ニュース

ライアットゲームズ ディレクター齋藤亮介氏ロングインタビュー

「LoL」日本独自の取り組みについて。1対3などの人数の偏った対戦などを模索

「LoL」日本独自の取り組みについて。1対3などの人数の偏った対戦などを模索

日本サーバーがないことでのフラストレーションは理解していると語る斎藤氏
LJL 2016は国内最高峰の「LJL」リーグとしてライアットも協力する形で実施される

――“桜が咲くころ”までに正式サービスを始めるというお話ですが、その間のプロモーションとかはどのような計画なのでしょうか? どのような形で日本のユーザーさんに告知していこうと考えているのでしょうか。

齋藤氏:基本的には今回のようにIWCAがあります。その時にはこういった形のイベントを開く。あとは若干Facebook上でもやっていますが、ファンアートとかこれからはコスプレーヤーさんにチャンピオンのコスチュームを着て登場してもらうとか、そういったことを適宜やっていきます。CBTのアナウンスメントに関しては、このタイミングでやります、申し込み先はここです、申し込んでくださいというのをしっかり発表する予定です。

――今後、日本サーバーをオープンすると、当然ユーザーはさらに増えると思いますが、それはどのくらいを目標にされていますか?

齋藤氏:Riot Gamesでは目標みたいなユーザー数とか金銭面の数字も含めてあまり出さないんですよね。申し訳ありません。

――現在海外サーバーで遊んでいるアカウントデータは、日本サーバーに移行できますか?

齋藤氏:移行できます。経験値やランクとかは日本サーバーでは1回やり直しになりますけど、持っているチャンピオンなどはそのまま持っていけます。

――みんなブロンズから再スタートするようなイメージですか?

齋藤氏:いや、ブロンズから始まるのではないですね。日本サーバーに来て、最初何戦かして、そのランクを決めていく形になりますね。もしかすると、最初他の国より高いランクに入れるかもしれませんし、その逆になるかもしれません。そこは日本に来る人がどのくらいの腕前かによります。基本的には各国によってそれぞれのランクの割合は決まっていますので、日本サーバーにしたらもう1回日本サーバーでのランクが決まる形になります。

――今育ててる人は、日本サーバーでも無駄にならないので、遠慮せず遊んで下さいということですね。

齋藤氏:そうですね。

――今回IWCAの大会を見ていて意外だなと思ったのは、ラテンチームやブラジルといったところと戦いましたがとても強かったことです。ゲームが強いという印象を持っていなかったので、日本が力押しで負けてしまったので驚きましたね。

齋藤氏:そういう意味では、彼らは常日頃からローカルサーバーがあり、そこで切磋琢磨しているところもあります。プロリーグもあり、世界予選の大会とかも頻繁にやっています。日本はまだコンペティションのレベル、それに世界大会の経験がまだまだこれからですよね。だからそこまで離れてはないのですが、試合巧者ぶりとかでちょっと先を行かれてしまうのが今の現状かと思っています。

――来年、またIWCAがあったらどういった結果になると期待していますか?

齋藤氏:もう本戦に出て欲しいと思っていますね。今回はLJLで優れた結果を出しているプレーヤーさんが家庭の都合やけがをしたとかで出てないところがあります。まだまだ上に行けるのではないでしょうか。

――Riot Gamesが特徴的だなと思うのは、ゲームメディアやSANKOさんを介してというよりは、ユーザーさんと直結したプロモーションを強く意識してやられているという部分です。それは日本でも変わらないということですか?

齋藤氏:そうですね。やはり“Player Experience First”ということで、プレーヤーの方々にご満足いただくというのがメインでありますし、いわゆる我々がなぜプレーヤーと直接話をすることを好むのかというと、我々も同じゲーマーですよという共感をすごく大事にしたいからです。そもそも社員として採用する時にも「LoL」をやってないと入れないというのがあります。もしくはやってないひとも面接のプロセスの中でやって、そこそこレベルをあげないとダメだというのがあります。

――ちなみに齋藤さんはいまどのくらいのランクなのですか?

