【連載第74回】韓国最新オンラインゲームレポート

「Ragnarok Online 2」開発総括ジョン・ジンス氏インタビュー
Gravity CTOに「RO2」再開発の経緯とゲームデザインを聞く!


7月インタビュー実施

会場:Gravity本社


「Ragnarok Online 2: Legend of the Second」のロゴ

 韓国Gravtityは7月1日、「Ragnarok Online 2(ラグナロクオンライン2)」の全面的なリニューアルを発表した。今までの「RO2」を白紙に戻し、「RO」のシステムを継承して新たに作り直すとのことだ。そして、リニューアルバージョンである「Ragnarok Online 2: Legend of the Second」(以下、RO2:LotS)は8月31日から第1次クローズドβテストを実施する。実施期間やその後のサービススケジュールについては明らかにしていない。

 「RO2:LotS」のプレスリリースでは、ゲームが具体的にどのように変わるのかわからなかった。そこで今回は開発の陣頭指揮を執るGravity CTO ジョン・ジンス氏にインタビューを申し込み、どのようなリニューアルを施すのか聞いてみた。「RO2:LotS」は「RO」以降の舞台を描き、最近のトレンドに合わせ、進化したシステムを取り入れた作品だった。



■ 「RO2」の失敗から作り直しの連続でようやく本格的な開発が起動。「RO2:LotS」は完全に新しいゲーム

Gravity CTO ジョン・ジンス氏。氏が開発した「熱血強豪オンライン」はMgameの注力タイトルで、韓国、中国で大ヒットしている

――: まず、ご本人の紹介からお願いします。

ジョン・ジンス氏:ゲーム経歴から言いますと、2000年Mgameに入社して「Droiyan Online」というゲームを開発しました。サーバープログラマー兼総括でした。その後、「熱血強豪オンライン」というMMORPGの企画理事としてやっていました。「列血強豪オンライン」はKRGソフトというデベロッパーと共同開発だったんですが、当時のMgameとKRGソフト代表をはじめ多くのメンバーがGoorm Interactiveという会社の設立で抜けました。それからKRGソフトの代表取締役に就任し、2009年10月からはGravity CTOとして入社しました。Gravityに入社してから、最初は5つぐらいのプロジェクトを総括してましたが、色々と事情があり現在は「RO2」に専念してます。

――: 「RO2」がリニューアルになった経由について説明してください。

ジョン氏: 「RO2」は、2007年オープンβテストのあと、これといった結果に繋がりませんでした。しかし、Gravityとしては「RO」はとても重要なIPであるため、開発を続けざるを得ない状況でした。実は2007年からリニューアル計画がありましたが、開発途中で作り直しの連続でした。例えば「RO2」のゲームエンジンは元々「Unreal Engine 2.0」でしたが、2008年以降は「RF Online」で使用されたZerodin Engineに変えて開発を進めて来ましたが、内部的な理由でそれが水に流され、2009年3月からはさらにGamebyroというエンジンで開発するようになりました。

――: では、今のコンセプトは、2009年3月から始まったバージョンがベースになっているのでしょうか?

ジョン氏: はい。2009年3月から今のコンセプトのリニューアル企画が始まりました。私が入社した2009年10月までは「RO」のテイストを活かすという案は決まったものの、具体的な企画はまだ進められてない状況でした。事実的には2009年10月から本格的なリニューアル開発が始まったと考えています。

――: 「RO2:LotS」の開発において、大事にされたものはなんでしょうか?

ジョン氏: 以前の「RO2」失敗の1番の要因はサーバーのラグとゲームの不具合にあったと思います。それを1番の改善ポイントとして考え、開発を進めました。また、2007年当時「RO2」自体を好むユーザーたちもいましたが、「RO」のユーザーからは「RO」らしくない別物だという声が多くありました。そういう経由で「RO」らしく作り直す事になりました。ただ、「RO」は数年前のゲームなので、システムやコンテンツをそのまま作ってしまうと最近のユーザーたちには不便だと思うので、最近のゲームのトレンドを追及しながら、「RO」の雰囲気を出すことにしました。以前の「RO2」は無視し、完全に新しいゲームだと思ってください。




■ 「RO2:LotS」は「RO」の世界観とテイストを重視した作品

――: 「RO2:LotS」の世界観は?

