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乾電池型IoTデバイス「MaBeee(マビー)」で、プラレールやミニ四駆が操作可能に!

新しいおもちゃの楽しさをもたらす、ノバルスの挑戦

2016年2月までクラウドファンディング受付中

3,888円(税込)より

 「MaBeee(マビー)」という商品をご存じだろうか? 最近ニュースメディアや、TVに取り上げられている商品で、外見は乾電池そのもの。実はこれは、「スマートフォンで出力制御ができる電池」なのだ。

 この電池を使用すると、スイッチに触れずにスマホの操作で電源のON/OFF、さらに出力の調整ができる。プラレールなどの電車の玩具やミニ四駆の“遠隔操作”が可能になるのである。「MaBeee」を使うことで、従来の電池を使った玩具の“遊び”が変わるのだ。

 「MaBeee」はクラウドファンディングサイトMakuakeにて出資者を募っている。11月から出資を募り目標金額を50万円に設定していたが、11月26日の時点で400万円を超えなおも人気を集めている。

 「MaBeee」はどのようなシステムなのだろうか? どのように使え、どういったビジョンを持っているのか? 今回、本商品を開発したノバルス代表取締役の岡部顕宏氏に話を聞いた。

【MaBeee_Movie】

単3電池のフォーマットと操作アプリにより、新しい遊びが可能に!

 岡部氏はセイコーグループのセイコーインスツルに勤務していて、今年ノバルスを立ち上げたという。以前はアスキーにも勤務しておりずっとITビジネスに関わっていたのだが、「ディスプレイの中だけでのサービスではなく“手触り”を感じられる仕事がしたい」と思うようになり、セイコーインスツルを経てノバルスを起業し、「MaBeee」のプロジェクトをスタートさせたという。

本商品を開発したノバルス代表取締役の岡部顕宏氏
「MaBeee」は“単3電池”の形をしている。内部に単4電池を入れれば、“操作できる単3電池”となるのだ
ミニ四駆の電池ボックスにもきちんとはまる。これだけでミニ四駆の出力を制御できるようになる
試作のアプリ。ON/OFFのボタンを大きくしている

 「MaBeee」は1人の技術者が「電車のおもちゃを操作したい」という思いつきから生まれたという。電車のおもちゃは幼児向けにきわめてシンプルな作りになっており、大きなスイッチを入れると走り続ける。止めるためには再び車体を持ち上げ、スイッチを切らなければ止まらない。「これを遠隔操作したい」という想いから「MaBeee」は生まれたのである。

 「MaBeee」は“単3電池”の形をしている。中は空洞で、1周り小さい単4電池を中に入れて使用する。単3電池を使う機器に、そのまま使用できる汎用性の高さこそ「MaBeee」の最大の強みだ。本体の形としては小さく薄い電池型のプラスチック製のケースとしか見えない。「MaBeee」は薄く、小さなこのケース型のボディに制御回路や通信機構が組み込まれており、Bluetoothを介してスマホの専用アプリで制御を可能とするのだ。

 さらに通電していることを示すLEDも用意されている。今回見せてもらったものは3Dプリンターで打ち出した試作品だという。単3電池に単4電池を入れ、さらに通信でも電力を使うため、単純に電池寿命を考えればノーマルの単3電池よりは持ちが悪いが、Bluetoothでの消費電力は低く、数%だけ減りが早い程度で、通常の電池感覚で使用できるという。

 「MaBeee」は、電源のON/OFFだけでなく、出力の調整も可能だ。単3電池を2本使う電車のおもちゃならば、1本は通常の単3電池、そしてもう1本の電池の代わりに単4電池を入れた「MaBeee」を使う。こうすることでスマホで発車と停車、電車のスピード制御が可能となるのだ。

 この“出力の制御による操作”は、「ミニ四駆」のユーザーには「夢の実現」といえるのではないだろうか。「MaBeee」を使えばユーザーの思うがままミニ四駆のスピードを変化させられる、コロコロコミックのミニ四駆漫画の1シーンのように、主人公の思いを受けてマシンのスピードが変化するのである!

