PSPゲームレビュー

「モンハンポータブル」最新作ついに発売!
めくるめく“狩祭り”解禁!充実度120%な脅威のハンティングアクション!

「モンスターハンターポータブル3rd」

  • ジャンル:ハンティングアクション
  • 発売元:カプコン
  • 価格:5,800円
  • プラットフォーム:PSP
  • 発売日:発売中(2010年12月1日 発売)
  • プレイ人数:1人(アドホックモード時最大4人)
  • CEROレーティング:C(15歳以上対象)


 12月1日、ついに待ちに待った日がやってきた。今や“日本中を1番熱くするタイトル”へと成長した「モンスターハンター」(モンハン)シリーズの中でも、PSPを持ち寄ってワイワイと楽しめる強みを持つ「モンスターハンターポータブル」(MHP)シリーズの最新作「モンスターハンターポータブル 3rd(MHP 3rd)」の発売だ。

 「MHP 3rd」は、世界観をシリーズ初の和のテイストを感じさせるものに一新し、温泉が名物な拠点の村「ユクモ村」をはじめ、シリーズ最多な全12種類となった武器、「渓流」などの多彩なフィールド、そこに待つ多数の新モンスターたち、ほかにも新たな要素がたっぷり。狩りの魅力はそのままに、新しい新鮮なハンター生活が待っている。すでに多くのファンがプレイ中と思うが、今作から始めてみたい、こんなに話題になるゲームがどんな内容なのか気になるといった方々に向けても、改めて「モンハン」の魅力をお伝えしていこう。


【オープニングムービー】


■ 山奥に湧き出る秘湯を中心に発展した「ユクモ村」、大充実のオトモアイルー、便利になった改善点がたくさん!

もはやゲームファンでなくともその盛り上がりを知るところとなった「モンハン」。「MHP」シリーズの最新作が「MHP 3rd」だ

 まずは「モンハン」というゲームはどんなゲームなのか簡単に解説しよう。言わずと知れた大ヒットシリーズであり、説明不要な方も多いと思うが、簡単に触れておきたい。

 「モンハン」はプレーヤーが1人のハンターとして村で暮らし、狩猟生活を楽しむアクションゲーム。討伐したモンスターから骨や皮を、大自然のフィールドからは薬草などの植物や鉱石などの各種素材を採集できる。そうした素材を使い、狩猟に役立つアイテムを調合したり、多彩な武器や防具を生産して、さらに強力なモンスターへと挑んでいく。

 1人で遊ぶシングルプレイはもちろん、最大4人で協力しての狩猟も可能なのが最大のポイント。据え置き機種のシリーズではオンライン通信による最大4人同時プレイが、PSPの「MHP」シリーズではPSP本体を持ち寄ってのアドホック通信で4人同時プレイが楽しめる。

 クエストを受け、モンスターを狩り、準備をして、またクエストを受けてというシンプルな流れのゲームで、プレイのテンポが良い。それでいて多彩なモンスター、豊富な武器や防具、手応えのあるアクションと、たっぷり遊び込めるボリュームがある。そうした要素を他のハンターとも協力して盛り上がれるというのが「MHP」最大の魅力になっている。

 「モンハン」シリーズはプレイステーション 2とWiiで登場した据え置き機種でのナンバリングシリーズと、PSPでの「MHP」シリーズ、Xbox 360やPCで展開している「フロンティア」があるが、「MHP」シリーズはナンバリングシリーズをベースに多数の要素が盛り込まれ、独自の世界観で楽しめる、いわばスペシャル版。今回発売された「MHP 3rd」は、Wii「モンスターハンター3(tri)」(MH3)のフィールドやモンスターたちをベースに、多数の新モンスター、便利な新システムが盛り込まれ、新フィールドの「渓流」や拠点となるユクモ村などの「和」を感じさせる独自のテイストに仕上がっている。

ハンターとして村で暮らし、狩猟生活を楽しむ「モンハン」シリーズ。ゲームのおおまかな流れは、村を拠点にクエストを受けて、たくさんのモンスターを狩り、手に入れた素材でより強力な装備を作り、さらに強力なモンスターへ挑む。シンプルだが奥深いゲームだ

今作のハンターの拠点である「ユクモ村」。温泉を中心に発展した村で、昇り階段の左右に建物が並んでいる
ユクモ村の象徴とも言える集会浴場の“温泉”。つかることで体力やスタミナがアップする

