■ 2011年4月第5週分 ■


 この連載は、ニンテンドーDSi、PSP、PS3、Xbox 360、Wiiと家庭用ハードではもはや当たり前となった感もある「ダウンロード販売」によるソフトウェアやコンテンツ(以下、DLC)の最新情報を1週間単位でレポート。また、様々なタイトルのレビューも掲載していく予定だ。ダウンロード開始間近なタイトルやリリースが決定したタイトル、そして過去のタイトルまでフォローするので、DLタイトルをチェックするのに役立てれば幸いだ。


■ 4月1日(金)~5月31日(火)ダウンロード販売開始予定一覧 ■



プラット
フォーム
タイトルメーカージャンル価格その他
4月5日

VC
ロックマンXカプコンアクション800
Wiiポイント
移植[SFC]
4月6日

GA
ファイナルファンタジーVスクウェア・エニックスRPG1,200
移植[PS]

XBLA
Red Faction: BattlegroundsTHQジャパンアクション800
MSP
オリジナル

XBLA
The Dishwasher: Vampire SmileXBLAアクション800
MSP
オリジナル
4月12日

PSP
続・進め!守れ!戦え!リズストラテジックシューティング500
オリジナル

VC
キング・オブ・ザ・モンスターズ2D4エンタープライズアクション900
Wiiポイント
移植[NG]

VC
ぷよぷよセガパズル800
Wiiポイント
移植[AC]
4月13日

DSiウェア
哀…戦国Spirits EX 主君伝タスケ戦国シミュレーション800
DSiポイント
オリジナル

DSiウェア
哀…戦国Spirits EX 軍師伝タスケ戦国シミュレーション800
DSiポイント
オリジナル

DSiウェア
速練計算難問編アイイーインスティテュート数学800
DSiポイント
オリジナル

GA
豪血寺一族2 ちょっとだけ最強伝説インデックス格闘アクション600
移植[PS]

GA
DINO CRISIS 2カプコンアクション600
移植[PS]

GA
ポケットファイターカプコンはちゃめちゃバトル600
移植[PS]

GA
MAX SURFING 2000ガンホー・オンライン・エンターテイメントサーフィン600
移植[PS]

GA
ヴィークル・キャヴァリアーガンホー・オンライン・エンターテイメントアクション600
移植[PS]

GA
パカパカパッション 2KEMCO音楽体感ゲーム600
移植[PS]

GA
あすか120%ファイナル ~BURNING Fest. FINAL~シー・エー・ピー格闘アクション600
移植[PS]

GA
バウンティソード・ファーストハムスターRPG600
移植[PS]

PS3
Red Faction: BattlegroundsTHQジャパンアクション1,000
オリジナル
4月14日

PSP
ペルソナ2 罪アトラスRPG4,980
UMDDL

PSP
ラストランカーカプコンRPG1,600
UMDDL

PSP
プロ野球スピリッツ2011KONAMIプロ野球5,500
UMDDL
4月20日

DSiウェア
あいたくてモンキースターフィッシュ・エスディコミュニケーション500
DSiポイント
オリジナル

DSiウェア
あなたの楽々ドラムマシン河本産業楽器シミュレーター200
DSiポイント
オリジナル

GA
ファイナルファンタジーVIスクウェア・エニックスRPG1,200
移植[PS]

PCA
R-TYPEアイレムソフトウェアエンジニアリングシューティング800
移植[PCE]

PCA
改造町人シュビビンマン3エクストリームアクション800
移植[PCE]