 「MaBeee」の可能性を大きく広げるのはスマートフォンによる制御ソフトにある。現在6つのモードで操作が可能となっている。1つは最も基本的なON/OFFコントロール。画面のボタンを押すことで切り替えられるほか、+/-ボタンでの出力の調整ができる。2つ目は傾きセンサーによる制御。スマホを傾けるほど数字が上がり、逆に傾けると0になる。スマホを傾けることでスピードの制御が可能だ。

 3つ目は距離による制御。「MaBeee」に近づけるほど出力が上がる。このモードでは、子供は走る車を夢中になってスマホで追いかけるという。4つ目はマイクレベルコントロール。声を出すと通電する。「だるまさんが転んだ」の遊びにぴったりの機能だろう。5つ目はタイマー機能。一定時間で電源が切れたり、入れたりできる。

 6つ目は振ることで出力が上がる機能。スマホを手に持ち振り続けないと停止してしまう。早く振るほど出力が100%に近づく。このほか「同時制御」の機能もある。1つのスマホで、最大10個の「MaBeee」の操作が可能なのだ。10台の電車のおもちゃを同時発進させたり、見応えのある遊び方も可能だ。

 これらの機能でどのような遊びができるか、考えるだけで楽しいし、夢が膨らむ。岡部氏は今後「アイディアコンテスト」なども考えているという。「MaBeee」の面白さは、従来のおもちゃが、「MaBeee」で全く新しい面白さを発揮できるところにあると岡部氏は語った。

 岡部氏のお気に入りは、かわいらしい犬型のおもちゃ。「だるまさんが転んだ」と声を出している間かわいらしく動く。通常だとおもちゃは動き続けるだけだが、「MaBeee」を使うことで止めることが可能だ。犬のおもちゃは通常でも様々なアクションをするので、動かしているだけでも楽しい。岡部氏は「MaBeee」のデモンストレーションのためにたくさんのおもちゃを用意した。その中で今回の犬のおもちゃのように、おもちゃの出來の良さに改めて感心したこともあったとのことだ。

 ノバルスのスタッフは、「MaBeee」を開発していく中で、知人の子供など何人もの家族に「MaBeee」を遊んでもらい、現在のソフトの仕様や遊び方を考えていったという。今後も様々な可能性を考えていきたいと岡部氏は語った。

【「MaBeee(マビー)」で様々なおもちゃが“操作可能”に!】

2月までにクラウドファンディングへ参加すれば、最速で4月に「MaBeee」が!

 「MaBeee」を実際に目にすると、「どんな遊び方ができるか、自分で所有し、試してみたい」と多くの人が思うだろう。「MaBeee」の“製品版”は早ければ2016年4月に入手可能だ。4月での入手方法は、店舗での購入ではなく、クラウドファンディングサイトMakuakeでの出資への参加で、「MaBeee」を手に入れることができる。

岡部氏は「MaBeee」のデモンストレーション用にたくさんのおもちゃを用意していた
“形あるサービスを作りたい”という想いで会社を立ち上げたという岡部氏。「MaBeee」はかなり反響が大きく、今後にも注目したい
クラウドファンディングサイトMakuakeの「MaBeee」のページ

 クラウドファンディングサイトMakuakeでは様々な形式と金額で出資を受け付けている。最小の出資額3,888円(税込/送料込)コースでも、「MaBeee」が1本送付される。、7,290(税込/送料込)コースでは、「MaBeee」が2本となる。出資受付は2016年2月10日までとなっており、ここで出資しておけば4月には「MaBeee」が入手できるというわけだ。

 「MaBeee」の一般販売日は未定だが、販売額は1本4,500円(税別)を予定している。クラウドファンディングに出資する方が20~最大30%ほど“お得”な計算となる。興味を持った人は、出資者に名を連ねてはいかがだろうか?