 今作でのハンターの拠点となるのは、山奥に湧き出る秘湯を中心に発展した「ユクモ村」。山間の谷にある村で、1番奥の高い場所に温泉のある集会浴場があり、そこへ続く上り階段の両脇にいろんな建物があるという独特な作りをしている。紅葉が美しい温泉地だ。

 ユクモ村はざっくりとわけると3段になっていて、1番上が集会浴場。「MHP2nd G」までで言うところの集会所だ。ユクモ村の特徴でもある温泉もここにある。階段をひとつ降りた真ん中の段には、自宅とその奥に訓練所、右手には、村長やアイテムを販売する行商人がいて、その先にある橋を進むと、いわゆる村クエストの出発口になっている。もうひとつ降りた下の段はお店が集中していて、雑貨屋、武器屋、加工屋、オトモ武具屋、ユクモ農場が並ぶ。

 上り坂のような谷間の温泉村という個性的で凝った村だが、広さも適度で施設の位置が理解しやすい。自宅と集会浴場が繋がっていて、集会浴場のクエスト時に装備変更がしやすいし、村クエストを遊ぶときでも、村長からクエストを受けてそのまま右へ進めば出発できる。また、村クエストを受けた後にアイテムを買いに行きたくなった場合でも、雑貨屋に寄りつつそのまま1番下まで降りれば出発できるので行ったり来たりせずに済む。クエストに行くときの道筋がスムーズになるよう、よく考えられていると感じた。

 ユクモ村の象徴とも言える集会浴場の“温泉”は、ハンターにとっても嬉しいものだ。温泉に入ることで、体力が増えたり、スタミナが増えたりする。また、温泉の横で売っているドリンクは、“ドリンクスキル”という特別なスキルを発動させてくれる。

 温泉は「温泉クエスト」というクエストをクリアすることで、その泉質をより良くできる。ドリンクも同様に「ドリンククエスト」をクリアすることで増やせる。このクエストは温泉の入り口にある番台のアイルーから受注可能だ。1度クリアしてしまえば、良い泉質の温泉に入れる。これはシングルプレイでもパーティープレイでも、クエスト攻略の助けになるのでこまめにクリアしておきたい。

温泉の泉質を高めて効能をアップさせるには、「温泉クエスト」をクリアしないといけない。同様に風呂上がりの1杯で特殊なドリンクスキルを発動できるドリンクも、ドリンククエストをクリアすると種類が増える

今作ではオトモアイルー関連が大充実。ネコバァからや、他のハンターとのやりとりで、最大25匹を雇える
攻撃方法、標的の傾向、性格など、細かな能力の違いがあり、個性的なオトモアイルーにできる

 今作では「オトモアイルー」関係の要素がとても充実しているのもポイント。シングルプレイ時には2匹を、2人プレイ時でも各自1匹ずつを連れて行けるので、少人数でのクエストも楽にプレイできる。もちろん腕に自信がある人は連れて行かなくたっていい。ちなみにオトモアイルーは村の中でも付いてきてくれるようになった。一緒に温泉に入ったりもできて、愛らしい姿がたくさん見られる。

 「オトモアイルー」の装備を扱う店「オトモ武具屋」も初登場。ハンター用の装備を作った時などにできる「端材」で、専用の武器や頭と胴の防具が作成できる。武器は斬撃タイプか打撃タイプがある。オトモアイルー自身にも、攻撃方法のタイプや、特殊な行動に影響する性格、オトモポイントで習得できるスキルなど、カスタマイズ要素が非常に豊富だ。

 「オトモアイルー」は自宅横にいる「ネコバァ」に紹介してもらって、最大25匹まで雇える。25匹というと必要以上に多いと感じるかもしれないが、今作ではクエストに連れて行く2匹以外に、ユクモ農場を拡張できる大型採取施設を利用するときに手伝ってもらったり、雇っている「オトモアイルー」を最大4匹まで編成してニャンタークエストに行く「モンニャン隊」などもある。遊びこむにつれて、いろんなタイプのオトモアイルーを雇いたくなる。

