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「BLADE ARCUS from Shining」ロケテストレポート
「シャイニング」シリーズ初の2D格闘は“本格格ゲーファンに贈る意欲作”
(2014/5/9 14:11)
セガは、「シャイニング」シリーズ初となるアーケード用の対戦格闘ゲーム「BLADE ARCUS from Shining」のロケテストを、5月9日から11日まで、秋葉原のセガ秋葉原 1号館にて実施している。
初日となる9日にはメディア向けの試遊時間が設けられ、ロケテストVerの試遊を行なえたほか、「シャイニング」シリーズ総合プロデューサーの澤田 剛氏にもお話が伺えた。試遊の印象や、澤田氏へのインタビューの模様をお伝えしていこう。
「BLADE ARCUS from Shining」は、シリーズ作品の垣根を越え、十数人もの人気キャラクターが集結。さらにシリーズのキャラクターデザインを担当するイラストレーター・Tony氏が本作のために描き下ろした新キャラクター「リュウガ」と「パイロン」も登場し、好みのキャラでタッグを組めるシステム、魅力的なキャラクターたちの競演、豪華な声優陣も注目のポイントとなっている。
今回のロケテストでは、使用できるキャラクターは「リュウガ」、「パイロン」、「レイジ」、「サクヤ」、「シャオメイ」、「アルティナ」の以上6キャラクター。対戦時は最大5連勝、CPU戦は5ステージでプレイが終了する制限が設けられている。
使用キャラクターを2人選んでのタッグバトルシステムを採用しており、1レバー、A(弱)、B(中)、C(強)、D(サポートリンク)ボタンという4ボタンでプレイする2D格闘ゲーム。タッグ制ではあるが、ラウンド中にキャラクターの交代はなく、Dボタンでのパートナーキャラ呼び出し攻撃で参加するのみ。メインキャラクターの交代は次ラウンド開始前に行なえるのみとなっている。
実際プレイしてみると、モーションは滑らかでボイスも豊富。「シャイニング」のキャラクターの魅力を存分に楽しめる下地は、既にしっかり整っているという印象だ。格闘ゲームとしては、一見するとスピーディーなコンボで相手を固めていくタイプ系の格闘ゲームに思えるのだが、実際は逆で、弱攻撃こそ少々速めで連発できるものの、中、強は重く大きなモーション。密着しての攻防でも、相手の攻撃にさしこみやすく、切り返しやすい。
武器格闘ゲームなので、キャラクターによってリーチや動きの系統もだいぶ異なってくる。間合いを測りつつ1発を狙う、じりじりとしたやりとりになりそうだ。
システムを見ると、いわゆる必殺技なコマンド技である「フォースアクション」、超必殺技的なフォースゲージ消費技の「スーパーフォースアクション」がある。コマンドは比較的どのキャラクターもシンプルで、操作はしやすい。
特殊な要素をみると、フォースゲージ最大量の50%を消費して放つ「オフェンシブフォース(B+Cボタン同時押し)」は、通常攻撃からキャンセルして放つ突進攻撃。中段属性にもなっているようで、しゃがみガード中の相手を崩すかなめの攻撃になりそうだ。
サポートキャラクターを呼び出して攻撃させる「リンクアタック(Dボタン)」は、レバー入れ(前、後ろ、下)で攻撃が変化するもので、攻防ともに本作の重要テクニックとなりそうな存在。サポートリンクゲージを消費するのだが、発動した時の状況でゲージ消費量が異なる。こちらの攻撃中ならゲージ1枠、相手の攻撃をガード中なら2枠、ダメージを喰らっている時だと4枠(ゲージ全て)が必要になる。
リンクアタックは、ガード中、被ダメージ中は、仕切り直すための切り札的な存在であり、攻撃中には多彩な攻めをみせるテクニックになりそうだ。この日のプレイでは、相手キャラと密着して攻撃中にリンクアタックを置き、サポートキャラと自キャラで相手を左右から挟み込むような状況も作れた。置き方次第で、かなりえぐい攻撃も可能かもしれない。
「リンクフォースアタック」という、「スーパーフォースアクション」中にDボタンを押すことで発動する、パートナーと力をあわせた超強力な必殺技もある。フォース、サポートリンクともに全ゲージを消費するが、一発逆転も狙える、最大ダメージの技だ。
このように、じりじりとした差し合いや切り返しが楽しめる中に、ワンチャンスからテクニック次第で最大ダメージを伸ばせるような攻撃的なシステムが存在していた。リンクアタックは攻防ともに重要テクニックになりそうな予感があり、それだけにゲージ管理も重要そうだ。
当初は、「シリーズキャラクターの夢の競演を楽しむ、気軽さ重視の格闘ゲームなのかな」と思っていたのだが、そういう魅力も確かにありつつも、一方では、かなり骨太な本格格闘ゲームに仕上がっていると感じた。そのあたりはプロデューサーの澤田 剛氏へのインタビューでも伺うことができたので、引き続きそちらをご覧頂きたい。
シリーズ総合プロデューサー澤田 剛氏へインタビュー「ガチな格闘ゲーム好きの人に楽しんでもらえるように」
――2月の発表から、いよいよロケテストの日を迎えたわけですが、まずは一言頂けますか?
澤田氏:「シャイニング」シリーズは家庭用を中心にやってきたのですが、対戦格闘ゲームとして出るというのは、みなさん驚かれたと思います。こうしてロケテにたどり着く事ができました。現在も開発は続いておりますので、いろいろな意見をもらって、それを反映して。より面白い格闘ゲームにしていきたいなと思っています。ドキドキしていますね(笑)。ロケテというものを自分がやる側になっているのが新鮮です。
――なぜ「シャイニング」シリーズを格闘ゲームにしようと考えたのでしょうか?
