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ケータイ乙女ゲームの世界に実写が光臨 現役ホストとイケナイ!? 恋を楽しもう 「リアルホストLOVE」 |
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携帯アプリの世界に“実写恋愛シミュレーション”という、ありそうでなかったジャンルが登場した。美麗なイラストで描かれた美形キャラクターたちが優雅にほほえむものという、女性向け恋愛ゲームの固定観念を打ち崩す、新たな挑戦だ。しかも恋愛対象となるのはホストで、俳優やアイドルが演じているのではなく、本物のホストの実写画像を使用しているのだ。いろいろな意味で斬新な本作に早速挑んでみた。
■ 生き別れになった兄を探すためホストクラブに潜入捜査
主人公は母親と2人で暮らすOL。ある日、母親が交通事故にあったと連絡が届いた。慌てて病院に駆けつけた主人公は、若い男性が母親に付き添って病院に来てくれたこと、入院代をすべて払ってくれたことを知る。親類の話によると、実はその男性は幼い頃に離れ離れになった実の兄らしい。
置き忘れられたタバコとライターだけを頼りに、主人公は兄を探すことになった。手がかりはライターに書かれた「Club Confidential」というホストクラブの店名。兄は「Club Confidential」で働いているのではないかと推理し、主人公はホストクラブへと乗り込んだ。
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母の入院で知らされた“兄”の存在。兄は「Club Confidential」という高級そうなホストクラブで働いているらしいが…… |
支配人でストーリーテラー的な存在の「翼」さん。いつも優しい笑顔で迎えてくれる |
素直に「あなたがお兄ちゃんですか?」と聞けばいいとか、母親や親類に聞いたり戸籍を調べたりすればいいとか、つまらないツッコミはしばし忘れて、「初めてのホストクラブ」を楽しむのが物語の前半戦。その後は、各ホストたちとの楽しい恋愛タイムが待ち受けている。ただし、恋愛に夢中になり過ぎて「生き別れになった兄」の存在を忘れてはならない。段々惹かれていく相手はもしかすると実の兄かもしれないのだ。
なかなかストレートに兄探しができない主人公にやきもきしつつ、兄の存在を意識しながらストーリーを追う。「彼のこと好きになっちゃったけど、もしかして……」という、ちょっぴり背徳的な気分が味わえるのも、本作の魅力になっている。
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料金制度や「送り指名」システムなどホストクラブのアレコレもホストたちが教えてくれる |
■ 1周24話の壮大なボリューム。真実の愛へとたどり着けるのか?
「恋愛編」、「完結編」の選択肢は、乙女ゲームでよく見られる一般的な形式のもの。彼の気に入る選択肢を選んでいけばTRUEエンドへ向かう |
本作は20時間後に次の話がプレイ可能になるオーソドックスなスタイルで、24話で1つのエンディングに到達する。1話のボリュームはやや控えめだが、24話はかなり長い。“彼”の生い立ちや気持ちにかなり深い部分まで踏み込むことになる。
24話の内容は、大きく4つのパートに分けられる。誰と恋愛するのかの駆け引きをしつつ、ホストクラブを満喫する「攻略編」8話と、8話の最後に自動決定されたキャラクターとの恋愛を楽しむ「恋愛編」10話の18話の段階で、1つ目のエンディングへと分岐する。
「攻略編」での選択肢は、誰と会うかを選択するだけの内容。攻略したいキャラクターの名前を積極的に選んでいれば、目標とするキャラクターとの恋愛編に進める。恋愛編以降は3つの選択肢から1つを選んで話を進める。攻略対象が喜びそうな選択肢を選ぶと好感度がアップし、物語がよいエンディングへ向かっていく。
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「攻略編」では選択肢の中か後にキャラクター名が表示される。お目当ての名前を発見したら、すかさず決定 |
