★ Xbox 360ゲームレビュー★
「職人の仕事」を感じさせる
スピーディーなシューティングゲーム
「ESCHATOS」
ジャンル:
  • シューティング
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • Xbox 360
価格:
6,804
発売日:
2011年4月7日
プレイ人数:
1人
レーティング:
CERO:A(全年齢対象)

 今年の4月~5月は、神の思し召しか、奇跡的なXbox 360のシューティングゲームのラッシュとなっている。ファンはすでにプレイ時間の確保に悲鳴を上げているのではないだろうか? 筆者もとっかえひっかえいくつかのゲームをプレイしているが、常に時間が足りなくて困っている。

 「ESCHATOS(エスカトス)」は、6,804円のフルパッケージで登場したXbox 360の縦スクロールタイプのSTGだ。空想科学的な世界観、1980年代のテイストを盛り込んだSTGということで、情報が露出されるようになっての印象は正直、ピンとこなかった。とっかかるところがいまいち見えにくかったというかなんというか……。

 しかし、実際に製品版をプレイしていくと、触る前に感じていた「もやっとしたもの」が晴れていったというか、「どこか懐かしいが新鮮な感覚」を覚えるタイトルになっていることが伝わってきた。



■ 最近あまり見ない世界観にどことなく懐かしさを感じる

 西暦 20××年、それは突如として起こった。

 

「紫(し)」の浸食。

 そう名付けられた月の異変は、わずか数日のうちに月面の半分を覆っていた。

 地球に飛来する巨大UFOの群れ。

 果たして人類は生き残ることができるのか?

――最後の審判――

 地球の存亡をかけた戦いが今、始まる。


今では珍しい独特の世界観がビジュアルの特徴。懐かしいと見るか、新鮮だと感じるかは人それぞれだろう

 本作の世界観は、1970~80年代あたりまで特撮作品などで見かけた「宇宙の未知なる生物」や大小さまざまの「UFO」、「ピラミッド」といった懐かしさ満載のモチーフをポリゴンによって再現している。当然、登場する敵機はあのUFOのようなものがこれでもかと登場するし、地球や星空、月の上を飛ぶその感覚は、STGの定番が宇宙での戦いだったころを思い起こさせる。そして、数多く登場してきたSTGの敵キャラをモチーフとしたと思われる数々のキャラクターの姿を見、そしてその動きを追いかけつつ戦っていると、なんともいえない感覚が呼び起こされる。

 しかし、ビジュアルをよく見ると、単に懐かしいだけではなく、エフェクトなど細かいところまでよく作ってある。特に背景の魚眼風のゆがみや、雲の流れるさまなどは、プレイ中にはあまり目がいかないかもしれないが、改めて見てみるときちんとHDに対応すべく作ってあるなと感心する。また、カメラアングルの変更による演出は、奥行きのあるアングルと上空からのアングルをうまくつなげてあり、シンプルながらもスピード感にあふれ、何度もプレイしていてもくどさを感じないのは好印象。今風と昔風をバランスよく混ぜ合わせているというのだろうか……。また、自機がシールドゲージに重なるような状況では、ゲージがほとんど消えて自機が見やすくなるような工夫が施されているなど、細かな気配りがうれしい。

 自機のデザインなども、「ちょっと昔のカッコよさ」というか、どこか古臭いのだが、いやみがない。そして、左右に機体を振るとローリングし、弾はちゃんと自機の角度に応じて回転するところ(縦になったときは弾の塊がちゃんと細くなる)を見ていると、これまた懐かしさを覚えつつも、ちゃんと影はリアルタイムについてくるし、演出でいろんな角度から自機を眺めていると、これはこれでカッコいいなという感覚が沸いてくる。

 また、敵キャラの動きを追い、敵が吐き出す弾の数々を見ていると、モチーフこそ過去にあったゲームのものだと思えるが、このゲームらしいアレンジが施されているのがわかる。そして、敵の組み合わせによる多彩な攻撃パターン、とくに、適度にランダム要素を織り交ぜた攻撃の組み合わせの妙が感じられる。これは難易度にも大きく影響されるが、どれがいわゆる“自機を殺しに来ている弾”なのかを見分けながら戦っていると、「うまくできてるな」と感心させられる。低難易度ではほとんどが自機を狙っていないため、それがわかるとさっさと弾の嵐を潜り抜けられて爽快だ。

