ニュース

【特別企画】新型ゲームコンソール「Apple TV」を徹底的に遊び倒す!!

いよいよApple TVでゲームを徹底的に遊び倒す!

いよいよApple TVでゲームを徹底的に遊び倒す!

 すべての準備が整ったところで、いざゲーム開始! と、その前に最初に断っておくと、Apple TVですべてのゲームはSiri Remoteでプレイできると書いたものの、筆者自身は、確認のために少しプレイした後は、基本的にすべてNimbusでプレイした。Siri Remoteのプレイも悪くないのだが、ゲームのインターフェイスとして決して良いわけではないし、先述したように実行可能なアクションにそもそも物理的な限界があり、かつiOS版でのダイレクトなタッチ操作と比較するとどうしてもまどろっこしい操作になるからだ。まさに筆者のような、小うるさいコアゲーマーの存在を見越して、「Nimbus」を同時発売にしたの正解だと思う。

【Siri Remoteで遊ぶか、ゲームパッドで遊ぶか?】
いずれも一長一短あるため、ゲーマーならぜひ両方揃えたいところ

【OnePath】
Siri Remoteのまどろっこしさを示す好例が「OnePath」(Flask LLP)。お題に従って綺麗に線をなぞるだけのゲームだが、Siri Remoteだとこんなに難しくなる。あえて初回と2回目のスクリーンショットを掲載したため下手くそさが際立っているが、どんなに練習してもiPhoneで手でなぞるのとは勝手が異なり、簡単にはいかない

 Siri RemoteかNimbusかという点で言うと、多くのゲームはSiri Remoteを前提に設計されているため、Nimbusで遊ぶといきなりゲームの難易度が2段階ぐらい下がる印象がある。わかりやすい例が、日本ではApple TV向けが初展開となる「Reyman Adventure」(Ubisoft)だ。海外ではすでにiOS向けに配信されているタップ/スライド操作をベースにしたRUN系の横スクロールアクションゲームで、タップ/スライド操作をSiri Remoteで親指1本でやりくりして操作するところにおもしろさがある。Nimbusで遊ぶと、親指がもう1本欲しいような局面でも、両手の両親指操作でらっくらくで、ハイスコアでクリアできる。筆者はこのヌルさがとても心地よかったが、コアゲーマーにはヌルすぎると感じられるかもしれない。そういう場合はあえてSiri Remoteでプレイするといいだろう。

【Rayman Adventures - Reveal Trailer】

 もうひとつの例がレースゲームだ。今回レースジャンルでは「アスファルト8」(Gameloft)、「Beach Buggy Racing」(Vector Unit)、「Breakneck」(Prodigy Design Limited)の3タイトルを楽しませてもらったが、いずれもSiri Remoteでは、両手で横持ちスタイル、加速度センサーとジャイロの機能を駆使して、左右に傾かせてプレイする。アクセルは自動で、押すボタンはブレーキとターボだけとお手軽ドライビングだ。

 ところがこれもNimbusにすると右トリガーでアクセル、左トリガーでブレーキ、ボタンでターボやサイドブレーキを駆使する“普通のレースゲーム”になる。もっとも、iOS標準のタップ/スライドか、ゲームパッドかでゲーム性が変化するのは、Apple TVが初のケースでは無く、iOSの時代からあったことだが、操作するデバイスによって即時にゲームが変わるというのはありそうでなかった現象でおもしろかった。どちらで遊ぶかは、遊び手のゲームパッドへの習熟度で選んでもいいし、ゲーム性で選んでもいい。1つのゲームに2つのゲーム性が盛り込まれ、どっちで遊ぶかでゲーム性が変えられるというのはApple TVならではの遊び方と言えるかもしれない。

【レースゲームは1粒で2度美味しい】
「アスファルト8」(Gameloft)
「Beach Buggy Racing」(Vector Unit)
「Breakneck」(Prodigy Design Limited)

 反対にSiri Remoteは、「CROSSY ROAD」(HIPSTAR WHALE)を始めとした、いわゆるラン系のアクションゲームとの相性が抜群だ。ドリンク片手に、もう片方の手でサクサク遊べる感覚が非常に楽しい。

 今回App Storeで目にとまってプレイしたタイトルだけでも「CROSSY ROAD」をはじめ、「Mr Jump」(1Button)や「Canabalt」(Last Chance Media)、「Almost Impossible」(Daniel Cousell)、「Alto's Adventure」(Snowman)、「バッドランド」(Frogmind)、「Bird Climb」(Boombit)、「Mr クラブ」(Illusion Labs)などが配信されており、操作が単純なためデベロッパーとしても対応しやすいためか、今のところもっとも充実している分野といっていい。基本プレイ無料タイトルも多いため、Apple TVを手に入れたらまずはこの分野から試してみるといいだろう。

【ラン系アクションゲームが充実!】
「CROSSY ROAD」(HIPSTAR WHALE)
「Mr Jump」(1Button)
「Canabalt」(Last Chance Media)
「Almost Impossible」(Daniel Cousell)
「Alto's Adventure」(Snowman)
「バッドランド」(Frogmind)

