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祝発売! 「グランド・セフト・オートV」ファーストインプレッション
奪われた何かを求めるマイケルと、成功への道を探すフランクリンの出会い
(2013/10/10 00:00)
奪われた何かを求めるマイケルと、成功への道を探すフランクリンの出会い
今回プレイした部分で筆者の胸を強く揺さぶったのは、マイケルとフランクリンの出会いだ。証人保護プログラムで悠々自適の生活を送っているくせに不満ばかりだったマイケルは、フランクリンに息子の車を盗まれたことで“爆発”する。フランクリンをたたきのめして終わりではなく、脅して黒幕を暴こうとする。フランクリンが車に乗り込んだところで、後部座席から姿を現わし、いきなり銃を突きつけるのだ。
ここでストリートギャングとの銃撃戦もやっているフランクリンが本気でビビるところが面白い。マイケルの中には何かがあるというのをフランクリンが感じた瞬間だったろう。マイケルは盗みを指示したカーディーラーまで運転させた後、「おまえ、この車をあの店に突っ込ませろ」という。仕方なくフランクリンは従い、車はショーウィンドーをめちゃくちゃにする。慌てて出てきた店主をマイケルがボコボコにしている時、フランクリンは必死に逃げだす。しかし後日、フランクリンはマイケルを訪ねに行くのだ。
マイケルは仕事もせず、政府の保護でだらだら暮らしているダメ人間だが、敵を見つけた時のキレっぷりがすさまじい。ヨットをトラックで盗まれた時は、高速道路でド派手なカーチェイスを演じ、妻が浮気をした間男が隠れた家の支柱をトラックで引き抜いて倒壊させてしまう。この家をぶちこわすシーンは映画「リーサルウェポン2」の家を壊すシーンそのままでニヤニヤさせられる。
一方、フランクリンはケチな犯罪を続けている自分の境遇がイヤだった。何か大きなことをしていたいと思っていたのだ。そんなフランクリンにとって、すさまじい爆発力を持つマイケルはこれまで出会えなかった「何かをする力を持った人物」と見えたのだろう。マイケルもまた、ハイスピードで走るトラックに飛び移る無鉄砲さを持つフランクリンを認める。
こうして引退させられた元銀行強盗であるマイケルはフランクリンと出会い、ある事件がきっかけとなって“復活”する。仲間を集め、武器を用意し、再び犯罪に手を染めていくのだ。そのときマイケルはフランクリンに手を差し伸べ、フランクリンはしっかりとその手を握る。復活した男と、若きホープ、彼らがロスサントスに嵐を巻き起こすのだ。このストーリー展開はゾクゾクさせられた。
前作「GTAIV」は“成り上がりの物語”だった。何も持たないセルビア移民のニコが、ギャングを利用し、時には利用されながらのし上がっていく。「GTAV」では全てを手に入れたはずのマイケルがフランクリンを導くという展開になっているのがとても面白い。ここに人間爆弾のトレバーが加わるのだ。どんな展開になるか、とてもワクワクさせられる。
また、シリーズのファンとして筆者は、「GTA」が無軌道な犯罪者を描くという路線から、“何かを守る”という要素が強くなっているところに注目している。「GTAIV」では従兄弟のローマンはニコにとって大事な身内だったし、「GTAIV」のDLC「ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」の主人公ルイスは恩人や母親、友人とのしがらみに身動きができなくなるほど追い詰められていく。犯罪要素ばかりが取り上げられるシリーズだが、ウェットなテーマの割合も大きくなっているのだ。
マイケルの家族はばらばらでめちゃくちゃだが、お互い強い愛情を持っている。しかし内なる欲求のまま破滅的な犯罪へとマイケルは再び駆り立てられていく。家族とマイケルはどうなるのか、ド派手で爽快なゲーム展開と共に、家族の絆がどう“GTA流”に描かれるか、注目していきたいところだ。