【連載第62回】韓国最新オンラインゲームレポート
Hanbit Soft、「Mythos」第2次CBTレポート
Flagship Studiosの「Mythos」が韓国産となって復活!
「Diablo」の味わいを追求したダンジョンRPG
Hanbit Softは10月17日、MMORPG「Mythos」の第2次クローズドβテストを行なった。テストはわずか4時間という短い期間で行なわれた。
「Mythos」は「Hellgate:London」のデベロッパーとして知られたFlagship Studiosの2作目のMMORPGだ。2008年7月にFlagship Studiosの倒産により開発が一時的に中断されたが、同じく2008年7月から韓国のT3 Entertainmentに全ライセンスが移され、T3 Entertainmentによる再開発が行なわれた。T3 Entertainmentはサービス元であるHanbit Softの親会社でもある。なお、1作目の「Hellgate:London」もT3 Entertainment/Hanbit Softによって、開発/サービスが続いている。
「Mythos」は、クォータービューの視点から、マウスの左右クリックによる攻撃を駆使して、数々のダンジョンを踏破していくスタイルの「Diablo」ライクなダンジョンRPGだ。元「DiabloⅡ」の開発スタッフたちが集まったFlagship Studiosは「Diablo」ライクのゲーム性を3人称の視点で再現した「Hellgate:London」と、「Diablo」シリーズそのままのゲーム性を持つ「Mythos」を開発したのである。
「Diablo」シリーズは、韓国においてもその人気は凄まじい。韓国において、「Diablo II」は450万本の販売記録を誇る。これは韓国で国民的ゲームとして知られる「Starcraft」の販売本数とほぼ同じ数字だ。「Diablo」シリーズは、「リネージュ」や「Mu Online」など、その後に韓国で誕生した様々なMMORPGのゲーム性やインターフェイスに大きな影響を与えた。
その背景を持つ韓国市場では、「Diablo II」のクリエイターが手がけた「Mythos」は、「Hellgate:London」と並んで期待する声も大きかった。一時期、開発が中断されてしまったものの、その後韓国にて再開発が行なわれクローズドβテストがようやく始まった。早速、新生「Mythos」本作を紹介したい。
■ Discordiaから世界を救え!独自のファンタジー世界が広がるMMORPG
街のゲートに行くとマップの画面が開き、ダンジョンを選択できる。街によって行けるダンジョンも異なる |
本作は独自のファンタジー世界を持った作品だ。文明を持っている人間、セティー、グレムリン、サイクロプス連合とDiscordiaと呼ばれる戦闘種族たちとの対立を描いた作品である。Discordiaの魔の手から世界を守ることが本作の目標となる。
基本的なゲーム構造はプレーヤー同士の交流や、クエストを獲得することができるMMO空間の街と、パーティメンバーのみがプレイ可能なインスタンス方式のダンジョンで構成されている。パーティは最大5人でプレイでき、ダンジョンには街のゲートを通じて侵入していく。
街は1つだけではなく、幾つか存在しており、ストーリーやレベルに応じて次々と街を移動していくようになっている。今回の第2次CBTではレベル15から40までプレイできる「尖った峡谷」が実装され、4つの街と27のダンジョンが盛り込まれていた。
最初に行なうキャラクターの作成では種族、クラスを決めることができる。種族は人間と背の小さいグレムリン、半人半獣のサティア、片目だけの巨人サイクロプスの4種類で、クラスは戦士タイプの「血の騎士」、魔法使いタイプの「炎の支配者」、遠距離で銃を使う「メカニック」の3つに分けられている。種族とクラスの組み合わせは自由となっている。
ゲームは基本的に街でクエストを獲得し、ダンジョンでそれを達成していく流れとなる。その殆どは狩りやアイテム集めといったお使い系となっており、Discordiaに対抗するプレーヤーたちの冒険を楽しむ作品になっている。
「Mythos」に登場する種族。人間(左上)、サティア(右上)、グレムリン(左下)、サイクロップス(右下) |
■ 「Diablo」スタイルを追求した戦闘システム。スキルを連続してぶっ放しまくる!
