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【特別企画】フィギュアの革命、「ねんどろいど」その歴史と未来:後編
ゲームキャラはアニメより難しい? ねんどろいどが目指す未来とは
(2014/3/19 00:00)
ゲームキャラはアニメより難しい? ねんどろいどが目指す未来とは
――ねんどろいどシリーズは、今やディフォルメフィギュアの代名詞となったなと感じます。現場の皆さんはどうでしょうか。
カホタン氏: ユーザー層が広がっている実感はあります。以前は「ニコニコ生放送」のコメントなどで拾えるくらいでしか声を聞けなかったそうですが、SNSの盛り上がりやTwitterなどでも反応が伝わってくるようになりましたし、海外からの反応も大きくなりました。
ユーザーの声は会社がまとめて情報を提供して共有するのではなく、個人個人が自分の作品を検索して、色々見ていますね(笑)。Twitter、アマゾンレビュー、まとめサイトなど色々です。個人的に最近反応が大きいなと感じているのは「艦隊これくしょん -艦これ-」ですね。「艦これ」は生放送などで情報を出しても、本当に反応が早いです。
――なるほど、ゲームのキャラクターをフィギュア化する場合は、特にここを気をつけているという場合はありますか?
めすか氏: ゲームキャラクターってアニメと比べると設定が細かいんですよ。アニメは複数の人が動画を手がけ、キャラクターを動かすからかもしれないですけど、デザインがシンプルな印象があります。しかしゲームキャラクターは衣装などがかなり細かく設定されていますね。
特にファンタジー系のゲームに関しては、設定が凝っていて、手がける前から調べて、どう処理をしてフィギュア化・ねんどろいど化していこうかを考えたりします。
――最近のゲームはキャラクターを3DCGモデルを描き起こしていますよね。このデータをそのまま使えるからフィギュア化しやすい、というところはないでしょうか。
めすか氏: そう言われる方は多いんですが、ゲームの中の立体データをそのままフィギュアにすると、かなり齟齬が出る部分があるんです。3DCGはゲーム内でのかっこうよさを考えて作られているのですが、フィギュアは立体として“中身が詰まっている”ので、関節の処理や可動域なども含めて、違いが出てくる場合があります。
CGはデータ上でフレキシブルに動かせますが、フィギュアにした場合、そこに生じるであろう“しわ”などを書き足していかなくてはリアルな感じが出ないので、実際にはゲームと異なる処理が必要となってきます。作り方、考え方が異なる部分がありますね。ただもちろん応用も可能で、ゲーム内のデータをそのまま使える部分もあります。“似て非なるもの”という感じですね。
――「ねんどろいど ソニック」はどちらかというとねんどろいど化というよりも、実際のゲーム内の頭身に近い印象を受けました。オリジナルに近い表現をするねんどろいどもありますね。
めすか氏: やはりゲーム内での印象が強いキャラクターなので、バランスをこちら側で変えすぎてしまうと、ユーザーさんの方で「これはそのキャラクターじゃない」と思われてしまうんです。オリジナルの頭身に近い作り方をしているものもあります。
過去に、真・女神転生の「ねんどろいどジャックフロスト」や、攻殻機動隊S.A.C.の「ねんどろいどタチコマ」、そして「ねんどろいどミッキーマウス」といったキャラクターも「ねんどろいど」としてフィギュアになりました。
ねんどろいどだからこそのディフォルメ処理はきちんとしているのですが、それでもキャラクターが持つ雰囲気を変えないためにどうするかを、試行錯誤しながら原型を作っています。
月山氏: 関節などの処理は特に気をつけています。フィギュアらしさより、ゲームキャラクターらしさを優先しています。
――「艦これ」のねんどろいどに関してのユーザーの反応はどうでしょうか? 「ねんどろいど化するんだ!」という盛り上がりはあったと思います。ここ数年でねんどろいどはかなり知名度が上がり、それと共にモチーフにできるキャラクターの幅も広がっているという印象を受けますね。
