【連載第28回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」のヘレグロドレイドの大事な思い出
“俺たちは強い!” MMO上級者だからこそ体験できる強さと連帯感


 「レイドコンテンツ」は、MMORPGのコアプレーヤーだからこそ体験できるコンテンツだ。コアプレーヤー達は何度も思考錯誤し、情報を集め、“攻略法”を見つけ出していく。今回の「てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム」では集団で強大な敵に挑む、レイドコンテンツの魅力を紹介していきたい。

 レイドは最初に「エバークエスト」で導入されたコンテンツで、複数のプレーヤーが力を合わせる事を前提とした上級者向けのコンテンツだ。巨大なモンスターに集団で戦いを挑むシンプルなものから、広大なフィールドを突きすすみ中ボスを倒し、そして最後に大きなボスに挑むものまで様々な種類がある。

 近年の作品では、複数のパーティを連結させ、メンバー全体のHPやMPの確認も可能になり、レイド専用のチャットもできるようになるといった独自の「レイドシステム」も用意されている。そして報酬はとても貴重なアイテムだ。1度のレイドでは少数のレアアイテムしか手に入らない。セットアイテムなど全部位が必要なアイテムもあり、プレーヤー達はレアアイテムを求めて、何度もレイドに参加するのである。

 何よりレイドは、キャラクターの特性を覚え、ゲームの中で「冒険者」と確立したロールプレイの“先”にあるコンテンツだというのが楽しい。求められている役割をこなすにはプレーヤー自身がキャラクターと対話し、特性を把握していなくては戦えない。リーダーの求める戦いを、自分なりのやり方でこなしていく楽しさ。ゲームを続けてきた自分の“力”を実感できる、オンラインゲームの楽しさを凝縮したコンテンツである。


■ 積み重ねてきたキャラクターの力、それらがリーダーの作戦で有機的に動く「レイド」の楽しさ

強大な敵に集団で立ち向かう。1人1人が役割をこなさなくては全滅にも繋がる。緊張する瞬間だ

 レイドコンテンツは複数のパーティで挑むのがセオリーだ。パーティープレイのその先に提示された協力型コンテンツ。20人以上のプレーヤーが力を合わせ、そして決められた役割をこなさないとあっという間に全滅してしまう。リーダーがプレーヤーを募り、役割を割り振り、有機的に動いて初めて目標を達成できる。緊張があるが達成感も強い、MMORPGの高レベルプレーヤーの大きな楽しみだ。

 単純に数を頼んだ力押しではとうてい勝つことはできない。敵の攻撃にどんなスキルで対処するか、敵の動きを止めるにはどう動くか、有効な布陣は何か……。熟練プレーヤーたちが決められた役割を果たさなくてはならない。戦士や魔法使い、回復役など、これまで育て上げたキャラクターと、ソロやパーティプレイで積み重ねてきた確立したテクニック。声をかけ合わなくても、自分の役割をきっちりとこなす事ができ、そういった高レベルプレーヤーの結束が“全体”として強さをもたらしている。その実感がレイドの楽しさだ。

 レイドは、巨大なボスを討伐するシンプルなものから、複数のボスと戦い、巨大なボスと戦う凝ったものもある。僕が経験したレイドで、最も積極的に参加し、今でも強い印象に残っているものとしては、「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン(以下「LOTRO」)」、「ヘレグロドレイド」がある。24人、4パーティーで挑戦するコンテンツで、強力な闇の軍勢、巨人、巨大な蜘蛛の大群などを倒し、最後にドラゴン「トログ」と戦うのだ。何人もの腕きき戦士達とドラゴンに挑む。まるで物語の登場人物になったかのような興奮は今でも覚えている。

 このトログは実は1度死んでいるドラゴンゾンビなのだが、その力は強大そのものだ。大きな翼を羽ばたかせ、下りてくる白い鱗を持つ巨大なドラゴンと対峙するときは、何度体験しても興奮した。とても人間の力では倒せない。そのことがビジュアルで伝わってくるのだ。