有機的とも無機的ともいえる敵が多数登場するどこかで見たような敵が次々と登場する場面もあるが、攻撃パターンや仕掛けが独自のものになっている難易度によって攻撃の激しさがはっきり違うデザインになっている

■ 2つの攻撃+シールドと攻撃/防御がシンプルでわかりやすい

割と序盤から登場するザコキャラのなかに、自機のラインが合わさると移動してしまうやつがいる。稼ぎプレイ時には厄介で、なおかつ高難易度ではポンポンと大きめの弾を吐き出す強敵となる

 メインショットは2種類。自機の正面方向に長射程の弾を撃ち出す「フロントショット(Aボタン)」、左右方向に拡散する弾を撃ち出す「ワイドショット(Xボタン)」の2つ。ボタンを押しっぱなしにするとフルオートでの射撃となる。

 そして本作の特徴の1つである「シールド(右トリガーorA+Xボタン)」。ボタンを押している間、機首に展開され、敵弾や敵の体当たりを防ぐ。展開中はシールドゲージが100%から徐々に時間経過とともに減ってゆき、0になると強制解除。シールドゲージは敵や敵弾を防御したとき、シールド展開を解除したとき、もしくはスピード変更(RB)」を行なったときに大きく減少する。減ったシールドゲージはシールドを展開していないときに時間経過とともに回復する。シールド自体には高い攻撃力があり、敵弾を相殺しつつ敵にダメージを与えることも可能。敵との高低差がある際も、シールドなら先にダメージを与えることができるのもポイントだ。

 重要なのは「攻撃、防御装備は万能ではない」ということ。まず、フロントショット、ワイドショット、シールドは併用できない。さらにフロントショットは左右に死角が、そしてワイドショットは正面方向に死角があり、ワイドショットは射程が短め。シールドも機首を中心として展開されるので、見た目通り自機側面や後方からの攻撃を防ぐことができないし、敵および敵弾が自機の当たり判定ギリギリまで接近しているときに展開しても手遅れ。ゲージが0のときは展開できない制限がある。

 さらに、シールドでは敵機のレーザーなどの強力な攻撃は敵の弾が瞬時に消えずに残り、即座に相殺できないうえ、シールドゲージを大きく減らしてしまう。また、この敵弾を即座に消せない場合、自機がその場に押し留められるということが起こり、強引に前に出るとシールドの判定をすり抜け敵弾が当たり、撃墜されてしまうことも起こる。ほかにも、シールドの判定は自機よりも大きいので、シールドを展開していない場合すり抜けられる敵弾と敵弾の間を、へたにシールドを展開するとシールドに当たってしまい、すぐに前へ進めないこともある。

 細かいことを述べてはみたが、基本的には、従来からあるSTGの基礎的な仕組みと変わらないので、初見でもすんなりプレイできるはずだ。ちょっと特殊だというところがあるとすれば、やはり敵の動き、そして敵弾とシールドの関係だろうか。一部の敵は耐久力が高めになっているが、自機とラインが合うと「位置をずらす敵」がいる。このタイプの敵にはフロントショットだけでは位置をずらされてしまうと連続ヒットさせることが難しいが、ワイドショットでは位置がずれても当てやすい。また、シールドで敵を攻撃しようとする際も、このタイプの敵はシールドを重ねようとするとその場所からずれてしまい、連続でダメージを与えるにはコツがいる。本作のザコキャラの中でも厄介なタイプの敵だ。

 また、自機のヒット判定はかなり小さいことは前述したが、ミスを未然に防ぐためか、いわゆる「かすり判定」が用意されているのは今どきのゲームっぽい要素だ。弾の周囲に見た目の大きさ程度、このかすり判定が用意されており、自機の当たり判定がひっかかかると高音の独特のSEが鳴るのでわかりやすい。自機に向かってくるいわゆる「殺しに来る」敵弾を避けるとき、この音を意識していれば、SEが鳴ったときに移動方向が間違っていなければミスを防ぐことができる。ただし、高速で飛来する敵弾は音が鳴った次の瞬間に撃墜されていることも多いため、すべての場合で有効とはいえないのだが。


