(2013/12/13 00:31)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、ニンテンドー3DS用冒険パズルRPG「パズドラZ」を12月12日に発売する。価格はパッケージ版が4,400円、ダウンロード版が4,000円。CEROレーティングはA(全年齢対象)。今回は、ゲーム序盤のファーストインプレッションをお届けする。
2,100万ダウンロードを突破し“国民的パズルゲーム”と呼ばれるまでに成長したスマートフォン版。もはや説明不要の領域だが、一方で3DS版について「スマートフォン版の移植でしょ?」と勘違いされているかたもおられるかもしれない。先日のインタビュー記事でも触れられているが、本作はパズルの基本システムを適度にアレンジし、コンシューマならではのストーリーや演出がふんだんに盛り込まれている。
本稿では、3DS版とスマートフォン版の違いをいち早く理解していただくべく、序盤の展開をなぞりつつゲームの各ポイントをご紹介していく。「パズドラ」ファンはもとより、最近興味を惹かれたという方々は、ぜひご一読いただきたい。
レンジャー本部で試験に挑戦 ~「パズドラZ」の世界に飛び込め!~
ドラゴンと人間が共存する世界、ドラクメシア大陸。大気中には「ドロップ」と呼ばれる精霊たちの力が存在。ドロップには「火」、「水」、「木」、「光」、「闇」といった5種類の属性があり、同じ属性の「ドロップ」をそろえたとき大きなエネルギーが発生する。
プレーヤーこと主人公は、「ドロップ」を自在に操る特殊能力者「ドラゴンマスター」を目指す新米ドラゴンテイマー。ゲームは自分の部屋で寝ていた主人公が母親に起こされるところからスタート。「ドラゴンテイマー」の試験を受けるべく、友だちの「ニック」、「サラ」とともに「レンジャー本部」に向かう。
レンジャー本部では、ワタリ隊長から「D-ギア」とモンスターの「エッグ」3つを渡される。「D-ギア」は、つかまえたモンスターの出し入れに必要なドラゴンテイマー専用端末。ドラゴン研究所内にある「エッグ解析装置 ZEUS」で「エッグ」からモンスターを生み出したら、「モンスターBOX」で3体のモンスターをチームに組み込む。最大5匹(後に助っ人1匹)でチームを編成するが、うち1匹は「リーダー」となる。
各モンスターは、一部をのぞき「スキル」と「リーダースキル」が設定されている。「スキル」は「スキルポイント」を消費して攻撃、防御、回復などさまざまな特殊効果を発揮する。「リーダースキル」はチーム全体に影響を与える強力な能力がそろっており、チーム編成で「リーダー」に設定されたモンスターと助っ人モンスターの能力が発揮される。
チームを編成したら、試験用のVRマシンでダンジョンに挑戦。この試験がいわゆる“チュートリアル”となっており、「パズドラ」初体験の人でもすぐ遊び方がわかるようになっている。クリアすると、主人公の成績などが記録される「テイマーカード」をゲット。ローカル通信を使えば、テイマーカードに記録されたデータを他ユーザーと交換できるようになる。
ドラゴンの子供「シロップ」との出会い ~悪の組織「パラドックス」出現!~
試験クリア後、ワタリ隊長から初任務をおおせつかり外に出ると、空から降ってきたドラゴンの子供「シロップ」と遭遇。以後行動を共にする「シロップ」は、冒険をナビゲートしてくれるサポート役。ボケることが多い他キャラクターへのツッコミもこなす、頼もしい相棒だ。
シロップをともない本部に戻ると、突如街の様子が一変。悪の組織「パラドックス」の手により、町の四方がジグソーパズル型に大きくえぐりとられてしまう。世界の崩壊をたくらむパラドックスの野望を阻止すべく、主人公は各地のダンジョンを攻略して「世界のピース」の力を解放し、世界を元に戻していくことになる。
町とダンジョンがある全体マップの行き来は、Yボタン一発でオーケー。町中のどこにいてもYボタンだけですぐ外に出られる便利さに最初は驚かされたが、これはスマートフォン版ユーザーへの配慮かと推察される。Yボタン一発の出入りだけでなく、Bボタン押しっぱなしのダッシュ移動も快適で、ちょっとしたことではあるが「丁寧な仕事をしているなぁ」と感心させられる。
パズルシステム ~自動で経験値が入り成長していく快適さ~
先日の山本プロデューサーインタビューでも触れられていたとおり、3DS版はプラットフォームを前提としたアレンジとバランス調整が行なわれている。パッと見で一番大きいのは、共有されたスキルゲージでモンスターのスキルを自由に使えること。スマートフォン版にはないスキルも多数あるといい、このあたりは先々が本当に楽しみで仕方がない。
