【連載第87回】韓国最新オンラインゲームレポート

Gravity、「Ragnarok Online 2: Legend of the Second」第2次CBTレポート
「RO」により近づいた「RO2」。いよいよ年内にOBTを開始予定!


7月13日~17日第2次クローズドβテスト実施




 Gravityは7月13日から17日まで、「Ragnarok Online 2: Legend of the Second」(以下、RO2:LotS)の第2次クローズドβテストを実施した。

 今回の第2次CBTは、2010年8月に実施された第1次CBTから約1年ぶりのCBTとなる。この1年の間に、ユーザーの意見を取り入れる作業が行なわれたという。第2次CBTはレベル30までのコンテンツが盛り込まれた。今後のサービススケジュールは今年中にオープンβテストを実施する予定で、ビジネスモデルはアイテム課金制となっている。

 「RO2:LotS」は「ラグナロクオンライン」(以下、「RO」)の次期作。Gravityは2010年7月、韓国で2007年からサービスしてきた「Ragnarok Online 2」を休止し、「RO2:LotS」として新しく作り直すことを発表したのである。

 「RO2:LotS」はフル3Dに作られたMMORPGで、前作「RO」以降の世界を描く作品だ。全体的なプレイ感としては「RO」を思い出させる要素が多く盛り込まれたオーソドックスな3DMMORPGといったところ。早速、2次CBTの模様をお届けしていきたい。


【初代「Ragnarok Online 2」】
韓国では2007年5月から2010年8月まで前の「RO2」がサービスされていた。前の「RO2」は、世界観から、システムまで、全てのコンテンツが新しいものだったが、ユーザーから良い反応が得られなかった

【「RO2:LotS」第1次CBT】
現在のバージョンと比べてみると、大きな違いはキャラクターのクオリティ。2次CBTではキャラクターの質感やディテールがクオリティアップしている



■ 1年ぶりのCBT。新しい街やフィールドを追加

新しく追加された港の街「アルベルタ」
紅葉で演出された新しいフィールド「メイプル森」

 まず、「RO2:LotS」のこれまでの進化の過程について説明しておきたい。今回のCBTは第2次CBTという名称になっているが、実は「RO2:LotS」の3回目のテストである。

 「RO2:LotS」の最初のプレイ機会となった第1次CBTは2010年8月に実施された。この時は、レベル30をレベルキャップに、ゲームのスタート地点となる「ミョルニル山脈」、「プロンテラ」、「イズルード丘」の3つのマップと、戦闘職業と専門職業を切り替えながらゲームをプレイできる「デュアルライフシステム」、「転職システム」、「ペットシステム」などが盛り込まれていた。

 しかし、「RO2:LotS」第1次CBTに対するユーザーたちの評価は厳しく、Gravity側はまた全面的に改善をしていた。そして、今年の1月には第1次CBTに参加したユーザーだけを対象に“ケアCBT”という名称でテストを行なっていた。

 この時に大きく変化したのはキャラクターのデザインで、他にはインスタンスダンジョンが2つ、ほうきに乗って空を移動できる長距離移動システムの追加、ペコペコ以外の虎や白虎といった7種の乗り物の追加、スキルシステムの改良、カードシステムの改良、UIの改良などが行なわれていた。

 そして今回実施された第2次CBTでは、新しい街「アルベルタ」や新しいフィールド「メイプル森」、カードシステムの追加改良、露店システム、ギルドシステム、2次転職業「ソーサラー」を「エレメンタリスト」に変更、カラーシステムの追加、水中移動といった内容が追加された。また、今までは1つの職業に対して固定された1つの性別キャラクターしかなかったが、第2次CBTでは男女両方とも選択できるようになった。

 第2次CBTのレベル制限は、第1次CBTと同様にレベル30のままだった。この1年間レベル制限は同じでも、中身はより豊富なコンテンツが盛り込まれ、ユーザーから不満が多かったところは改善を施す作業が進められていた。


【キャラクター作成画面】
髪型、紙の色、瞳の色、表情、声を、幾つか用意されたプリセットを選択して、キャラクターを作成できる。髪形は「RO」でもあったものが多かった

【露店システム】
露店ではアイテムの販売だけではなく、専門職業の製作代行までの機能をする



■ ベースはオーソドックスな3DMMORPG。2つの職業を選ぶ特徴のある職業システム

生まれ変わった「RO2」は、至ってオーソドックスなMMORPGになっている。UIは使いやすい
キャラクターは従来の3頭身とは違い、8頭身の3Dキャラクターになっている。これに関して、Gravity CTOのジョン氏は、3頭身のままで3D化すると「RO」らしさがなくなってしまうので、8頭身のキャラクターにしたと前回のインタビューでコメントしていた
今回のCBTでは未実装だった「アーチャー」のイラスト

