使って試してみました! ゲームグッズ研究所
連載第362回
キングストンの高品質ヘッドセット第2世代「HyperX Cloud II」を試す!
バーチャル7.1chサラウンドDSP内蔵でさらにオールラウンドへ
(2015/3/25 00:00)
当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。
昨年も試したが、オールラウンドに使える高品質なヘッドセットとして高く評価したキングストンの「HyperX Cloud ヘッドセット」に、よりパワーアップした第2世代となる「II」が登場した。
ゲームファンなら、良い音とクリアなボイスチャットが使えるオールラウンドなヘッドセットは、ひとつ持っておいて損のないもの。今回はあらためて「II」を使って試してみたので、フィット感や各部の詳細、さらに「II」で進化したポイントをお伝えしていこう。
【今週のおしながき】
オールラウンドに使える高品質ヘッドセットが第2世代に!独立したオーディオデバイスになって、誰でも魅力を即味わえる製品へ
高品質な製品をゲーマーに届けるキングストンのゲーミングブランド「HyperX」。その中でもこの「HyperX Cloud II ヘッドセット」は、スウェーデンのゲーマー向け周辺機器メーカーであるQPADと共同開発されたヘッドセットの第2世代となる。
ヘッドセット本体の基本的な仕様は前モデルを踏襲している。仕様面でわかりやすい変化というと、重量が軽くなったところだろうか。前モデルの350g(ケーブル・マイク含む)よりも、30g軽い320gとなっている。
前モデルと共通するところではあるが、本体の作りや特徴を見ると、本体フレームにはアルミが使われていてガッシリとした剛性感がある。頭頂部にはウレタンパッドが入っていて適度な反発のあるクッションになっており、耳当て部にも低反発のイヤークッションを採用。イヤーパッドはレザータイプとベルベット素材の2種類が付属しているのも前モデル同様だ。
マイクも前モデル同様に、自由に曲げられるグースネックマイク。着脱式になっていて、マイクを使わない時はカバーをして音楽専用のすっきりした外観で使える。
「II」はここが変わった!DSPが内蔵されバーチャル7.1chサラウンド搭載!ケーブル周りもよりすっきり
引き続いて、前モデルから変わったところ、進化したところを見てみよう。
1番のポイントは、「コントロールボックス(いわゆるリモコン)部分にDSP(デジタルシグナルプロセッサ、音声処理用の半導体)が搭載されたこと」。このヘッドセット単体がバーチャル7.1chサラウンドを備えるUSBオーディオデバイスとして使えるようになった。
Windows PCやMACとはUSB接続でUSBオーディオコントロールボックスを繋ぎ、ヘッドセットはステレオミニジャックで接続する。Windows PCやMACとはUSBで繋いでおき、ゲーム機やスマホ・タブレットに使いたい時はコントロールボックスからすいっと外して付け替える、といったスマートな使い方ができる。
前モデルではあくまでヘッドセット単体の製品だったので、根本の音質は接続するサウンドデバイス次第であり、例えばノートPCの方で外付けのオーディオプロセッサーなどは使っていない、つまりオーディオ関連機器が何もないという人だと、本来の高音質を味わえなかったかもしれない。だが、この「II」ならヘッドセットの音質に適したサウンドデバイスつき。ゲーミング製品としても、これ単体を持ち運べばどこでもいつもと同じ音質、音の環境でプレイできるという、大事なメリットがある。
今回はOSにWindows 7 64bit版を使っているWindows PCで試したが、接続後すんなりと認識され、使用可能な状態になってくれる。対応ビットレートは16ビット、48kHzまでと控えめではあるが、幅広く使うことを考慮した、無理のない仕様と思える。