PCA
チキチキボーイズカプコンアクション800
移植[PCE]
4月21日

PSP
密室のサクリファイス~ミキ:ハイテンションナイト~ディースリー・パブリッシャートラップアドベンチャー600
オリジナル

PSP
ガチトラ! ~暴れん坊教師 in High School~スパイクアクション・アドベンチャー4,200
UMDDL

PSP
モンハン日記 ぽかぽかアイルー村カプコンアイルーライフ1,600
UMDDL

PSP
メモリーズオフ AfterRain5pb.恋愛アドベンチャー2,100
UMDDL

PSP
SNK ARCADE CLASSICS 0SNKプレイモアバラエティ3,990
UMDDL

PS3
God of War HD & God of War II HDソニー・コンピュータエンタテインメントアクション3,000
オリジナル

PS3
God of War HDソニー・コンピュータエンタテインメントアクション1,500
オリジナル
PS Plus会員限定

PS3
God of War II HDソニー・コンピュータエンタテインメントアクション1,500
オリジナル
PS Plus会員限定
4月26日

PSP
麻雀覇王ポータブル 段級バトルSpecial毎日コミュニケーションズ麻雀2,400
UMDDL
4月27日

DSiウェア
ドードーゴー!救え!楽園のたまごビヨンド・インタラクティブ絶滅危惧種救済アクションパズルゲーム500
DSiポイント
オリジナル

GOD
旋光の輪舞DUOグレフ弾幕対戦アクション2,000
MSP
2,940円
(クレカ購入)
GOD

XBLA
トラブル☆ウィッチーズねぉ!SNKプレイモア魔女の錬金シューティング800
MSP
オリジナル

XBLA
NIN2-JUMPケイブ影絵忍者アクション400
MSP
オリジナル
4月28日

PSP
パタポン3ソニー・コンピュータエンタテインメントアクションRPG3,980
UMDDL

PSP
最後の約束の物語 チャリティダウンロード版イメージエポックRPG5,600
UMDDL

PSP
対戦おばけチョイスベストメディアシューティング480
オリジナル

PS3
The Fancy Pants Adventures 英語版エレクトロニック・アーツアクション・アドベンチャー1,000
オリジナル
4月予定

VC
クロノ・トリガースクウェア・エニックスRPG900
Wiiポイント
移植[SFC]
5月4日

XBLA
BANGAI-O HD MISSILE FURYディースリー・パブリッシャーシューティング800
MSP
オリジナル
5月12日

PSP
魔界戦記ディスガイア2 PORTABLE PSP the Best日本一ソフトウェアシミュレーションRPG2,200
UMDDL

PSP
どきどきすいこでんアイレムソフトウェアエンジニアリングどきどきコスプレ・シミュレーション4,800
UMDDL
5月19日

PSP
AKIBA’S TRIPアクワイアアクションアドベンチャー4,500
UMDDL
5月予定

PSP
パチパラSLOT ~パチスロスーパー海物語IN沖縄~アイレムソフトウェアエンジニアリングパチスロシミュレーター3,800
UMDDL

Wiiウェア
ダウンタウン熱血どっじぼーるMiracle Kidzアクション未定オリジナル
配信日未定

PS3
レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメアRockstar Gamesアクション3,800
オリジナル

XBLA
レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメアRockstar Gamesアクション2,500
MSP
オリジナル

VC
得点王 ~炎のリベロ~D4エンタープライズスポーツ900
Wiiポイント
移植[NG]

GOD
ザ・コンビニ 200Xハムスター経営シミュレーション2,000
MSP
2,940円
(クレカ購入)
GOD

VC
RELICSD4エンタープライズアクション800
Wiiポイント
移植[MSX]

 ※表中の「VC」はバーチャルコンソール、「GA」はゲームアーカイブス、「PCA」はPCエンジンアーカイブス、「XBLA」はXbox LIVE アーケード、「GOD」はゲーム オンデマンド、「FC」はファミコン、「SFC」はスーパーファミコン、「N64」はNINTENDO64、「MS」はマスターシステム、「MD」はメガドライブ、「PCE」はPCエンジン、「AC」はアーケード、「UMDDL」は「UMD ダウンロード」、「BDDL」は「ブルーレイディスク ダウンロード」、「GW」は「ゲーム&ウオッチ」、「DS」は「ニンテンドーDS」、「NG」は「NEOGEO」、「WM」はWindows Mobile、「MSP」はマイクロソフトポイント、「DC」はドリームキャストを指します。
 この表は毎週、配信タイトルを追加し、月単位で更新していきます。配信タイトルは当日まで配信が明らかにならないこともあるため、過去に遡って更新することもあります。



4月27日からオンラインでの2人協力プレイに対応した横スクロールシューティング「トラブル☆ウィッチーズねぉ!」(800MSP)が配信。見た目の可愛らしさに反して、ハードな本格派のシューティングに仕上がっている
(C) Adventure Planning Service / (C) Studio SiestA
Published by SNK PLAYMORE CORPORATION

 今週も様々なプラットフォームにおけるDLCの情報を紹介していく。

ニンテンドー3DS
 4月18日から戦国無双 Chronicle」のDLC「ガラシャの乱」(無料)が配信。

ニンテンドーDSiショップ
 DSiウェアとして、4月20日からチンパンジーを育てるコミュニケーションゲーム「あいたくてモンキー」(500DSiポイント)、本格ドラムシミュレーター「あなたの楽々ドラムマシン」(200DSiポイント)が配信。

PlayStation Store
 GAとして、4月20日から魔法と機械、2つの文明を融合させた力によって世界征服を企む悪に立ち向かうRPG「ファイナルファンタジーVI」(1,200円)が配信。

