【連載最終回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


オンゲーユーザーとメーカーへの提言
「僕が目指す『オンラインゲームの明日』」


 「オンラインゲームって楽しい。もっともっとオンラインゲームの楽しさを知ってもらいたい」という想いで書き始めた「てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム」。突然だが今回が最終回となる。連載が終了してしまうのは残念だが、今後さらに様々なことを学び、今後も違った形でさらに楽しい情報を皆様にお伝えしていきたいと思う。

 最終回のテーマは「僕が目指す『オンラインゲームの明日』」。連載を続け、オンラインゲームをプライベートで遊び、仕事で取り上げた中で思ったことをまとめていきたいと思う。ユーザーへの、そしてメーカーへの僕なりの提言と、そしてこれから僕は何をしていくかまとめていきたいと思う。

 今回は最終回ということで豪華にイラストを2つ描いてもらった。1枚はコアなオンラインゲームプレーヤーである阿佐ヶ谷帝国さんに、「プレイしているオンラインゲームの好きなところ」を。ミズノ マサトさんには僕が目指す、「オンラインゲームの理想世界」を描いてもらったので是非、楽しんで欲しい。最後ではあるが、もし良ければ、この連載の感想と意見を「@tkatsuta てっちゃん@ぐだぐだ」にツイートしていただければ幸いだ。今後の活動の参考にさせていただきたい。


■ 数年間も夢中になれるオンラインゲーム。そんな作品に出会った感謝を!

 僕は仲間達とオンラインゲーム内で色んな話しをする。あるとき「開発者が来日したとき、1番最初にかけたい言葉って何?」と聞いてみた。友達は「“バグ”を直して欲しい」と答えた。僕はその言葉にとても衝撃を受けた。「それなの? 1番最初に、1番かけたい言葉が、それなの? それってやっぱりさびしいんじゃないのか?」と思ったのだ。

 僕はやはり、開発者達にかけたい言葉は「ありがとう」だ。僕はオンラインゲームが大好きだが、中でもネクソンの「マビノギ」が大好きだ。感性が合うし、好みだし、コンテンツを触ってると楽しい。他の作品と比べたとき、「ああこのゲームはやっぱりいいなあ」と思う。そしてふり返ったとき、改めて自分の作品の好みに気づかされる。自分の好みのゲームが存在してることの幸運に感謝する。

 質問した友達だって、他のプレーヤーだって、気持ちは同じはずだ。何年もずっとこのゲームをプレイし続けている。ゲームのことにものすごく詳しくなる。攻略はもちろん、開発元の海外の情報すら収集する。もちろん友達などの繋がりがプレイを続けている理由というのも大きいとは思うが、それでも「同じゲームが好きだ」というのが僕らを繋げているのだ。数カ月、数年を一緒に時を過ごし、色んな話をした友達。彼等と繋げてくれたゲームの存在に感謝の気持ちを持っていないはずがない。

 もちろん、「バグを直して欲しい」という気持ちはとてもよくわかる。友人にとって、ゲームの世界が大好きで、大事だからこそ、バグを直し、コンセプトをきちんと表現した「理想的な世界」になって欲しいのだ。プレーヤーは「自分の声が、メーカーに、開発者に届いていないんじゃないか」という不安を常に持っている。僕自身、プレーヤーから聞くのは不満点だったり、ゲームの不具合に関することだ。開発者インタビューを実施して、記事の中で反響が大きいのも、不具合や、不満点に対する回答だったりする。

 しかし、しかしである。プレーヤーは「俺は、これが好きだ」ということを、ちゃんと言っているだろうか、どこが好きかを開発者にキチンと伝えられているだろうか。バグや不具合、メーカーの不手際を糾弾するのと同じくらいの情熱を持って、良いところをきちんと評価し、開発者、そして僕らの思いを届けているメーカーに「良くやった」と言っているだろうか?

 もちろんユーザーはきちんと開発者と作品をリスペクトしている。なぜならば、コンテンツの個性を評価し、好ましく思い、他のコンテンツにない魅力を感じているからこそ、僕らはいくつもあるゲームの中から、そのゲームを選び、“暮らして”いるのだ。ユーザー自身も気がついているのである。

 しかし、表に出る声は、コンテンツやメーカーを糾弾する激しい口調や表現になりがちだ。その声を聞いたメーカーの運営担当者も、よく調べもせずそれをそのまま開発者に伝え、彼らのモチベーションを大きく下げるようなこともあるようだ。僕らプレーヤーは開発者の背中を押しているだろうか? 自分が何を好きでこのゲームをやっているか、どんな方向性を評価しているか、意識しているだろうか。

 ユーザーへの提言として僕が言いたいのは、「大前提として、この世界を提供してくれたことを感謝して欲しい」ということだ。自分の好みに合う世界を見つけ、そこで同好の士を見つけ、さらに大事な仲間を得てるというのは素晴らしいことだ。その世界を生み出した人達、それを維持している人達がいる幸運を噛みしめて欲しい。自分が何を好きかをもっと表現して欲しい。メーカーへのメールでも良いだろうし、ブログなどにまとめるのも良い。別に発信しなくても良いが、自分の好きな楽しみ方をゲーム内で友人に問いかけることで、より楽しい体験ができるだろう。