コントロールボックスには中央にバーチャル7.1chサラウンドとステレオの切り替えボタンがあり、FPSなど音の情報をが重要な時には定位感がくっきり出るステレオに、映像コンテンツを楽しむ時にはサラウンドに、といったような使い分けがワンボタンでできる。煩わしい手間なしだ。
その他、コントロールボックスには、ヘッドフォン音量とマイク音量のアップ/ダウン、マイクミュート機能が搭載されている。
もうひとつの変更点は、接続端子がステレオミニジャックの1本になったところ。前モデルでは接続端子がヘッドフォンとマイクの二股になっていて、付属のアダプターで1本にしていたのだが、「II」ではそれが逆になった。最初からジャックが1本化されていて、付属品には航空機用ジャックが同梱されている。
プレイステーション 4やXbox Oneなど、今世代のゲーム機、さらにはスマートフォンやタブレットなど、いずれもヘッドセット接続はステレオミニジャックひとつがスタンダードと言っていい。それに併せ、よりスマートに使えるようになっている。
ただし、ここにはデメリットもあって、この「II」ではコントロールボックス、いわゆるリモコン部分がUSB接続のものになり、ヘッドセット本体側には操作機能がない。そのため、ゲーム機やスマホ・タブレットなどにステレオミニジャックで繋いで使用する時は、ボリューム調整やミュートなどがヘッドセット側では行なうことができなくなってしまった。ここはいろいろな機器にも使えるという方向性で、何かしらフォローが欲しかったところだ。
なお、PS4については、USBオーディオコントロールボックスを繋いでヘッドセットを使う事もできる。ただし、コントロールボックスのサウンド/マイクのボリュームコントロールや、バーチャル7.1chサラウンドは機能しない。使えるのはマイクミュート機能のみとなる。
ゲームプレイの没頭感を深める高いパフォーマンス。バーチャル7.1chサラウンドで臨場感が高まり、マイクも音質が改善され、さらに魅力的な製品に
実際にPS4やWindows PCでのゲームプレイ、さらには音楽や映像コンテンツ視聴など、さまざまな機器や用途に使って試してみた。
基本的には使用感や装着感は前モデルゆずりな感想にはなるのだが、あらためて第2世代を使用してみると、このヘッドセットの一番の魅力は「装着感の良さ」と思えるところがある。
頭に着けると、その密封感の高さが印象的だ。着けた瞬間から周囲の音がスッと消え、防音室に入ったかのような感覚がある。遮音性が高く、細かな音まで聞き取れる環境にしてくれる。
それだけ密着感の良いヘッドセットなのだが、着け心地の軽さも魅力。側圧も頭頂部の押さえも、頭を“挟んでいる”という感覚や、“押さえている”という感覚もなく、ただ頭の周りにある、というぐらいに圧迫感が薄い。
今回はWindows PCゲームでは「バトルフィールド ハードライン」が発売直後ということもあり、長時間に渡ってこのヘッドセットを使ってプレイしたのだが、それがなんとも痛みや疲れ知らず。ゲーミング製品ということもあって長時間のプレイも快適にできるところが求められるが、それをしっかりと実現しているヘッドセットだ。
音質はというと「バランスの良さ」が印象的だ。低・中・高域のいずれもクリアでバランス良く鳴り、密封感の良さも手伝って細かな音までしっかりと耳に入ってくる。そうしたところから音に立体感のあるメリハリがつき、芯のしっかりとした定位感の良さも生んでいる。
音質の特徴としてはゲームプレイの迫力を高めるよう「低音域を高めている」ということで、低音の迫力は充分。だが目立ちすぎている印象はなく、他の音域となじむ、バランスの取れた強調加減だ。
ゲームプレイでは、前述のように「バトルフィールド ハードライン」で特に長時間試したわけだが、このヘッドセットの効果は大きい。密封感から来る静寂が集中力を高め、くっきりとした分離の良い音は、敵の足音など、音の情報をしっかりと伝えてくれる。迫力のある低音は、プレイ全体の没頭感を高めてくれる。