齋藤氏:ランクはブロンズです。去年はシルバーまで行ったのですが、負け惜しみですが、今年もっと自分がキルとって目立ちたいなということをやったら落ちました(笑)。

――色々と企画されているということなのですが、今お話できることで、こんなことをやろうと思っているというものがあれば教えてください。

齋藤氏:まず、1月、LJLのシーズン3がオープンするときに我々としてもその場にいて、なにかしらメッセージアウトをしていきたいと思っています。

――どういったことを告知しようと考えていますか?

齋藤氏:遅かれ早かれ2016年という年がスタートの年になると思いますので、やはりe-Sportsに向けての取り組みだとか、そこでの決意表明みたいな形になるかもしれません。今までそういった場で明確にプレーヤーさんに語る機会がなかったので、それは是非しようと思っています。残念ながら前回の壮行会は選手のイベントなので、私は選手に話しかけることしかできなかったので、プレーヤー全体の皆さんにお話するというのはその場が最初になると思いますね。

――「LoL」のナショナルランキングで言うと日本は何位くらいなのですか?

齋藤氏:強さで見るとまだ十何番目じゃないでしょうか。

――ワールドカップにギリギリでられるかでられないかくらいですか?

齋藤氏:そうですね。ただ、ワールドカップの形式は強い国から3チームとか出られるので、アメリカから3チーム、ヨーロッパから3チーム、中国から3チーム、韓国から3チームでるので、その他の国は2チームか3チームしかない状況ですので。実際、今それくらい力の差がありますからね。上位国との間で。この4つの地域がズバ抜けているので、なんとかそこに入りたいなというのがありますね。私も今年の10月にパリであった世界大会のグループステージに行ったのですが、今日日本が負けたIWCAの国々が上位国にボロボロに負けるという、しかも一方的すぎて最初の10分くらいで、これもう勝負あったと、まだあと20分位どうしようかな、みたいになっちゃうので、まだまだ目指すところは高いです。

――「LoL」そのものについてもちょっとお伺いしたいのですが、今後MOBAとしてどういったアップデートや進化を遂げていくのでしょうか?

齋藤氏:このシーズン6の意図からお伝えするのがいいと思うのですが、明らかに、ゲームが早いタイミングから動くようになっています。今までだと最初の開始10分、20分は鍛えるモードで、そこからが本番のチーム戦が始まって40分くらいで終了という形だったのですが、わりと早い段階から動いて30分以内で勝負が決着することが増えてきています。

 これはやはりプレーヤーの方々がやっていく中で、そうはいっても最初の10分、20分は同じような動きだねというところがあるので、それを変えるような選択肢をどんどん提供しようとしていますね。 よりゲームを早い時間からダイナミックに楽しくできるようにするというのが方向性でしょうね。

――なるほど。では例えば今後新しいモードが追加されて新しい遊びを提供するということは、あまり重視されていない?

齋藤氏:でもそれはARAMというのは途中から追加されて、今は結構人気になりましたし、時たまワン・フォー・オールとかいろいろなゲームモードを追加しています。試すのはいろいろとやっていくと思いますよ。で、その試した中でプレーヤーさんから支持を得たら当然付け足します。

――このゲームはいわゆる「LoL 2」みたいな展開にはならないわけですか。ずっと「LoL」のまま続ける?

齋藤氏:我々が会社として何を目指しているかというと、プレーヤーのサティスファクションや、エクスペリエンスを最大化させるということにありますので、それが「2」を作ったほうが良ければそうなるかもしれませんし、そうじゃなかったら普通に「LoL」を持ってくると思います。

――今後日本サービスを始めるにあたって、例えば韓国や中国では独自の取り組みがありますけれど、日本でも独自の取り組みは何か考えていらっしゃいますか?

