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無慈悲なシステムが燃えるMMORPG「DARK FALL:UNHOLY WARS」CBTレポート

殺してでも奪い取る。PvP特化型の殺伐世界で生き延びるハードコアタイトル

10月30日より オープンβテスト開始

利用料金:無料

ビジネスモデル:アイテム課金制

本作の公式サイトより。キャッチコピーからして殺伐としている

 エムゲームジャパンは10月30日より、新作Windows用MMORPG「DARK FALL:UNHOLY WARS」のオープンβテストを開始する。開発はギリシャのデベロッパーAventurineで、北米やヨーロッパでは既に正式サービス中だ。

 本作は昨今のMMORPGの中では“異質”と言って良いほどハードコアな作品だ。フィールドの一部のセーフエリア(安全地帯)を1歩出るだけで、いつ、誰に襲われてもおかしくはない。さらに殺されてしまった場合は、全てのアイテムをその場に落としてしまうというおまけ付き。落ちたアイテムは誰でも持ち去ることができるというあたり、往年の「ウルティマオンライン」を思い出させる仕様だ。

 本作には「殺してでも奪い取れ」というキャッチコピーがある。これが示しているのは、プレイを積み重ねて入手したアイテムや装備がプレーヤー同士で奪い奪われるというヒリヒリとした緊張感だ。昨今のMMORPGのカジュアルな対人戦に慣れていた筆者にとってはこれが衝撃的で、一筋縄ではいかないそんなシステムに魅力を感じ、9月26日から9月29日に行なわれたクローズドβテストに応募し、運良く参加することができた。今回はプレイを振り返りながら本作を紹介していきたい。なお今回は時間の限られたクローズドβテストということで、ゲームの序盤の要素に絞って触れているのでご容赦いただきたい。

 またエムゲームジャパンは「DARK FALL:UNHOLY WARS」について、日本を含めたアジア統合サービスを行なう予定となっている。アジア統合サービスはまず日本、韓国からスタートし、ゆくゆくは他のアジア圏の国でもサービスを提供していく予定だ。スタート時点では、日本、韓国ので2カ国のプレーヤーが1つのサーバーでプレイすることになる。

 北米・ヨーロッパ版との差異として、月額課金制モデルから基本プレイ無料モデルへの転換や、キャラクターグラフィックスのアジア風へのリファインを予定しているが、この段階ではキャラクターグラフィックスは北米・ヨーロッパ版と同一となっている。

陰鬱とした雰囲気が広がる広大な世界。プレーヤークラスは4種類から選択

様々な特徴的なロケーションはあるが、どれも全体的に暗い雰囲気だ

 まずは基本的な要素から紹介する。「DARK FALL:UNHOLY WARS」は「アーゴン」という大陸を舞台にしたダークファンタジーMMORPGだ。この世界には「ヒューマン」、「オーク」、「ドワーフ」、「ライカン」、「エルフ」、「ドラウ」の6種類の種族が暮らしている。

 プレーヤーはこの6種族の中から1種族を選択しゲームを選択する。種族ごとに若干の初期パラメーターの差はあるものの、ゲームを進めれば全てのパラメーターを強化できるので、この時点では特に気しなくても良い。

 種族を決めた後は「ロール」を選択する。「ロール」はいわゆる職業のようなもので、近接戦闘がメインの「ウォーリア」、弓を使った遠距離攻撃が得意な「レンジャー」、豊富な攻撃魔法を使って攻撃する「エレメンタリスト」、回復やバフで味方をサポートする「プライマリスト」の4種類がある。この「ロール」もゲーム中に変更できるので、ゲームを進めていて「自分のプレイスタイルと違うかな?」と思ったらすぐに切り替えることができる。

 さて冒険の舞台になる「アーゴン」は、ダークファンタジーというだけあって全体的におどろおどろしい印象だ。一部には緑が広がる草原地帯があるが、多くのエリアは暗く曇った空に朽ち果てた廃墟や、暗く陰鬱とした沼地、メラメラと赤い炎を放つ火山などが広がっている。

