PS4/Xbox One/PCゲームレビュー「バトルフィールド:ハードライン」

バトルフィールド ハードライン

究極の“ケイドロ”ここに極まる!
充実の質と量で長く遊べること請け合い

ジャンル:
シューティング
ゲーム
発売元:
エレクトロニック・アーツ
開発元:
エレクトロニック・アーツ
プラットフォーム:
PS4 / PS3 / Xbox One / Xbox 360 / Windows PC
発売日:
3月19日 (PS4 / PS3 / Xbox One / Xbox 360)
バリバリ撃ちまくる系の警察&ギャングのバトル

 およそ半年の発売延期を経て、ついに3月19日に発売された「バトルフィールド:ハードライン」。「Battlefield(BF)」ファンを待たせた甲斐あって、非常に丁寧な作り込みと遊びの幅の広さを備え、マルチプレイFPSとして期待以上の出来栄えに仕上がっている。

 「Dead Space」シリーズなどで知られるVisceral Gamesによる本作は、警察と犯罪者が戦うチームプレイFPSとなっている。犯罪者といっても麻薬汚染地域を支配する広域シンジケートクラスの犯罪者たちで、その装備は軍隊なみ。対する警察側も、SWATレベルの重武装でこれに応えるとなれば、「BF」らしいド派手なドンパチが繰り広げられるのは絵に描いたよりも明らかだ。

 というわけで従来とは違った「BF」ワールドを見せてくれる本作だが、本家「Battlefield 4」のエンジンを流用したスピンアウト作……と一言で片付けてしまうのは全く不可能なほど、ユニークでオリジナリティにあふれた作品にもなっている。最大の特徴は、銃撃戦に特化したゲーム性を突き詰めたからこそ可能となったといえる遊びの幅の広さ。近年のFPS界で主流のひとつとなっているフリーミアムのオンラインFPS以上に持続的に遊べるほどの内容と、最新AAAタイトルとしてのリッチさを併せ持つという稀有なゲームだ。

息つく間もない銃撃戦! マルチプレイゲームは丁寧な作りかつ遊びのバリエーションも豊か

狭い屋内での戦いが多く、ゲームテンポもすこぶる速い
近接遭遇が頻発する「Dustbowl」のBポイント
乗り物も多数あるが、非武装タイプがメイン。戦闘は徒歩が基本

 本作のメインコンテンツはマルチプレイだ。基本的なゲームモードとなる「コンクエスト」や「ハイスト」、「ブラッドマネー」、「ホットワイア」については、2月のオープンβテストのレポートなどでお伝えしたとおりのテイストから大きくは変わっていないが、改めて製品版を手にしてプレイしてみると、作中で味わえる遊びの質の高さやその幅広さが印象的だ。

 まず“質”の点。オープンβ時点から比べるとショットガンの威力がやや弱体化したのが個人的には残念だったが、それでも接近戦にアツくなれる基本のゲーム性は健在。その上でさらにやりこんでみると、各マップの構成が非常に良く練られていることがわかる。

 例えばβテストでもプレイできた「コンクエスト」モードのマップのひとつ「Dustbowl」では、A〜Eまで6カ所用意されている占領ポイントでそれぞれ違った戦い方ができるようになっている。屋外の拠点となるAポイントではロングレンジの撃ち合いと、障害物を使った回り込み、乗り物によるロードキルを狙うなどのオープンな立ち回り。Bポイントは小部屋の連なるモーテルで、部屋毎に連続する遭遇戦、出会い頭の一撃に重きがある。Cポイントは地下1階地上3階の立体的な建物で、各フロアの階段を中心に上下運動の激しい戦いが味わえる。Dポイントはごく狭い車庫となっていて、立てこもり作戦が有効。Eポイントは平屋のガソリンスタンドで、出入り口がやたら多いため複数人でのカバーリングが重要となる地勢だ。

