使って試してみました! ゲームグッズ研究所

連載第368回

PS Vitaをでっかく楽しむ!「DEKAVITA7」を試す
据え置き機のディスプレイにしたり、PS4リモートプレイのお供にも

 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。

 “7”インチの“でか”い画面で“VITA”のゲームを遊びたい……その名も「DEKAVITA7」! というわけで、そのネーミング込みでインパクトがあり話題になった製品が、いよいよ9月17日に発売となる。そこで今回は製品をいち早くお借りし、実際の使用感などを試してみた。

 なお、「DEKAVITA7」はゲームテックのWeb通販サイト「ゲームテックダイレクト」の専売製品となる。すでに本稿執筆時点で初回生産分は完売となってしまったようだが、本稿をお読み頂いて興味を持った方はぜひ販売方法をサイトにてチェック頂きたい。

【今週のおしながき】


7インチ液晶パネル、コントローラー、スピーカー、バッテリーが一体化している「DEKAVITA7」

メーカー:ゲームテック
価格:24,840円

 「DEKAVITA7」は、据え置きタイプのPlayStation Vitaこと「PlayStation Vita TV」を組み合わせることで、携帯機のPS Vitaよりも大きな画面でゲームを楽しめる、言うなればコントローラーと一体型のディスプレイだ。

 筐体は丸みを帯びていてデザインとしてはPS Vitaをそのまま大型化したようなイメージ。前面は平らになっていて、表面加工は光沢のあるピアノブラック。背面側にはシボ加工が施されている。

 前面には中央に7インチの大きなディスプレイがあり、その周りに、左右アナログスティック、方向キー、○/△/□/×ボタン、スタート/セレクトボタン、PSボタン、電源ボタン、ステレオスピーカーを配置。こちらもPS Vitaをほぼそのままに大型化したようなレイアウトだ。側面には音量スライダー、ヘッドホン端子、モニター調節ボタンとメニューボタンを備えており、背面にはL1/R1ボタンだけでなくL2/R2ボタンもある。

 左右のアナログスティックはPS Vitaのような小型のものではなく、据え置きゲーム機用のコントローラーにあるような軸の長い大きなものが備えられており、L3/R3ボタンとして機能するスティック押し込みも搭載されている。

 背面の中央にはPS Vita TVを格納するスペースがあり、そこにはUSBプラグ、HDMIプラグ、DCプラグがある。PS Vita TVを差し込んで、USBでコントローラーとしての通信を、HDMIでDEKAVITA7への画面と音の出力を、DCプラグで電源供給を行なうというわけだ。

 なお、電源はPS Vita TV付属のACアダプターを使用する。DEKAVITA7には付属していないので、PS Vita TVを持っていない方は別途購入する必要がある。

ボタン等の各部レイアウト。L1/R1/L2/R2ボタンを背面の一段下げたところに配置して指を置きやすくするなど工夫がなされている

【「DEKAVITA7」仕様】

 仕様
本体サイズ約259×140×32(横×高さ×奥行き)mm
本体重量約550g(PSVita含まず)
モニタサイズ7インチ
モニタ解像度1,024×600
液晶パネルの種類IPS液晶パネル
サウンドステレオスピーカー内蔵
バッテリー容量5,000mAh
映像/音声入力HDMI端子
コントローラー出力USB端子(信号出力)
イヤホンジャック3.5mmステレオイヤホン対応
連続プレイ時間約3時間
充電時間約2時間

 上記が仕様一覧となるが、特徴をピックアップすると、7インチのIPS液晶パネル、HDMI端子での入力、ステレオスピーカー、5,000mAhのリチウム充電バッテリーが、コントローラーを組み込んだ筐体にひとつにまとまっているという製品だ。

 液晶パネルは視野角の広いIPS液晶を採用。ただしタッチパネルではないのでタッチ操作はできない。また、リチウム充電池のバッテリーを内蔵しているので、ACアダプター無しでもPS Vita TVに電力供給しつつ本体を使用できる。

 「HDMI端子でゲーム機と繋ぐ」製品なので、「PS Vita TV」以外のゲーム機等と組み合わせる“外部モニタ”としても利用可能なところがポイント。ゲームテックでは「外部入力セット」として、HDMIのオスメスを変換するL字コネクタとUSBの延長ケーブルのセットを販売予定とのことだ。

「DEKAVITA7」は、7インチ液晶パネル、DUALSHOCK3準拠のコントローラー、スピーカー、バッテリーが一体化した製品。「PS Vita TV」以外のゲーム機等と組み合わせる“外部モニタ”としても使える

 実際にPS Vita TVや、その他の据え置きゲーム機等と組み合わせ、使って試してみた。まずは「DEKAVITA7」本体の外観や、手に持ったときの感触・ホールド感からお伝えするが、なによりもまずその「大きさ」に驚かされる。