PS3
 PS3ダウンロード配信専用タイトルとして、4月21日からHD版「God of War」2作が1本に「God of War HD & God of War II HD」(3,000円)が、4月28日から最大4人同時プレイ可能なアクション・アドベンチャー「The Fancy Pants Adventures 英語版」(1,000円)が配信。なお、4月21日配信の「God of War HD」、「 God of War II HD」(各1,500円)はPlayStation Plus会員限定コンテンツとなっている。

 追加アイテムとして、4月14日から「テイルズ オブ グレイセス エフ」のDLC「チャット 仕事を探しに行こう」(無料)、「プロ野球スピリッツ 2011」のDLC「選手カードパックSP」など13種(無料~800円)が、4月28日から「侍道4」のDLC「あの人は今…セット」など6種(無料~300円)が配信。なお、「侍道4」のDLC 「あの人は今…セット」は通常500円のところ、5月31日まで無料で配信される。

 無料体験版として、4月14日から「エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン」が配信。

 4月21日から「真・三國無双 Online ~蒼天乱舞~」の大型アップデート「Revolution 8」が配信。

 「BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT」のアップデート&DLC配信予定が公開された。5月12日に「パッチ」(無料)、「追加キャラクター プラチナ=ザ=トリニティ」(800円)が配信される。

PSP
 UMDDLとして、4月21日から「怒 -IKARI-」、「アテナ」など20タイトルが収録された「SNK ARCADE CLASSICS 0」(3,990円)が、4月26日から日本プロ麻雀協会公認の二段認定証が無料でもらえる二段問題を収録した「麻雀覇王ポータブル 段級バトルSpecial」(2,400円)が、4月28日からリズムに合わせてボタンを入力するアクションRPG「パタポン3」(3,980円)、失ったキャラクターは2度と戻らない、イメージエポック開発のJRPGシリーズ第1弾「最後の約束の物語 チャリティダウンロード版」(5,600円)、おばけの駒を取り合うボードゲーム「対戦おばけチョイス」(480円)が配信。

 追加アイテムとして、4月21日から「DISSIDIA 012[duodecim] FINAL FANTASY」のDLC「ユウナ4thフォーム 銃士の衣装」など3種(各300円)が配信。

 4月15日から、「DISSIDIA 012[duodecim] FINAL FANTASY」のゲーム内からアクセスできる「モグ web」にて、「オフィシャルクエスト」(はざまの屋敷:デジョン編)、「オフィシャルフレンドカード」(ゴルベーザなど)が配信。

Xbox 360
 XBLAとして、4月27日からオンラインでの2人協力プレイを搭載した魔女の錬金シューティング「トラブル☆ウィッチーズねぉ!」(800MSP)、影絵劇をモチーフにした忍者アクション「NIN2-JUMP」(400MSP)が配信。

 追加DLCとして、4月12日から「ドリームクラブZERO」のDLC「コスチューム 彩の戦闘服」など6種(80~400MSP)が、4月13日から「Raskulls」のDLC「Raskulls Reinforcements 2」(160MSP)、「ロードランナー」のDLC「冒険モード拡張パック」(240MSP)が配信。

 無料体験版として、4月14日から「エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン」が配信。

 「BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT」のアップデート&DLC配信予定が公開された。5月10日に「タイトルアップデート」(無料)、「システムバージョンデータパック Ver.1.03」(無料)、「追加キャラクター プラチナ=ザ=トリニティ」(560MSP)が配信される。

 

 4月19日から4月25日までXBLAのセガタイトルがディスカウント価格で販売される。「After Burner Climax」(800→400MSP)、「エコー・ザ・ドルフィン」(400→200MSP)、「ガンスターヒーローズ」(400→200MSP)、「クレイジータクシー」(800→400MSP)、「コミックスゾーン」(400→200MSP)、「ゴールデンアックス」(400→200MSP)、「SHINOBI 忍」(400→200MSP)、「獣王記」(400→200MSP)、「Sonic Adventure」(800→400MSP)、「ソニック ザ ヘッジホッグ」(400→200MSP)、「ソニック ザ ヘッジホッグ2」(400→200MSP)、「ソニック ザ ヘッジホッグ3」(400→200MSP)、「SONIC 4 Episode I」(1,200→800MSP)、「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」(1,200→600MSP)、「ファンタシースターII」(400→200MSP)、「ベア・ナックルII」(400→200MSP)となっている。