 各ポイントで求められる立ち回り方がこうも違ってくることが印象に残るのは、本家「Battlefield」とは違って登場兵器の火力が限られていて、ほぼ全編を通して徒歩での撃ち合いに終始することになるからだ。戦車で建物を轢き潰して、空からの爆撃で更地にする、といった大雑把な戦い方が封印されている反面、ラウンドを通して各ポイントの地形をよく把握してのスピーディな撃ち合いが展開するし、それを見越してマップも丁寧にデザインされているというのが本作の良い所である。

屋内戦はショットガンやSMGが楽しい。「BF4」ではアサルトライフル一筋縄だった筆者も本作では「エンフォーサー」や「エンジニア」で接近戦を楽しんでいる
製品版で追加されたゲームモードのひとつ「レスキュー」。10対10、リスポーンなしで人質を巡って戦う
ラウンドスタート時の一斉ダッシュは「Counter-Strike」風味
手狭なマップで裏の取り合いがアツい

 発売時点で用意されている全9つのマップがこのようなノリで作りこまれているので、「コンクエスト」モードだけでも何ラウンドプレイしても飽きることはない。それに加えて争奪物の奪取を巡って戦う「ハイスト」モード、札束の回収で競い合う「ブラッドマネー」、車泥棒で走り回る「ホットワイア」などのオリジナルなゲームモードがさらに遊びのバリエーションを広げてくれる。

 ただ、マッチングのシステムがたくさんのゲームモードを遊ぶためにデザインされていないことが惜しいところだ。各モードは、そのモードで稼働中のゲームサーバーが存在し、さらに充分な人がそのサーバーにいないことには遊ぶことができないのだが、少なくとも現在のところ日本やアジア圏で稼働しているゲームサーバーは「コンクエスト」と「ハイスト」がメインで、「ブラッドマネー」や「ホットワイア」はごくわずか。このためプレイしたくてもなかなかプレイ機会に恵まれないゲームモードというのが出てきてしまっている。

 特にひどいのは製品版で追加された「レスキュー」と「クロスヘア」の2モードだ。これらのモードはいずれもリスポーン無しで人質の救出・防衛、VIPの護衛といったミッションを3分ほどのラウンドでプレイするもので、「Counter-Strike」のようなe-Sports系チーム戦FPSの香りがし、少なくとも個人的にはとてもおもしろい。グレネードランチャーやC4爆薬で倒壊する建物といった派手派手な要素もあって従来の少人数制FPSとも違ったテイストがあってユニークでもあるのだが、いかんせんサーバーが全くない。アジアにはゼロで、北米には少しあるが、人が充分にいるサーバーは多い時でも3つか4つ程度である。

 という意味では、本作は遊びの幅を本家以上に広げることに気合を入れすぎた感はある。特に5対5の少人数制となる「クロスヘア」あたりは、フリーミアムのオンラインFPS的に、ゲームモード毎のロビーシステムやピアツーピアの接続システムがないことには遊びとして本当に成立することは難しそうだ。たまたま人がいるサーバーでちょっと試してみる分にはそう不自由はないが、専門的にプレイしたり、5対5のクラン戦みたいなことをやりたければ、自前でプライベートサーバーをレンタルするくらいしか手段はない。

 このようにいくつかシステム的に残念なことになっているゲームモードはあるものの、今後様々なエクスパンションが登場していくなかで変わってくる部分もあるだろう。まあ、当面は「コンクエスト」、「ハイスト」、「ブラッドマネー」あたりだけでも半年は遊べそうな勢いがあるので、さほど重要な問題ではない。逆説的には、このように重要ではない問題に筆を割いてしまうくらい、本作はスキのない作りになっていると言える。実際、狙撃よりも近距離での打ち合いを好む筆者としては本家「BF」より気に入ってるほどだ。

敵を拘束して尋問するとレーダーに敵チームの位置が表示されるなど、本作ならではのアクションもいい味を加えている
スケール感と緻密さが混在する各マップ。ロングレンジの打ち合いも楽しいが、出会い頭のスリルは本家「BF」の10割増し

