★オンラインゲームファーストインプレッション★

美少女フィギュアがガトリングを連射!
明るくカワイイオンラインTPS

「トイ・ウォーズ」



 ガンホー・オンライン・エンターテイメントが、1月31日よりクローズドβテストを行なっている「トイ・ウォーズ」は、フィギュアが戦うオンラインTPSだ。プレーヤーはフィギュアを操作し、最大16人の対戦を繰り広げていく。

 カジュアルな雰囲気、7つの武器を所持している自由度の高いプレイスタイル、高低差のあるマップと、様々な特徴を持ったゲームである。クローズドβテストではライトユーザーと、対戦に慣れた感じのコアプレーヤーが入り交じる激しい戦いが展開している。今回はファーストインプレッションとして、ゲームの各要素と感触を語っていきたい。


■ 人が寝静まる夜、フィギュア達の大戦争が始まる! 「ハルヒ」や声優など今後の展開も注目

フィギュア達が戦うTPS。イメージはライトだが、駆け引きは本格的
フィギュアならではの「小さな視点」が楽しいナイト・イン・ザ・ハウス

 「トイ・ウォーズ」は、韓国SK-imediaが開発したオンラインTPSで、韓国では「H.A.V.E online」というタイトルでサービスが行なわれている。大きな目を持つかわいらしいデザインの「美少女フィギュア」が戦うTPSとして強いインパクトを与える作品だ。

 本作に登場するフィギュアは美少女風の「プリンセスシリーズ」のほか、電池やマウスなどジャンク部品を組み合わせた「ブレイカーシリーズ」、妖艶な美女風の「ディーヴァシリーズ」がある。この他、美青年風の「ヒーローシリーズ」も今後追加される予定だ。様々なアバターパーツが用意され、自由なカスタマイズが楽しめそうだ。

 「トイ・ウォーズ」の最大の特徴は“フィギュアの大戦争”というコンセプトだろう。特に「ナイト・イン・ザ・ハウス」というマップは実際の部屋をイメージしており、コンセプトを明確に提示している。キッチンやテーブルなどのオブジェクトがフィギュアのサイズに合わせてモデリングされていて、自分がフィギュアになったかのような視点が楽しい。「自分のキャラクターは小さなフィギュアなんだ」と実感できるマップだ。

 そしてその戦場で戦うのは、体に似合わない巨大な武器を持って戦うフィギュア達だ。フィギュアが持つ武器はアニメのキャラクターのようなカリカチュアされた武器で、細い腕ではとても持てないようなガトリングガンや、薬のカプセルのような弾を打ち出すグレネードランチャー、戦闘に使うには不似合いな釘抜きの付いたハンマーなどがある。この、アニメ的な感覚が楽しい。マップも全体的に明るく、本作にはリアル感からは離れた、「戦争ごっこ」というイメージがある。この明るい雰囲気は本作の大きな魅力といえるだろう。

 本作は明るくライトな間口の広いイメージがあるが、軽いだけのゲームではなく、ゲーム性そのものは奥深い。プレーヤーキャラクターは7つの武器を常に持ち歩いており、いつでも自由に持ちかえられる。バズーカーやグレネードランチャーで牽制、ガトリングガンで援護射撃、近付いたらショットガンという感じで、キャラクターのポテンシャルを活かすことができるプレーヤーはかなりの力を発揮できる。やり込むことで強くなれるゲーム性だ。

 また、本作の「将来性」も注目の要素だろう。「トイ・ウォーズ」は今後、「涼宮ハルヒの消失」や「ストライクウィッチーズ」といったアニメ作品とコラボレーションを行なう。ハルヒや長門、みくるといったキャラクターのアバターが登場するという。さらに声優ユニット「ゆいかおり」によるオープニングテーマや、有名声優による声の出演など、オンラインシューティングに新しいファン層を獲得するための施策を盛りこんでいく。これからさらにどんな展開を見せるか、楽しみなタイトルだ。


左からプリンセスシリーズ、ブレイカーシリーズ、ディーヴァシリーズ
多彩な武器を状況に合わせて使うのが楽しい。TPSなため、キャラクターを出さずに窓や障害物の向こうをのぞき込むこともできる