 自分が何を好きか発信することは手間もかかるし、それを他の人に否定されることもあるかもしれない。しかし、自分がそのゲームが好きだという気持ちは、問いかけることでより強固になる。もう一度自分がゲームが好きな理由を考え、そのゲームが大事だと思っている気持ちを再確認し、そしてそれを様々な形で表現して欲しい。そういったユーザーの行動がゲームをさらに活発にさせると思う。


イラスト:阿佐ヶ谷帝国

阿佐谷さんが大好きな「信長の野望Online」の“武家屋敷”


■ メーカーへの提言。開発するコンテンツに誇りを持ち、もっとユーザーを見て欲しい

 次はメーカーへの提言を行なっていきたい。オンラインゲームは進化するコンテンツだ。ユーザーの声や流行で、開発当初のゲームとは変わっていく。ユーザーの意見が、ゲームの方向性を決めている部分は間違いなくある。特に韓国の開発者は「何でも意見を下さい、実現します」という言葉を口にする。僕らは「何でも意見を下さい」という言葉を聞くと、「彼等は何も自身では考えてないのではないか」と思いがちではないだろうか? 僕はここに“文化の違いによる誤解”という一面があるのではないかと思う。

 オンラインゲーム運営担当者に聞いてみると、開発者は自分のコンテンツに強い誇りと信念を持ってる。人間だからよかれと思った方向性を頭ごなしに否定されれば激しく反発するが、実はほとんどの開発者はきちんとゲームのコンセプトと、目指すべき方向性を持っている。ただ、それはほとんどの場合、ユーザーまで伝わっていない。ここに不幸の因子が眠っているように思う。

 だからこそ、開発者は自らの口で、作品の具体的な方向性をもっともっとアピールして欲しい。もちろん、開発者本人でなくてもいい。メーカーとして、現在開発している作品、サービスしている作品はどのような世界観を持ち、コンテンツはどんな方向性を目指しているのかを提示して欲しいのだ。

 一例を挙げれば「無料オンラインゲーム」というキャッチフレーズだ。ゲームの広告も、タイトル名を検索しても、この「無料」という言葉がいきなり出てくる。しかし実際には会員になり、コンテンツにお金を払ってもらいたくてサービスを行なっているんだし、「無料」という言葉はもう表現として個性がなさ過ぎる。何より僕らプレーヤーは、無料だからこのゲームを選んでいるのではない。「無料」という言葉が1番最初でアリ続けているのは、オンラインゲームファンから見れば極めて寂しい風景だ。

 そしてユーザーが数年以上も1つのゲームに入れ込み、大事だと思う“繋がり”を生んでいるゲームを開発し、運営していることに誇りを持って欲しい。ユーザーの最大の不安と不満は「メーカーが自分たちのことを何も知らないのではないか」ということだ。直接運営を行なっている担当者はもちろんユーザーを見ているが、それ以外の人は、ユーザーを見ているだろうか。

 ユーザーの動向を把握するための最も簡単な方法は、ゲーム内にプレーヤーとして参加することだ。そしてギルドに入ることで、その世界で信頼できる友人ができ、その世界の住人となり、共感できることも多くなるだろう。メーカーの人だとわかればトラブルが起きるかもしれない。しかしそれでも、全ての人ではなくても、メーカー側にユーザーと同じ目線の人が、できるだけ多くいて欲しいと思う。

 また、「オフラインイベント」をもっともっと積極的に開催して欲しい。オンラインゲームを運営していてそれができてない、というメーカーは、台所事情もあるとは思うが、ユーザーの生の姿を見る絶好の機会を逃していると思う。ネットでは見ることができないユーザーの熱意、好意を、そして彼等が仲間達と直接会い喜んでいる雰囲気をぜひその目で見て欲しいと思う。そうすることで何かしらの変化があるはずだ。

 そしてアカウントハックへの補償である。ここ数年アカウントハックは深刻化しており、メーカーは対策を行なっているが、ユーザーの補償に関してもまだ十分でないメーカーもある。オンラインゲームは“積み重ね”のゲームである。レアなアイテム、膨大な時間を必要とするキャラクター育成、ゲームそのものが、ゲーム内資産に価値を生む設計であるからこそ、犯罪に巻き込まれアイテムを奪われたり、ひどいときにはキャラクターを消されてしまったユーザーに対して、できるだけ補償をして欲しい。ユーザーがゲームを選び、暮らしていること、ゲームを大事に思っていることに対して、会社の方針として、もっと目を向けて欲しい。