ジョン氏: 以前の「RO2」は「RO」と別の世界、シナリオ展開になってましたが、今回は「RO」の続編としてのシナリオを追及してます。「RO」のシナリオが一段落した後の新たな物語として「RO2」が始まりますが、過去の「RO」のシナリオの内容が登場するなど、交差するところもあります。時代的には何年後とかは仮定してませんが、「RO」の世界から遠い未来の世界を想定してます。

――: どのようなシナリオになりますか?

ジョン氏: 原作ではケイアスと女神プレイヤの戦いを描いてます。「RO」ではケイアスが勝利し、女神プレイヤは封印されますが、ケイアスも大きいダメージを受けて消えてしまい、現世ではケイアスもプレイヤもいない世界になってます。そして、女神プレイヤを封印から目覚めさせようとする動きが始まるということが「RO2」のシナリオになります。これに関する本格的なシナリオクエストがレベル30に登場します。

――: 「RO2:LotS」のグラフィックスはどう変化しますか?

ジョン氏: まず、一般的な3DMMORPGだと考えてください。以前の「RO2」は3〜4頭身のキャラクターでしたが、リニューアルでは7〜8頭身のキャラクターになります。

――: 「RO」のテイストを活かすという意味では3〜4頭身のキャラクターの方が合っているのでは?

ジョン氏: 2Dのキャラクターを3Dへ表現するとき、微妙なところがありました。「RO」のキャラクターが好きなユーザーたちは、その2Dのキャラクターが好きですが、それをそのまま3D化してしまうと、どうしてもキャラクターの雰囲気が全然違うものになります。2Dのイメージで可愛いと思ったものが、3Dのリアルなグラフィックスになってしまうと、想像していたイメージとは違い「RO」ではないと判断してしまいます。そこで3D化しても「RO」のテイストが感じられるようにしようと7〜8頭身になりました。ちなみに、「RO2:LotS」もイラスト、ストーリーなど、イ・ミョンジン氏の監修を受けてます。

――: 背景やマップなどはどうですか?

ジョン氏: 以前の「RO2」とは全然違うゲームだと思うでしょう。マップの場合、イズルード、フェイヨンといった街は「RO」そのままですが、ダンジョンは異なるものが多いです。

【NPC】
「RO2:LotS」のNPCのイラスト。メイド姿の女性はカプラ「シェルフィー」。以前の「RO2」から引き続き登場するNPCキャラクターのひとりだ




■ ノービスは削除。「カラシステム」や「デュアルライフシステム」といった工夫で職業にオリジナリティを

――: 「RO2:LotS」の職業群について教えてください。

ジョン氏: 最初はソードマン、ローグ、アコライト、マジシャン、アーチャの5つの職業から始まります。そしてレベル15かレベル20で1次転職があり、2つの職業を選択するようになります。2次転職に関しても考えてみましたが、そうしてしまうと20種類の職業を用意しなければならないので、変わりにカラ(Chara)システムというキャラクターの性向によってスキルの能力が変わるシステムを取り入れることにしました。

――: その5つの職業から始まるというと「RO2:LotS」ではノービスは無いということでしょうか?

