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PlayStation VR版「ファイナルファンタジーXIV」試遊レポート

蛮神タイタンのフルスイングが目の前で体験できる「VRタイタン討伐戦」

9月17日~20日開催(17、18日ビジネスデー)



会場:幕張メッセ



入場料:1,200円(税込)

 SCEJAブースで一際高い人気を集めているのがProject Morpheusのコードネームで親しまれてきたPS4用VRヘッドセット「PlayStation VR(PSVR)」コーナーだ。

 「PlayStation VR」コーナーの目玉コンテンツとして一際高い注目を集めていたのが「VRタイタン討伐戦」だ。東京ゲームショウ初日の9月17日に、さっそく体験することができたので試遊レポートをお届けしよう。なお、「VRタイタン討伐戦」は、PlayStation VRのプロモーションのために制作されたもので、今のところ「ファイナルファンタジーXIV」本編への実装予定はないとしている。

 「VRタイタン討伐戦」は、「FFXIV」のメインクエストで挑戦することになる4人向け討伐戦「蛮神タイタン討伐戦」を、VRコンテンツとして再構築したもので、アクションは2種類のみ、タイタンは通常と同じギミックを使用してくるが弱い、MPは自動回復、そしてランドスライドなどを食らって崖に落ちても、見えないジャンプ台があるかのようにぼよーんと飛び跳ねて戦場に復帰できるなど、「FFXIV」を未プレイの人でもクリアできる“ゆるゆる仕様”になっている。

【VRタイタン討伐戦】
プレイ前に渡される説明書。PSVR専用の特別仕様となっている

 4人の参加者中、ナイトと黒魔道士の2人がPSVRを被り、残る竜騎士と白魔道士の2人はモニターを見てプレイする形で、試遊はハウスからスタートした。PSVRでの操作に慣れて貰うために、少しハウスで歩き回る時間が確保されており、バトルが始まる前にあれこれ試すことができた。

 一番最初に感じた違いは、HUD表示だ。パーティーリスト、HPバー、ホットバーなどが手前に浮かぶように表示されており、最初はもの凄い違和感を感じたが、これはこれでおもしろいと感じた。コンテンツファインダーが成立すると、シャキーンという効果音と共に、ダイアログがポップアップ表示されるが、これが画面一杯にどーんと表示されるため、かなりビビる。

【見え方は全然違う】
左がVR版、右が通常版の画面。VR版では、60FPSを維持するため、画面解像度がかなり抑えられている。HUDの上下が切れているように見えるが、実際のVR画面では綺麗に見えている

 UIについては、左スティックで左右前後ろへの直線移動はできるものの、右スティックでの向きの変更はオフになっている。その代わり頭と体を動かして向きを変えるヘッドトラッキングでキャラクターの向きを変えていく。ポジショントラッキングには対応していないため、目の前の白魔道士ミコッテ(♀)に向かって、ひょいと体を乗り出しても、ミコッテの胸元がこっそり覗けるみたいなことは、残念ながら(!?)できない。

 右スティックでの向きの変更がオフになっている理由は、単純に酔ってしまうからだ。ヘッドトラッキングによる向きの変更と、右スティックによる向きの変更を混在させてしまうと、それが真逆であればあるほど激しい酔いを引き起こす。これではとてもバトルコンテンツはこなせないため、オフにしたのは正解だと思う。ただし、その代わりくるっと後ろを向いて逃げる、みたいなアクションは体をぐるりと半回転させる必要があり、初動が遅れてしまう。このため「VRタイタン討伐戦」では、前か横に避ける形になる。

 順番待ちの間に、PSVR体験者が見ている画面を表示させたモニターを見ていた限りでは、かなり酔いそうな印象を受けたが、実際にはまったく酔わなかった。理由はVR向けに解像度を落とし、その代わり60FPS固定表示にしているため、ある程度激しく動いても滑らかな表示を維持しているからだ。

 ハウスの地下にはベンダーがいてアイテムを購入できたが、これもまた目の前にどーんとダイアログが表示されていちいちビビってしまう。これを30分も続けたらクタクタになってしまうだろうなと思っていたら、コンテンツファインダーが積まれ、バトルがスタートした。

【ダイアログポップアップがビビる!】
VR版は解像度が低いため、ダイアログのポップアップが画面一杯に表示される。VR効果で手前に表示される形になるため、かなりビビる

 PSVRでの体験は黒魔道士で行なったが、ファイアとフレアのみが使える仕様になっていて、射程内に入ると自動的にターゲットされる自動ターゲットで、ボタンを押すだけで攻撃できる簡単仕様だった。

 「FFXIV」本編で個人的に3桁は下らないほど行ったオ・ゴモロ火口神殿の円形戦場は、ぜんぜん雰囲気が違っていた。まだバトルは始まっておらず、蛮神タイタンは遙か先にいるのにも関わらず既にデカい。こんなにワクワクするタイタン戦は初めてだ。

 1人称視点自体は、現在の環境でもできるため、1人称視点の臨場感は想像できると思うが、1人称視点をVRでプレイするとタイタンの存在感、迫力がものすごい。通常攻撃で拳を振り下ろすだけでももの凄い迫力だし、前方範囲攻撃の「ランドスライド」、全体攻撃「激震」、落下攻撃「ジオクラッシュ」と次々に攻撃が繰り出されると、もうまるで大地震の中でバトルを行なっているようなそんな臨場感がある。

 おもしろいのは、ランドスライドを避け損なったり、ジオクラッシュで端に逃げすぎたりして谷底に落ちてしまっても、見えないジャンプ台の存在により何度でも無傷で復帰できるところだ。むしろ落下そのものがひとつの楽しいVRコンテンツになっており、どーんと落ちる感じ、その後にびよーんと飛び上がる感じが、バンジージャンプをしているかのような興奮がある。

【大興奮のバトル】
興奮しすぎてあまり良いスクリーンショットが取れていないが、VR版を知ってしまうと、通常のタイタン戦には戻れないぐらい興奮度が違う!

 「VRタイタン討伐戦」の試遊を通じて感じたのは、既存コンテンツのVR化は、最適化次第で十分成立するという確かな手応えだ。ただ、注意しなければならないのは、現時点で楽しめるのは、「FFXIV」でタイタン戦を夢に出るぐらいプレイしている経験者に限定されるところだ。

 我々経験者は、「あのタイタン戦がこんなに興奮度の高いアトラクションになるのか!」と、目の前の蛮神を倒すのが惜しくなるぐらい楽しい経験ができたが、「FFXIV」未経験者に感想を聞くと「UIがこなれていない」、「HUDが違和感がある」、「操作がよく分からない」など、100%ネガティブな感想が帰って来た。

 本体験コーナーはスクエニブースではなく、SCEJAブースのみにあり、メディアによっては、「FFXIV」未経験者がレポートを書いているケースもあるはずだが、まず間違いなくネガティブな感想になっているはずだ。そういった感想はまったく無視して良い。

 繰り返しになるが「VRタイタン討伐戦」は、既存のコンテンツのVR化の可能性を拓いたという点において、非常に優れた実験的コンテンツであり、「FFXIV」経験者で「タイタン戦はやりこんだよ!」という猛者は、ずいぶん待たされることになりそうだが、朝一番で並んでぜひ体験してみて欲しい。

【崖に落ちても楽しい】
万が一崖から落ちてもびよーんとジャンプして復帰できる。タイタンより高く飛び上がるため、タイタンを見下ろすというユニークな体験もできる

(中村聖司)