 また、「オトモアイルー」は、ネコバァから雇う以外にも、オンラインの集会浴場で一緒に遊んでいる人とやり取りしたり、「オトモ配信」というアドホック通信で配布したり受け取ったりすることもできる。「オトモ配信」はPSPをスリープモードで持ち歩いて、同じようにオトモ配信状態のPSPを持った人を探し続け、見つけるとお互いのオトモアイルーを受け渡しするシステム。自分の「オトモアイルー」を配信すると共に、他プレーヤーから1度に3匹を受信でき、同時にギルドカードを配信することもできる。出かける際にはぜひ試してみよう。

 ちなみにオトモアイルーの配布は自分の「オトモアイルー」がいなくなるわけではないし、デメリットは何もないので、どんどんやり取りして大丈夫。特別配信のオトモアイルーをあげたりすると、喜んでもらえること間違いなしだ。

オトモアイルーの装備を扱う「オトモ武具屋」も登場。武器、頭パーツ、胴パーツを、ハンターの装備を作った時に出る「端材」で生産できる

 様々な素材が手にはいる「ユクモ農場」。こちらも「MHP2nd G」の農場から一新されたところで、新要素もたくさんありの、盛りだくさんな場所になっている。畑での種や実、草の栽培、鉱石掘り、キノコ栽培、ハチミツ採取、虫捕りカゴでは香液のエサをセットすることで、集まった虫を1度にゲットできるようになった。魚も「仕掛け網」という網を引き上げて1度に獲得できるようになっている。「MHP2nd G」までと違い、採集をよりスムーズに行なえるようになっている。釣り自体はクエストのフィールド等で楽しめる。

 ユクモポイントという、クエストで手に入れた精算アイテムを納品するともらえるポイントで、ユクモ農場の施設拡張も行なえる。この中には、新要素のオトモアイルーだけでニャンタークエストに行く「モンニャン隊」や、肉や魚を最大10個まで焼ける「10連よろず焼き」なども、施設拡張で登場する。ちなみに「モンニャン隊」に編成したオトモアイルーは自分のクエストには連れて行けないので、別に雇っておくのがいいかもしれない。

様々な素材が手に入る「ユクモ農場」。こちらにも便利かつユニークな要素がたくさんある。画像は上が肉や魚を最大10個まとめて焼ける「10連よろず焼き」、下は「オトモアイルー」たちだけで専用クエストに出発する「モンニャン隊」だ。モンニャン隊はクエストに連れていく2匹とは別になる。思いがけず良い素材を採ってくることもある

 アイテムの調合も非常に便利になった。従来の所持アイテムの調合やボックス内の調合はもちろんとして、リストのアイテム名から逆引きでの調合もできるようになった。作ったことがないアイテムでも「????」と名前が伏せられつつも調合可能かどうかはわかる。「あれは何と何で作るんだっけ……?」と材料を忘れてしまったときでも、手間無く作れるようになっている。

 装備を登録して呼び出せる「マイセット」も、今作では武器や防具に装着する「装飾品」も登録されるようになってかなり便利になった。装飾品によって追加されたスキルも1発で呼び出せる。


画像の左は「リストから調合」の画面。完成アイテムからの逆引きで調合できるようになった。右の画像は、「マイセット」の画面で、防具に装飾品をつけてある。装飾品もまるごと登録されるようになった。どちらも細かい点だが非常に嬉しい改善ポイント


■ 風情のある景色が広がる「渓流」! シリーズ最多12種類の武器! 狩りはよりエキサイティングに多彩に!

風情のある美しい景色が広がる新フィールドの「渓流」。夜だと雲のかかった大きく明るい月が見える

 ユクモ村を見て回ったら、いよいよクエストに出発! 今作にも特徴の異なる多彩なフィールドがあるが、最初に訪れることになるのは新フィールドの「渓流」だろう。「渓流」は、ユクモ村近隣の緑豊かな山中が舞台の新フィールド。清涼感のある川や滝、紅葉で色づいた木々が美しい、今作を象徴するような場所だ。

 風情のある美しい景色が広がり、小川のせせらぎには、大きなダチョウ? のようなクジャク? のような姿のモンスター「ガーグァ」が佇んでいる。ゆるやかな起伏や細かに描かれた木々、竹林もあったりと造りが凝っていて、グラフィックスも「MHP2nd G」以上にキレイになっている。ちなみに渓流の夜には、大きな満月に雲がときおりかかり、非常に味わい深い、何かを予感させて心をざわめかせるような光景が広がる。これもすごくキレイだ。