 インタビューでは、今後の「MaBeee」の展開についても質問してみた。「MaBeee」は様々な分野で利用可能な技術に見える。デモンストレーションで“おもちゃ”を選んだのは何故だろうか? 岡部氏は「はっきりとわかりやすく機能を示したかったので、おもちゃを選んだんです」と答えた。

 もともと「MaBeee」は技術者が電車のおもちゃを制御したいと考えたところから生まれた。そしてミニ四駆なども使い、“親子”で実際に遊んでもらい、たくさんの子供達の意見を参考に仕様を決めていったという。「現在私たちとしては、おもちゃをより楽しく遊べるものとしての使い方を考えていきました。起業をするためには明確なビジョンが必要となります。『MaBeee』の具体的な機能を示すためにはおもちゃは良かったと思っています」と岡部氏は語った。

 「MaBeee」は既存の様々な製品にそのまま組み込め、新しい遊びを創造できる。その一方で、「通信機能と出力制御の小型化」、「既存の電池と同じ形で使える汎用性」はさらなる活用が可能ではないか? 例えば「MaBeee」をセットにして専用アプリも用意したおもちゃや、何らかの機器なども今後出てきそうである。

 現在のところノバルスでは、様々な企業からも声をかけられている一方で、「MaBeee」を単体の商品として世に出すことを第一としているとのことだ。「『MaBeee』を使って他の企業がどんなものを作り出すかも面白いと思いますが、ユーザーさんの手に『MaBeee』を届けて、どんな使い方をするかその声を聞きたいと思います。アイディアコンテストも今後ぜひやっていきたいです」と岡部氏はコメントした。

 筆者はここ数年ホビー関連の取材を積極的にやっていく中で、様々な技術を積極的に取り入れ、アイディアを詰め込んでおもちゃを生み出す開発者達に触れている。Bluetoothの通信技術や、携帯電話の薄型LED基板の技術などの新しい技術と、ネジやちょうつがいの応用などの古くからの技術、他業種のアイディアや実際の工業機械の仕組みなどを貪欲に学び、おもちゃに活かしている人たちがいる。彼ら“プロ”が「MaBeee」を得てどんな商品を考えつくかにも興味が惹かれる。

 「MaBeee」は11月に発表されたが、発表と同時に多くのメディアに注目され話題を集めている。これも「この製品を使ってどんなことができるのか」という期待の表われだろう。既存の電池と同じ使い方でラジコンのような遠隔操作が可能になる。岡部氏もデモンストレーション用にたくさんのおもちゃを用意していた。開発者達だけでなくノバルス全体で、機能を試し、新しい遊び方を考えるのを楽しんでいるのがわかる。「MaBeee」はどんな面白さを生み出していくのか、ワクワクさせられる。

 今回、記事掲載の前にタミヤのミニ四駆担当者に「MaBeee」使用に関しての問い合わせをしてみたが「タミヤ公式としてはコメントできない」とのことだった。担当者個人的にはこの技術が今後どう発展していくかの興味を持っているとのことだ。

 ちなみにミニ四駆の公式大会は提供の電池も「富士通乾電池」となっているので、もちろん「MaBeee」は使用できない。またミニ四駆は非常に早く、状況に合わせた出力調整は非常に難しいので現在の仕様で有効に使うのは難しそうだ。しかし、今後「MaBeee」をつかった電動カー競技なども生まれてくるかもしれない。

 岡部氏は「MaBeee」に期待する人たちに対し、メッセージを送った。「まずは電車のおもちゃや、ミニ四駆など持っているおもちゃが『MaBeee』でこれまでと違う遊び方ができることを確認してください。そしてそれだけでなく、『MaBeee』を使えばどこまで遊びが考えられるか、遊びが広げられるかも考えて楽しんでください。新しい遊びは弊社にも教えていただければと思います。遊ぶこと、考えること、その2つをぜひ楽しんでください」。

(勝田哲也)