■ 7つの武器を瞬時に切り換え、自在に戦え! アバターのカスタマイズも期待

ゲーム内のポイントで買える武器。性能が少し上だ。アイテムは現在のところレンタル品のみだ
スナイパーライフル。撃つには静止しなくてはならないため、攻撃される危険も高い

 「トイ・ウォーズ」では, プレーヤーキャラクターは7つの武器を常に持ち歩いている。ハンマーなどの「近接武器」、中距離で連射できる「マシンガン」、近距離に強い「ショットガン」、スコープをのぞいて狙撃できる「ライフル」、連射して弾をばらまく「ガトリング」、一直線に飛ぶ弾体を発射する「バズーカ」、放物線を描く弾を発射する「グレネード」。これら7つの武器を切り換えながら戦っていく。

 フレキシブルに武器が変えられるゲーム性は、戦いに独得の駆け引きをもたらしている。開始した瞬間カプセル弾を発射するグレネードで撃ち合い、そこからライフルやバズーカでの遠距離火器で牽制し、ガトリングで前線へ激しい銃弾を浴びせる。近寄られたら瞬時にショットガンに持ち替え、近接戦にチェンジする。また、隠れている敵にバズーカを撃ち込み爆風でダメージを与えるなど、臨機応変に武器を持ちかえ活用するのが楽しい。

 ただし、この自由度の高いゲームシステムは、ゲームの難易度を上げている一面もある。瞬時に武器を持ちかえ、状況に合わせた戦い方をしなくては勝ち星を得られない。うまいプレーヤーの状況判断と使い方の巧みさには感心させられるが、そこまでに達するにはかなりの修練が必要だ。最低限、キーボードを見ずに望みの武器が使えるぐらいにはなっておきたいところだ。

 プレイを重ねることでよりよい武器の使い方が見えてくる。敵がたくさんいるところに突っ込んで行くにはガトリングが最適だ。ガトリングは作動から射撃まではわずかにタイムラグがある。壁に隠れて作動させ、それから出て行く様にするのがいい。またチームデスマッチで仲間が至近距離で戦っているときに援護する場合にもガトリング、バズーカ、グレネードを状況に合わせて使うのが楽しい。また、近接武器を持っていると移動速度が上がり、2段ジャンプが可能になるという特性は常に頭に入れておきたいところだ。近接武器で戦場を駆け回り、良い位置を確保するために、使いこなしたい武器である。

 本作は基本プレイ無料のアイテム課金制の正式サービスを予定しており、クローズドβテストでもいくつかのアバターアイテムや武器をゲーム内ポイントで買うことができた。武器に関しては、「カスタムマシンガン」、「クイックショットガン」など通常よりもちょっとだけ強い武器が販売されており、1日レンタルと1週間レンタルが選ぶことができた。

 アバター系のアイテムは防御力や移動速度が増すなどの実用性も兼ね備えている。まだ種類は少なかったが、特にプリンセスシリーズは服によって大きくイメージが変わるのが面白かった。アバター要素の充実は本作の大きなセールスポイントということで, どんなものが追加されていくのか注目である。

 フィギュアの肌の色が変えられても面白いと思うし、妖艶なイメージのディーヴァシリーズにかわいらしいイメージの服をまとわせるなどイメージの変化もできるといいなと思う。グラマーにしたり、スレンダーにするなど体型を変えられても面白い。どんなバリエーション展開をしてくれるか楽しみだ。


左からバズーカ、グレネードランチャー、ショットガン。切り換えは数字キーで行なう
左は近接武器を持っての2段ジャンプ。中央はマシンガン。右はガトリングガンだ
アバター要素。現在のディーヴァ用の服は黒いものばかりで、あまりイメージが変わらない。今後どんなものが追加されていくか楽しみだ


■ 個性豊かな3つのマップ。どう戦うか、研究と攻略が必要

ロード画面では各マップのイラストが見られる
ブレーカーシリーズはパーツそのものがダイナミックに変わる。カスタマイズしがいのあるキャラクターだ

 クローズドβテストでは「ナイト・イン・ザ・ハウス」、「ジャンクリング」、「キャストファクトリー」の3つのマップで対戦できた。対戦ルールはフリーフォーオールと、チームデスマッチの2つだ。シンプルだが、「トイ・ウォーズ」の魅力を体験でき、可能性を実感できた。