 このほかのフィールドは、「MH3」に登場したフィールドが中心になる。砂漠の海が広がる「砂原」、熱帯のジャングルのような「水没林」、海の前に広がる森林地帯の「孤島」、このほかにも「凍土」や「火山」など、条件の厳しいフィールドが待つ。「MH3」を遊んだ方なら「『MHP』シリーズでもここまでできるのか」と再現度の高さに驚き、「MHP2nd G」から移行した方なら、初めて見る新鮮さを楽しめるはずだ。

 ちなみに「MH3」では一部フィールドを泳いで移動する水中の要素があったが、今作では水中だった場所は浅瀬になっていて立って移動できる。このように、孤島や水没林などエリアが新しくなっているところもあり、「MHP 3rd」ならではフィールドに仕上がっている。

左から順に、「砂原」、「水没林」、「孤島」のフィールド

「MH3」から登場した新種類の武器「スラッシュアックス」も「MHP」シリーズ初登場。変形のギミックもしっかり楽しめる
「MH3」には登場しなかった“双剣”、“ガンランス”、“狩猟笛”、“弓”も、新アクションや新しい連携ができるようになって登場!シリーズ最多となる全12種類の武器が楽しめる

 「MHP 3rd」に登場する武器ジャンルは、前作の11種類の武器にスラッシュアックスが加わった全12種類。シリーズ最多の種類になっている。「MH3」をベースに新しい攻撃アクションになっているほか、「MH3」には登場しなかった“双剣”、“ガンランス”、“狩猟笛”、“弓”も収録されていて、攻撃アクションや連携が新しくなっている。

 筆者がメインに使っている武器は「スラッシュアックス」。「MH3」から登場した、斧モードと剣モードに変形する変幻自在の斬撃武器だ。重量感のある斧での攻撃から、流れるようにRボタンで変形させつつ剣モードへ、最後に属性開放突きでフィニッシュ!このギミックを駆使して攻撃のラッシュを決める手触りもバッチリ楽しめる。

 「MH3」には登場しなかった武器も試しに使ってみた。双剣は攻撃のバリエーションが増え、鬼人ゲージという鬼人化中に攻撃を当てると溜まっていくゲージが加わっている。ゲージを最大まで溜めて、鬼人化を解くと鬼人強化の状態になるので、攻撃速度アップや鬼人回避ができるといった感じだ。手数の多さとラッシュのぶん、斬れ味の鈍りには気を配らないといけない。

 ガンランスは砲撃後にタイミングよく○ボタンを押すことで1発だけ弾薬を補充できる「クイックリロード」が加わったり、叩きつけからのフルバーストといった連携攻撃などがある。よりテクニカルに、攻撃のチャンス時に一気にダメージを狙える印象がある。

 狩猟笛は笛を振って攻撃することで音色が溜まり、狩猟笛をぶんまわしつつ音色の組み合わせができたところで演奏してサポート効果を発動させるといったように、積極的に攻撃しながら演奏できるようになった。ガツンガツンと狩猟笛を当てつつ音色を出し、モンスターの攻撃をヒョイっと交わしつつ演奏する、という華麗な立ち回りが楽しめる。

 弓には新たに“曲射”という攻撃が加わった。特殊な矢を上空に放ってモンスターへ降り注ぐようにして攻撃できる、かっこよさ抜群のアクションだ。いっぱいまで引き絞ると着弾地点に丸いサークルが出現するので、それを目安に矢を放つ。その感覚は近代兵器で爆撃を行なうかのよう。放ってから落ちていくまでに少し時間差があるので、モンスターの動きを先読みするのもポイント。うまく狙うのが楽しい攻撃だ。

 このほかの武器も新しい攻撃方法や連携が加わっていて、このレビューのこともあって武器をとっかえひっかえ触っていると「あ、これも面白いなあ」と目移りしてしまった。どの武器も個性が増していて、使いこなしてみたくなってくる。お気に入りの武器で一通り楽しんだら、気になっていた他の武器でやりこんでみたくなるわけで、それだけでも果てしなく遊び込める。