カホタン氏: 「島風」のねんどろいどは他社に比べて立体化をいち早くできたので、話題は集めましたね。「ねんどろいどは色々楽しいキャラクターをモチーフにする」というファンの方の認識は広がった気はします。ただ、やはりキャラクターがフックになってねんどろいどを知る、という人の方がまだまだ多いんじゃないかとも思っています。
「艦これ」ファンも「艦娘」の立体化というところで話題になった印象がありますし、キャラクターグッズとして買ったら、それがたまたまねんどろいどだったという人も多かったのではないかと。
めすか氏: 「艦これ」に関しては、ねんどろいどとしてギミックを盛り込める楽しさがあります。ダメージバージョンにボディを差し替えられるのもそうですが、「艤装」部分で砲塔を動かせたり、動きを与えられるところがありますね。軍艦のプラモデル的なしかけを入れることで楽しんでくれる人もいるかと。私達はホビーメーカーなので、細かい部分などもこだわってどんどん攻めていきたいです。
余談ですが、ワンダーフェスティバルの「WONDERFUL HOBBY LIFE FOR YOU!! 19(ワンホビ19)」ブースでは島風の「連装砲ちゃん」の巨大オブジェクトを展示しました。大きなオブジェクトを作る技術は社内スタッフにはなかったのですが、知り合いからノウハウのある人に手伝って貰って作りました。
――では次に話題を変えて、ねんどろいどの“未来”はどのようなものになるでしょうか? まず夢として盛り込んでみたい機能は?
カホタン氏: ……人工知能でしょうか? ねんどろいどサイズのロボットが作れたら楽しいかなと。しゃべったり、自律的に動いたり、イメージとしては“妖精さん”という感じで。
月山氏:もっとねんどろいどがユーザーさんにとってコミュニケーションのきっかけになれば良いなと。たとえば、弊社ではねんどろいどのフォトコンテストを開催しているのですが、こちらの想像を超える作品も多いのです。遠くの場所にロケに行ってくれたり……一例ですが、エッフェル塔を背景にねんどろいどの写真を撮ってくれたユーザーの方がいらっしゃいました。キャラクターへの“愛”を感じますよね。たとえばそれらの写真を話題にコミュニケーションが広がったり、人の繋がりをより深くさせることができれば良いかなと。
また、キャラクターへの“愛”を深めるにはどうすれば良いか? 表情パーツを替えるという遊び以外でもこれまでにない色々なシチュエーションを可能にできるような未来というのもあると思っています。このあたりをもっと深めるには何をしていけばいいか考えていきます。
カホタン氏: 個人的に、ねんどろいどって“生活になじんでいる”という印象を持っているんですよ。秋葉原に「グッドスマイル&カラオケの鉄人カフェ」があるのですが、そこにねんどろいどと食事に来るユーザーさんがいるんです。キャラクターを活かしたメニューや、グッズに囲まれた環境に、さらにねんどろいどを立たせて撮影するみたいなことをしている。「お出かけにはいつも一緒」というのも、ねんどろいどの楽しみ方なんだと思います。この“連れて歩ける”というところにも、何らかの未来というか、アプローチはあると思っています。
――最後にファンにメッセージをお願いします。
月山氏: ねんどろいどは400番までシリーズを重ねることができました。ここまで支持をいただきまして、本当にありがとうございます。引き続き僕たちは、新しい技術をどんどん取り入れながら、新しいことにチャレンジしていきます。もちろん品質も追求し続け、満足していただけるようにしていきますので、よろしくお願いします。
カホタン氏: ねんどろいどは長いシリーズになり、男性だけでなく、女性も、作品のキャラクターグッズと言うだけでなく、かわいらしさに魅力を感じて手にとっていただける人も増えたと感じています。様々なユーザーさんの要望に応えつつ、新しい遊びを提案できれば、と考えています。
めすか氏: ねんどろいどはもう8年なんだ、というのは今回改めて振り返ってみてびっくりしました。8年間、ねんどろいどは進化していったと思うんです。常に目新しさを求めていかないと続けられないです。これからも守りに入らず、常に新しさを提案できるように思っています。温かく見守ってください。
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