 さてそれではさっそく本作の基本的なシステム周りから説明していこう。本作はMMORPGとしては、非常にオーソドックスなオンラインゲームになっている。フィールドやキャラクターは全てフル3Dで描かれ、視点はキャラクターを後ろから見下ろすサードパーソンビューを採用している。キャラクターの操作はW、A、S、Dキーによる移動と、マウスによる各種コマンド操作。戦闘では、敵をマウスでターゲットすると自動的に通常攻撃を繰り返し、ユーザーはショートカットキーでスキルを発動していくという非常にシンプルでわかりやすい内容となっている。

 キャラクターは8頭身の3Dキャラクターになっている。顔や衣装を良く見てみると「RO」らしさは感じられる特徴のあるデザインになっているが、キャラクターを全体的に見てみると、若干、大人らしく見えるキャラクターだ。

 少し特徴的なのは、デュアルライフシステムと言われる職業システムだ。プレーヤーは最初にキャラクターを作成するとき、2つの職業を選択するようになっている。具体的には戦闘に関する戦闘職業と、アイテム制作に関する専門職業を1つずつ選択するもので、それぞれ別でレベルアップするようになっている。

 戦闘職業はモンスターを倒したり、クエストをクリアすることで、レベルアップでき、専門職業はオブジェクトから製作の素材を抽出したり、アイテムを製作することで、レベルアップできる。プレイ中に戦闘職業での姿と、専門職業での姿を切り替えることができ、専門職業のスキルの中では戦闘でも使用できるものは用意されている。

 なお、戦闘職業については、「RO」のように上位職が用意されている。前作「RO」では、ノービスからいずれかの職業に転職していくようになっていたが、本作ではキャラクターの作成時にいずれかの戦闘職業の1次職と専門職業に就いてゲームを始めるようになっている。現在用意されている職業は以下の通り。

    【戦闘職業(1次職業→2次職業)】
    「ソードマン」→「ナイト」、「ウォーリアー」
    「マジシャン」→「ウィザード」、「エレメンタリスト」
    「シーフ」→「ローグ」、「アサシン」
    「アコライト」→「プリースト」、「モンク」 「アーチャー」→「レンジャー」、「ハンター」(第2次CBTでは未実装)

    【専門職業】
    「シェフ」:能力値増加効果を持つ食べ物を製作
    「アルケミスト」:ポーションや魔法道具を製作
    「ブラックスミス」:武器や重鎧を製作
    「アルティザン」:クロースのものや軽鎧を製作


【NPCとの会話】
キャラクターの顔をアップすると、「RO」らしさが伝わってくる。NPCたちの表情は豊富でキャラクター性を感じた

【各職業】
「ソードマン」 男(左)と女(右)
「マジシャン」 男(左)と女(右)
「シーフ」 男(左)と女(右)
「アコライト」男(左)と女(右)
「シェフ」 男(左)と女(右)
「アルケミスト」 男(左)と女(右)
「ブラックスミス」 男(左)と女(右)
「アルティザン」 男(左)と女(右)

【2次職業】
左から順に2次転職となる「ナイト」女、「ローグ」女、「モンク」男、「ウィザード」男のイラスト



■ 前作「RO」を思い出させる冒険は楽しい!

最初に出会ったカプラ「ミレニア」
新しいカプラサービスとして、遠い場所への移動は箒に乗って移動できるようになっている

 それでは実際にプレイの模様についてお届けしていきたい。本作は前作「RO」以降の物語を描いた作品だ。女神プレイヤとケイアスの戦いが終わり、現世ではプレイヤは封印され、ケイアスは居ない。ゲームは女神プレイヤとケイアスの戦いから10年が経過した後という設定でスタートする。

 プレーヤーは「ミョルニル山脈の西部」にある「エリメント学園」の一生徒だ。最初は学園内のNPC達を通じて、本作の世界であるミッドガルズの歴史や、モンスターたちについて学んでいくというチュートリアル的なクエストからスタートする。このチュートリアルを通じて、徐々に過去の女神プレイヤとケイアスの戦いや、女神プレイヤの封印を解こうとするモノたちの存在を知り、さらにプレーヤー自身も新たな戦いに巻き込まれていくというストーリーになっている。

 フィールドマップは、前作「RO」を思い出させる要素が多かった。まず、最初にミョルニル山脈からスタートし、プロンテラ地下水路、プロンテラ、アルベルタなど、プレイしていくと前作と同じ地名が多数登場した。細かい地形とかは異なるところが多かったが、大体のマップの雰囲気は前作と似ていた。また、前作では倉庫や、位置セーブ、空間移動といった様々なサービスを提供していたカプラも登場する

 さらに、登場するモンスターたちも、「ポリン」や、「ファブル」、「ルナティック」、「ロッカ」、「チョンチョン」など、前作のモンスターたちが多数登場する。モンスターは、ちゃんと「RO」らしさが感じられる3Dキャラクターになっていて嬉しかった。

