PCハードウェアレビュー「G-Tune NEXTGEAR i650PA2-SP」

G-Tune NEXTGEAR i650PA1-SP

G-TuneシリーズにSkylakeを採用した最新ゲーミングPCが登場!

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 マウスコンピューターのG-Tuneブランドから新しいCPUとGPUを搭載した新PCが発売された。OSも7月29日から公開が開始されたばかりのWindows 10がプリインストールされており、まさに最新づくしというマシンとなっている。とくに注目したいのはIntelがコードネーム「Skylake」として開発していた最新CPUを採用していることだ。今回はそんなSkylakeを採用したG-Tuneシリーズの「NEXTGEAR i650PA2-SP」を紹介しよう。

最新のCPUとGPUやOSを採用

CPUには、現行のSkylakeの最上位となるIntel Core i7-6700Kが採用されている
GeForce GTX 980を搭載したビデオカード

 それではここで、本機に搭載されているIntelの最新CPUやNVIDIAのGPUについて解説しておこう。まずCPUはIntelの「Core i7-6700K」だ。8月5日に発売されたばかりのもので、Intelがコードネーム「Skylake」(正確にはデスクトップ向けを表わす表記としてSkylake-Sと呼ばれている。ほかにモバイル向けのSkylake-H/U/Yなどがある)として開発していた第6世代CoreプロセッサーファミリーのCPUだ。

 8月5日に発売されたSkylakeのラインナップはCore i7-6700KとCore i5-6400の2つだが、本機には現時点で最上位のCore i7-6700Kが採用されている。Intelによると、第5世代のBroadwellと比較してデスクトップ向けのSkylakeは、CPU性能が最大で11%、内蔵GPUが最大28%の性能アップとしており、最新のCPUを採用することによるメリットを解説している。

 GPUに関しては、ハイエンド向けのGeForce GTX 980を搭載している。GeForce GTX 980よりも上のクラスにはGeForce GTX 980 TiやGeForce GTX TITANシリーズなどのウルトラハイエンドクラスの製品もあるが、現状では最新のハイエンドクラスの製品と言ってよいだろう。このビデオカードを単体で購入しようとすると、安価な製品でも65,000円前後、オーバークロックなど高機能版のパッケージでは90,000円を超える製品もある。現在発表されているゲームを楽しむ上では十分過ぎるほどの性能を持っており、これについては後のベンチマークを参照していただければと思う。

 OSにはWindows 10がプリインストールされており、これもまた最新のものだ。Windows 10は1世代前のWindows 8.1の後継OS。Windows 8.1はWindows 7のインターフェイスに慣れたユーザーには扱いづらいところもあったが、Windows 10では新しいインターフェイスを採用しつつもそれらの不満点などが改良された形となっている。もちろんインターフェイスだけでなくセキュリティ機能なども向上させたものだ。

BTOで変更も可能な構成

 さて、ここまでこのPCのポイントとも言えるCPU、GPU、OSについて言及してきた。性能については後のベンチマークで検証することとして、まずはそれ以外のスペックについて説明していきたい。しかし、その前に本機を含めたSkylakeを採用するG-TuneのラインナップとBTOについて説明しておこう。以下は、Skylakeを採用するマシンのラインナップと仕様を表にまとめたものだ。

【スペック表】

 i650PA2-SPi650PA2i650GA2i650BA1i650SA2i650PA2-SP2
CPUIntel Core i7-6700K (4GHz、最大4.2GHz)Core i5-6400Core i7-6700K
GPUNVIDIA GeForce GTX 980 (4GB GDDR5)NVIDIA GeForce GTX 970 (4GB GDDR5)GeForce GTX 750 (2GB)GeForce GTX 960 (2GB)GeForce GTX 980Ti (6GB)
チップセットIntel Z170
メモリPC4-17000 DDR4 SDRAM 32GB (8GB×4)PC4-17000 DDR4 SDRAM 16GB (8GB×2)PC4-17000 DDR4 SDRAM 8GBPC4-17000 DDR3 SDRAM 32GB(8GB×4)
SSDSamsung SM951シリーズ (256GB、M.2)m.2 Samsung SM951 256GB
HDD2TB500GB1TB2TB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
ネットワーク1000BASE-T
OSWindows 10 Home(64bit版)
価格229,800円(税別)189,800円(税別)159,800円(税別)94,800円(税別)129,800円(税別)269,800円(税別)