唸らされる映像。麻薬戦争を描くシングルプレイキャンペーン

主人公ニック・メンドーサ。正義感溢れる刑事だ
「BF」らしく乗り物で暴れまわるシーン
ステルスプレイで敵を拘束。本作のメインとなる戦い方だ
うっかり銃撃戦に。ハンドガン1丁では分が悪い
眼力さえ感じさせるキャラクターの緻密な描写が見どころのひとつ

 「BF」シリーズにはハリウッドスタイルのシングルプレイキャンペーンがつきものだが、そこは本作も例外なし。麻薬のブラックマーケットに汚染されたマイアミで、広域マフィアと腐敗警察の双方に戦いを挑む正義の警官、ニック・メンドーサが主人公となる全10章の物語だ。

 ギャングと警察幹部が実は裏でつながっていて……という設定はクライムアクションモノの映画ではありがちだが、本作ではその王道を踏襲しつつも、「Battlefield」らしいスケールの大きさと、「Battlefield」らしくないゲームプレイの双方でユニークな内容に仕上がっている。

 まずスケールの大きさという点では、舞台はマイアミを中心としたアメリカ3州とメキシコに広がり、小洒落たダウンタウンから熱風吹きすさぶ荒野、じめじめとした湿原などなど変化たっぷりのロケーションで各ステージが構成されている。車に乗っての移動やアクションシーンもかなり多めなほか、あるステージでは完全武装の戦車も操縦できるなどまさに「Battlefield」らしく、刑事ドラマの枠を大きくはみ出したダイナミックさが印象的だ。

 それでいて「Battlefield」らしくないというのは、基本的に各ステージの攻略がステルスプレイを基調としていることだ。ギャングがたむろするオフィス、工場、その他の様々な施設に突入、攻略するというのが基本となるプレイなのだが、あくまで主人公は警察官。多勢に無勢では火力が不足する。正面から突っ込んで暴れまわるのは正直分が悪いため、遠目から敵の配置をスキャンし、安全な経路を見つけ、背後から忍び寄って拘束していくというのが攻略の本道というデザインになっているのだ。

 そういったゲーム性になっていることもあって、各ステージとも様々な攻略法が試せるのが面白い。グラッピングフックやジップラインといった立体移動用のガジェットも使い、周囲の地形を100%活用しながらギャングの索敵網のスキを突いていく。敵それぞれの視界は割と狭いため単独の敵を静かに仕留めるのはたやすいのだが、複数人がいやらしい配置になっていることも多く、うっかり接近がバレて銃撃戦に発展することもしばしば。このあたり「HITMAN」や「Splinter Cell」シリーズといったステルスアクション系の面白さが本作でも充分に表現されていて、マルチプレイのド派手感とは全く違ったテイストで遊べるのが良いところだ。

 映像的な完成度の高さにも注目したい。作中はやたら長いカットシーンが多いのがゲーム的に玉に瑕ではあるのだが、風景と人物の描写はかつて見たことがないほどの水準の高さだ。とくにグラフィックス面で印象的なのはキャラクターの“眼”。眼力を感じさせるキャラクターの表情が、リアルタイムレンダリングとは思えないほどの高い質感で描かれる。ゲーム界最高水準のインゲームシネマティクスだ。

 ストーリーラインも充分な盛り上がりとカタルシスの瞬間があり、主人公であるニック・メンドーサの人間味にも共感できるだけに、溜まりに溜まった鬱憤を晴らす趣向のラストシーンで思いっきりスカッとすることができた。このシングルプレイキャンペーンは全編を通して遊ぶことでマルチプレイにも登場する各種武器やガジェットの使い方もマスターでき、1粒で2度美味しいといった感じである。

 マルチプレイ、シングルプレイともに「Battlefield」らしさとらしくなさの両方を兼ね備え、独自性ある良質なゲームに仕上がった本作「バトルフィールド:ハードライン」。今季注目のFPSとして、ゲームファンならぜひ触っておくべきタイトルだ。

(佐藤カフジ)