 筐体のサイズとしてはWii U GamePadとほぼ同サイズ。だが、液晶はWii U GamePadの6.2インチパネルよりも大きい7インチを搭載しているし、筐体の厚み(奥行き)もWii U GamePadよりあるので、並べてみても「DEKAVITA7」の方が大きさを感じさせるところがある。

 重量は「DEKAVITA7」単体は約550g。PS Vita TVを背面にセットすると約647gとなる。比較として、PS Vita 2000は約220g、Wii U GamePadは約500gなので、Wii U GamePadに慣れている人でも、大きさと重さを感じるところ。持ち上げて長時間のゲームプレイをするのはちょっと厳しく、膝上に置きつつプレイしたり、寝転んでプレイしたりといったスタイルが主になるだろう。

 手で持ってみると、背面の両端にグリップの役割をする膨らみがつけてあり、ホールド感は良好。特にL1/L2/R1/R2ボタンを背面に段差を作って中央ぐらいの高さにレイアウトしている工夫が良く、筐体の下側にある左右のアナログスティックに親指を添え、L/Rボタンにも指を置ける位置で、しっかりとホールドできる。ただ、全体的に大きいので手が小さい人だとちょっと持ちづらくなってしまうかもしれない。もう少し厚みが抑えられていたら、より良かったかもしれない。

 PS Vita TVの装着は、背面の固定パーツをスライドさせて取り外し、USB、HDMI、DC(電源)の3つのプラグと位置を合わせてPS Vita TVを差込み、最後に固定パーツを戻してコネクタを傷めないように固定するというもの。プラグの位置を合わせる(微妙な角度合わせが必要になる)のに少し手間取りはしたが、手順そのものは簡単だ。

PS Vita TVを背面にセット。「DEKAVITA7」の電源にはPS Vita TV用のACアダプターを使用する
手に持ってみると、L/Rボタンに指をかけつつ、筐体をぐっと握れるようになっていて、ホールド感は良好だった

 いよいよ電源をオン! 「DEKAVITA7」の電源ボタンを押すとLEDが点灯し起動画面が表示され、そこから10秒ほどでHDMIから入力されている映像が映し出される。PS Vita TVの電源も連動して一緒に入ってくれるので手間入らず。ただし、プレイを終了するときはPS Vita TVをスタンバイ/電源オフにしてから、「DEKAVITA7」の電源ボタンを切るという手順にはなる。

 起動後は、PSボタンを押すとUSB接続されているコントローラー部分がPS Vita TVに認識され、操作が可能になる。有線接続状態なので登録手順などは必要ない。

 これで使用準備は完了。Vitaの画面が映し出されると、やはりその“画面の大きさ”に改めて驚かされる。Wii Uを所有している方は、GamePadでプレイするあの感覚のVita版を想像してもらえるといいのだが、これまで携帯機のPS VitaかTVに繋いだPS Vita TVの2択だったVitaの画面が7インチ液晶パネルに映し出されているのは、なかなかに不思議な感覚がある。

 そんな液晶パネルの画質だが、少し青味がかっていて色温度が高めなのが気になるところ。また、表示色数が少ないのか、コントラスト比が低いのか、色が潰れたように階調飛びも気になった。また全体に粒状感も感じられる。

 IPSパネルだけに視野角は確かに広くて正面以外でも見やすいのだが、液晶パネルはこの製品の1番のポイントなだけに、もう一歩のクオリティを求めたかったというのが正直なところ。一応、PCモニターのようにコントラストや明るさ、色の濃さなどの調整も可能なのだが、あまり劇的な改善はできなかった。

PS Vita 2000と比較。画面の大きさはかなりのインパクトがあり、「DEKAVITA7」の後にPS VITA 2000でプレイすると、妙に小さく感じてしまうほどだ
「ペルソナ4 ダンシング・オールナイト」の起動画面で比較。少々青味が強く、色温度が高めのパネルとなっている。コントラスト比も低めに感じられた
PCモニターのようにパネルの設定メニューもあるのだが、あまり劇的な改善はできなかった

 コントローラーの操作感は良好で、各ボタンには適度なクリック感があり、ガタつきもなく手触りがいい。方向キーは丸型だが、上下左右にきっちり入るし、斜めに入ったりする誤入力も見られなかった。

 アナログスティックは少し抵抗が軽いとは思うものの、作りはしっかりとしていてクセもない。据え置きゲーム機用のコントローラー的な感覚で操作できる。USBで有線接続されている状態なので、レスポンスにも特に気になるところはなかった。DUALSHOCK3をPS Vita TVに繋げたときと同様の操作になるので、L2/R2ボタンもしっかりと動作する。

 実際にVitaタイトルをプレイしてみると、液晶パネルの画質には少々物足りないものはあったものの、やはり画面サイズが大きいという魅力は強い。同じタイトルを「DEKAVITA7」とPS Vita 2000とで交互にプレイしてみたりもしたのだが、そうするとPS Vita 2000が異様に小さく感じられて、物足りなく思えてきてしまう。画面サイズの違いというのはストレートな破壊力があって、特に手元にあるデバイスの画面サイズというのは、インパクト抜群だ。

