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プログレードワイヤレスゲーミングマウス「G900」インプレッション
触った瞬間に違いがわかる圧倒的な性能。ついに“勝てる”無線マウスが登場!
(2016/3/24 16:01)
Logitech「G900」メディアツアーの最終日、社内ツアーの終了後に「G900」を短時間ながら実際に触ってみることができたので、インプレッションをお届けしたい。
デモ機は、「G900」がハイエンドPCに接続され、ゲーミングマウスパッド「G240」の上に置かれていた。PCから伸びるUSBケーブルにワイヤレスレシーバーが接続され、「G900」が無線接続されていた。PCには「G900」に対応したLogitech Gaming Softwareのβ版がインストールされ、「G900」のすべての機能を使うことができた。
触った瞬間、すぐに感じたのは、従来のワイヤレスマウスとは、まったく格の違う使い心地だ。マウスパッドを滑らせた際の、なめらかかつピタリとハマる動き、クリックした時の反応の良さ、そして信じられない軽さ。すべてが上質だ。当たり前だがケーブルがないため、ケーブルに余裕を持たせたり、マウスバンジーを用意したりといった余計の心配をせずに思い切り動かせるのが嬉しい。やはりゲーミングマウスこそワイヤレスであるべきだと改めて確信した。
しかしながら、従来のワイヤレスマウスというと、ラグが体感できるもっさりとした動き、無線詰まりでも起こしているかのような不快な引っかかり、そしてつまみ持ちのユーザーにとっては致命的な文鎮のような重さというネガティブなイメージがつきまとう。マウスカーソルを動かせれば済むビジネス用途ならともかく、激しく長時間にわたって精密な操作を要求されるゲーム用途はちょっと考えられない。それがPCゲーマーのワイヤレスマウスに対する正直な評価ではないだろうか。
「G900」はそういう悪い意味でのワイヤレスマウスらしさがまったくない。それでいて「G502」より30%ほど軽く、なんといってもケーブルがないため、どんなに大きく激しく動かしても、まったく引っかかりがない。どこまでも続くシルクのような滑らかな使い心地は、未だかつて我々PCゲーマーが味わったことのないものだ。わずかな力で押し込め、手応えのあるカチッとしたクリック感もいい。触り始めてわずか10秒ですっかり気に入ってしまった。
ただ、左右対称の「G900」のデザインには、右手がわずかな拒否反応を示している。筆者は「G402」と「G502」を発売以来2年近くにわたって愛用しており、ゲーミングマウスといえば“左右非対象”とすっかりすり込まれているからだ。左側面からなだらかに伸びるスカートに親指を置き、親指を少し前に押っつけながら操作する感覚は左右非対象デザインならではの味わいがあり、長時間操作して疲れたときは指休めにも使える贅沢かつ安心の空間である。これがあるのとないのではマウスライフが全然違うわけである。
しかしながら、書いたそばからいきなり前言を翻すようだが、デモ機のすぐ側に置かれていたオプションパーツケースを開けて、パーツを入れ替えながら使っているうちに、むしろ「G900」の設計が正解であり、こちらの方が使いやすいような気がしてきた。理由は2つある。
ひとつは「G900」は厳密には左右対称ではないのだ。左右側面にあるサイドボタンは、着脱可能なオプションパーツとなっており、利き手によって標準スタイルが異なる。右手なら左側面のみサイドボタンを付け、右側面はマスクする。左利きの場合はその反対となる。これにより、左右いずれの利き手でも最適な状態で使うことができる。左右対称マウスは、左右両方の利き手をカバーするために“ほどほどのホールド感”に留めざるをえないため、この点が右利き特化の左右非対称モデルに劣ると思っていたが、右利きでも左利きでもフィットする持ちやすさはさすがはハイエンドモデルと言える。
もうひとつは、“側面ボタン誤爆問題”を全面解決しているところだ。というのも、筆者が常用している「G402」、「G502」では左側面のボタンをたびたび誤爆してしまうのだ。ゲームに夢中になると、ついつい親指が暴れて、左側面のボタンを跳ね上げ押ししてしまう。「G402」に到っては、どういうわけだかスカートの中央にプロファイルボタンがあり、遊んでいる最中についついボタンを押してしまうため、プロファイル切り替え機能自体を切っていたほどだ。