ジョン氏: ありません。最初から5つのうち、1つを選択してスタートします。開発段階でノービスを入れるか入れないかで話し合いが多くありました。結果的に入れないことにした理由については、今のオンラインゲームでは、種族と職業を選んでからスタートするので、様々な姿と異なるプレイスタイルを最初から楽しめるようになってますが、ノービスがいることで、序盤のプレイやクローズドβテストでのプレーヤーたちの姿が皆一緒になってしまうからです。「RO」ではノービス職業に人気がありすぎて、スーパーノービスまで登場するなどのことはありましたが、「RO2」までそれをやってしまうのは今のトレンドに合わないと判断しました。代わりに後のシナリオクエストでノービスが登場はします。また、以前の「RO2」では幾つかのプレーヤー種族がありましたが、リニューアルでは「RO」と同じくプレーヤー種族は人間族1つです。

――: 「カラシステム」について教えてください。

ジョン氏: 「カラ」とはキャラクターの性格というギリシャ語からの用いた単語です。プレーヤーはクエストや戦闘など、プレイしていくうちに「混沌」と「秩序」というカラポイントを獲得します。キャラクターが混沌ポイントを溜めているか秩序ポイントを溜めているかによって、1つのスキルといっても全然異なるスキル能力を持つようになります。職業名もソードマンの1次転職ウォーリアなら、混沌ポイントをためるとダークウォーリア、秩序ポイントを溜めるとライトウォーリアになります。2次転職はないが、カラシステムを通じて全然異なるキャラクターをプレイすることができます。なお、スキルポイントやカラポイントなど複雑なポイントが多いので、「RO2:LotS」ではステータスは「RO」と違って自動的にアップするようになります。

――: 1度、混沌か秩序に変わったキャラクターが、その性質を反対にすることはできますか?

ジョン氏: 可能です。まず、途中ではクエストなどを通じて、混沌と秩序の両方をプレイしてみることができます。そして、レベル50やどちらかのポイントを完全に溜めるとその性質にカラ化します。1回、性質が決まったものを変更するには、その反対側のカラポイントを最初から溜めていくことでできます。短時間でできるものではありませんが、ポイントが一定値に達するとその性質へ変化します。

――: 「デュアルライフシステム」と呼ばれる新システムはどのようなものですか?

ジョン氏: 「RO」ではマーチャント、ブラックスミスという職業がありますが、アイテム購入のためにマーチャントのサブキャラクターを作るユーザーも多くいました。また、マーチャントやブラックスミスは戦闘に向いた職業ではないというイメージもありました。そういう面倒くさい面をなくして、アレンジしたのが「デュアルライフシステム」です。

 「RO2:LotS」では、先ほど紹介した“戦闘職業”と、装備やポーションといったアイテムを作ることができる“生活職業”の2つの職業を選択することになります。ソードマン&ブラックスミス、ソードマン&アルケミスト、ソードマン&シェフのようにですね。1つのキャラクターは選択した戦闘職業と生活職業に分かれたスキルツリーを覚えることができます。

――: 具体的にはどのようなプレイになるのでしょうか?

ジョン氏: 状況によってキャラクターの姿が変わります。キャラクターが戦闘のときは戦闘職業の姿となり、アイテムを作るときには生活職業の姿となります。薬草や鉱物といった採集のときは、どちらの姿でもできます。また、生活職業には戦闘スキルも一部あり、戦闘中に使用することができます。ソードマン&ブラックスミスなら、ブラックスミスの「高声放歌」というスキルを使用するとソードマンの攻撃力がアップします。あと、究極スキルとして戦闘中に生活職業へ一時的に変身することができます。そうすると、それ専用のスキルが使えるようになり、通常より強い特殊能力を持っています。スキルには「RO」マーチャントのメマーナイトもあります。


【戦闘職業】
戦闘職業のイメージイラスト。左上から順にソードマン、ローグ、アコライト、マジシャン、アーチャー

【生活職業】
生活職業のイラスト。左上から順にブラックスミス(男)、ブラックスミス(女)、テイラー(男)、テイラー(女)、ドクター(男)、ドクター(女)、シェフ(男)、シェフ(女)



■ アレンジした「カードシステム」とその他の新システムを明らかに

――: 「RO」の「カード」システムも今回の「RO2:LotS」に実装されるということですが、システムは同じですか?

