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東尾修さんが吼え、石田純一さんが宥めた「野球盤 3Dエース」発表会レポート
飛んで消える“消える魔球ジャイロ”完成! さらに深い投打の駆け引きが楽しめる
(2015/4/16 19:46)
エポック社は4月16日、野球ゲーム「野球盤」シリーズの最新作「野球盤 3Dエース」の発表会を開催した。既報のように4月25日発売予定で、価格は6,980円(税別)。
帝国ホテルで開かれた「野球盤 3Dエース」の発表会では、エポック社による製品説明に加え、ゲストとして元プロ野球選手・監督で野球解説者の東尾修さんと、その義理の息子で俳優の石田純一さんがゲストとして登壇し、「野球盤 3Dエース」の体験に加え、プロ野球トークに華を咲かせた。
「野球盤」はエポック社の設立と同年の1958年に発売され、以来50年以上にわたって愛されている野球ゲーム。2006年には、もうひとつの野球ゲームの代名詞である「実況パワフルプロ野球」とタイアップし、臨場感たっぷりの実況が楽しめる「実況パワフル野球盤」も発売されている。
今回発表された「野球盤 3Dエース」は、2012年以来3年ぶりの新モデルで、放物線を描くホームランや、派手なネオンが楽しい電光掲示板、熱戦には欠かせない実況機能、「野球盤」の代名詞である消える魔球といった数々の人気ギミックはそのままに、ストレートが空を切って投げられるようになり、それを卓球のラバーと同じ素材を装着し反発係数を高めたバットでジャストミートすることで、外野スタンドに飛び込む大ホームランが放てるようになる。
球種は、史上最多となる9種類。今回のメインフィーチャーとなる放物線を描いて飛んでいく「ストレート」をはじめ、同じように放物線を描きながらボール気味に飛ぶ「内角/外角高め」、コロコロゆっくり転がる「チェンジアップ」、盤面の磁石操作により「スライダー」、「シュート」、「カーブ」、「シンカー」、そして伝統の「消える魔球」と、飛ぶボールに「消える魔球」を組み合わせた「消える魔球ジャイロ」の全9種類となっている。
実際にプレイしてみたが、ストレートはまるで砲弾が飛んでくるような感じで、速すぎてとてもバットを合わせられない。チェンジアップを予告してくれてようやく芯に捉えられる感じだが、球速が遅いため浮かび上がらない。球が飛ぶようになっても球速自体は実はそれほど変わっていないということだが、動体視力の衰えを感じてしまった。
投球の方は、空中を飛ぶストレート系の球と、盤面を転がし、盤面に埋め込まれた磁石の力で左右にコントロールする変化球系を1レバーで切り替えられるようになっており、バッター側から見ると、ストレート系か変化球系かは一目でわかるため、球筋選択と球種選択を素早く決めて投げるという、ちょっとした工夫が必要になる。
守備側は、放物線を描いて飛んでくる球に対応するために、アウト判定の凹みが「グローブポケット」に進化していて、ライナーやフライにも対応できるようにポケットになっているのがおもしろい。アウトかヒットか判定が付かない場合は、伝統の野球盤ルーレットを回して決着を付ける。どこまでもアナログな感じが楽しい。
東尾さんと石田さんによるトークセッションでは、「野球盤 3Dエース」はそっちのけで、プロ野球談義で盛り上がった。
1958年の「野球盤」誕生当時、東尾さんは8歳、石田さんは4歳。東尾さんの野球の原風景は小学生の頃、柔らかいボールと竹バットを使って河川敷で夢中になって遊んだことだという。これに対して石田さんは東京の都会育ちということで、「野球盤」は「各家庭にあったことを覚えていて、夢中になって遊んだ」と回答し、同世代の東尾さん(和歌山県有田郡吉備町出身)は「え?」と驚き、微妙な地域差が浮き彫りになった。
「ふたりで野球談義をすることがあるか?」と質問に、石田さんは「まあ、ありますけど……」と言いよどむと、東尾さんは「(彼は)結構、理論派なんです。場違いというか相手見て言えよ」と舅らしくピシャリと言い返しながらも、「(彼は)阪神ファンですが、結構よく知ってる」と一部認める発言も。