今回唯一のApple TV専用タイトル「Beat Sports」(Harmonix)
Siri Remoteの裏面は若干滑りやすい。専用ストラップ「Remote Loop」は付けておきたい

 そして今回、もっとも楽しませて貰ったのは、今回プレイした中で唯一のApple TV専用タイトル「Beat Sports」だ。「RockBand」シリーズや、「Dance Central」シリーズなど、音楽をモチーフにしたリズムゲームの名門中の名門Harmonix Music Systemsが手がけたタイトルで、若干キモ可愛いアニメ風の女の子を主人公に、ナメクジのような異星人を相手に“テニスのようなスポーツ”を繰り広げる。“テニスのようなスポーツ”とあえて書いたのは、ゲーム内容は実はスポーツではなく、スポーツそっちのけで繰り広げられるHarmonixらしさ全快のリズムゲームだからだ。

 これはSiri Remote専用タイトルになっており、加速度センサーとジャイロを使って、ラケットを振る操作が基本操作となる。1プレイ5分足らずのミニゲームの集まりだが、1プレイあたり何十回もSiri Remoteを振り回し、スマッシュだ、ボレーだ、敵からの不意のトス攻撃にカウンターを当てるだの、熱くなる要素たっぷりであるため、熱くなりすぎてSiri Remoteがすっぽ抜けないように専用ストラップ「Remote Loop」は必須である。Siri Remoteは若干裏面が滑りやすくなっているため、実際、筆者はストラップのおかげですっぽ抜けを防ぐことができた。

 ゲーム性については「別にそんなの『Wii Sports』(『Kinect Sports』、『スポーツチャンピオン』でも代用可)で散々遊んだよ」というツッコミが聞こえてきそうだが、これらゲームコンソールがこれまでに提供してきたモーションコントローラーを用いるゲームと、Siri Remoteとの違いは、動作に読み取りにカメラを使わず、Bluetoothのみを使用するため、比較的狭い環境でしっかり認識してくれるところだ。カメラの位置を気をつけたり、視界を遮らないようにする必要も無い。モーションゲームでありながら、振り回す程度の広さがあればいいというのは、日本のゲーム環境にとってありがたい。

 また、このゲームは、iPhone/iPod touchがあれば、ローカル環境で対戦もできる。無料の専用アプリが配信されており、パーティーゲームとしても最適だ。難を言えば、認識にカメラを使わないため、そもそもの認識精度が甘く、振ったのに認識してくれなかったり、反応が遅れたりしたことがあったぐらいだ。

 「Beat Sports」そのものは、比較的カジュアルな作りで、それほど奥行きのあるゲームではないが、Siri Remoteによるゲーミングの可能性を見せてくれたという点で、Apple TVのリファレンスと言えるゲームだと思う。Apple TVを購入したらぜひプレイしてみて欲しい。

【Beat Sports Trailer - Apple TV】

 今回、浴びるように20数タイトルをプレイしてみて、Apple TVは、iPhoneと同様、ゲームアプリ次第で、大きく化けるゲームプラットフォームだと感じた。その一方で、現時点ではApple TVでなければ体験できない、あるいはApple TVならではといえる遊びはまだまだ少なく、キラーコンテンツを欠いているのもまた事実だ。

 しかし、Apple TVは32GBモデルで149ドル(18,400円)と、Appleが“マジックプライス”と定める199ドル(24,800円)を下回り、現行の据え置き型ゲームコンソールの半額程度という魅力的な価格設定を実現しつつ、iPhone 6と同等のパワフルなA8チップ、使い勝手の良いリモコン「Siri Remote」、iOSと非常に親和性の高いtvOSを搭載するなど、将来を見据えた欲張りな設計となっている。あとはアプリだ。

 今後どのような魅力的なゲームアプリが誕生し、それが“ゲームコンソールとしてのApple TV”を覚醒に導いていくのか。ユーザーの1人として引き続き注目していきたい。

【バリエーションに富んだゲームアプリ】
本文では深く掘り下げなかったが、ほかにも幾つかのiOSでヒットした名作タイトルがtvOS向けに移植されている。迫力あるグラフィックスとサウンドは魅力的だが、iPhone/iPadでプレイしている人に、買い換えさせるほどのパワーはまだない。上段の「Calvino Noir」はSiri Remote専用タイトルで、上下左右のスライド操作を多用し、操作に慣れるのに時間が掛かる。中段の「オーシャンホーン -未知の海にひそむかい物」は、クォータービューで楽しむ「ゼルダの伝説」のインスパイア系アクションだが、Siri Remoteに対応しているものの、Siri Remoteにすべてを無理矢理詰め込みすぎで、まともに遊ぶのすら難しい。「TRANSISTOR」(Supergiant Games)はさらに極端で最初からNimbus向けに設計されているという印象。iOSからtvOSへの移植はまだまだ模索の段階といった印象だ

(中村聖司)