18話目で「TRUEエンド」にたどり着いた場合のみ、「デート編」(1話)と2人に試練が降りかかる「完結編」(5話)へ進み、完結編のラストに発生する分岐で、最終的なエンディングが決まる。2人が深い愛情で結ばれるかどうかは完結編での選択肢にかかっている。
希望のエンディングにたどり着けなかった場合は、各編の最初からやり直せる。完結編で希望のエンドにたどり着けなくとも、24話すべてを再プレイする必要はなく、完結編の5話のみを再プレイできる新設設計で、同じ話をグルグルと読む手間を省いてくれる。しかも2周目以降は「攻略編」を一気に読めるようになるので、プレイ期間も短縮できる。
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各編の頭から再チャレンジできる。TRUEエンドに到達しても表示自体はそっけない |
「デート編」は、彼と待ち合わせてリアルな時間にログインするシステム。事前にオフィシャルサイトから待ち合わせ時間を選び、決めた時間にゲームを始める。前後5分以内にログインするとスムーズにストーリーが進行するが、早過ぎたり遅過ぎたりすると、ストーリーが若干変化する。ちなみにあるキャラクターとのデートで早くログインした際には「待ちきれなくて早く来過ぎちゃった」的な内容が追加されていた。「デート編」は後の好感度に影響はないそうなので、わざと違った時間にデートを開始して、さまざまな反応を確かめてもよさそうだ。
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「デート編」は待ち合わせ時間を設定してスタート。ホストクラブで会う時とは違う一面が見られる |
■ “貢ぎ物”をしつつホストを攻略。5人クリアするとラスボス(?)も登場
攻略対象は5人のホストたち。1番ホストらしい雰囲気で迫ってくる自信家な俺様プリンス「澪(れい)」、大人っぽい笑顔が魅力のクールなフェミニスト「ナオト」、硬派なツンデレギタリスト「輝流(ひかる)」、人懐っこい表情がキュートなやんちゃなムードメーカー「春(はる)」、天使と悪魔の2面性を持ち甘いものが大好きな弟キャラ「唯(ゆい)」と、タイプが異なるホストたちとの恋愛ストーリーが展開される。
それぞれ抱える問題や、大切にしているものが違う。さらに各ストーリーで、主人公の兄も違うキャラクターが設定されている(つまり各ストーリーは独立したパラレルワールドになっている)。すべてのシナリオを読み進めると、キャラクターたちの恋人の顔と、兄の顔が見られる。気になるホストを発見したら、恋人と妹を思う兄の両方をぜひ体験してほしい。
5人すべてと完結編でTRUEエンドを迎えると、「Club Confidential」の支配人である「翼(つばさ)」シナリオが解禁される。「ラスボスを倒してこそゲームクリア!」と意気込む人は、翼攻略を目指すのもよし。きっと5人とは違う、究極の恋愛ストーリーが読めるはずだ。
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5人すべてとTRUEエンドを迎えると翼シナリオが解禁される。支配人との物語に期待が高まる |
適切な選択肢を選ぶだけでも希望のエンディングへとたどり着けるが、攻略の補助として1人のキャラに対して1回だけ、プレゼントするという選択肢が発生する。プレゼントを贈れば好感度がかなり上昇するので、かなり攻略が楽になる。しかもプレゼントを貰って喜ぶスチルも見られるので、大好きなあの人を喜ばせるためだと割り切って、積極的にプレゼント作戦を選択するのもよいだろう。
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春には指輪をプレゼント。65ポイントが必要(毎月100ポイント受け取れて、追加購入も可能)だが、好感度アップとスチル1枚がオマケ。このスチルは獲得後30日間は再ダウンロード可能 | うまくシナリオを進めると、ドキドキの会話やシーンも登場する |
■ 思った以上に雄弁な“人の顔”。実写でリアル度もアップ!
