をサポートするべきだと思う。お互いサポートしていけば、両方のハードの良さがより一層発揮されるのではないだろうか。