自機正面に長射程のショットを撃ち込めるフロントショット自機前方左右に短射程のショットをばら撒くワイドショット機首を中心に展開されるシールド。操作方法は2通りあるが、ショットボタンを押し換えようと同時押しした瞬間はシールドが展開されてしまうのに注意したい
自機の当たり判定は非常に小さくできている。弾の判定で「かすり判定」があるようで、自機の当たり判定に敵弾がかするとSEが鳴って警告してくれる当たり判定について知りたければ、スコアを稼いでオプションを開放していくことで、当たり判定表示が可能となる。ただし、これを使うとスコアは登録されず、実績も解除できないので注意シールドは自機左右や後方からの攻撃を防ぐことはできない。この写真の場合、次の瞬間撃墜されている



■ 「ORIGINAL」、「ADVANCED」、「TIME ATTACK」で3つの楽しみ方ができるゲームモード

ゲームモード、そして難易度の順でスタート時に選択するようになっている

 「ESCHATOS」には3つのモードが用意されている。同じゲームをベースにしながらも、それぞれが別の味付けになっているので、3本分(?)楽しめるようになっている。実績を開放するには、すべてのモードのすべての難易度をプレイする必要があるため、ひと通りプレイしてみて、気に入ったものを遊びこんでいくといいだろう。

● パワーアップ要素のないシンプルな「ORIGINAL」

「ORIGINAL」では青いフラッシュアイテムをうまく使いこなして窮地を脱したい。黄色に光るのは1UPアイテムで、要所に出現するので取り忘れないように

 「オリジナル」では、フロント/ワイドショットは威力、弾数、そして射程が固定となっている。前項の武装解説は基本的にこの「ORIGINAL」での性能を解説してある。シールドも最大値100%になっているため、これも同じく前述の通り。難易度が「EASY」、「NORMAL」、「HARD」、「HARDEST(プレイスコアに応じて開放)」の4つ。さらに、周回プレイが可能な「ENDLESS」が用意されている。「ENDLESS」は周回ごとに難易度が上昇していく。

 このモードでは、敵のアイテムキャリアを攻撃すると、青い「フラッシュアイテム」が落ちてくる。本作のアイテムは、基本的に左右にふらつきながら画面下まで降りた後、また上に上がっていく。フラッシュアイテムに重なると、その時点で画面中の敵弾が消え、敵にもダメージが入る。

 「ORIGINAL」はパワーアップ要素が無いため、基本的な攻撃力は一定。つまり、撃墜されても同じ能力のままその場から復活するので、とにかく先に進みたい、というときにはありがたい仕様になっている。

 また、本作の残機増加は敵破壊数が一定を超えると出現する1UPアイテムでのみ行なわれる(『ADVANCED』も同様)。1UPアイテムは出現後スーッと画面下へ落ちていき、1度バウンドしてさらに降下すると消えてしまうので注意したい。

 「ORIGINAL」での稼ぎ要素としては、敵編隊を連続で撃破し続けると、1編隊につきスコア倍率が1つずつ上昇する。つまり、敵編隊を途切れなく撃破し続けることがスコアアップには重要な要素だ。撃破すればいいので、フラッシュアイテムを使ってでもとにかく敵を撃ちもらさないことが重要となる。また、敵機の破壊数や撃破速度でボーナスが加算されることも忘れないでおきたい要素となる。


どこかに隠れている「ワンダーウィッチ」を探し出し、ゲットできればボーナスとなる(『ORIGINAL』と『ADVANCED』に登場)敵編隊を連続で撃破していくことで基本スコア倍率が上昇していくパワーアップ要素がなく、シールドは常に100%使えるのが「ORIGINAL」の遊びやすさだろう

● パワーアップ要素がリスクにもなる「ADVANCED」

パワーアップ要素が取り入れられた「ADVANCED」。パワーアップアイテムはスコア稼ぎにおいても重要なカギを握る
「ADVANCED」は「ORIGINAL」や「TIME ATTACK」とシールドゲージ周りの表示に違いがある。数字の下にはパワーアップ段階が表示されている
「ADVANCED」では、得点倍率の上昇度合いが高いため、スコア稼ぎにはぴったり。オプションを開放したいなら、まずはこのモードを集中的にプレイするといいだろう