澤田氏:自分はいわゆる「ストII」世代で。当時はばんばんゲーセンで対戦していました。2D格闘が大好きなんですね。で、開発はスタジオ最前線という会社さんで、「シャイニング・ハーツ」を作っていた会社なんですけども、そこのスタッフに以前に格闘ゲームを作っていた人がいるんですよね。かつてセガで「ガーディアンヒーローズ」とか家庭用で対戦要素のあるゲームを作っていた人でもあるのですが。彼らも「格闘ゲームを作りたい」と話していたんです。
「シャイニング」シリーズをよく知っていて、かつ、格闘ゲームを作っていた経験もあるというわけで。業務用は初めてなんですけど、やってみようかとなりました。自分も2D格闘好きですから、「シャイニング」シリーズのキャラクターを動かせて戦えるのが嬉しいですね。
――タッグ制にしたのはどんな考えからでしょうか?
澤田氏:家庭用の「シャイニング」シリーズって、コンビネーションで技を出したりとか、パートナーという要素が特徴でもあるんですよね。そこを活かそうというのがありました。この格闘ゲームでは、サポーターも単純な助っ人ではなくて、いろんな技を出させたり、パートナーの使い方が重要なゲームになっています。
――オリジナルの新キャラクターについて教えて頂けますか?
澤田氏:格闘ゲーム向けの新キャラクターとして「リュウガ」と「パイロン」という2人がいるのですが、格闘ということでデザインが中華風なところもあり、Tonyさんのセクシーな魅力もあったりで、いいキャラクターになったかなと思います。どちらのキャラも性能的には格闘ゲームファンには馴染みやすい、対空があって、飛び道具があって、移動攻撃があるというような。主人公ポジションの使いやすいキャラクターです。リュウガは、シリーズとしては初めてのダークヒーロー的なキャラクターですね。
――どんな層の人に遊んでもらうことを見越した作品でしょうか?
澤田氏:実は、シリーズファンというよりは、ガチな格闘ゲーム好きの人に楽しんでもらえるように作っていて。コンボ主体の「浮かせたら終わり」みたいなゲームではなく、差し合いを重視しています。今風にゲームスピードは速めてはあるのですが、そのあたりはもう少し考えていきたいところですね。
一方で、キャラクターによっては浮かせてコンボを決めたりとか、キャラの個性としてそういう要素を持っているキャラもいます。例えば、レイジとかは1発当てたら追加入力で連携が可能だったりもします。キャラクターによって、いろんな格闘ゲームの要素を楽しめるようになっていますね。
今のところは格闘ゲームファンが遊びやすい事を重視していて、開発スタッフは「新作の格闘ゲームを本気で作ろう」という感じで作っていますね。骨太なゲームになっていると思います。
――キャラクター数は最終的にどれぐらいになりそうですか?
澤田氏:10キャラクターぐらいはいますね。10人以上……あと何人ぐらいいるか。ちょっとまだ厳密には言えないですね。
――このロケテストでは新キャラクター以外の4人はみな「シャイニング・ブレイド」からの参戦ですが、他のシリーズからの参戦もありますか?
澤田氏:それはあります。格闘ゲームのキャラクターとして「出したら面白いんじゃないか?」というキャラクターも参戦予定です。
――シリーズ作品からの参戦ということもあって、細身のキャラクターが多いですよね。格闘ゲームに入れていくのに苦労したところはあったのでしょうか?
澤田氏:Tonyさんの描くキャラクターデザインは、モデル等身というか、細身なので。結構、キャラクターのボディバランスは何度も作り直しています。キャラクターも大きめに表示するようにして、ダイナミックな動きを楽しめるようにもして。スラッとした体型のキャラクターが多いので、例えば巨漢のキャラクターがいなかったり。そういうのも入れたいなと思うのですが……(笑)。
――Tonyさんが描いたキャラクター以外も登場する可能性はありますか?
澤田氏:全員、Tonyさんが描いたキャラクターになります。ユーザーさんから人気のあるキャラクターはだいたい出てくる、と思ってもらえれば。
――現在、開発スタッフのみなさんがプレイして、勝敗を分けてくる要素はどのあたりになっていますか?
澤田氏:やはりサポートキャラクターの使い方ですね。例えば、アルティナという弓を使うキャラクターは接近されると辛いのですが、そこでパートナーを上手く使って牽制していくとか。パートナーの使い方が鍵になるゲームを目指しています。
パートナーを呼ぶためのゲージを4枠貯められるのですが、攻撃中は1ゲージ、ガード中は2ゲージ、ダメージを受けている最中だと4ゲージというように、ゲージ消費が変わってきます。ゲージをどう使うかの判断が、重要になってくると思います。
――最後に、ユーザーの皆さんに一言頂けますか?
澤田氏:「シャイニング」シリーズのキャラクターが戦う格闘ゲームなので、シリーズファンの皆さんにも楽しんで頂けると思うのですが、格闘ゲームとしてしっかりとしたアーケード向けの作品になっていますので。1番遊んでもらいたいのは格闘ゲーム好きの皆さんなんですね。格闘ゲームに興味のある方は、ぜひ一度触ってみてもらえたらと思います。このロケテでお寄せ頂いた意見もどんどん反映して、良いゲームに仕上げていきますので。ご期待下さい。
ちなみに、この作品の家庭用への移植というのは「これから考える」というところです(笑)。結構ね、アーケードでがんばりますという想いがありますので。まだまだ、家庭用の事は考えていないんです。まずは、キャラクターの魅力もありますが、新作の格闘ゲームとして「BLADE ARCUS from Shining」を遊んでもらえたら嬉しいです。
――ありがとうございました。