左から順に、狩猟笛、弓、スラッシュアックスを使ってプレイしているところ。いずれのアクションも楽しくて、お気に入りの武器以外も色々と使ってみたくなる

「オトモアイルー」を2匹連れて行けるおかげで、シングルプレイも相当に楽になった
「オトモアイルー」はモンスターをめまい状態にしてくれたり活躍してくれる

 武器の話で言うと、武器は大きく分けて「切断系統」のものと「打撃系統」などの種類がある。武器や攻撃方法でも異なるので、それについては取扱説明書をご覧頂きたいのだが、大事なのは使い分け。例えば切断系統は、尻尾を切り落としたり、文字通り切断するのに有効で、打撃系統はモンスターのスタミナを奪ったりめまい状態にさせたりできる。

 嬉しいのは、“自分の使用している武器の性能をオトモアイルーの武器でカバーできる”ことだ。例えば筆者はスラッシュアックスを持っているので切断はできるが打撃ができない。そこで「オトモアイルー」には打撃の武器を持たせたわけだ。自分は部位の切断を狙い、「オトモアイルー」がスタミナを狙ってくれる。「ケルビ」をめまい状態にさせた時に剥ぎ取れる「ケルビの角」も、オトモアイルーのがんばりで獲得できた。

 プレイしていると、前作以上にアクションの手触りが良くなっているように感じた。基本的な操作のリズムに違いはないが、微調整がされているのか一体感が増したように思える。こうした手触りに加え、各種武器の魅力もあり、お気に入りの武器以外にもいろいろと挑んでみたくなる。

 クエストをプレイしてみると、「オトモアイルー」を2匹連れて行けるのでかなり楽にプレイできるようになったと思える。「オトモアイルー」が攻撃に参加してくれるのはもちろん、モンスターを引きつけてくれればターゲットが自分以外に向くので、回復などのタイミングが取りやすい。シングルプレイをやりこむのも遊びやすくなったのではと思う。

 「MHP2nd G」でストレスになっていたところもしっかり改善された。ひとつは、ポーチの改善で、クエスト中のポーチには「臨時ポーチ」という特別枠が増えた。手に入れたアイテムがいっぱいになってしまっても、この臨時ポーチのぶんアイテムを持ち帰れる。臨時ポーチに入ったアイテムは、クエスト終了時に自動でアイテムボックスに送られる。

 また、クエストのベースキャンプ地点には、アイテムを自宅のアイテムボックスに配達してくれる“タル配便”のニャン次郎もいる。ポーチ内のアイテムを預けて、自宅に無料で送り届けてくれる。さすがに配達してくれるのは1クエスト中につき1度だけだが、臨時ポーチの存在とタル配便で、アイテムが満杯になってしまうストレスはほとんどなくなったと言っていいだろう。

アイテムを自宅のアイテムボックスに配達してくれる“タル配便”のニャン次郎。採集でアイテムがいっぱいになってしまっても、1クエストにつき1回のみ、持ち帰れるアイテムはすべて預けて配達することができる

「MHP」シリーズでは厳しいのかも? と思われていた複数のモンスターの狩猟もしっかり再現されている

 モンスターの動きはより滑らかに、行動バリエーションも増えた。後ろにあとずさりながら向きを変えたり、突進して前に滑りつつ向きを変えたりと、「MHP2nd G」での直接的な動きはかなり減り、躍動感のある動きになっている。「MHP2nd G」との間に「MH3」をプレイした人なら、この躍動感のある動きにも慣れていると思うが、「MHP」シリーズのみプレイしている方には相当新鮮に映るだろう。シリーズ作でお馴染みのモンスターでも動きはかなり変わっている。

 モンスターにはスタミナの要素も加わっている。打撃の攻撃を当てていくなどで、モンスターの行動が鈍る。スタミナを回復しようと、モンスターそれぞれが回復行動を取るために移動したりするのもポイントだ。始めはとんでもない勢いで攻撃してきて避けるのが精一杯なモンスターでも、スタミナ切れを狙えば反撃のチャンスができたりと、立ち回り方のバリエーションが増している。

 小型のモンスターもジャギィを筆頭に“群れの動き”をリアルに見せる。常に群れで行動しているジャギィは、ドスジャギィと一緒の時には普段見せない統率された動きを見せるなど、より深くなった生態を感じ取れるようになっている。

目的のモンスターを狩猟しても終わらない「乱入クエスト」。初めて体験する乱入クエストはインパクト抜群だ

 今作では、いつもと違った様子のクエストもある。その名も「乱入クエスト」。例えば通常の狩猟のクエストならターゲットのモンスターを狩ってクエストは完了になるが、乱入クエストだった場合はそれで終わらない。