 筆者は「RO」を引退してもうずいぶん経ているが、「RO2」をプレイしていて、“あの時は死ぬほど「ポリン」を倒して1次転職したんだよな”とか、“下手すると盗蟲に囲まれて死んだんだよな”と、懐かしく思う場面が多かった。実際に「RO」と「RO2:LotS」を比較すると違和感を感じるものは多いと思うが、筆者のように微かに「RO」を覚えているプレーヤーには、十分楽しい冒険だった。


【ポリン】
「ポリン」は3D化されても可愛い。「ベイビーポリン」や「不良ポリン」など、バリエーションも豊富だ

【モンスター達】
チョンチョン、ファブル、ルナティック、ロッカなど「RO」でお馴染みのモンスターたちも上手く3D化されて、豊富なバリエーションを持っていた

【プロンテラ】
ようやく到着した「プロンテラ」。構造は「RO」とほぼ一緒だった。正式サービス後は露店の行列を見ることはできるだろうか?



■ プレイ感が決定的に物足りない! もっともっとMMOとしてのオリジナリティが欲しいところ

「RO2:LotS」の開発を総括しているGravity CTOのジョン・ジンス氏

 本作の世界観や、登場キャラクターは、懐かしさが感じられて、その辺は高く評価したいところだが、しかしその一方で、実際のゲームのプレイ感は残念だった。あくまでゲームの序盤をプレイしただけの感想ということをお断りしておかなければならないが、“韓国に無数にあるありきたりなMMORPGのひとつに過ぎない”という印象がぬぐえなかった。この印象は、第1次CBTの時からまったく変わっていない。

 例えば、キャラクターのモーションが斬新だとか、戦闘のアクション性やスキルのコンボ攻撃などが充実していて戦闘にメリハリが感じられたとか、迫力のある演出でゲームへの没入感が高かったとか、そういったプレイ感に関する特徴が決定的に欠けていた。

 デュアルライフシステムやカラーシステムといった「RO2:LotS」ならではのシステムと言える物は多数盛り込まれてはいるものの、どれもプレイ感そのものに影響するものではなかった。

 まず、デュアルライフシステムは、プレイ中に戦闘職業での姿と、専門職業での姿を切り替えることができ、専門職業のスキルの中では戦闘でも使用できるものは用意されているが、職業を2つ選択することはプレイ感そのものを変えるほどでもなく、オーソドックスなMMORPGでの専門職業システムとの違いはあまり伝わってこなかった。

 カラーシステムは、称号システムを応用したシステムで、ユーザーがカラーポイントというポイントを使用しながら、自分が獲得したい称号だけを獲得していくシステム。称号を獲得するには、“モンスターを数匹倒せ”とか、“製作アイテムを数個作れ”とか、クエスト的なもので、実際に使ってみて思ったことは、他のゲームでの称号システムを難しくしただけのものだと感じてしまった。

 他にもいろいろと特徴とされるシステムは多かったが、どれもその必要性と斬新さが欠けていたのが残念だった。先述したように序盤のプレイだからなのかも知れないが、本作がターゲットにしている新しいユーザーを確保するためには、序盤のプレイからしっかりと本作ならではの特徴が伝えられるものにする必要があると思う。

 第2次CBT終了後に、「RO2」の今後の展開についてGravityに問い合わせたところ、「『RO』を休んでいる元ファンのユーザーと、新しいMMORPGユーザーをターゲットしている」とのこと。「RO」というゲームはサービス開始から長い年月が経っており、最近のMMORPGユーザーには満足できないマニアゲームとなっており、そうしたオンラインゲームファンのために新しい「RO」が必要だと考えているようだ。今後のサービススケジュールは、今年中にオープンβテストを実施する予定。日本サービスに関しては、ノーコメントだった。

 「RO2」は「RO」のタイトルを使用するだけあって、本作に対する注目は韓国でも依然として高い。そういった意味では、より満足できるゲームを作って欲しかった。今後も日本の展開も含めて、「RO2:LotS」の展開に注目したいところだ。


【バトル】
戦闘では単純にスキルを押し続けるだけ。もっともっとメリハリが利いた戦争システムが強く望まれるところ

【カラーシステム】
カラーシステムで得られた称号を使用すると「力+1」といった能力値増加の効果を得られる。称号が得られるカラークエストを始めるにはカラーポイントが必要で、上級称号を得るためには低級カラークエストをクリアしてポイントを稼がなければならないのがやや不便だった

【カードシステム】
「RO2」にも前作同様にカードシステムが盛り込まれているが、機能はかなり異なる。カードはアイテムに埋め込むのではなく、キャラクターの装備品の1つになっている。スロットは全部で5つ用意されており、レベル10ごとに、スロットが1つずつ増える。また、カードは同じモンスターカードでも性能によって、ブロンズ、シルバー、ゴールドのグレードに分かれており、同じカードを数枚合成することによって、グレードアップすることができる。また、別カード同士を合成することによって、新たなカードを得ることも可能だ

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(2011年 7月 22日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]