■ メーカーとユーザーが笑顔で未来を語れる世界を目指して、僕ができること

 そして、ユーザーとメーカーに提言した“僕自身”は何をするか。実際の仕事、今後の活動のテーマをどこに持って行くのか。僕の目指すのは、「メーカーとユーザーの架け橋になりたい」ということだ。ユーザー、メーカーの努力により、たくさんの人達の住むゲーム世界が続いているという、“奇跡”をもっともっと評価していきたいし、そしてこの幸福な世界をもっと多くし、裾野を広げていきたい。

 このために何をすべきか。僕が作品に対峙したとき、その作品がどう楽しめるか、他作品とどう違い、どんな輝きを放っているか、それを作品の中に入り、取り出し、開陳していきたい。コンテンツの面白さ、魅力はもちろん、細かい作りや、世界観、そしてユーザーがその作品をどう楽しんでいるか、取り上げていきたい。

 「俺、何でこのゲームプレイし続けてるか、自分でもよくわからなかったけど、この人の記事を見てわかった」。あるユーザーが僕の記事を見ての感想だ。この言葉は、今でも僕を支えている。作品の楽しさを取り出していく事を続けていきたい。そして、ユーザーの声をきちんと拾い、ゲームの中で何が起きているのか、もっとアンテナを張っていきたい。ユーザーと共に、メーカーとも気軽に情報交換できるようなパイプをつかんでいきたい。

 また、開発者に対しては、コンテンツに対する想い、開発者が目指す方向性をきちんと取材していきたい。ユーザーが開発者の言葉に共感し、そしてゲームの未来に思いをはせて欲しい。取材ではどうしても具体的なコンテンツの問題に終始してしまうが、作品が開発者達と繋がる感覚を大事にしていきたいと思う。

 僕が目指していくのは、


イラスト:ミズノ マサト

ユーザーとメーカーが協力して「楽しい世界」を作っていくことを、応援していくことだ。

 ユーザー達が素直にコンテンツを楽しんでいることをきちんと取り上げ、メーカーがユーザーに対してどう取り組んでいるか、どんな“理想”を持っているかをきちんと見つめていきたい。オンラインゲームは「娯楽作品」である。ユーザーは楽しむためにゲームをプレイしているし、メーカーは楽しんでもらうためにコンテンツを作り、商品を販売している。その最も大事な“原則”を今後も見つめ、実現させるために、これからも働きかけていきたいと思う。


連載で取り上げた20タイトルのスクリーンショット。どのタイトルにも思い出がある


■  てっちゃんどうでもいい話 「モニター越しに確かに聞こえた、歌声」

 オンラインゲームは、「キャラクター付きのチャットシステム」という一面もある。「これすげえな」と思わされたのは、「ウルティマオンライン」(UO)での、「カラオケ大会」だった。ネットゲーム初期、「UO」には特定の楽曲を演奏する機能もなかったし、ボイスチャットもまだメジャーではなかった。ではどう“歌う”のか? 「UO」はキャラクターの頭の上に文字が出る。これを利用して歌詞を打ち込んでいくのだ。

 面白いのは、文字が出るタイミングで、ちゃんと「歌」が聞こえてくるところ。1番印象に残ってるのは、当時友達にストリートシンガーがいて、オリジナルの歌を聴かせてもらったことだ。彼の独得の言葉と、ずしりと重い独得の“歌い回し”はモニター越しに、文字の現われるスピードだけで、確かに伝わってきたのだ。僕らは彼の歌を聴くのが大好きだった。その経験があるからこそ、オフ会で彼の生の歌声を聞いたときは、感動した。僕も言葉の切り方を工夫したり、短いタイミングで一生懸命文字を打ち込んだり、色々試した。回を重ねると、マクロで歌詞を打ち込み、キャラクターのアクションをさせるなど、凝ったパフォーマンスを見せる人達もいた。

 頭の上に文字が出るこのシステムは何かに使えないだろうか……。そこで考えついたのが「輪唱」だった。「♪かーえーるーのーうーたーがー〜」という感じで1人が歌い、続いて隣が歌い出す。僕らはカエルをイメージした緑の服に身を包み、人のいるいるところへみんなで「Gate Travel」の呪文で移動し、輪唱を披露した。大いに受けたことを覚えている。こういうシステムを越えた遊びを考えつくのは楽しい。僕が今でもオンラインゲームにこだわり続けているのは、こういった様々な経験と思い出があるからだと思う。


残念ながら「UO」の写真は残っていない。写真は「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」、「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」、そして「マビノギ」でのプレーヤーによるパフォーマンス。大きなユーザーイベントも楽しいが、街角で偶然遭遇するストリートパフォーマンスは、オンラインゲームの楽しさを再認識させてくれる


 最後に、僕のあやふやな注文をきちんと絵にしてくれたミズノ マサトさん、阿佐ヶ谷帝国さん、そして一緒にこの連載を作ってくれた編集担当の中村聖司氏に感謝したい。連載は終わってしまうが、僕は今後もオンラインゲームをプレイし、仕事としても関わっていきたい。

(2011年 12月 28日)

[Reported by 勝田哲也]