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爽快パルクール再び!「Mirror's Edge: Catalyst」レポート

簡単で、奥深い。広大な未来都市を自由に駆け巡る作品へ

6月16日~18日開催

会場:Los Angeles Convention Center

ちょっと丸顔になって美人度がUPしたFaith。これならキャラデザに異論なし?

 僕らのヒロイン、ランナーの「Faith」が帰ってくる。2016年2月23日にPS4/Xbox One/PCで発売予定の「Mirror's Edge: Catalyst」は、アクロバティックな移動を技術の域に昇華したパルクールを駆使し、未来都市を駆け巡る主観視点のアクション・アドベンチャーゲームだ。

 2008年に登場した初代作は、そのユニークなゲーム性と美しく透明感のあるアートスタイルで話題を呼び、コアなファンを獲得した傑作だ。それから8年。次世代テクノロジーで実現する「Mirror's Edge」がどのような作品になるのか、プレイレポートとインタビューを交えてお届けしよう。

【Official Mirror’s Edge Catalyst Announcement Trailer | E3 2015】

操作の感触は初代と同等。オープンワールド化で多彩な遊びが広がる

EAブースで大きくフィーチャーされていた本作
美しく飾られた監視都市。Faithは非合法のランナーとして、都市と空の境界を駆け巡る

 今回のE3では、Electronic Artsブースの一角で本作のデモンストレーションと試遊が行なわれていた。

 本作は初代「Mirror's Edge」の世界観を踏襲しつつ、より大きな時間的・空間的スケールで、ランナー「Faith」をめぐる壮大なストーリーを描く作品になっているという。

 試遊コーナーでは本作の操作感や、多彩な遊びの一端を確かめることができた。

 ステージクリア型の構造を持っていた初代作に対し、本作はオープンワールドのゲームシステムを採用。ビルの屋上から屋上へと飛び移ってのフリーランニング、探索、収集、各種チャレンジ、そしてメインシナリオの進行が、シームレスに繋がるゲーム構造となっている。

 操作方法は初代作と全く同じで、とてもシンプルだ。左スティックで走り、右スティックで方向転換。左トリガーで下向きの移動アクション(しゃがむ、スライディングする等)、左ショルダーボタンで上向きの移動アクション(ジャンプする、壁を駆け登る等)、右ショルダーボタンで素早く方向反転、という操作方法だ。そのまま踏襲されているあたり、初代作の完成度がすこぶる高かったことを伺わせる。

 本作ではこれだけの操作で、壁走りや、三角飛び、棒に掴まっての大ジャンプなど、様々なパルクールアクションを実践できる。そのシンプルさを踏襲しつつ、本作ではさらに移動経路のビジュアル化が強化されており、初めてのプレーヤーでもあまり迷わずにプレイできるよう配慮されているのが特徴的だ。

 具体的には、目的地へ向かうための複数のルートのうち、もっとも使いやすいルート上に進行方向を示す矢印や、登るべき壁、掴むべきパイプ等々、ジャストインタイムでハイライト表示されるようになっている。さらに、そのハイライト表示には押すべきボタンのアイコンもオーバーレイされているので、操作方法をよく把握していなくても、華麗な移動を行えるという寸法だ。

トレイラームービーで描かれる、Faithの過去? 前作を超えるスケールのストーリーが展開しそうだ

 このような初心者向け施策も良い所だが、前作のハードコアプレーヤーだった筆者にとって目を引いたのは、オープンワールドならではの多彩な遊びが用意されていたことだ。

 マップ画面を開くと、都市を上から見たビューになる。その各所にチャレンジ開始のアイコンがあり、ウェイポイントを設定して実際にその地点まで移動すると、そのチャレンジをスタートできるというシステムだ。

 今回遊べたチャレンジは、「タイムアタック」、「ビルボードハッキング」、「デリバリー」の3つ。「タイムアタック」はシンプルにゴール地点への到達時間を競うもので、これは前作でも主要なやりこみ要素になっていた。

 「ビルボードハッキング」は、都市の各所に存在する巨大な電子看板に到達し、看板の表示をFaith陣営のプロパガンダに変えるというものだ。看板はビル屋上近くの壁面や、パイプを組み合わせた足場の上に建っており、辿りつくだけでも一苦労だ。周囲の環境をよく見極め、最適ルートをいかに探しだすか、という遊びになっている。もちろん高いテクニックがあれば、普通なら思いつかないようなルートをたどることも可能だ。

壁を蹴り、奇襲する。敵を一撃で倒しつつ、ノンストップで走り続けられる

 「デリバリー」では、ランナー「Faith」の本業である運び屋の仕事を体験できる。通風口などに隠されたパッケージを取得したらゲームスタート。ゴール地点までの間に出現する多数の警備員を倒したり、回避しながら、無事に荷物を届けることを目指す。

