2016年8月15日 12:00
アトラスが誇る3DダンジョンRPGの人気シリーズ「世界樹の迷宮」の新作が、ついに発売となった。3DSの下画面を用いてプレーヤー自身の手でダンジョンマップを描き、迷宮の謎を解き明かす物語は、冒険心をくすぐるものだ。
「ペルソナ」シリーズとのコラボ作品「ペルソナQ」や「不思議のダンジョン」シリーズとのコラボ「世界樹と不思議のダンジョン」そして、オリジナルキャラクターの物語を展開するリメイク作品「新世界樹の迷宮」、「新世界樹の迷宮II」をはさんだとはいえ、ナンバリングタイトルは実に4年ぶり。2014年秋の“始動”の報以降、筆者も実に待ち望んだ作品である。多くの冒険者が樹海へ旅立ちはじめたことだろう。
ついにカラーリングも自由自在! 自分だけのキャラクターで冒険しよう
「世界樹の迷宮」シリーズは、日向悠二氏の描くかわいらしいイラストとアトラスらしい戦闘のバランス、そして自分だけの地図とキャラクターが織りなす物語が魅力的なゲームだ。最新作「世界樹の迷宮V 長き神話の果て」では、そのすべてがパワーアップしている。
中でもキャラクターメイクの多様性は、最も変化の大きい部分だ。4つの種族に10の職業、各種族12の肌色、RGB数値で設定できる髪と瞳の色、そして40種類のボイス……。これらを自由に組み合わせて、自分だけの冒険者を作り上げることができる。
なお、最初のミッションをクリアすると、種族と姿はそのままに、別の職業に「転職」ができるようになる。棺にたっぷりハーブを詰め込んだ薬草師や、4本の刀を触媒に託宣を受ける巫女など、妄想のままに職を選ぶもよし。セリアンの腕力を活かし全力で殴り掛かるセスタス、アースランの運を活かして状態異常を狙うハーバリストなど、ステータスの長所を活かして職を選んでもいいだろう。
さらに「二つ名」の存在がキャラクターメイクを悩ませる。二つ名とは、例えば、フェンサーであれば、回避や素早さに特化した「幻影の剣士」と攻撃に特化した「迅雷の剣士」の二種が設定されており、特定の条件を満たすことでどちらかひとつを取得することができるシステムだ。選んだ二つ名によって、使えるスキルやステータスの伸びに違いが出てくるため、パーティのバランスを考えて選ぶようにしよう。同じ職業でもまったく戦闘スタイルが異なるキャラクターに育てることができるので、各職業でふたりずつつくってみたくなる人も多いに違いない。
剣と地図を手に挑む深緑の樹海
キャラクターメイクが完了したら、いよいよ樹海探索を開始しよう。強力なモンスターと対峙しながら、歩いた道や採取ポイントを自分自身の手で地図に記し進むのが「世界樹の迷宮」シリーズのだいご味だ。スキルを取得したり、大市で装備を整えるのも忘れずに。
筆者の選んだパーティは、前衛がフェンサーとマスラオ、後衛がハウンド、シャーマン、ドラグーンというパーティだ。今作では、猟犬とシャーマンの回復スキルを頼りに、回復専門職であるハーバリストをあえてはずした編成で進んでみたいと思う。
そうして樹海へ踏み出すこと数歩。
初めての戦闘はふわふわと浮かぶ愛らしいモモンガと、コロコロとゆれるどんぐりだ。油断してはならぬと全力で取り掛かるも、1ターンではどんぐり一匹倒すことはできない。「ドゴォ!」という音とともにモモンガの一撃がヒットする。前衛のフェンサーがHP満タンの状態から戦闘不能になる。初戦、1ターン目のことだった。
こ、これが「世界樹の迷宮」だ……と、久しぶりに味わう樹海の恐ろしさと奇妙な高揚感に、筆者の胸は高鳴るのであった。
新スキルの使用感は? 序盤におすすめのスキルをご紹介
まずはキャラクターをレベル10まで育ててみた。全10職を育て、筆者が実際に使用して、有効だと感じたいくつかのスキルを紹介しよう
【バンカー(ドラグーン)】
ハウンドの猟犬、鳥、ネクロマンサーの死霊と、召喚系スキルが豊富な今作。中でも、ドラグーンの使うバンカー(簡易な防衛拠点の意)は、低燃費の割に耐久力があり、毒などの状態異常にもかからない。強力な攻撃を味方キャラクターの代わりに受け、守ってくれる。実際のところ、序盤はほかのガードスキルはいらないのでは……?と思ってしまうほど便利なスキルである。
樹海に入ってすぐに呼び出せる猟犬や死霊とは異なり、バンカーは毎戦闘新しいものを設置する必要がある。ドラグーンは決して行動が早いわけではないので、バンカーの設置よりも早い敵の攻撃には無力だ。
しかし、7月30日に放送されたニコニコ生放送によると、ガード特化型の二つ名「金剛の竜騎兵」には「先制バンカー」というスキルがあるとのこと。戦闘開始と同時に一定確率でバンカーを設置することができ、発動すればより安全に戦えるだろう。ただ、敵に出会った瞬間に現われるバンカー、という図はなかなかシュールではある。
【祈祷:焔/氷雨/紫電(シャーマン)】