バトルシステムでは、やはり「Zドロップ」が一番の注目ポイントだろう。他のドロップと異なり“光っている”「Zドロップ」を消すと、まばゆいエフェクトとともに大ダメージが炸裂。さらにコンボで炸裂させると飛躍的にダメージが増す。最奥にボスがひかえるダンジョンでは「直前までのバトルで、いかに『Zドロップ』を温存するか」が重要になってくる。
バトルで敵モンスターを倒すと、アイテム「エッグ」と「チップ」を落としていくことがある。「エッグ」は「エッグ解析装置 ZEUS」でモンスターを生み出すか、もしくは「モンスター強化装置 ATHENA」でパワーアップに使用。「チップ」は「モンスター進化装置 HERA」でレベルと無関係に対象モンスターを進化させられる。山本氏によれば、落とす「チップ」の色は敵モンスター属性で固定されており「この属性のチップが欲しい」といったときは各ダンジョンの出現モンスターをチェックして再チャレンジするのが効率的。山本プロデューサーによれば、ドロップ率はコンボ数が高いほど期待できるという。
モンスター育成では、一般的なRPGよろしく「バトルごとに獲得した経験値が自動加算され成長していく」ことがあげられる。プレイスタイルによっては好みがわかれるかもしれないが、個人的には「チームに組み入れて戦わせているモンスターが成長していくほうが理にかなっているし、ゲームを進めていくにつれ思い入れも深まっていく」という点で好印象だ。
絶妙な難易度曲線を描くダンジョン ~分岐、障壁、宝箱が適度なエッセンスに~
各エリアにある最終ダンジョンの最深部では、5元素を司る5匹のモンスター「天空龍」がボスとして君臨する。これを倒すことで、世界がひとつずつ元に戻っていく。
こう書くと「なんだ簡単そうじゃん!」と思われそうだが、天空龍のもとへはそう簡単にたどりつけない。途中にあるダンジョンでは、通常エンカウントのほか、パラドックスの刺客たちが次々と前に立ちはだかる。エリアが進むごとにダンジョンはボリュームを増し、内部の仕掛けなども増えていく。
ダンジョン内部の仕掛けは、分かれ道、障害物、宝箱がメイン。分かれ道はいきたい方向と同色のドロップを揃えて消すだけ(事故で「Zドロップ」などが消えないよう上段側ドロップを使うのがおすすめ)。障害物は、ドロップを消して一定以上のダメージを与えて破壊。宝箱の開錠は、それぞれ「○色のドロップを×個消す」などの条件を満たす必要がある。失敗すると、障害物はハズレ(?)進路にオートで移動、宝箱は未開錠のまま放置して先に進むことになる。
今回プレイできた範疇は、序盤といいつつも既に相当なボリュームで、分岐や仕掛けがゲーム進行に比例して目に見えて増えていく。メタドラのシンボル直前にある障壁を越えられず愕然としたり、「いかにも!」な位置にある宝箱にやっとたどりついたと思ったら開錠条件をクリアできず悔しい思いをしたり、文字どおり一喜一憂。そのうち宝箱手前のエンカウントで「念のためここでZドロップを使わずとっておいて……」などと本末転倒なことさえ考え出す始末。
ひたすらダンジョンを攻略するのも楽しいが、3DS版はそうした展開に“いい塩梅”で各所にフックが配置されている。問題はメタドラシンボルなどが魅力的すぎて、場合によってはそっちに意識が集中しかねないことだが……。
魅力的なキャラクター&世界観と定評あるパズルの融合 ~配信ダンジョンも期待大!~
スマートフォン向けのゲームとして揺ぎ無い地位を確立し、さらなる飛躍を遂げつつある「パズドラ」。3DS版最大のライバルは、他ならぬスマートフォン版。ゆえに当初は「変化球でくるかな?」といった予測もあったが、山本氏をはじめとする開発スタッフは“直球”で勝負に出てきた。
キャラクター、ストーリー、マスコット的なモンスターなど、すべてが“王道路線”に基づいた本作に、すれたゲームマニアは「あー、なるほどね」とタカをくくるかもしれない。だが、王道だからこそ磨き上げられた「パズドラ」のシステムがより輝き、その光沢がゲーム世界全体をまばゆく彩る。その相乗効果は申し分なく、「スマートフォン版ユーザーが、コンシューマ要素に面倒くささを感じないだろうか」といった杞憂も、BボタンのダッシュとYボタンのエリア移動で雲散霧消。ノリのいいキャラクター間のやりとりも楽しく、素直に気持ちよく遊ぶことができる。
インプレッションの範疇は超えてしまうが、今後配信予定の追加ダンジョンにも相当な期待がもてる。最初のダンジョンクリアに6時間を費やした筆者ごときでは、ストーリークリアだけでも壮絶なボリュームといえるのだが……追加ダンジョンは、質と量を求める中~上級者にも十分なモチベーションと手応えを与えてくれるはず。ベタな表現ではあるが、老若男女、誰でも楽しめる仕上がり。「パズドラ」ファンやパズルが好きな人はもちろん、長く遊べる良質の作品をお探しの方にもおすすめしたい1本だ。
(C)GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.