マザーボード
メモリはPC4-17000 DDR4 SDRAMだ。8GBモジュールが4枚搭載されており、合計32GBとなっている

 G-TuneシリーズでSkylakeを採用したラインナップは現在上記6ラインナップだ。その中で今回レビューしたのは、「G-Tune NEXTGEAR i650PA2-SP」となる。

 「i650PA2-SP」は表を見てもわかるとおり、メモリを大容量の32GB搭載しており、ストレージにもM.2のSSDを採用している。「i650PA2-SP」と「i650PA2」では、ビデオカードに先ほど紹介したGeForce GTX 980が搭載されている。

 メモリについては、今までウルトラハイエンドクラスで採用されていたDDR4メモリがSkylakeとセットで扱われるハイエンドチップセットのIntel Z170でも使えるようになった。Intel X99では4枚組で使うクアッドチャンネルであったが、Intel Z170では(i650PA2-SPでは最大容量である32GBを搭載するため4枚搭載しているが)2枚組で利用するデュアルチャンネルとなっている。DDR3メモリよりも帯域が広くなったため、高速なメモリアクセスが可能だ。

 SSDも特別製でPCI Express 3.0 x4接続に対応したもの。この実力も後でベンチマークにて確認してもらいたい。HDDは全シリーズ共通で2TBの製品を搭載している。SSDだけでは、いくつものビッグタイトルゲームをインストールすると多少不安な部分もある。しかし、2TBのHDDも載っているため、よくプレイするゲームはSSDに、そうでないものはHDDにインストールして使うといった使いみちができるため安心だ。

 電源も80PLUS Bronze認証を取得した製品で信頼性が高いパーツが使われていることがわかる。OSはWindows 10 Homeを採用だ。付属品としてG-Tuneオリジナルのゲーミングキーボードと6ボタンのマウスが同梱されている。あとはモニタとスピーカー(モニタに内蔵されているのなら不要)を用意すれば、すぐに利用可能なセットとなっている。価格は構成だけみれば妥当といったところだが、メーカー製のPCということで、1年間の保証だけでなく365日間の24時間電話サポートが付いている。パーツを自分で選ぶ完全な自作PCと違って相性の問題が出ることもなく、問題が起きたときには気軽にサポートを受けられると言うのも大きいだろう。

 また、マウスコンピューターの扱うPCはBTOに対応しているものがほとんどだ。BTOとは受注生産方式のことで、同社の場合はある程度ベースとなる製品を用意しておき、注文に応じてカスタマイズを行なった後に発送するスタイルとなっている。G-TuneシリーズでもBTOが採用されており、パーツのアップグレードや追加などができる。

たとえばHDDの容量をより多いものに変更したり追加をしたりといったことができる。OSをWindows 10 HomeからWindows 10 Proに変更したり、電源をより容量の大きなものやグレードの高いものに変更したりすることができる。Officeなどのビジネススイートやモニタを追加して追加注文することも可能だ。細かなところでは、グリスを高性能なものに変更するといった項目もある。このようなサービスを利用して、より自分にあったPCにカスタマイズして注文できるのもよいところだろう。

写真で見る「i650PA2-SP」

 ここからはせっかく実機があるので、写真を見ながら製品を見ていってみよう。

【前面】
【側面】
某アニメに出てきたキャラクターに似たカバーが装着されたフロントパネル。取り外すことも可能で奥行きを抑えることもできるが、静音の役割も担っている
ケースの左側のサイドカバーはビデオカードの来る辺りにメッシュ加工がされており、ビデオカードを冷やす吸気の役割をしていると思われる

【カバーを開いたところ】
【カバーを外したところ】
カバーを開くと光学ドライブが利用可能。空きのベイもあるのでベイアイテムを増設することもできる
カバーを外すと奥行きが543mmから470mmまで小さくなる。机の下などの狭い場所に設置したい場合にはカバーを外してしまうのもよいだろう