「監督時代頭脳派でしたね」とヨイショされると、東尾さんは「そうですね。元ピッチャーとして初回どういう心理状態で、立ち上がりはコントロールが悪いとか、だからどう攻めようとか、ピッチャーの気持ちを考えて攻めていた」と振り返り、西部時代の愛弟子で、大エースだったソフトバンクホークス監督の工藤公康さんについて「工藤も、ソフトバンクでそういう目線でやっている。彼はもともと良いものを持っている」と評価。
さらに東尾さんは気分が良くなったのか、石田さんの話を半ば遮りながら「ひとつ言いましょうか」と切り出し、「黒田(博樹投手、今年広島に戻ったピッチャー)が帰って来てからだけど、フロントドア、バックドアみたいなボールを投げられるのは黒田しかいないんだから。アナウンサーや解説者はわかって言ってるのか?」と文句を付けた。
野球ファンの石田さんは「ツーシームですよね」と解説を入れると、「ツーシームって意味本当にわかって言ってんのか?」と興奮気味に語り、石田さんが冷静に「真っ直ぐが少し揺れて散らすようになるとは聞いていますけど」と語ると、なおも東尾さんは「そういう言葉が流行りすぎる。そういう言葉は使うなっていってるんだよ!」と怒声を張り上げ、石田さんが苦笑しながら「アメリカで使ってるんですから」とフォローを挟むと、「ここは日本だぞ!」と吼え、見事なまでに完璧な“婿舅漫才”が完成していた。
東尾さんが言いたいのは、日本球界では半ば禁じ手とされる“外から中”、“ボールからストライク”の球種を駆使する大リーグ帰りの黒田選手の投球スタイルに対して物申したいのか、単に“洋物の用語”を振り回すアナウンサーや解説者の軽佻浮薄ぶりに物申したいのかよくわからなかった。ただ、“球界に言いたいことは山ほどある”という雰囲気はいやが上にも伝わってきた。
プロ野球の今年の優勝チーム予想について聞かれると、石田さんが「オリックスなんて優勝候補なんて言われてましたけど」と2勝12敗のダントツ6位に低迷する同チームを揶揄すると、東尾さんは「野球解説者をいじめるような内容」と同意を示し、「ほとんどの解説者が、セリーグは1位巨人、2位阪神、広島なんていってたのが全部Bクラスにいる。Bクラス予想のチームが全部上に来てる。パリーグもそう、野球解説者は偉い恥かいている」と同業者を擁護した。
「長い目で見るとわからないのでは?」と聞かれると、東尾さんは元監督として「オリックスの森脇監督の気持ちがわかる」と最下位で借金地獄にあえぐ森脇監督を擁護し、「借金を返すのは難しいし、時間が掛かる。貯金が減るのは早いけど」と語った。東尾さんの優勝予想はパリーグがソフトバンクとし、セリーグは娘婿に判断を委ねると、「いやー、阪神だと思ったんですけど、今年逆に勝たないとキツいかなと」と石田さんはあくまで阪神を推し、「でも混戦になるんじゃないですか」とまとめた。
東尾さんもその意見に同調し「夏以降はおもしろくなる。弱いチームが勢いよく行って、強いチームがじわじわと(弱いチームを)食いつぶしてくるか」と語ると、思い付いたように巨人についても語りはじめ、「ジャイアンツがどうなるかと思っているんだよね。年寄りと若手の切り替えもうまくいってないというか、若手でいくっていってたのに戻っちゃったし、阿部もキャッチャーに戻っちゃったし、原監督もインフルエンザにかかっちゃうし(笑)」と止まらず、「僕も退場3試合食らっちゃって、須藤さんに監督代行をやって貰ったときに、休んでいる3試合全部勝ったんですよ。戻ったときにやりにくいったらありゃしない。戻った後は勝ちましたけど」と東尾劇場が繰り広げられた。
野球盤について話を戻すと、東尾さんは、自身の孫であり、石田さんの息子である理汰郎くんにすでに「野球盤」をプレゼントしており、「もう4歳ぐらいからいいんじゃないか?」と対象年齢を無視した発言を行なうなど、一緒に楽しむ日を心待ちにしている様子が伝わってきた。
最後のまとめとして、東尾さんは「5年後の東京オリンピックぐらいに(理汰郎が)触るようになって『野球盤』も売れる!」と上機嫌で話すと、石田さんは「(野球盤は)リアルに近いゲーム。それが僕らの郷愁も誘うけど、野球を覚えるのにも良い。たとえばピッチングで色んな球を投げられる。先ほどもチェンジアップなどを投げられておもしろかった。今遊び場も少なくキャッチボールもなかなかできないので、この『野球盤』を通じて野球を好きになって欲しいなと思います」とまとめた。来週より店頭での試遊もスタートする予定ということなので、まずは触ってみてはいかがだろうか。