 画面に大きく表示される「WARNING!」の文字。音楽も不穏なものに変わり、何か予想外のモンスターが近づいてくる。恐怖ともワクワクする気持ちが入り交じった感情が沸いてくる。乱入クエストの初体験は、おそらくほとんどのハンターにとって突然のもので忘れられないインパクト抜群のものになるはずだ。それをぜひご自身で味わってもらいたい。

 こうした様々な要素によって、狩りの様子はよりアグレッシブになり面白さが増していた。前述のようにモンスターの動きが多彩になり、スタミナがなくなると攻撃に変化がでたり、スタミナを回復しにいったり、展開にもバリエーションがついた。また、フィールドにある朽ちた木だったり、遺跡の柱だったりが、衝撃で崩れ落ちたり、大型モンスターの突進で倒れたりという場面も見られた。単調さを感じさせない変化に富んだ狩りが楽しめるようになったという印象だ。



■ 最大の魅力である“協力プレイ”もより楽しく! アドホック・パーティー「MHP 3rd」特設ワールドは大賑わい!

PS3を経由させることで、インターネット経由にアドホック通信プレイが楽しめる「アドホック・パーティー」。「MHP 3rd」仕様の特設ワールドが用意されている

 「モンハン」の魅力といえば、なんと言っても“最大4人で挑むクエスト”にある。「MHP」シリーズではPSPを持ち寄って、アドホック通信での協力プレイが楽しめることが大きな魅力で、どこかに集まって遊べるのがポイントだ。

 もうひとつ別の方法もある。プレイステーション3があれば、プレイステーション 3とPSPを通信させて遠くの人とも協力プレイができる「アドホック・パーティー for PlayStation Portable」を活用できる。アドホック・パーティーは、ロビーの中にルームを作り、そこに入った人とPSPのアドホック通信プレイを一緒に遊べるというもので、「MHP 3rd」仕様の特設ワールドが用意されている。詳しくはこちらの記事をご覧頂きたい。

 アドホック・パーティーの「MHP 3rd」特設ワールドを覗いてみると、恐ろしい数のプレーヤーで埋め尽くされていた。一緒にパーティープレイを楽しむ相手には事欠かない。ちなみに発売後すぐにサーバーが増強されたので、混雑もほどよいぐらいに解消されている。

 アドホック・パーティーでは、アルファベット文字のワールドがあり、番号が振られているロビーに入る。ロビー内でルームを作るか、他のプレーヤーが作ったルームへ入るかしたあとに、「MHP 3rd」側でオンラインの集会浴場へと移動すれば、ルーム内のメンバーと通信が開始されるという仕組みだ。簡単に言えば「ルームに入って決まったオンライン集会浴場のルームにいけばいい」だけ。アドホック・パーティー側でキーボードを使ったテキストチャットや、ヘッドセットを使ったボイスチャットもできるので、それらが用意できるとなお良い。

「MHP 3rd」仕様の特設ワールドは、BGMや効果音、さらにルーム内で使えるアイコンまで、全てモンハン仕様。ワールド公開時から、とてつもない数のプレーヤーでにぎわっている

協力プレイ時には、仲間と一緒に温泉に。一緒にアクションをしてみたりと、ちょっとしたコミュニケーションを楽しめる
ギルドカードを交換したハンターが、シングルプレイの集会浴場に出現する「ふらっとハンター」。温泉の泉質が上がったり、アイテムをくれたりする

 実際に集まってのオンラインプレイも、アドホック・パーティー経由のプレイも、基本的には同じ流れ。オンライン集会浴場のクエストカウンターでクエストを受注し、他のメンバーがクエストボードから同じクエストに参加する。準備ができたら出発だ。

 ちなみにアドホック通信中の温泉の効果は、オンライン集会浴場にいる各プレーヤーの泉質から、“体力とスタミナのアップ効果が最も高い泉質”が自動で選ばれる。簡単に言えば全員1番いい効果の温泉に入れるわけだ。

 ちなみにギルドカードを交換しておくと、そのプレーヤーがオフラインプレイ時の集会浴場に現われる「ふらっとハンター」という要素もあって、この時は集会浴場に現われる人数に応じてよい泉質の恩恵を受けられる。それ以外にも、話しかけるとアイテムがもらえたりすることもあるなどいいことばかり。ギルドカードをどんどんやり取りしよう。