 「ADVANCED」は、難易度は「ORIGINAL」と同様4つ+「ENDLESS」の5つ。このモードでは、最大7段階にフロント/ワイドショットがパワーアップするのが最大の特徴。アイテムキャリアを攻撃すると出現するパワーアップアイテムを取っていく毎に、フロントショットは1度に発射する弾数が増え、さらに連射スピードも向上していく。ワイドショットも基本的に発射する弾数が増え、さらに連射スピードも向上し、カバーできる範囲が増える。撃墜されるとパワーは1段階下がる。

 反面、シールドはパワーアップすればするほど、最大量が減っていく。初期状態では100%だが、1つ取ると90%、2つ取ると80%と減っていき、7段階目では最大30%しかシールドが使えなくなる。

 また、このモードでは出現アイテムも別の役割が持たされている。「ORIGINAL」同様に出現する青いフラッシュアイテムは同じく画面中の敵弾を全部消去し、敵にダメージを与えるが、同時に自機のパワーアップを1段下げる。もう1つ、黄色の「イエローフラッシュアイテム」は、フラッシュアイテムの能力に加え、画面上の敵弾を紫色の得点アイテムに変える効果を持つ。こちらも取得時にショットパワーが1段階下がる。

 このモードにおいては、シールドにも追加要素がある。シールドで敵弾を受けるとイエローフラッシュアイテム取得時と同じ形の得点アイテムを生み出す。この得点アイテムは、シールドを発動し続けると、自機の周りをゆっくりと円運動して周回するようになる(イエローフラッシュアイテムで出現した得点アイテムもシールドを展開すれば同様となる)。この時の得点アイテムには攻撃力があり、シールドで防御しながら自機の周囲を攻撃できるようになるが、シールドと違い、敵弾を消してくれるわけではないので注意。得点アイテムは、ボタンを離すかゲージの残りが0%になり、シールドの展開を終了した時点で回転を止め、自機へと吸い込まれるような動きをとる。

 このモードでの稼ぎ要素は、「ORIGINAL」同様に敵編隊を連続で撃破していくことによる基本倍率の上昇がまず重要。この倍率は難易度によって上限値が変わるが、敵を逃すごとに下がっていき、特定エリアごとに一定値にリセットされる。なお、パワーアップが7段階目の場合は、敵を逃しても、基本得点倍率は下がるが、パワーアップは7倍未満には下がらない。

 もう1つの稼ぎ要素として、前述のこのモードならではの得点アイテムの存在も重要だ。得点アイテムはその時点での画面左のスコア倍率表示に対応して得点が上昇し(高ければ巨大化する)、出現後は自機に向かって吸い寄せられるような動きをとる。この得点アイテムは自機がアイテムを回収できた時点で得点となるため、回収前に撃破された場合は無効となる。

 このモードでは、パワーアップすればするほどボーナスを得やすくなる(『ORIGINAL』よりも基本倍率を上げやすい)が、シールドを展開できる時間および消去できる敵/敵弾が限られていくため、パワーアップはリスクを伴う。基本倍率を上げたいならどんどん敵を撃墜し、そのためにもパワーアップするのが最も効率がいいが、とくに、難易度によってはシールドを使わないと突破できないような状況も起こりがちなので、シールドの残量を考えると、どこまでパワーアップさせるかは状況と腕との相談ということになるだろう。フラッシュアイテムをうまく使いこなしてパワーアップをコントロールすることが重要になってくる。また、ショットパワーに応じてシールドをうまく活用し、得点アイテムによる攻撃もうまく組み込んでいく必要がある。なお、コンティニュー時は左右にアイテムキャリアが出現し、2段階パワーアップが可能だ。


中ボスなどを撃破すると得点アイテムが出現する。出現後は自機に向かって吸い込まれるように動く。得点倍率が高いほど、アイテムが巨大化するシールドで敵弾を受け止めても得点アイテムが出現。シールドを展開している間は自機を中心に回転する回転中の得点アイテムは攻撃判定を持っているが、敵弾は防げない