「Mythos」は、元デベロッパーのFlagship Studioの開発スタッフたちが「Blizzardが『Diablo III』を完成させるのを待ちきれず、自分たちが作ることにした」と考えたことが原点になっている。それだけに「Diablo」シリーズを強く意識した作品になっている。
本作の戦闘システムやインターフェイスを見ても「Diablo」を追求していることは明確だ。ゲーム画面は見下ろしタイプで、画面の真下にHPとMPバーとショートカットキー、左下にチャットボックスといったオーソドックスなインターフェイスを採用している。HPは赤の球型、MPは青の球型で表され、その横にはスキル選択とショットキーのストックが位置していた。スキル選択は左と右、1つずつ位置しており、マウスの左クリックと右クリックで使用されるスキルを選択できるようになっている。
早速、ダンジョンに潜り、戦闘してみた。筆者がプレイしたのはグレムリンの炎の支配者だ。例によって基本攻撃は使い物にならず、「ファイヤーアロー」という基本的な攻撃スキルを連続的に使っていくのが基本的な戦闘スタイルとなる。「ファイヤーアロー」は使用すると火の矢が発射され、前方の敵を貫通していく。火の矢に当たった敵全てにダメージを与えることができる一種の範囲攻撃だった。
まだ、序盤のプレイであるため、高レベルで使用できるような派手なスキルは見ることができなかったが、マウスの右か左クリックを連打してスキルをぶっ放しまくる感覚はまさに「Diablo」そのものだ。また、大量の敵を範囲攻撃で倒していく格好や爽快さも感じられた。ドロップアイテムも地面に散らばるようになって、1つずつクリックして獲得するタイプだ。このあたりもまた「Diablo」に近いゲーム性といえる。
一方、「Diablo」を強く意識した本作はアイテムもその通りになっている。同じ系統をアイテムを幾つか装備すると追加効果を貰えるセットアイテムや、能力値の高いレアアイテム、宝石を埋め込んで自分好みで強化することができるソケットアイテムといったものだ。
ブロックによってアイテムの大きさが決まるインベントリやスキルツリー基盤のスキルシステムも「Diablo」のままである | |
多数の敵を一気に倒していく爽快さもそのままだ。ドロップアイテムが地面に散らばる様子もだ |
■ 第2次クローズドβテストでは2番目の地域「尖った峡谷」を公開
「Diablo II」ではアイテム集めのため、ボスモンスター倒しだけを繰り返すユーザーも多かった。「Mythos」でも似たような光景が見られそうだ |
今回の第2次CBTでは2つ目の地域「尖った峡谷」のみ実装されていた。第1次CBTでは最初レベル1から15までの地域で草原が広がる「草色の草原」が実装されていたが、第2次CBTでは荒地の峡谷をイメージした「尖った峡谷」のみプレイが可能だった。この地域はレベルや物語の区切りによって分かれており、各地域同士の移動は今のところ確認できなかった。
第2次CBTではゲームの最初にはNPCとの会話クエストを通じて、「尖った峡谷」の入門レベルであるレベル15から始めることができた。「尖った峡谷」はレベル15から40までの地域で、4つ街で構成されている。Discordiaの倒す傭兵として「尖ってる峡谷」に訪れたプレーヤーはこの地域の街「希望の要塞」でDiscordiaとの対立や水の混乱といった様々な問題点を解決していくことになる。最終的には地下のマップが広がり、廃墟にされた古代王国の遺跡を探していくまでの内容になっている。また、ダンジョンは全27種類が用意されていた。
ほかに、普通のダンジョン入場とは別に、「ルーンストーン」を使うことで「ルーンゲート」を通じて、別バージョンのダンジョンに入場することができる。「ルーンゲート」で開かれたダンジョンは普段のダンジョンより強い敵が現われ、アイテムも強力なものがドロップされるパーティ向けのダンジョンである。「Diablo」シリーズの魅力のひとつに、ダンジョンマップの構造がランダムに変更されることが上げられるが、「Mythos」ではこの「ルーンゲート」を通じて開かれたダンジョンのみ、ランダムで変更するようになっていた。
その一方で、肝心のメインストーリーのほうは、クエストをこなしていく形で進んでいくが、クエスト内容がメインストーリーとはあまり関わりのないお使い系のものが多く、ストーリーの伝え方もテキストだけで、散漫な印象しか残らなかった。ちゃんとストーリーがプレーヤーに伝わるように演出といった工夫を期待したいところだ。
本作の戦闘そのものは非常に「Diablo」に近い作品になっている。逆に近すぎて「Mythos」らしさが感じられないところがあり、今後もっと「Mythos」の独自性を出すような拡張が期待されるところである。また、今回のテストでは少数のプレーヤーたちで行なわれ、その殆どが「Diablo」経験者だった。「Diablo」を知らない新規ユーザーには本作がどう判断されるかも気になるところである。そういった面も含めて、今後の展開に注目したい。
「尖ってる峡谷」は荒地からスタートし、最終的には地下の舞台が始まる。次々と新しい地域への冒険が展開される |
「ルーンゲート」で、ランダムマップのダンジョンも楽しめる。ドロップされるアイテムは高価なものが多いが、モンスターたちも強くなる |
最初の地域「草色の草原」では、草原のマップや、神殿を舞台にしたダンジョンなどが盛り込まれている |
MYTHOS (C) 2009 Hanbit Soft INC. ALL RIGHTS RESERVED. DEVELOPED BY T3 Entertainment CO., LTD
□Hanbit Softのホームページ(韓国語)
http://www.Hanbit Soft.co.kr/
□「Mythos」のホームページ(韓国語)
http://mythos.hanbiton.com/
(2009年 10月 28日)