【内部】
【CPUクーラー】
ケース左側面をあけた状態。ケーブル類はきれいに処理されており、内部はすっきりとしているためメンテナンスも行ないやすい。拡張の余裕もありそうだ
CPUクーラーはリテールではなくメーカー製の製品でよく見られるタイプのもの

【SSD】
【HDD】
Samsung製のM.2 SSD。PCI Express 3.0 x4接続のため、非常にアクセス速度が高い
HDDは7,200rpm仕様なので、HDDの中ではアクセス速度が高い製品だ。ケージには後3基のHDDを搭載することが可能だ

【電源】
【電源ボタンまわり】
80PLUS Bronzeに対応した700W電源。本機の構成としては十分な容量だ
電源ボタンは扉を閉めた状態でも押せるように、本体上部に用意されている。その奥にあるのはUSBやメモリカードリーダーなどのフロントインターフェイスとなるが、ネジなどを置くのに便利なトレイにもなっている

【背面】
【UEFI画面】
背面にはファンが1つ用意されており、前面から吸入した空気を背面で排気する作りとなっている
Intel Z170チップセットを搭載したマザーボードと末尾にKナンバーの入ったCPUの組み合わせではオーバークロック(OC)を行なうことが可能だ。多少のリスクはともなうが、知識があれば試してみるのもよいだろう。ただし、OCの結果は自己責任なので気をつけていただきたい

ベンチマークで性能を見る

 それでは「i650PA2-SP」の性能をベンチマークソフトなどを使って見てみよう。条件としてはお借りした「i650PA2-SP」にフルHDのモニタを接続して行なっている。このため、基本的にベンチマークは1,920×1,080の解像度で行なっているものになる。

 また、前半のベンチマークは結果がポイントなどで表わされるため、ベンチマークソフトに精通していない人にはわかりにくいかもしれない。このマシンの構成だとこのベンチマークソフトの結果はこのくらいになるという参考程度に見ておき、「ドラゴンズドグマオンライン」ベンチマークソフトの項目まで読み飛ばしてしまってもよいだろう。

 では、各ベンチマークの説明とともに、結果をお伝えする。

PCMark 8

 PCMark 8はPCの全体的な性能をチェックできる、Futuremarkというメーカーのベンチマークソフト。4,739という結果はかなり高く、性能が高くバランスが取れているという見方ができる。リンク先では詳細な各テストの結果を見ることができるので、興味のある方は見てみるとよいだろう。

テスト項目数値
PCMark 84739

詳細はクリック

3DMark

 PCMark 8と同じくFuturemarkの提供するベンチマークソフト。PCMark 8がPC全体の性能を見るのに対し、3DMarkでは3D機能などのグラフィックス機能の性能を見ることができる。4種類あるテストは一通り行なっているが、重要なのはゲーミングPCの性能を見るために行なわれる処理の負荷が高いFire Strikeの結果だ。11,195と11,000オーバーの記録を出しており、GeForce GTX 980の性能がうかがわれる、非常に高い結果となった。

テスト項目数値
Fire Strike11,195
Sky Drive29,102
Cloud Gate30,259
Ice Storm180,647

詳細はクリック

Valley Benchmark

 Valley Benchmarkは3DMarkと同じくグラフィックス描画の性能を見るためのベンチマークでUnigineというメーカーが公開しているもの。オープンワールドタイプのRPG風の世界を飛び回りながら性能をチェックするというもので、現状ではかなり処理が重い部類のベンチマークだ。設定はExtreme HDという1番処理負荷の大きなプリセットを利用してテストを行なっている。結果は、fps値で66.4となっており、筆者の知る限りではかなりよい数値だ。

テスト項目数値
FPS66.4
SCORE2,779

CINEBENCH R15

 このベンチマークソフトではCPUの処理能力を見ることができる。マルチスレッド性能を見ることのできるCPUとシングルコアの性能を見ることのできるCPU(シングルコア)という2つの結果を得ることができるが、CPUの結果は883と非常に高い値。第4世代のHaswellでは、ハイエンドクラスの製品で820~840程度の結果だったことを考えると、若干の性能アップを果たしていることになる。