● タイムボーナスを稼いで先を目指す「TIME ATTACK」

 スタート時は90秒の持ち時間があり、エリアクリアする度に追加されるタイムボーナスでプレイ時間を延長しながらラストステージを目指すモード。撃墜されると5秒のペナルティとなり、残りタイムが0になるとゲームオーバー。エリアクリアでボーナスタイムがもらえ、さらに他のモードで出現する1UPアイテムと同じ形のタイムボーナスアイテムをゲットすると+15秒が稼げるようになっている。難易度は設定されていないが、このモードでは自機の生存時間に呼応するように敵のランクが変化していく要素も取り入れられている(逆に撃破されることを重ねると敵のランクが下がる)。

 ショットパワーやシールドの仕様は「ORIGINAL」と同じ。ミスしたりザコをなかなか撃破できないと先がどんどん苦しくなるので、シールドを併用しつつ稼げるところでどんどん時間を短縮していくスリリングなプレイが楽しめるモードだ。

自機が撃破されると-5秒されるエリアをクリアするとボーナスタイムがもらえる他のモードでは自機が1機増えるアイテムは、このモードでは+15秒となる

● 遊ぶことでどんどん充実していく「OPTIONS」

縦画面でのプレイにも対応している

 本作の「OPTIONS」は、前述の通り、ゲーム中に獲得したスコア(ゲームオーバー時に自動で記録される)が「TOTAL SCORE」として記録されており、一定以上になると「OPTION LEVEL」がアップする(最高はLEVEL 50)。「OPTION LEVEL」がアップすることにより、残機の数、コンティニューの数、自機のカラー変更、壁紙の種類などが増えていく。レベルが上がれば、Xbox LIVE上での「LEADERBOARDS」にアップロードされているリプレイのダウンロードも可能となる。「OPTION LEVEL」は、「REPORT」の項目で現在のレベルと次のレベルアップに必要なスコアが表示されている。

 縦画面STGではお約束の縦画面プレイも「SCREEN SETTINGS」の項目で実現可能。画面の上下、左右への回転だけでなく、ゲーム画面の大きさを変更したり、画面アスペクト比も16:9だけでなく16:10にすることもできる。また、爆発や各種エフェクトのON/OFFなど、細かい項目の調整が可能となっている(『OPTION LEVEL』で調整できる項目が増える)。

 残機、コンティニュー数がこうした「OPTION LEVEL」で開放されていくという仕掛けは今までのゲームにもあった仕様だが、本作の必要スコア設定に関しては、序盤は必要スコアが低めに設定されているので、プレイするたびにどんどん開放されていくのは気持ちいい。ゲームに慣れ、スコアが向上していけば、それだけ新しい項目が開放されやすくなるので、実績とあいまってプレイ時の1つの指針として役に立ってくれるだろう。なお、「TIME ATTACK」だけはスコアが計上されないので、「TOTAL SCORE」が変化しない。



■ ワンダースワン用STGタイトルももれなく収録


 本作には、ワンダースワン向けに開発されWebで限定発売された「ジャッジメント シルバーソード」、外伝作品「カーディナルシンズ」が収録されている。この2タイトルはゲームシステムの面で「エスカトス」の祖といえる作品で、2タイトルともソースコードレベルで移植を行ない、処理落ちなども開発者自らが調整。その再現度はかなりのものだ。なお、「OPTIONS」の「SPRITE LIMIT」でオリジナル同様のちらつきを再現するか否かを選べる。

 「ジャッジメント シルバーソード」をプレイすると、見た目こそ2Dタイトルだが、「エスカトス」と操作面、システム面で共通の部分がプレイしやすく(シールドの同時押し操作がないなど違いはある)、なおかつこのタイトル独自のプレイ感覚が楽しい。「カーディナルシンズ」は、ミニゲームを連続プレイする内容になっており、これまたやめ時が難しい1本だ。未経験の人には2作とも、「エスカトス」に負けず劣らずの出来と太鼓判を押してあげたい。

 なお、この2タイトルでは、縦画面プレイ、そしてリプレイの記録はできないので注意したい。


シンプルながらも「エスカトス」のゲーム性の元祖といえる内容とボリュームを持つ「ジャッジメント シルバーソード」多彩なミッションを次々プレイする「カーディナルシンズ」も非常にテンポよく遊べる