 音については、PS Vitaよりも筐体が大きいのもあってか、ステレオスピーカーの音質、音量ともに満足のいくものだ。物理的に左右の位置が離れているのもあって、音の分離、ステレオ感もPS Vitaより感じられる。

PS4リモートプレイではL2/R2ボタンも備えているので、より快適に楽しめる

 PS4も所有しているなら、「DEKAVITA7」とPS Vita TVの組み合わせからリモートプレイでPS4のゲームプレイもできる。

 7インチの大きな画面に加え、L2/R2ボタンを備えたコントローラーでプレイできるのがポイント。アナログスティックにおいても、PS Vitaに搭載されているものよりも据え置き機的な手触りで扱える。

 ただし、PS4の操作そのままとは言えないところもあり、まずタッチパッド操作は行なえない。また、スタートボタンがタッチパッド押し込み、セレクトボタンがシェアボタンに割り当てられるものの、タッチパッド押し込みの右半分/左半分には対応しておらず、スタートボタンは右半分押し込みのみとなっている。基本的にはPS3用コントローラのDUALSHOCK3を使っているときと同様だ。

PS Vita TV経由にPS4リモートプレイで「ドラゴンズドグマオンライン」をプレイ。L2/R2ボタンを備えていること、アナログスティックも据え置き機用コントローラーの感触に近いところがありがたい。画面の迫力、音の迫力も魅力だ

PS Vita TVがなくとも、PS4、PS3などHDMI接続のゲーム機や機器のディスプレイとしても利用できる

 PS Vita TVがなくても、HDMIで映像と音を出力しているゲーム機なら「DEKAVITA7」をディスプレイとして使えるのもポイントだ。

 ただし、「DEKAVITA7」背面のプラグはPS Vita TVに合わせた凸型のプラグなので、HDMIケーブルで他の機器と繋ぐには凹凸変換のコネクタが必要になる。前述のように別途販売予定という「外部入力セット」がそれにあたる。

 今回は「外部入力セット」もお借りしたので、セット付属のL字型HDMI変換コネクタと、USB延長ケーブル(オスメスを変換しつつ延長する)を使用し、様々な機種との組み合わせを試してみた。

 PS3の場合は、USB延長ケーブルを使いつつUSBケーブルでPS3本体と「DEKAVITA7」を繋げば、「DEKAVITA7」のコントローラーで操作が可能になる。「DEKAVITA7」のコントローラーがDUALSHOCK3準拠のコントローラーとして認識されるわけだ。

こちらは「外部入力セット」を装着したところ。L字型HDMI変換コネクタと、USB延長ケーブルのセットで、これでPS Vita TV以外の機器とも接続できる。できれば別売ではなく同梱して欲しかったのが正直なところだ
PS3と接続。USBケーブルを挿せば、DUALSHOCK3準拠のコントローラーとして「DEKAVITA7」のコントローラーが認識され、操作もできるようになる
こちらはPS4と繋いだところ。PS Vita TVがなくとも直接接続してしまえばディスプレイ兼スピーカーとして利用できる。ただ、コントローラーは認識されないので、DUALSHOCK4を使うことになる
Wii Uと繋いで「スプラトゥーン」を表示。まるでWii U GamePadが2個あるかのような状態になっているが、こうしたテレビレスな楽しみ方にも利用できる

PS VITA TVだけでなく、様々な機器の外部ディスプレイとしても活用できるところがポイント

 「DEKAVITA7」を試してみたが、DUALSHOCK3準拠のコントローラー+7インチディスプレイが一体化したバッテリー内蔵デバイスであり、PS Vita TVをより迫力ある画面と快適な操作で扱える、面白い製品だ。

 ホールド感を考慮した筐体の形状、L2/R2ボタンの配置をはじめとした操作系、スピーカーの音質、音量など、各部にこだわりが感じられる。ただ、液晶パネルの品質は及第点と言えば及第点ではあるものの、もう一歩欲ばって欲しかったと感じるものがあった。

 とはいえ、7インチの迫力は充分に魅力的で、PS4のリモートプレイをより快適にプレイできるほか、他のゲーム機などにもHDMIディスプレイとして使えるのは嬉しいところ。そこそこに高価な変わり種グッズではあるが、PS Vita TVをより活用したい人、様々なプラットフォームでゲームを楽しむヘビープレーヤーの人ほど、色々な活用法が見いだせるグッズだ。

[お詫びと訂正]
記事掲載当時、液晶パネルの画質について「色温度が低いのが」としておりましたが、「色温度が高めなのが」の誤りでした。ここにお詫びして訂正いたします。

(ゲーム環境向上委員会)