テスト項目数値
CPU883
CPU(シングルコア)176

CrystalDiskMark 5.0.2

 CrystalDiskMarkはストレージ性能を見るためのベンチマークソフト。掲載画像は左が本機のシステムディスクであるSSD、右がHDDだ。SSDの結果は驚異的なものでシーケンシャルリードでは2,000MB/s、ライトで1,500MB/sオーバーと言う結果になっている。通常のSerial ATA 6G接続タイプのSSDなどでは、500MB/s前後の数値となるため、この結果は驚異的だ。PCI Express 3.0 x4接続のM.2ということで実現した結果だが、ゲーム開始時などのデータ読み出しもストレスなく行なえるだろう。HDDの結果もシーケンシャルのリード、ライトともに200MB/s近い数値が出ており良好と言える。

【CrystalDiskMarkの結果】

「ドラゴンズドグマオンライン」ベンチマークソフト

 ここからは、実際のゲームに沿ったテストだ。カプコンの「ドラゴンズドグマオンライン」は、ゲーマーにとっては8月31日の正式サービス開始が待ち遠しいタイトルだ。「ドラゴンズドグマオンライン」はプレイステーション 4/3版以外にPC版も提供されるため、ゲームをプレイする前にどれくらい快適に遊ぶことができるかをテストできるベンチマークソフトを配信しており、今回はそのソフトを利用した。条件としては最高品質の設定でベンチを行なったものの、「とても快適」とされる7,000という指標を大幅に上回る13,120という結果になった。

テスト項目数値プレイ指標
最高品質13,120とても快適

「FFXIV:新生エオルゼア」ベンチマーク

 「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」はスクウェア・エニックスが提供するオンラインゲーム。こちらも「ドラゴンズドグマ」と同じようにベンチマークソフトを提供している。テスト内容としては、プリセットが用意されているため、最高品質で行なった。結果は12,738で「とても快適」だ。公式サイトでは7,000以上で非常に快適となっており、「ドラゴンズドグマ」同様に余裕でゲームを楽しめることがわかる。

テスト項目数値プレイ指標
最高品質12,378とても快適

「バトルフィールド4」

 「バトルフィールド 4」は世界的に人気の高いオンラインFPSだ。ベンチマーク機能はないため、Frapsというフレームレートを計測するユーティリティソフトを利用してテストを行なう。フレームレートとは、1秒間に何回画面の描画が行なえるかと言う数値のことで、fps(Frame Per Second)という単位であらわす。当然数値が大きいほうが優秀と言えるが、人間自体の目の性能を考えるとアクションゲームでは60fpsもあれば、ストレスなくゲームをプレイできると言われている。1番負荷の大きなプリセットである「最高」設定を利用したが、結果は91.25fpsと60fpsを軽く凌駕している。

テスト項目フレームレート
最高91.25fps

利用しているPCの性能不足を感じる生粋のPCゲーマーにぴったり

 ベンチマークの全体的な結果としては、いずれのベンチマークにしてもCore i7-6700KとGeForce GTX 980の組み合わせが、いかに高性能であるかということを証明することとなった。現状、存在している3D系ゲームはまず問題なく動くと断言してよいだろう。

 本製品はIntelのCore i7-6700KとNVIDIAのGeForce GTX 980という強力なCPUとGPUを採用したゲーマー向けのPCだ。とはいえ、このクラスのPCとなると価格もそれなりのものになる。とくに今回ベンチマークを行なった「i650PA2-SP」は、256GBのM.2 SSDや32GBのDDR4メモリといった高価なパーツが搭載されており、1番下のランクの「i650GA2」でもGeForce GTX 980に次ぐ性能を持つGeForce GTX 970が採用されている。最新ゲームをバリバリと楽しみたいと考えているユーザーにはオススメできるが初めてのPCとしてちょっとゲームも楽しんでみたいかな……程度に考えている人にはもう少し安価なPCをお勧めしたい。

 しかし、現在利用しているPCで3Dゲームを楽しんでいる人にとって、性能不足を感じているといったユーザーには一も二もなくお勧めしたい。

(山本倫弘)