 特定のタイトルが一定期間ディスカウントされるXbox LIVE ゴールド メンバーシップ限定サービス「Deal of the Week」は、 4月20日~4月27日までXBLA「Peggle」(800→400MSP)、XBLA「プラントVSゾンビ」(1,200→800MSP)、XBLA「Ilomilo」(800→400MSP)、「FIFA 11 ワールドクラスサッカー」のDLC「Live Season: All Leagues 」(800→400MSP)、「Peggle」のDLC「Nights コンテンツパック」(400→200MSP)などがディスカウント価格で販売される。


●今週の注目タイトル
 NIN2-JUMP

 本作は、影絵劇をモチーフに“和”のテイストを盛り込んだアクション。壁やフックを掴んで移動できる「クサリ」や「ジャンプ」など、忍者らしいアクションを駆使してステージを攻略していく。ゲーム画面には、プレーヤーの演じる影絵劇を見ている子供たちが登場し、プレーヤーの華麗なアクションに対してリアクションするというのは新しい。

 5つのワールドに分けられた全50ステージに挑む「アドベンチャーモード」、ライフがなくなるまで無限に出現する敵を倒し続ける「スコアアタックモード」の2種類のモードが用意されている。400MSPという安価ながら、たっぷりと遊ばせてくれそうだ。

 なお、全世界で配信される本作の6月末までの売り上げ全額が義援金として日本赤十字社を通じ寄付される。

● (C)2011 CAVE CO., LTD.





■ ダウンロードソフトウェアレビュー 

 各ライターが独断と偏見でピックアップしたダウンロードソフトウェアを紹介するコーナー。最新のタイトルから配信済みのタイトルまで、気になるタイトルを紹介していきたい。

■ Xbox LIVEアーケード

プラントVSゾンビ


●開発元: PopCap Games/発売元: PopCap Games●配信中(2010年09月01日)●価格:1,200MSP(1,800円相当)
●対応機種:Xbox 360●プレイ人数:オフライン1~2人


● 幅広いユーザーが楽しめる傑作タワーディフェンス

 本作は、サイドビュータイプのタワーディフェンス系シミュレーションゲーム。プレーヤーは家の中へ侵入して脳みそを食べようと押し寄せるゾンビたちを、さまざまな攻撃方法を持ったプラントを庭に植えることで撃退していく。ゾンビとの戦いというホラーなテーマとは裏腹にファンシーな絵柄が目をひく、PCで人気を博したタイトルのリメイクとなる1本となっている。

 操作は左スティックによるカーソル移動を中心としたシンプルなもので使用するボタンも少なく、簡単にゲームに参加することが可能となっている。しかし、カーソル移動の反応が若干過敏に設定されているため、スピーディーで正確な操作が可能となるまでには時間を要するかもしれない。このカーソル移動は方向キーでも代用できるため、気になったプレーヤーはこちらを試してみることをオススメしたい。

プラントを植えるコストアイテムが日光となっていたり、自宅前に設置されている芝刈り機で1度だけゾンビの侵入を阻止することができたりと、システムはどれもテーマに沿ったものとなっていておもしろい


  本作の大きな魅力として、ゲームシステムがサイドビューで構成されているという点が挙げられる。一般的なタワーディフェンスといえば、視点はトップビュー形式が多く、敵の移動方向や防衛装置の攻撃範囲も、それに準じる形で全方向に及ぶものとなっていた。一方、本作の視点はサイドビューで固定されており、ゾンビとプラントの戦闘は、すべて横方向に限定して展開される。

 この視点の変化は一見、戦略の幅が狭まる退化のように見えるかもしれない。しかし、簡略化されたシステムは、装置の設置場所による能率変化などの、タワーディフェンスでは付き物であるわずらわしい思考要素を廃するだけでなく、現在の戦況や必要な対処方法がすぐに把握できる見通しの良さも向上させている。そのため、プレーヤーはストレスを感じることなく、気軽にゲームをプレイすることができる。また、本作に登場する敵が、のろまでしぶといゾンビであるという点も、ほかのタワーディフェンスより思考の余裕が与えられる要因となっており、初心者にもプレイしやすい、親しみやすさが感じられた。

 しかし、本作は決して初心者だけに特化したタイトルに留まっているわけではない。この「庭を一直線に横切るゾンビをプラントで撃退する」という極めてシンプルなルールの中には、設置コストや再設置に要する時間を管理しながら、ゾンビの侵攻具合や数にあわせて常に最適なプラントを設置していくという、純粋な戦術のおもしろさが最大限に満ち溢れている。スローな展開でありながら、プレーヤーの決定したアクション1つ1つが、確実に戦況へ影響を及ぼしていくパズルゲームのような駆け引きは、ほとんどのゲーマーが十分な満足感を得ることができるだろう。ファンシーなビジュアルどおりのファミリー向けゲームかと思いきや、本作はタワーディフェンスというジャンルの核心に迫る、珠玉の1本であると評しても過言ではない。