 フィールドはかなり広く、移動速度が早い「マウント」と呼ばれる乗り物に乗って移動しても端から端まで移動すると数時間単位で時間がかかる。しかし全てシームレスなので、マップの境目のローディングなどは一切発生しないという特徴もある。

 また大陸の外には広大な海が広がっており、孤島や海上砦なども存在している。泳いで移動することも可能だが、巨大なガレオン船から粗雑なイカダまで何種類かの船が登場するので、それらをが利用できればそちらの方が良い。

【種族】
いわゆる“洋ゲー”テイストなグラフィックだが、アジア統合サービスではリファインされるので参考程度にしていただきたい

狩場を、資源を、装備を。欲しいものは殺して奪い取れ!

HPが0になると瀕死状態になる。復活を諦めるか、他のプレーヤーに“処刑”されると死亡扱いになり、墓ができて財産を全て失う

 ここまでの要素だけを見ると“ありがち”なMMORPGの様に感じるかもしれない。本作の最も大きな特徴は、負ければ全てを失うという緊張感のあるPvPと、そのPvPを軸にしたプレーヤー同士の社会活動にある。

 リードでも簡単に述べたが、一部の街の周辺にあるセーフエリア以外は、誰から攻撃を受けてもおかしくない危険なエリアになっている。セーフエリアから外に出ずに活動することも可能で、序盤のレベリングはある程度ここで済む。しかしそれ以上の強いモンスターは出現しないし、レアな採集素材は入手しにくくなっている。また多くのプレーヤーが集まるため、モンスターの取り合いになるし、資源が枯渇するのも早い。

 そのため自然とプレーヤーはセーフエリア外で活動していくことになる。筆者も最初はセーフエリアの中だけで活動していたのだが、どうしても貴重な資源が欲しくてセーフエリア外で資源を採集していた。30分程資源を収集し街に帰ろうかというところで、背後から大きな両手剣で切りつけられ、数十分かけて集めた資源と、装備、なけなしのゴールドを全て持っていかれた。様々なゲームで殺され慣れている筆者だが、何の前触れもなくすべてが無に帰す理不尽さがかなりショックで、モニターの前で呆然となってしまった。

 ちなみに襲われた時の対処だが、自信があれば立ち向かえばいいし、そうでない場合は逃げるという方策がある。本作はフリータゲティングなので左右にくねくねと動くだけでも遠距離攻撃が避けやすいし、職業によっては一時的に移動速度が速くなるスキルを持っているためこれらを組み合わせれば逃げおおせる確率も格段に上がる。

 また資源だけでなく、狩場独占の為にもPvPは発生する。美味しい狩場を独占したい、という思いはどのプレーヤーにもあるので、相手がモンスターと必死に戦っている時に後ろから……といった事態も往々にして発生していた。モンスターも、資源も、装備も欲しければ殺して奪い取れ、というキャッチコピーさながらの開発者からのメッセージが伝わってくるような仕様だ。

 さらにアジア統合サービスの仕様として、キャラクターの頭上にプレーヤーの所属国が表示されるシステムがある。日本のプレーヤーであればJapanの頭文字の「J」という文字が、韓国のプレーヤーの場合はKoreaの頭文字「K」といった具合だ。

 運営によれば、これはPvPをより煽るために組み込んだのだという。このシステムにより、「特に理由は無いが別の国のプレーヤーだから襲ってみよう」といったPvPも発生していたようだ。

 通りすがりのPKから、アイテムを狙った強盗、そして国同士の抗争といった様にありとあらゆる理由でPvPが発生するように設計されているのが実に恐ろしい。

【スクリーンショット】
セーフゾーンから一歩も出ずに狩りや資源採集を行なうこともできる
瀕死のプレーヤーを選択すると、復活させるか、トドメを刺すか選択できる

(八橋亜機)