味方の武器に炎氷雷の三属性を付与すると同時に、属性攻撃への耐性を上げる補助スキル。消費TPは多いが、敵の弱点を突いたり、条件ドロップの収集に役に立つ。序盤から終盤まで活躍できるスキルだろう。
また、通常攻撃に属性を与えるため、属性攻撃に追撃するチェイン系スキルの起点をつくりやすい。フェンサーを使うなら、仲間のシャーマンにはぜひ取得させておきたいスキルだ。
敵モンスターに弱点を付与できた「世界樹IV」のルーンマスターのスキル「炎/氷/雷の聖印」とは異なり、変えられるのは味方側の耐性のみなので注意しよう。
【力技(セリアン族のベーシックスキル)】
種族ごとに設定されているベーシックスキルは、どれも優秀だ。スキルポイント1で完結するので、採取系のスキルと合わせて状況に合わせて取得しておきたい。
セリアン族がレベル5以上で取得できるベーシックスキルである「力技」は、樹海内のイベントに影響するほか、物理攻撃力を少し上昇させる効果を持つ。少なくとも低レベルのうちは、攻撃スキルや物理攻撃ブーストのスキルレベルを上げるより、こちらにスキルポイントを割いた方が、少なくとも序盤はダメージ上昇率が高いようなので、優先的に取得するといいだろう。
同じくセリアン族のレベル5以上で解禁となる、「警戒」、「軽業」もとっておいて損はないスキルだ。先制攻撃の発生率を上げる「警戒」は、樹海探索中の戦闘を有利にしてくれる。ブラニー族も早くから取得できる「軽業」は回避率を上げるスキル。防御力に不安の残るキャラクターはぜひ取得しておきたい。
あのモンスターの技も使えるように!? 「IV」までとは大きく異なる鍛冶システム
「世界樹IV」以前のシステムからリニューアルされたもののひとつに「鍛冶」がある。「世界樹IV」の鍛冶は、武器に属性やステータスUP、状態異常の効果を付与するものであったが、今回の鍛冶はそれとは性質が大きく異なる。素材を消費して鍛冶をすることで攻撃力や魔法攻撃力が最大3割程度底上げされ、パーティの戦力を大きく増強する。序盤~中盤の武器でも鍛冶をする意義が大いに増えたのだ。
また、鍛冶をすることで、VITなどの基礎ステータスにボーナスがついたり、魔物の技を使えるようになる武器もある。例えば、F.O.E「這い寄る毒蟲」のドロップでつくる「クロウラーナックル」は、鍛冶することで装備者が「毒牙」を使えるようになる。散々冒険者を苦しめた技をこちらが仕掛けられるようになるのだ。
また、新要素「リサイクル」も見逃せない。最大値(+5)まで鍛冶をした武器をリサイクルすると、別の武器の強化に利用できる各種インゴットが手に入る。このインゴットを使えば、貴重な素材を使わずとも、武器を強化することが可能だ。
手軽に手に入る素材で鍛冶を行ない、リサイクルしてインゴットを集めておけば、のちのち役に立つに違いない。ひたすらローパーを狩り、ショートボウ+5を大量生産している冒険者も多いことだろう。
リアルすれ違いした冒険者に樹海内でもすれ違える。パワーアップしたギルドカード機能
今作でも、「世界樹Ⅳ」と同じく、すれ違い通信やQRコードの読み込みで、他のプレーヤーとギルドカードの交換ができる。ギルドカードには育てたキャラクターを添付でき、他人のギルドカードを読み込めば、添付されたキャラクターをゲストとして呼び出すことが可能だ。残念ながら「世界樹IV」のように、自分のギルドカードは読みこむことができない。
また、ギルドカードに付随されているキャラクターとは、樹海内で出会うことができる。樹海の歩き方のアドバイスをしてくれたり、探索に役立つアイテムをくれたりする。リアル世界ですれ違ったボウケンシャと、ゲーム内でもすれ違うことができるのだ。
樹海の奥へと進んだ先には、初代「世界樹の迷宮」以上の衝撃が……?
取り急ぎ、樹海を3Fまでプレイしてみた。3Fまでのわずかな範囲でも、いつもの「世界樹の迷宮」の難易度を軸に、転職や種族スキルといった新システムで遊びの幅が大きく広がっていることがわかった。今後二つ名を取得すれば、キャラクターの育成がさらに楽しくなるだろう。
初代「世界樹の迷宮」の設定を考えると、4つの種族と魔法が存在する今作の世界は、これまでの「世界樹」シリーズとは世界観が大きく異なることが予想される。そしてこれまでの4つのナンバリングタイトルを示唆するようなPVのナレーションを考えると……。樹海の奥へと進んだ先に、初代「世界樹の迷宮」以上の衝撃があるのではないか、と熟練のボウケンシャとしてはわくわくが止まらない。
まだ「世界樹」シリーズをプレイしたことのない人は、まずは無料体験版をダウンロードして、自分だけの冒険者とともに3Fまで進んでみよう。キャラクターに愛着がわいたなら、4F以降の地図も描き進め、世界樹の頂にあるものは何なのか、自分の目で確かめる冒険者となってほしい。
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