プラントの設置場所はブロックで分けられている。ゾンビとの距離関係や効果の具合を一目で認識できるため、機能的で非常に遊びやすい


 土台となる基本システムがここまでシンプルでありながらも、その上にほかの追随を許さないほどのバラエティに富んだ要素が散りばめられているという点も、本作の見逃せない魅力。

 何より驚かされるのが、プレーヤーが使用できるプラントの豊富なバリエーションだ。プラントは連射やゾンビの鈍化などの能力を持つ射撃タイプからはじまり、コストである日光を生み出すプラントや防御力に長けた防壁プラント、使いきりでゾンビをまとめて爆破するプラントなど、それぞれが独立してユニークな特徴を持っている。その数は実に40種以上にわたるため、逆に選択肢の広さに悩みそうなところではあるが、実際のゲームではステージ内で使えるプラントの数に制限が設けられており、プレーヤーはその枠に収まる範囲で任意のプラントを選択するという形式になっている。そのため、プレーヤーはステージの構成や登場するゾンビの種類、さらには自身の好みや戦法に合わせて、自由なプラントの組み合わせでステージに臨むことが可能となる。

また、プラントの種類はメインモードのステージをクリアすることで追加されていくうえに、舞台となるステージのギミックや標的となるゾンビも、ゲームの進行によって次々と変化していくため、シンプルなルールの繰り返しに退屈さやマンネリ感を覚える瞬間はまったく訪れない。そればかりか、新しいプラントの性能を試したいばかりに、ゾンビのように憔悴するまで絶え間なく遊んでしまう、筆者のようなプレーヤーも多いはずだ。このように、本作のプラントやステージレベルの多様さは、プレーヤーに心地よい中毒性を自然な形で与えてくれる。

ショップでは、ゲーム中に手に入るお金でさまざまな強化アイテムを購入できる。ショップ限定のプラントは高コストで扱いにくいが、能力は非常に強力なのでついつい集めたくなってしまう


 そして、この中毒性を確固たるものにしているのが、メインモードである「アドベンチャー」モードから派生していくさまざまな追加ゲームモード。メインモードの途中に挿入されたショートゲームが収録された「ミニゲーム」から始まる5つの追加モードは、根幹となるシステムこそ同一であるものの、それぞれにユニークで趣向を凝らしたルールが設定されており、そのどれもがおまけの粋に留まらない、しっかりとしたゲーム性を持っている。プレーヤーによっては、メインゲームを凌駕するほど気に入ってしまうモードもあるはずだ。こういった多彩なゲームモードの存在によって、本作はプレーヤーの遊び心をあらゆる角度から刺激する、ボリューム感の高いタイトルとなっている。

 そんなゲームモードの中で筆者が特にオススメしたいのが、2人のプレーヤーがプラント側とゾンビ側になって戦う「対戦」モードである。メインモードではただの撃退対象だったゾンビを操ることができるという点だけでも魅力的なのだが、ユニットの能力から配置場所、勝利条件まで異なる2つの勢力が、絶妙なバランスで繰り広げる戦闘は、マルチプレイならではの楽しさがしっかりと追求されているように感じられ、非常に好印象だった。オンラインマッチに対応していないという惜しい点はあるが、それを加味しても十分に魅力的な要素となっているはずだ。

「ミニゲーム」や「パズル」をクリアすると、トロフィーと一緒にお金を手に入れることができる。息抜きで遊んだつもりが、アイテムの購入資金を稼ぐために没頭することもしばしば


 シンプルでわかりやすいシステムの中に、奥深いゲーム性を秘めた本作。ライトなビジュアルや、タワーディフェンスという新鮮味に欠けたジャンルのイメージから、1,200MSPという値段に一歩引いてしまうユーザーも多いとは思うが、本作は老若男女やゲームの経験値を問わず、ほぼすべてのユーザーが満足できる1本となっていることは間違いない。じっくりと腰をすえてメインモードを攻略するもよし、ほかのゲームの息抜きにミニゲームに興じるのもよし、家に招いた友人との対戦ツールとして使うのもよしと、豊富なゲームモードはユーザーのプレイスタイルに幅広く対応してくれるはず。お試し版ではアドベンチャーモードの序盤ステージを遊ぶことが可能なので、気になったユーザーはまずダウンロードして、ぜひとも自身の手で至高のゾンビディフェンスを体験していただきたい。




(2011年 4月 20日)

[Reported by 木原卓/パンチョ(ねこひげ合同会社)]