ニュース

【特別企画】バンダイ、「DX超合金 YF-30 クロノス」レビュー

腕はエンジン側面に収納。全てのパーツがかっちりはまるファイター形態

腰をひねることが可能! サポートパーツでより安定するガウォーク形態

ガウォークの最大の特徴は逆側に曲がった足。劇中では、ホバリングや垂直上昇を可能にするほか、急制動をかける時にも使う
左がガウォーク、右がバトロイド用のサポートパーツ。ディスプレイスタンドに対応したものも用意されている

 次に中間形態、「ガウォーク」に変形させてみよう。ガウォークにするには、複雑に折り重なった機首からコクピットブロック、主翼へと繋がる部分を動かし、組み合わせていく。機首と翼を繋いでいるジョイント部分を動かし、頭部は後ろを向かせた後、胸部装甲と背面装甲の間にすっぽり収める。

 こうするとさっきの人型体型があっという間に平たい戦闘機の上部分に組み変わるのである。初めての場合は戸惑いやすい構造だが、ここの組み方そのものは、これまでのVF-25と同じ仕組みだ。しかもYF-30では、パーツの合いがしっかりしており、これまでよりスムーズに変形させることができた。

 今回、特に凝っているのは“腰ブロック”の処理である。従来のバルキリーは脚部ブロックと機体部分を接続させていたが、YF-30はあえて離すことで、バトロイド同様に腰の自由度を確保している。この腰部分の処理により、ガウォークでも腰がひねれるようになった。ただし、足が機体から離れたガウォークは新鮮であるが、ちょっと安定度が足りなく感じる。ここはサポートパーツをかませることでぴたりと決まる。

 飛行機と人型の中間形態ガウォークは、他のロボットにはない、バルキリーならではの形態で、ゲーム中でも高速で移動でき、ロックオンもしやすいため、開けた場所や大型の目標と戦う時にメインとなる使いやすい形態だ。YF-30のガウォークは腰をひねったり、ミサイルコンテナを回転させて従来以上の動きをつけたポージングが可能となっている。ゲーム内のイメージを重ねたディスプレイにこだわりたいところだ。

【ガウォーク形態】
この形態でもミサイルコンテナが独特のバランスを生んでいる
機首やコクピットの変形は複雑だが、従来のシリーズより変形させやすくなっており、技術の蓄積が感じられる
ガウォーク形態で腰をひねることができる
肩の変形システムはシンプルなものになっている
それぞれのガウォーク形態

腕はエンジン側面に収納。全てのパーツがかっちりはまるファイター形態

固定翼の、F-22やF-15を思わせるファイター形態
腕は足の側面に収納する
翼の下に穴がある。何を取りつけられるだろうか?

 最後はファイターだ。手足のある人型のロボットがその手足を感じさせない戦闘機形態になるというのは“変形”の醍醐味である。なによりも実際に飛びそうな戦闘機の形になったところにアニメロボット史におけるバルキリーの革新的な部分があった。最新作であるYF-30もかっちりと各部が収まった見事な戦闘機形態への変形を見せてくれる。

 今回特に面白かったのが“腕”の処理である。従来のバルキリーは両足の間に腕ブロックを収める形が多かった。しかし、YF-30の場合は、両足の間にミサイルブロックがあるので今回はこのパターンはつかえない。腕の収納という点では、VF-17シリーズは腕を機体の上部分に逃がしていた。YF-30ではどうするのだろうか?

 正解は「足の側面に沿わせる」というものだ。YF-30の腕は足の外側にフィットする緩やかなカーブが描かれており、脚の側面にぴったりくっつく。さらに主翼と接続できる装甲板、足回りには手の部分を覆うカバーがあり、これらを使うことで、見た目では腕がどこにあるのかわからないほど、見事に隠してしまうことができる。筆者は最初、ファイター形態のYF-30を手にとって色々な角度から眺めてみたのだが、腕の位置がわからなかった。今回の最も注目して欲しいポイントは、この腕の収納方法である。また、ランディングギアの機構もきちんと用意されており、シリーズの積み重ねを感じさせるものとなっている。こちらも要チェックだ。

 そして、「DX超合金 YF-30 クロノス」を実際に触ってみてこれまでの技術の確かな積み重ねを最も感じた部分は、「戦闘機形態での安定度」である。これまでの「DX超合金 マクロスシリーズ」はかなり各部品の“位置”がタイトで、変形時にかなり気をつけないと全てを収納するファイター形態がうまく決まらなかった。しかしYF-30はこれまでのものと比べるとはっきりとパーツがきちんと組み合わさり、かっちり変形ができると感じた。玩具としては非常に複雑な変形プロセスだが、“バルキリー入門用”として、強くオススメしたい完成度になっている。

 さて、オススメ度の高い「DX超合金 YF-30 クロノス」だが、さらなるお楽しみが待っていることに期待したい。これまでの「DX超合金 マクロスシリーズ」はバンダイの通販サイト「プレミアムバンダイ」にて、オプション装備の販売が行なわれた。YF-30での発表はまだだが、特に交換用コンテナの登場には期待したい。また、「DX超合金 YF-30 クロノス」では、翼の下には武器が取りつけられる“穴”も確認できた。ここに何がはまるか、今後の情報を待ちたい。

 「DX超合金 マクロスシリーズ」はその完成度、バルキリーという素材の面白さから多くの人から高い評価を受け、結果としてプレミアム価格で取引されている現状がある。「DX超合金 YF-30 クロノス」もAmazonでは定価より数千円高い価格を提示して予約を受け付ける販売者が見られた。筆者は幸い発売日直前に定価で申し込めたが、一部の人が値段をつり上げている状況は理不尽さを感じる。よりよい状況というのはどういうものなのかは考えたい。

 結論として、「DX超合金 YF-30 クロノス」はかなり満足した作品である。VF-25系の究極の進化として“全部のせ”を実現したYF-29も魅力的だが、YF-30はYF-29の方向性とは全く異なる方向で、“次の時代のバルキリー”を提示した機体であると思う。「DX超合金 YF-30 クロノス」はそのコンセプトを見事に再現し、そして何より“遊びやすさ”を考えて進化してくれたのが嬉しい。今後のゲームやアニメ作品でのYF-30、そしていずれ登場するであろう「VF-30」の活躍に期待したいし、追加コンテナを含めた玩具展開も大きく期待したい。「DX超合金 YF-30 クロノス」は新たなバルキリーとして、多くの人に手にとって、遊んでもらいたい。

【ファイター形態】
ファイター形態でもミサイルコンテナを展開することが可能
ランディングギアももちろん用意されている
ガンポッドはミサイルコンテナに取りつけることで機体底面につり下げられる
VF-25と29のファイター形態。29は4つのエンジン、前進翼という思い切ったデザインだ

(勝田哲也)