 ナイト・イン・ザ・ハウスは夜の部屋で、人形達が動き出し、人知れず戦いを繰り広げているというのがコンセプトだ。フィギュアから見た人間の住む部屋は巨大で、抜け道などもいっぱいある。テーブルの脚で敵の攻撃を防いだり、台所のシンクに隠れたりと、自分の小ささを実感できるのが楽しい。また、マップのあちこちにフィギュア用のトランポリンがあり、乗ることでビヨーンとジャンプできる。このジャンプを駆使した攻防戦も熱いマップだ。

 ジャンクリングは他のマップと比べると高低差がなく、マップもせまいため、リスポーンポイント(再出現地点)から飛び出し、銃を乱射しながらぶつかりあって、倒し倒されるというサイクルが繰り返されるマップだ。敵との距離が近く、常に双方が力の限り撃ち合っているという、にぎやかなマップでもある。何も考えず前に突っ込んでは死ぬだけだし、かといって立ち止まっていたらたちまち蜂の巣にされてしまう。ここでどう生き残るか、というのは今後研究されていくテーマだろう。

 キャストファクトリーは2つの建物の間に障害物が置かれた通路があるという、オーソドックスな構造の対戦マップだ。建物には複数の出口がありそこから狙撃ができる。地下には通路がありここの攻防も熱い。どう進むかどう戦うか考え、実行していくのが楽しい。通路中央のコンテナはそこに穴があいており、そこから地下通路のど真ん中に落下することもできる。地上、地下共に行き来するプレーヤー達のぶつかりが激しい。


 今回ひととおりプレイしてみた感じでは、経験者と初心者の実力の違いを強く感じる。FPSなどの対戦プレイになれている人は動きから違う。特にお互いをカバーして連携している人達の動きはよかった。筆者の直面している問題は、やはり1対1になったときの弱さだ。スペースキーを連打しぴょんぴょん跳びながら、ショットガンに切り換え、相手にポイントして的確に倒す。この対戦シューティングならではのコツを体得できれば、もうすこし勝率が上げられるのではないかと思う。

 初心者が繰り返し何度も倒されるという状況から抜け出すためにどうするか。「トイ・ウォーズ」は間口が広いオンラインゲームだけに、多くのユーザーを獲得するためには、初心者が参考にでき、戦い方を模索できるような働きかけをどうするかがテーマだと思う。クラン活動や、ユーザーの攻略と情報共有など、公式とユーザー間両方のコミュニティーの活動に期待していきたい。

 なお、まだCBTということで、プレミアム要素については今後期待される部分だが、個人的には「もうすこしフィギュアならではの要素が欲しい」と思った。特にプラモデルのようなブレイカーシリーズは、体のパーツが直接武器になるような大胆なアレンジがあっても楽しいのではないか。

 実際におもちゃの要素を取り入れたオンラインゲームとして「SDガンダム カプセルファイター オンライン」があるが、この作品ではカラー変更アイテムが塗料の瓶の形をしていたり、新機体をゲットするのにカプセルマシンを回したりと、おもちゃを思わせるギミックを大事にしている。本作もフィギュアならではの特色をもっともっと強調して欲しい。

 近年の日本のフィギュアの進化は驚くべきもので、そのクオリティーの高さは他国の追随を許さない。可動式フィギュアの進化は特にめざましい。「トイ・ウォーズ」のコンセプトはこうしたフィギュア業界の盛り上がりから生まれたものだと感じた。筆者の夢としては、権利関係の問題等で実現が難しいとは思うが、海洋堂の「リボルテック」シリーズとMaxファクトリーの「Figma」や「ねんどろいど」シリーズが戦場でぶつかりあったらものすごく楽しいのではないだろうか。「フィギュアが戦う」というコンセプトは、夢が広がるテーマである。


最も本作らしいナイト・イン・ザ・ハウス。構造そのものは左右対称で、中央の高い場所の取り合いも熱い
地上と地下でどう突破し、戦うか。他プレーヤーとの連携も重要となるキャストファクトリー
狭い空間で激しい攻防戦が繰り広げられるジャンクリング

(C)2010 SK-IMEDIA Co.,Ltd./ Gravity Co., Ltd./ GungHo Online Entertainment,Inc.

(2011年 2月 7日)

[Reported by 勝田哲也 ]