 トログはプレーヤーキャラクターに“恐怖”をもたらす。この恐怖はゲームのルールに取り入れられており、恐怖に囚われたキャラクターは動けなくなってしまう。この恐怖を振り払うのが「エゼルハルンのトークン」というアイテム。優れた宝石細工師が作れるマジックアイテムで、このアイテムを使うとキャラクターは光を掲げるアクションをする。

 吹雪の力そのもののように氷雪をまといながら登場するドラゴン、その強大な敵に光り輝くトークンを掲げて恐怖を払いのけ、仲間と共に敵に立ち向かう。もう、実際の状況と、頭の中に浮かんだその絵のかっこよさに、背中に電気が走ったような気持ちになって、PCの前にいる僕は、思わず椅子に座り直し、身を乗り出して画面にのめり込んでしまう。


イラスト:ミズノ マサト

光で恐怖を打ち払い、立ち向かえ!

 トログには一定の行動パターンがある。レイドは、その行動に合わせ、ドラゴンに斬りかかる主力部隊、ザコ敵を掃討する防衛隊、トログが上空に逃げ体力回復を使用とするのを阻止する部隊に24人を振り分ける。初めて参加した時は、リーダーが説明している手順が何のことかわからなかった。戦いで初めてその意味を実感できたのだ。

 ドラゴンの援護に出てくるザコモンスターを手順どおりに迎え撃つ弓部隊や、前衛部隊をしっかり援護するバード、援護部隊には体力を回復しようとするドラゴンを連係攻撃で阻止するのが主目的だ。トログの行動に合わせて的確に敵を攻撃する。パターンを解析しているから当たり前ではあるが、敵の行動に即座に対応するのは合戦もので計略がうまくいったときのようで、爽快だった。

 レイドに参加できるのは1週間に1回。リーダー格の人は曜日を決めていて、そこに合わせて参加していた。僕も何度かの参加で、その曜日が来るのは楽しみだったし、友達を誘っていくこともあった。逆説的な話だが、日本の「LOTRO」は、「人が少ない」こともよかった。このレイドで知り合った人と戦争やダンジョン探索にいったり、「このまえはどーも」みたいな話もできた。プレーヤーがそれほど多くなかったからこその周りの人達と色々な思い出を重ねられたところもあったと思う。

 正直、あの時のレイドのような濃密な体験は、今はできていない。それでも「またあんなレイドがしてみたい」という気持ちはずっと心の中に残っているが実現できないでいる。巨大ボスが現われるイベントを「ボスレイド」として定期的に行なっている作品はあるが、これらは連携などはあまり考えて無く、戦略的な動きができない。コンシューマーゲームにも劣らない演出と、様々なギミック、プレーヤー達の連携……。これらの要素を実現しているレイドと言えば「ファイナルファンタジーXI」のものが演出も展開も凝っているが、僕自身は高レベルまでやり込めず、未体験のまま離脱してしまった。

 自分の役割を、レベル1から数カ月、コツコツと経験を積み、wikiで自分の職業の有効なスキルや、強いアイテムが入手できる方法を探す。そして時には失敗しながら自分なりの戦い方を確立していく。レアアイテム扱いだったり、高レベルの生産キャラクターじゃなくては作れない、強力な回復アイテムや補助アイテムを準備する。プレイの“厚さ”がレイドでの楽しさを生み出す。育て上げたキャラクターを、提示されるコンテンツに合わせどう動かすか、協力しつつ自分のこだわりを活かす。高レベルキャラクター、長く遊んだゲームだからこそ楽しい。「レイドを楽しみたい、仲間達との濃密な時間を過ごしたい」という思いはくすぶり続けながらも、やり込んだゲームのその先のレイドコンテンツにアクセスできていないのが、今の僕の現状だ。

 1つには「レベリングの重さ」というのもあると思う。韓国系MMOはレベルの上限が高く設定されており、ユーザーが滞留するレベル帯が見えにくい。また長く続いているゲームの場合、レイドコンテンツの敷居が高すぎる。加えて対人戦を重視している作品ではレイドよりも大規模戦闘に力を入れている場合も多い。改めて考えてみると、数カ月でレベルキャップであるレベル50に到達でき、そこからの遊びの幅を広げる方向の「LOTRO」はレイドに向いていたタイトルだったと思う。