 戦闘は、高所からの飛び蹴りや、三角跳びを使った奇襲を用いることで瞬間的に解決する。Faithは前作よりも格闘の腕を上げたようで、正面から殴りあっても一方的に勝てるが、余計な時間がかかるので、なるべく地形を賢く使った奇襲でノンストップで倒していくほうがいい。パルクールと一体化した戦闘テクニックを磨き、上手くなるほどに気持よくプレイできそうだ。

幅広い層が楽しめる自由なゲームに。プロデユーサーインタビュー

本作のプロデューサーを務めるDICEのジェネラルマネージャー、Patrick Bosch氏

──操作感は前作と全く同じに感じたが、次世代化による最も大きな違いは?

Bosch氏: 非常にたくさんの違いがあります。1番大きいのは、前作は非常に直線的な構造を持っていましたが、本作ではプレーヤーが思うまま、自由に都市を走り回れることです。本作は一種のオープンワールドで、たった1つの巨大なステージで構成されています。ローディング画面や、ステージの境界もなく、好きなところに好きなように行けるのです。

 また作品を再生するにあたって、本作ではFaithの過去を含むストーリーを描きます。前作では作品世界についてユーザーが知りたいと思うことが語られていなかった部分が非常に多かったのですが、本作ではストーリーを完全に書き直し、新たなキャラクターを加え、世界をより深く理解できるようになっています。

 その他にも多くの要素がありますが、改めて前作をプレイしたら、なにひとつ同じものがないことに気がついてもらえるはずです。本作の開発にあたり、私達は全てをゼロから作りなおしました。1行のコードも再利用されていません。

 それにより、移動アクションは遥かに簡単に、スムーズになりました。前作のゲーム性は、ある意味懲罰的(punishing)で、上手にプレイしないとすぐに落ちたり、死んだりしてましたが、本作ではそういうことがなく、比べ物にならないくらいストレスフリーで遊ぶことができます。

──確かに前作はハードコア向けな感じがありましたね。

Bosch氏: そうですね。そして、その方向性は少し間違っていたと考えています。コンセプトは凄く魅力的だったのですが、実際にプレイしてみると実に懲罰的で、ハードコアなプレーヤーしか本当に楽しむことができなかったという点です。本作ではそこを反省して多くの工夫を加えていますから、誰でも本作のストーリーを堪能し、美しい世界を楽しむことができるはずです。

──前作よりも簡単にプレイでき、マスターするのは難しい、という感じですか?

Bosch氏: その通りです。それこそ私達が目指しているものです。それに加えて、本作の世界はよりダイナミックに、緻密になりました。これに合わせてアートスタイルは前作よりも写実性を増していますが、前作と同じフィーリングは残しています。

──オープンワールド構造を取ることで、遊びの幅が広がりましたね。

Bosch氏: そうですね、今回お見せした3種類のチャレンジは、ほんの一例です。メインストーリーもありますし、他にはプレーヤー自信で新たなチャレンジを作成し、フレンドと共有することもできます。今はあまり詳しくお話できませんが、本当にたくさんのクールな要素がありますよ。

──オープンワールドになったことで、気になることがあります。Faithは路上を歩いてクルマに轢かれたりするんでしょうか?

Bosch氏: それはありません(笑)。本作が一種のオープンワールドであるというのは、ある意味で真のオープンワールドではないからです。つまり、Faithはランナーであり地上の社会の一員ではありませんからずっとビルの上で生活しているのです。このため本作では、マップの構造的に、地上に降りることはできないようになっています。

──バイクやクルマに乗ることも無い?

Bosch氏: ええ、乗り物には乗りませんし、前作とは違って、銃も全く使いません。

──私は前作のコアなプレーヤーで、タイムアタックにハマりました。今作でもeスポーツ的なプレイはしっかりとサポートされますか?

Bosch氏: はい。今回のデモでご覧になったようにタイムアタックは用意されていますし、自分自身で新しいタイムアタックコースを作ることもできます。実際、記録を破るために前作をいまだにプレイしているプレーヤーも多いみたいですね。本作でもそういった遊び方は100%サポートされます。

──楽しみですね。最後に、日本のファンに一言お願いします。

Bosch氏: 前作からの8年で、私達は本当に多くのことを学んできました。その成果を活かして、前作を超える最高の「Mirror's Edge」を制作しています。本作をプレイしていただければ、より楽しく、より興味深いゲームを味わっていただけるはずです。ご期待ください。

(佐藤カフジ)