ジョン氏: 「RO」は装備にソケットがあり、その装備にカードを埋め込むものでした。しかし、このシステムだと、装備を変えることも難しいし、高レベルになっても低レベルのソケットの多い装備を使用する傾向になります。これでは、装備アイテムの幅も意味が無いし、コンテンツ的にも限界があると判断しました。それで、「RO2:LotS」では装備自体ではなく、キャラクターに埋め込むシステムにしてます。キャラクターにはパーツ別にカードを埋め込むことができるソケットがあります。こうすることで、武器や防具を変えても同じカードの効果を得られるようになりました。

――: 「織り」システムについて教えてください。

ジョン氏: ユーザーが自由自在に、装備をデザインすることができるシステムです。ただ、ドットを描くようなものではなく、幾つかのプリセットから選択するものですね。あまり自由すぎると、他のプレーヤーに嫌悪感を与えるようなデザインを作ることもできるからです。ただ、要望があれば、ユーザーが作ったものをプリセットを登録してくれるサービスも考えています。さすがに金属の装備は現実的に微妙だなと思って、できないようにしてます。

――: 「キューペット」システムはありますか?

ジョン氏: はい。「RO」と同じで、モンスターをテイミングするものです。キューペットを持つとキャラクターを強化してくれたり、親密度によって可愛い行動をしてくれたりします。また、ペットが直接戦闘できるシステムは現時点では用意していません。

――: その他に新たなシステムはありますか?

ジョン氏: プレーヤーがログアウトしても、そのキャラクターがNPCの役割をすることもできます。例えば、修理ができるブラックスミスがNPCの役割をする機能をオンにすると、プレーヤーがログアウトしても、キャラクターはそのままその場に残り、NPCのように他のプレーヤーの修理の依頼を受けることができます。アルケミストの場合は、ポーションを作るとき必要な材料を貰って作ってくれたりします。もちろん報酬も貰えるので、こうすることでログアウトしても利益を得ることができます。「RO」の露店システムの進化形だと思ってください。「RO」のカプラシステムも実装されます。

【モンスター】
「RO2:LotS」には「RO」で登場したモンスターたちも3D化にして登場する




■ 菅野よう子さんのBGMは? 気になるサービススケジュールについて聞いてみた

――: 菅野よう子さんのBGMはどうなりますか?

ジョン氏: 以前菅野さんが作曲してくださったBGMが沢山あります。そのBGMは以前の「RO2」の開発段階から、ゲームのコンセプトに合わせて、菅野さんが作曲したものです。「RO2:LotS」はゲームのコンセプト全てが変わったので、ゲームと合わないBGMも多くあります。菅野さんのファンたちも多くいらっしゃるので、できれば、菅野さんのBGMを使うようにしてますが、どうしても合わないと思うところはこちらで新しく作曲しました。また、これはオマケですが、キューペットのなかでは召喚すると菅野さんのBGMが流れるものもいます。

――: 8月31日から韓国でスタートする第1次クローズドβテストの内容について教えてください。

ジョン氏: 最初にスタートするアルミンというところから、プロンテラ、フィールド3つ、地下水路ダンジョン2つが実装されます。アルミンはプロンテラから北のミョルニル山脈にある街です。

――: 第1次CBT以降のサービススケジュール、また日本のサービスはどうなりますか?

ジョン氏: 正式サービスの日程はまだ未定ですし、海外サービスについても全くの未定です。韓国のβテストを通じて、ゲームの完成度を上げていくつもりです。「RO2」は1回失敗したプロジェクトであるため、十分なテストを通じてゲーム性を検証していく必要があると判断しました。全てはテスト次第だと思います。

――: 最後に日本のユーザーへ一言お願いします。

ジョン氏: 「RO2」は、「RO」に比べて劣らないゲーム性を皆さんにお見せする覚悟です。待っている間にユーザーさんの中には「いまさらか」とか、「オープンβが長い」といった意見が多いと思いますが、面白い良いゲームを作るためにはそれぐらいの時間は必要だと思います。期待できるゲームを皆さんにお見せしたいと思います。よろしくお願いします。

――: ありがとうございました。


(C) Gravity Co., Ltd. & Lee MyoungJin(studio DTDS). All rights reserved.

(2010年 8月 3日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]