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NVIDIA、エントリーGPU「GeForce GTX 950」を発表
ShadowPlay機能も大幅強化。フレンドとのゲームプレイ共有が可能に!
(2015/8/20 22:00)
NVIDIAは8月20日、Maxwellアーキテクチャを採用するデスクトップGPU「GeForce GTX 950(以下『GTX 950』)」を発表した。搭載ビデオカードは各ベンダーから本日より発売される。
Maxwellアーキテクチャを搭載するデスクトップGPUは昨年よりハイエンドモデルから相次いでリリースされてきたが、今回発表されたGTX 950は最も安価なエントリーモデル。価格は「750TiとGTX 960の中間程度(NVIDIA製品担当者)」とのことで、実売価格としては20,000円強程度になると見られる。
また、これに合わせてNVIDIAではMOBAジャンルにフォーカスしたドライバの最適化や、GPUコンパニオンソフトウェア「GeForce Experience(以下『GFE』)」から利用できるゲーム録画機能ShadowPlayの大幅アップデートを行ない、新機能についてはGTX 950の発売後まもなくベータリリースされる予定だ。
本稿ではこの2点についてお伝えしよう。
GTX 650比で3倍のパフォーマンス!MOBA系ジャンル向けの最適化も
GTX 950は最新のMaxwellアーキテクチャを搭載するGPUで、前世代のKeplerアーキテクチャ搭載GPUであるGTX 650に比べて3倍の描画パフォーマンスを持つという。それに合わせてビデオメモリをGTX 650比で2倍の2GBとすることで、最新ゲームの快適なプレイを可能とするバランスに落とし込んだというコンセプトだ。
描画パフォーマンスの向上については、Maxwellアーキテクチャが持つCUDAコアの効率化やビデオメモリのリアルタイム圧縮による帯域の向上などが大きな役割を果たしている。それによるGTX 650からのワットパフォーマンス比の向上は2倍となっているので、その上で3倍の描画能力を実現するため、消費電力はおよそ1.5倍に増加している模様だ。
動作パフォーマンス上のターゲットとしては、「Dota2」、「LoL」、「LORD of VERMILION ARENA」といった最新MOBA系タイトルを快適に動作させることが念頭にあるGPUだ。これらのゲームは比較的軽量なグラフィックスを用いているが、ハードコアなプレイのために、より高いフレームレートを確保しようとすると前世代のエントリーGPUでは充分な能力がなかった。
NVIDIAではGTX 950のリリースに合わせて、GPUドライバのMOBA向け最適化を実施したという。この最適化は操作入力→表示までのレーテンシーを下げることをメインターゲットに据えており、「Dota2」の場合ではGTX 650上にて80ミリ秒の遅延が発生していたシチュエーションで、GTX 950上では45ミリ秒の遅延と、操作性を大幅に向上するものだ。
これは、GTX 650では平均フレームレートが60fpsに届かない中で描画パフォーマンスを確保するためにトリプルバッファリングが必要だったことに対し、GTX 950では常時オーバー60fpsの描画が可能となるため、ダブルバッファリングでの最適動作が可能になったことが大きい。このような最適設定をGFE上で自動的に設定することで、ゲーマーはGTX 950の導入直後から高レスポンスのゲーム環境でMOBAをプレイできるというわけだ。
発表の場でデモされていた実機では、上記「Dota 2」」がGTX 650搭載のPCで30~40fpsで動作していたが、GTX 950上ではより高いグラフィックス設定で100fps近くで動作していた。操作時の反応性の高さはもちろん、スクロールも滑らかになり、画面上のオブジェクトを捉えやすくなる。エントリークラスのGPUでこれほどの環境が得られるというのは大きなポイントと言えるだろう。
録画・配信のShadowPlay機能が大幅強化。「遠隔のローカルマルチプレイ」が可能に
GTX 950ユーザーのみならず全てのGeForceユーザー(Kepler以降)に嬉しい驚きとなるのが、GTX 950発売後のドライバアップデートでβ提供が開始されるShadowPlayの大幅パワーアップだ。
ShadowPlayはゲームの録画およびTwitchへの配信を低負荷・高画質で行なえる機能だが、新バージョンではシャドウ録画の即座の確認や、カット編集、YouTubeへのアップロードなど一連のシェア操作がインゲームオーバーレイUI上で完結。PS4やXbox Oneに搭載された動画関連機能並に統合化・シームレス化された動画機能となる。
そして驚きなのが、新バージョンのShadowPlayに追加される「Gamestream Co-Op」機能だ。これはゲームプレイそのものをフレンドとシェアすることを可能とする機能で、つまりどういうことかというと、動画ストリーミングを特定のフレンド(1人のみ)に直接見てもらうだけでなく、ストリーミングを通じてゲームに参加してもらうことが可能になる!
オーバーレイUI上で「招待」を行なうと、対象の相手にストリーミングURLが記されたメールが届く仕組み。ゲスト側はストリーミング動画が再生できる環境ならすぐに、高画質のプレイ模様を見ることができる。またそこでホスト側が「ゲストコントロール」を有効にすると、ストリーミングを受信しているゲスト側がゲームの操作を行なえるようになるのだ。
いわばクラウドゲーミングの1対1版、あるいはホームストリーミングの1対1オンライン版、という感じである。ゲスト側はストリーミングされたゲームに対して「2人目のローカルプレーヤー」として参加し、対戦や協力プレイを行なうこともできるし、ホストから操作を譲ってもらって「1人目のプレーヤー」としてプレイすることもできる。高難易度のゲームで詰まった時に助けを求めたりなど、様々なシチュエーションで楽しく使えそうだ。
この機能は、ゲスト側がゲームそのものを所持していなくてもプレイできる/プレイに参加できるのがミソ。PCゲーマーが、ゲーミングPCを持たない友達に、PCゲーミングの素晴らしさを直接伝えるのに格好の手段となりそうだ。
本機能を含む新ドライバーは、GTX 950の発売からそう時をおかずにβ版がリリースされる予定。GeForceを使ったゲームプレイがますます拡張されていくというわけで、PCゲーマーの皆さんはぜひ注目だ。