 クエストの合間には温泉に入って体力とスタミナを高め、ドリンクを飲んでドリンクスキル発動を狙うのが基本的なプレイの流れになる。クエスト、温泉とドリンク、またクエスト、といったような流れだ。仲間のハンターもみな同じタイミングで温泉に入ってくるので、そこで方向キーやボタン操作をして、手を叩いたりおもちゃを浮かべたりといったアクションをしてみると、一緒になってアクションしてくれたりして盛り上がれる。

 クエストがボードに貼り出されるまでの間、アクションのステップをしていると、仲間のハンターが横に並んで一緒にステップをしはじめたり。こんなちょっとしたコミュニケーションが楽しいのも「モンハン」の魅力。温泉が特にそうだが、そういうお遊びを楽しむタイミングがうまいこと入っていて、よくできているなぁと感じる。

 協力プレイに嬉しい細かい改善もされている。エリア移動中のローディング中のマップ表示でも、他のハンターの動きやペイントをつけたモンスターの動きがわかるようになっているのは細かなところながら嬉しい。

最大4人でのワイワイと楽しむ狩りは圧倒的な面白さ。協力して難関クエストに挑戦し、一喜一憂する
群れで行動するモンスターが入り交じってくると、ハンターたちと入り乱れるよりエキサイティングな場面が増えた
他のモンスターを呼び寄せるなどの声マネや踊りが特徴の「クルペッコ」。画像ではロアルドロスを呼び寄せている
弱ってきたらトドメ、もしくは捕獲のチャンス! うまく連携して追い込んだり捕獲したりがまた1段と楽しい

 アドホック・パーティーで4人のメンバーを組み、あるモンスターの討伐クエストに挑んだ時のこと。自分が2回、もうひとり仲間が1回やられてしまい、惜しいところでクエスト失敗になってしまった。「あちゃ~……。」という重い空気のなか、申し訳ない気持ちで「すいませんー……。」と謝る自分。「ドンマイです!」と優しく励ましてもらったが、このままでは気持ちは納まらない。仲間は許してくれても、自分が自分を許さない。自分の失敗を許すためにはリベンジするしかない。狩りの負い目は狩りでしか、返せない……!

 「リベンジさせてくださいー」とお願いすると、メンバーも快く承諾してくれた。この悔しい気持ちはモンハンで協力プレイをした方なら、誰しも1度は味わったことがあるはずで、その気持ちを理解してくれたのだ。普段なら問題なく立ち回れるモンスターが相手でも、何か動きが噛み合わなくて危険な攻撃をもろに喰らってしまったり、そんな時に限って運悪く避けようのない攻撃を続けざまに喰らってしまったり。そんな時がある。

 リベンジというのは2度目には勝たないとより状況を悪くしてしまうものだ。自らのミスでクエストを失敗してしまったというプレッシャーから、2度目も同じように自分がミスしてしまったらという、考えてはいけない想像をしてしまう。追い込まれる。

 だがこの緊張感がいい感じに作用すると、慎重さと大胆さの入り交じったバランスのいいプレイに繋がってくれる。モンハンのプレイはもともと、モンスターの隙を突いて攻撃し、やりすぎない程度で攻撃の手をひっこめて回避に備えるという、攻守のバランスがうまく取れるかが基本になる。しかも攻撃から回避へは、武器をしまう納刀からダッシュ、そして回避と、独特の硬直時間を考慮した上で、ある意味モンスターの動きを先読みして行動するのがポイントになっている。回復アイテム使用の硬直などもそうだ。反射神経次第のものではなく、自分の行動を自分でバランスよく切り変えていくのが重要。そこが破綻して攻撃一辺倒になったりすると、思いがけないミスに繋がったりする。

 慎重に、回避を優先してターゲットが自分以外に向いているときを中心に攻撃を狙っていく。尻尾の切断や、大きなダメージを与えつつひるませることもできる頭を、的確に攻める。モンスターの猛反撃を連続して喰らってしまい気絶状態になった仲間には、素早く近寄ってセレクトボタンでキックし気絶から回復させる。