その没頭からくる集中力アップ、音の情報量アップは、まさに“スコアに効果のある”というもの。コアなゲーマーなら音の重要性は今さらな話ではあるのだが、これまであまり意識していなかったという人には、ぜひ試してみてもらいたいところだ。
音質については、今回はさらに「バーチャル7.1chサラウンド機能」が加わっている。こちらも試してみたところ、音源の中の外側(左右の端)の音を拡張して前後に広げているような印象だ。広いホール的な響く音になり、特に後ろ方向への広がりが感じられるようになる。
この機能は、ゲームプレイにおいてはジャンルによって、好みによって使い分けるところで、例えばFPSタイトルなどなら音の位置をよりくっきり聞き取るためにステレオの方がいいだろうし、その他のジャンルなら好みの問題になるだろう。
音楽を聴く時には、バーチャル7.1chサラウンドにすると聞こえ方がだいぶ変わるので好みが別れるところ。
1番良かったのは映像コンテンツだ。より自然な空気感が広がるような印象があり、バーチャル7.1chサラウンド機能を使った方がより楽しめる。例えば音楽のライブ映像なら、ステージの演奏や歌は前と横、観客の歓声などは頭の後方や斜め後ろから聞こえてくるようになり、かなり臨場感が高まっていた。
もちろんWindows PCやMACに使うだけでなく、家庭用ゲーム機やスマホ・タブレットなど、ステレオミニジャックを使うあらゆる機器にも利用できる。音質のバランスが良く、ほど良く低音を高めているこのヘッドセットの音質は、前モデル同様に様々な用途にクセなく対応してくれる。
マイクの音質が前モデルよりも向上され、よりくっきりクリアに
家庭用ゲーム機やスマホ・タブレットではボイスチャットや通話など、マイク機能もしっかりとしたものが欲しいところ。このヘッドセットのマイクは音量が充分に出ていて、しっかりと声を伝えてくれる。
マイクの音質や音量については直接聞いて頂くのが1番ということで、前モデルにも行なった、PS4にヘッドセットを繋ぎ、ゲーム画面中にマイク音声を含めたビデオクリップを作成。その音声を切り出した動画を用意した。下のファイルでは、最初に「HyperX Cloud II ヘッドセット」で喋り、次にPS4本体付属のモノラルヘッドセットで喋っている。
お聞き頂くとわかるように、「HyperX Cloud II ヘッドセット」のマイク音声はくっきりとクリア。それと比較してしまうと、本体付属のモノラルヘッドセットはこもっている。
ちなみに前モデル「HyperX Cloud ヘッドセット」のマイク音声とも比較してみたのだが、どうも「II」の方がマイクの音質が良くなり、ガサつきや音割れがなくなっているようだ。仕様表やメーカー紹介文にはそうした記述は見当たらないのだが、改善されたようだ。
品質・音質の良さ、さらにいくらでも着けていられる“扱いやすさ”が魅力のオールラウンダーなヘッドセット
キングストンのゲーミングヘッドセット第2世代となる「HyperX Cloud II ヘッドセット」だが、その質感、作りの良さ、音の良さは価格以上のものだ。前モデルと第2世代の今モデルを試して感じたのは、装着感の良さと、あらゆる面でのバランスの良さだ。言うなれば“扱いやすい”。疲れや痛みもなく、音にも嫌なクセがなく、安心してパートナーにできる。そういうヘッドセットとなっている。
この「II」ではDSPが内蔵され、オーディオデバイスとして丸ごとパッケージされた製品になった。それにより、サウンド面に追加投資なしでこのヘッドセットの高音質を楽しめる。ノートPC・MACがメインという人が1ランク音周りを高めたいという場合にも手軽な製品だ。
高音質、高品質、さらにフィット感の良さからくる使いやすさは、いずれも価格以上のパフォーマンス。これまで音にあまりこだわっていなかった、という人に、特に注目してもらいたいヘッドセットだ。