本作最大の特徴は実写であること。キャラクターも背景も、もちろんスチルも、すべてが実写なのだ。もちろん恋の相手も実写。実在する人気ホストクラブで幹部を務める現役ホストたちがさまざまな表情を見せてくれる。
表情パターンは多めだが、使いまわしもあるのは従来の乙女ゲームと同じ。しかし“人の顔”はイラストに比べて格段に雄弁なのか、同じ写真を使い回していても違和感が少ない。特に前半のホストクラブでの接客シーンでは、セリフや雰囲気に非常によくあった画像が楽しめる。夜の世界がデフォルトなホストだけに、デートの際など、昼間の街中や緑の多い場面ではビジュアルのミスマッチも発生しているような気がする。しかし昼間の顔も彼の一面。珍しい場面が見られたと思うくらいのノリで強引に解釈しておきたい。
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キメ顔のほか、コミカルな表情もたくさん。物語がリアルに感じられそう |
表情パターン以上に背景画像の種類が多い。店の周辺だけでなく、デート場所や彼の家など、細かく用意された背景がリアル度を上げている。新宿周辺が舞台になっているようなので、東京に住んでいる人なら、もっとリアルに世界観にひたれそうだ。
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背景画像はかなり多い。知っている場所が出てくるかもしれない |
スチルは「攻略編」で全10枚のほか、各キャラクターごとに9枚(翼のみ5枚)と豊富に用意されており、普段とは違うドキドキのシーンが大きな画像で見られる。同系のゲームでよくあるパターンだと、ゲーム中に獲得したスチルは無料でダウンロード可能なのだが、「リアルホストLOVE」はダウンロードにさらに65ポイント必要なのが少し残念だ。
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スチルでは、彼の違った一面が見られる。オフィシャルサイトから、もっと大きな画像も確認できる |
■ とにかく“実写”が特徴。ホストクラブにも興味が湧くかも
繰り返しになるが、本作の特徴も魅力も、とにかく“実写”に尽きる。実写というだけで拒否反応を示す人もいると聞くが、筆者は実写系ゲームが大好きで、実写と聞くだけで遊びたい度がググっと上がるという難儀(?)なタイプ。「実写の乙女ゲームがある」と聞いて、1も2もなく飛びついた。
携帯電話の画面は小さいし、全員雰囲気が似たホストだし……と心配もあったが、思っていた以上に満足しているというのが正直な感想だ。画面が小さくても人の顔や表情はよくわかり、微妙なニュアンスも伝わる。シナリオにあわせて脳内で勝手に補正をかけているのか、同じ笑顔でも悲しい笑顔やニヤリと悪い笑顔など、自分の望む顔に見えてくるのも発見だった。
あまりホストクラブに縁がない筆者には、ゲーム前は全員「同じような顔のチャラチャラした兄ちゃんたち」に見えていた。イラストなら変化も付けやすいが、今回は実写だ。さらに全員がホスト。似通って見えるのも無理はない。が、ゲームが進むに連れてイメージが変わる。個性も見えてくるし、愛着も深まる。24日かけて、1人目のキャラクターを攻略する頃には、すっかりそのキャラクターに恋をしていた。続いて始めた2人目、3人目に加え、兄として登場したキャラクターにも思い入れしてしまう。まだ4人目を攻略中の段階だが、今ではすっかり全員が好きになってしまった。
遊ぶ前に抱いた不安は、自分の中ではいい方向に転がった。今回はホストクラブという、ある意味非日常な世界が舞台だったため、違和感を感じなかった部分はあるだろう。しかし、実写の乙女ゲームという方向性は、個人的にはアリだと思う。「誰が出るのか」、「どんな世界を選ぶのか」など、問題は多いと思うが、今後も少しずつでも実写乙女ゲームが出てくると嬉しいと思っている。ホスト以外にも、バンドマン、アイドル……いろいろな業界の実写乙女ゲームを期待してしまう。
困ったのは、すっかりホストクラブに興味が出てしまったこと。ゲームキャラクターたちは現役ホストなので、某ホストクラブに行けば実在の彼らにも会えるはず。つい「本物に会いたい」と考えてしまう筆者は、何かのワナにハマリかけているのだろうか。1人で行くのはさすがにムリだが、一緒に行ってくれる同士が見つかれば、ぜひ! いつかホストクラブに行くその日まで、「リアルホストLOVE」で楽しみたい。
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甘いセリフをささやいてくれるホストたちにクラクラする。ハマり過ぎないように注意が必要かも!? |
http://www.caerux.com/
(2010年5月14日)