齋藤氏:それはいろいろ考えております。「LoL」ってオンラインゲームなので普通にスカイプとかで話しながらもできるのですが、不思議なことに実際に横で話しながらやるとこれはこれで楽しいのですね。勝った時にちょっとハイタッチするとか、そういうことが。そういうシーンをどう日本で作っていくのかというのが、たぶん日本独自の試みであり、チャレンジになると思います。

 現在あるオンラインゲームの大会会場やネットカフェさん以外でも、第3の集まる場として、プレーヤーさんがより集まりやすく、そこで一緒にプレイできたらコミュニケーションもできる、そういった場があればぜひ積極的に仕掛けていきたいところではあります。

――「LoL」は店頭とかでも手軽に触れるような存在になりますか?

齋藤氏:店頭とかでも触れるようになるかもしれませんが、あまり店頭で5分間触ってわかるようになるゲームでもないと思いますので、そこは難しいかもしれません。むしろ、上級者とそうでない人が交われるような面白いゲームの仕方とかを考えています。社内でも、元プロ対ブロンズシルバー3人とかで勝負をするのですが、これがいい勝負をするのですね。恥ずかしながら(笑)。

――ほー、人数が偏った対戦ですか?

齋藤氏:これが我々にとってもすごく勉強になるのです。ちょっと気を抜くと簡単にやられちゃうので。普通にやるよりもスゴイ集中しながらやるという。終わったら疲れるという。

――IWCAでもエースとして活躍したCeros選手を呼んで、1対3とか対戦すると、相当盛り上がりそうですね。

齋藤氏:そうですね。オフラインイベントだと結構うまい人がきちゃうので1対2になるかもしれませんが、プロと1対2でやるとかも面白いのではないかと思っています。そうするとプロの凄さ、動き方など学べると思います。やはりプロの人の動きは全然違いますので。

――また、日本のPCゲーム業界の特徴として、推奨デバイスという存在がありますが、「LoL」もローンチに合わせて実施していく予定はありますか?

齋藤氏:いくつかお話はいただいているのですが、意味のあるところは取り入れていきたいなと思っています。というのは、例としてマウスがわかりやすいと思いますが、今まで「LoL」をやっていなかった方や、コンソールゲームを中心に遊んでいる方にとって、「LoL」が面白そうだという時にどのマウスを選べばいいのかと結構わかりにくいのです。

 これ実は私の経験でもあるのですが、店頭にいってゲーミングマウスがたくさんあってどれを選んでいいのかわからない。私が買ったのはMMORPG用のマウスで、変に重たいし、変なボタンがたくさんついているので、試合中に押しちゃったりする(笑)。プレーヤーの方がそういった間違いを侵さないよう、プレーヤーの選択を正しくしていただくために見えやすくするための形はアリかなと思っています。

――マウスならこれ、キーボードはこれみたいな形で、真の意味で推奨できるデバイスをライアットが選んでいくイメージですか?

齋藤氏:プレーヤーに正しい選択をしていただくという意味で、間違った選択を防ぐという意味ではするかもしれません。ただ、実はほとんど同じだよね、違わないのに、マーケティング目的だけでこれが推奨ということは予定がありません。あくまでもプレーヤー目線でプレーヤーにとって何が大事かから決めていきます。

――なるほど。では今回ロジクールさんがイベントのスポンサーをされていますが、だからといってロジクールさんのゲームデバイスを一律推奨とするわけではなく、そこはひとつずつ性能や使い勝手を確認して選ぶということになりますか?

齋藤氏:そうですね。

――最後に「LoL」日本展開を期待されているユーザーさんに対してメッセージを願いします。

齋藤氏:日本の「LoL」プレーヤーの皆様には、特にシカゴサーバー移転後、フラストレーションというか、プレイが思うようにいかないような環境でプレイされていたので、その辛さはすごく感じておりますし、理解しています。それは私が一プレーヤーとしてやっていても、「なんだこれは!」というところがあります。なるべく早く日本版サーバーを出して、かつ日本版サーバーを共に作り上げていきたいので、しばらくお待ちくださいということと、ぜひ積極的に我々に声をかけてください。

――ありがとうございました。

(中村聖司)