 スタミナが減ってきたのか、モンスターの動きが鈍っていく。倒れ込んだモンスターにここぞとばかりに集中攻撃を浴びせる。体を引きずるようにして逃げていくモンスター。追っていった先で、落とし穴の罠をしかける。ピコーンピコーンという、罠を設置した音に反応し、仲間が周囲を見渡してそれを確認する。罠をはさんでモンスターと対峙するように、自然と移動していく。集まったハンターに向かって最後の体力を振り絞って突進してくるモンスターが、落とし穴に、落ちた。すかさず捕獲用麻酔玉を投げると、罠にはまって暴れていたモンスターはおとなしく眠りについた。

 捕獲完了!リベンジ達成! 1度失敗して空気が沈み緊張感があったぶん、喜びも大きい。「やったぜー」と言わんばかりに捕獲したモンスターの周りを走り回る。それみて、仲間も一緒になって走り回ったり、アクションをしたり。初めて対峙するモンスターを相手にするドキドキも、クエスト失敗してうなだれるのも、狩猟を達成して喜ぶのも、誰かと一緒に体験すれば、面白さが何倍にも膨れあがる。その魅力を知ってしまったら、もう止められない。

 とまあ、他のプレーヤーとの狩りの様子はこんな感じだ。読み物的におおげさに書いた部分があるので、別にクエストに失敗した時だってこれほどに深刻に捉える必要はない。ワイワイと楽しんで、失敗した時は気持ち励まし合い、クエスト達成時には喜びを分かち合う。シビアなことの少ない、気軽に楽しめる良さがある。

 一方で、シビアにストイックにやりこむと、それに見合った鋭いプレイができるようになっていくのも「モンハン」の大きな魅力だ。ドンピシャのタイミングで弱点を攻撃し、数発当てて回避、尻尾の振り回しを回転方向にあわせてキレイに交わし、回避後さらに1発というような。頭の中は瞬間的なひらめきに近いスピードで回転し、プレイ経験からモンスターの行動の先を読み、回避しつつ次の攻撃を的確に当てられるように立ち回っていく。心は空っぽに近い“ハンターの境地”とも言える領域まで、やりこみの奥行きがある。手軽にワイワイと楽しめる良さから、ストイックにやりこむところまで、楽しさの幅が広く、さらに奥深さもあるのが「モンハン」の凄さだ。



■ “狩り”を楽しんでいたはずが、自分の時間が“狩られる”!? 恐ろしいほどに楽しいモンスタータイトル!!

よりエキサイティングに、多彩になった狩りの魅力は、もはや完成度も圧倒的。たっぷり遊び倒し、友達と一緒に遊び、アドホック・パーティーで新しい狩り友を作ったり。そうしたシーン全てが本作の魅力といっていいだろう。まさにモンスタータイトルだ

 本作は、シリーズ作の魅力はそのままで不便だったところを丁寧に改善してあり、それでいて世界観やテイストは大胆に一新されていて新鮮。新しい体験、魅力がこれでもかと目白押しという、シリーズ作の理想的な形に仕上がっている。

 不満点なし。言うことなし。完成度は高く、ひとたび遊び始めると、あれもしたい、これもしたいとやりたいことがむくむくと沸き上がって、気がつくとどっぷり遊んでしまうという、恐ろしいタイトルだ。1人でやりこんでもそうだが、パーティープレイだと、楽しい時間がさらに早くあっという間に過ぎていく。

 夜な夜なアドホック・パーティーで遅くまで遊びこんでしまったり、友人と集まってワイワイとプレイしたり。目当ての素材が出るまで延々と粘ってみたり、クリアしたいクエストを手伝ったり、手伝ってもらったり。やられてしまって「ごめんー」と謝ったり、「ドンマイ!」と励ましたり。そんな日々がこれからいくらでもやってくる。それらの思い出も全部含めて、「モンハン」の魅力になっていく。その全てが最高に楽しい。

 「MHP 3rd」は、これからたくさんのシーンを生み、記録を生み、記憶に残るタイトルになるだろう。前作の盛り上がりには乗り遅れてしまったという方でも、全員が「MHP 3rd」というスタートラインに立ってプレイし始めた今なら、大丈夫。一緒に遊ぶ人がいるならなお良く、教わりつつワイワイと遊べば狩りを満喫できる。既にプレイ中の方はとことんまで楽しんでもらい、これからという方には、この言葉を贈って締めくくろう。

 「ひと狩り行こうぜ!」

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(2010年12月9日)

[Reported by山村智美 ]