 MMORPGのレイドコンテンツはやはり重い。レイドを存分に楽しむという点で個人的に期待しているのが「ファイナルファンタジーXIV」である。来年は“新生”がお目見えするということでオンラインゲームファンとして注目している。レイドに対する情熱や憧れを持っていながら、しばらくその思いは満たせるゲームに巡り会っていない。この思いを抱えながら新しいMMORPGにチャレンジしていきたいと思う。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「憧れの食べ物、レンバス」

ホビット庄にある「上質なかまど」は、高レベルの食べ物が作れる調理師の人気スポット

 原作である「指輪物語」を読むと誰もが「レンバス」を食べてみたいと思うだろう。フロド達「指輪の仲間達」がエルフより与えられる携行食で、小さくて薄い焼き菓子のような形だが、1枚食べただけで1日の食事をまかなえるようなエネルギーを与えてくれる。原作ではとても美味しそうに描写されており、荒れ野を進む仲間達の命を支えた印象深い食べ物である。

 ゲームでは「達人」と呼ばれるまで調理の腕を上げることでこのレンバスを作れるようになる。「祝福されたエルフの小麦粉」、「上質なクローバーの蜜」、「新鮮なクリーム」、「水」が必要で、体力を持続的に回復してくれるので、戦闘前にとても有効な食べ物だった。何よりも「指輪物語」ファンにはたまらない食べ物だ。僕が生産スキルで「調理」を取ったのもこのレンバスが作りたいからであった。

 映画の「ロード・オブ・ザ・リングス」でもレンバスは登場した。保存のためか大きな葉にくるまれ、堅いパンのような形をしていた。ネットで調べて驚いたのだが、東京の多摩市に「木のひげ」という自然食品店があり、そこでは「エルフの焼き菓子」という堅焼きクッキーの商品が売られているそうなのだ。指輪物語との関係を明記しているわけではなく、レンバスとも名乗っていないが、とても興味が惹かれる商品だ。今度購入してみようと思う。



~今回ぐだってしまったオンラインゲーム~

「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」

ユーザー主催の対戦イベント。敵と味方一緒になって記念写真

 「LOTRO」は、米Turbineが開発、北米では2007年4月よりサービスを開始、日本では2007年6月よりサービスを開始したが、残念ながら2009年9月でサービスが終了している。実装をアナウンスされていたモリア坑道も結局実装されないままサービスが終了した。

 北米ではWarnerによってサービスが続いており、コアなファンはそちらで冒険を楽しんでいるようだ。「闇の森」など「指輪物語」の前作にあたる「ホビットの冒険」に出てくる土地が実装されたり、原作の「補遺集」に一節だけ語られているようなエピソードをふくらませたクエストがあったり、非常に濃い作品だ。


【スクリーンショット】
美しい風景と、力を合わせて楽しむ魅力的なコンテンツの詰まった作品だった

THE LORD OF THE RINGS ONLINE: SHADOWS OF ANGMAR interactive video game (C) 1995-2007 Turbine, Inc. and patents pending. All rights reserved. Middle-Earth Poster Map (C) 2007 The Saul Zaentz Company, d/b/a Tolkien Enterprises (SZC), under license to Turbine, Inc. All rights reserved. "The Lord of the Rings Online", "Shadows of Angmar", The Watcher logo, "The Lord of the Rings" 及びキャラクター、イベント、アイテム、場所の名前はSZCの登録商標または商標で、Turbine, Inc. が使用許可を受けたものです。Turbine及びTurbineロゴは米国及びその他の国における登録商標または商標です。 SAKURA Internet及び SAKURA Internetロゴはさくらインターネット株式会社の商標です。その他記載されている会社名、製品名、ロゴ等は各社の商標または登録商標です。その他すべての商標はそれぞれ所有者の所有物です。

(2011年 12月 13日)

[Reported by 勝田哲也]