「G900」は、この問題を全面解決している。まず、側面ボタンは誤爆の原因である“跳ね上げ押し”ができなくなり、親指の位置をいったん上部にあげてから適度に力を込めて押しこまないとボタンが押せなくなっている。さらに誤爆の可能性をゼロにしたい場合は、ボタンを外してマスクすることもできる。
また、プロファイル切り替えボタンについては、誤爆すると時として致命傷になることに気づいてくれたのか、背面に移動している。具体的にはオプティカルセンサーの真下に配置され、プレイ中に誤爆によってプロファイルが切り替わってしまう恐れはまったくなくなった。差し引きで考えると、スカートの使い勝手の良さより、「G900」の柔軟性の高さ、使い勝手の良さが上回ると感じた。
センサーについては、かつてLogitechが“デルタゼロセンサー”と呼んでいたPMW3366を採用している。ワイヤレスマウス特有のバッテリー駆動時間を延ばすための不使用時のスリープモードの機能を加えた以外は、性能的には「G402」、「G502」とまったく同一のセンサーが同一出力で使われている。にもかかわらず、応答速度をはじめとした全体の操作感は無線でありながら有線の「G502」を上回っている。
その理由は、Logitech社内見学ツアーレポートでもお伝えしたように、センサーは同じでも、それを支えるスイッチトリガーシステム、無線システムなどの内部設計が一新しているほか、G502比で30%もの軽量化が図られていることが大きい。
また、国内最速でG900を触っていたロジクールGアンバサダーのStanSmith氏によれば、「G502」より若干センサー位置が前になっていることも使いやすさの向上に繋がっていると話してくれた。確かに見比べてみると数mm程度センサー位置が前に移動していることがわかる。
マウスは、ビジネス用途ではマウスポインタを動かすことがメインになるが、ゲーム、とりわけFPSでは視点操作をはじめ左右への扇状の振り操作が多くなる。この際、センサー位置が前にあると、少ない動きで大きく動かすことができ、これが若干の操作感の向上に繋がっているようだ。
また、筆者はプロゲーマーでは無いため、StanSmith氏にトップランカーがどう評価するか、もっと言えば「G900」をプロシーンで使えるかどうか尋ねたところ、StanSmith氏「使えると思う」と即答した上で、「無線に不安感がないといえばウソになるが、プロゲーマーは、ずっとマウスケーブルの引っかかりと戦ってきて、マウスバンジーを使うなど様々な対策をしてきたが、左右へ大きく動かすとどうしてもケーブルの引っかかりが感じられるが、それがないのが素晴らしい」と絶賛。StanSmith氏自身も今後は「G900」を使っていくようだ。
プロシーンでも使えるとなると、現在、プロを頂点としたe-Sportsシーンでは「G502」、「G402」、「G303」が混在する状況にあるが、今後「G900」に一本化されていくことになるのだろうか?
「そうはならないと思います」と語ってくれたのは、ロジクール カテゴリークラスターマネージャーの古澤氏だ。理由は性能や価格ではなく、デザインであり、個人的な好みだという。
「G900」のデザインは、大ぶりで重量調整機能の付いた「G502」と、小型軽量の「G303」の中間に位置し、つまみ、かぶせ、どちらの持ち方にも対応する汎用性の高いフォルムとなっているが、サイズ的にはフルサイズだ。これが特に「G303」のような小型モデルを好む層には受け入れられないかもしれないと言う。逆に現在、「G502」や「G402」を使っている層、特にFPSゲーマーには違和感なく受け入れられると思っていると自信の覗かせていた。
それを実証するため、日本では4月14日の発売に先駆けてプロゲーマーによる「G900」のデモンストレーションイベントを実施するという。会場にFPS系のプロゲーマーを招き、FPSの定番である「A.V.A.」を使ったデモンストレーションを行なうという。「G900」の数少ない試遊機会にもなるため、PCゲーマーはぜひ参加してみてはいかがだろうか。
「G900」の登場によって、ロジクールのトラッキングセンサーPMW3366を採用したモデルは、「G303」、「G402」、「G502」、「G602」、「G900」の5製品展開となる。ジャンルはMOBA、FPS、オールジャンル、価格も7,250円から21,130円までと実に幅広い。古澤氏は、「G900」から「G303」までの新たなラインナップ構成の中で、「ロジクールGアリーナ」等でぜひ触り比べて自分に最適なゲーミングマウスを選んで欲しいとコメントしてくれた。ロジクールでは、4月14日の発売前にも試遊できる機会を設けるということなのでぜひ触り比べて、自分だけの最強のギアを見つけてみてはいかがだろうか。