■ 何度も遊びたくなるシンプルさとスピーディさに「職人の仕事」を感じる

「OPTION LEVEL」は累積スコアで開放されていく。遊びやすさとあいまって、筆者のようなヘタクソでもいろんな機能が使えるようになっていく

 3タイトルとも、敵の種類はさほど多くないが、その攻撃の組み合わせ方がテンポよくプレーヤーを追い詰め、プレーヤーの意識の集中→開放をうまく繰り返して遊ばせる、いい緊張感を保てるような作りになっているのが非常に気持ちいい、というのが共通点になるだろう。「エスカトス」に関しては、ほとんどロードを感じさせないシームレスなステージの作り、背景のスクロールやステージアングルの演出によって、スピード感がより感じられるように作られているので、スピーディーさからくる爽快感も十分感じられる。

 また、難易度の違いによる差別化もうまく仕込まれていて、同じ敵でも攻撃の頻度、弾の大きさ、弾速などできちんと難しくなっていくようにできている。STGが得意、という人でなければ難易度「HARD」以上は最初はちょっとお先真っ暗、という気分になるかもしれないが、画面中が弾だらけ、というタイプのSTGが苦手な人でも「NORMAL」あたりで十分楽しめる作りになっていることがうれしい。家庭用STGとしては、難易度「EASY」でもノーコンティニューでクリアするには少し難しめだと思われるが、だらだらせず遊べる適度な緊張感を生み出す敵の動きやゲーム自体のテンポのよさで、ついつい最後まで遊んでしまうし、ランダム要素もあるとはいえ、敵の攻撃をまず覚え、対処法を考えつつ遊んでいけば、すべてが「理不尽だ!」とはいえない絶妙なレベルチューニングになっていると感じられる(ラスボスはちょっとつらいだろうが……)。

 また、スコアで開放される「OPTION LEVEL」のおかげで、どんどん遊びこんでいけば残機も増やせるし、クレジットも増えていき、スタートステージも選択できるようになるので、練習モードがなくとも十分な作りになっている。

 「エスカトス」で気になることがあるとすれば、やはりカメラアングルが変わる前後の挙動だろうか。カメラが変わっている間に自機のコントロール方向を見失って激突することがあったり、巨大なオブジェクトの影に隠れてしまって撃破されたりといったことが起こるのはちょっと残念だ。合間にあるデモシーンでは、シーン突入前に出現したパワーアップアイテムは自動でゲットするようになっているなど、カメラアングルの移動に関しては、ただ問題を放置しているというわけではないのはわかるのだが……。それと、敵機のレーザーの音はもう少し大きくてもよかった気がしないでもない。

 最後に、本作の大きな魅力をもう1つ挙げるとすれば、やはりBGMになるだろう。安井洋介氏の手による「エスカトス」のサウンドは、パソコンならMSX2~X68000あたり、家庭用ゲーム機ならメガドライブあたりの世代でゲームミュージックにハマッたことのある人なら琴線に触れるであろうメロディアスな主旋律と、FM音源8音+PCM8音程度の設定で制作されたノイズをうまく使った存在感のある音色が画面の印象とうまくかみあっており、まさに「STGのBGMはこうだ!」と感じられる、意識を高揚させるに十分な魅力あるものになっている。個人的にはベースやクラッシュシンバルの音色にグッときたが、オーケストラヒットやハンドクラップに涙する人も多いだろう。初回版付属のサウンドトラックはもとより、別売のサウンドトラックも堪能させてもらっている。

 いろいろ書いてきたが、発売から1カ月以上が経過しても、個人的にはまだまだ遊び足りていないと感じさせる1本で、いまだゲームに遊ばれているような状態だが、それでも「よくぞこのゲームを出してくださった」と思えるし、出会えた自分は幸せだ、と素直に思える1本だ。「久々に縦スクロールSTGをプレイしたくなった」というようなリターン組のプレーヤーさんにはぜひお勧めしたい。とくにBGMだけでも聞いてもらいたいが、プレイしながら聞くとこれがまた一層心に刺さるものがある。メロディアスなBGMが主食、というゲームミュージックファンも、STGが苦手でも、ぜひチャレンジしてみていただきたい。

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(2011年 5月 20日)

[Reported by 佐伯憲司 ]