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日本発のXbox One独占タイトル「D4」が凄かった!

日本人ゲームデザイナーSWERY氏が魅せる新機軸のサスペンスアドベンチャー

9月19日~22日 開催(一般開催日:21日~22日)

会場:幕張メッセ1ホール~9ホール

入場料:1,000円(中学生以上・前売)

1,200円(中学生以上・当日)
入場無料(小学生以下)

 今年の東京ゲームショウで日本マイクロソフトが試遊台を展開したXbox Oneタイトルは、「タイタンフォール」や「Forza Motorsport 5」など8タイトル。映像のみの出展も含めると17タイトルとなる。来年の日本のローンチのタイミングでは、さらに多くのラインナップが揃うことが予想され非常に楽しみだ。

 今回Xbox Oneタイトルの中で個人的に取材を楽しみにしていたのが「D4」だ。E3 2013のメディアブリーフィングで正式発表されたXbox One専用タイトルだが、E3では映像出展のみで、今回初めて取材の機会が得られた。まだ北米でも発売時期が決まっていないが、日本では純国産タイトルということもあり、ローンチタイトルのひとつに加えられている。本稿では「D4」のゲームの魅力をたっぷりご紹介したい。

【「D4」トレーラー】

複雑な人物関係図。1つのエピソードだけでもかなり多くの登場人物がいる
基本は手をパーの形にしてかざしながらプレイしていく
会話はボイスで応答する。コントローラーで選択することもできる
QTEはKinectをフル活用。細かい事情はわからないが、機内が大混乱になっているなか、危険から身を守る行動を採り続けているシーン
バトル中はQTE方式のおかげで、機内で敵が投げたボールを打つという無茶な展開に。基本的なストーリーはサスペンスものだが、シナリオとトゥーンシェーダーのおかげで、作品のイメージは明るい

 「D4」のパブリッシャーはMicrosoft Game Studios Japanで、デベロッパーは大阪に本拠を置くアクセスゲームズ。クリエイターは、「レッドシーズプロファイル」や「ロード オブ アルカナ」などを手がけてきた日本人ゲームデザイナーSWERY氏。末弘秀隆氏といえばピンとくる人も多いかもしれない。現在はSWERYという名前のみで活動しているようだ。

 「D4」は、1エピソードずつダウンロード配信され、ドラマを見るような感覚で楽しめるXbox One専用のサスペンスアドベンチャーゲーム。妻を殺害された主人公が、その死をきっかけに記憶喪失となり、その代わりに得た“記憶の籠もったオブジェクトに触れることで過去に飛べる”という特殊能力を駆使して、過去に飛んで事件の真相を解き明かし、妻の死を未然に防いでいくというストーリーになっている。

 Xbox One専用タイトルということで、ゲームコントローラーによる操作に加えて、標準装備のKinectもフル活用したゲームメカニクスを採用しており、後述するが徹底的なKinectの活用が本作の大きな特徴となっている。グラフィックスは、次世代機のトレンドであるフォトリアルをあえて目指さず、コテコテのトゥーンシェーダーを採用している。

 操作は簡単で、「パー」の手の形で画面内のオブジェクトを探索することができ、「グー」の形で決定、人差し指と中指の2本指を前に突き出す「ラスト」で、特殊アクションを繰り出すことができる。グラフィックスはフル3Dだが、日本のオーソドックスなアドベンチャーゲームのように視点は常に静止しており、画面端をスワイプすることで、主人公の正面の向きを変えることができる。

 デモでは、血の付いた保安官バッジを手がかりに過去に飛んだ最初のエピソードを見ることができた。舞台は国際線らしき旅客機の中。水平飛行に映り、食事も終わり、常客は寝るか、映画を見ているかという静かな時間帯だ。

 デモが始まってまず最初に感じたのは濃厚なストーリー性だ。主人公David Youngは若干冴えない感じのザンバラ髪の中年男性で、いつもチューイングガムを膨らませている。SWERY氏によれば、実はガムが大嫌いだが、妻が好きだったため噛んでいるというもの悲しい設定にしているという。また、妻がダイイングメッセージとして「Dを探せ」という言葉を残したため、主人公はDの付くものや人物を徹底的に探していくことになる。ちなみに「D4」というタイトルもDark Dreams Dont's Dieという4つのDの付く単語から来ている。

 短いデモの間に実に多くの登場人物と出くわした。不思議なことに妻によく似た容姿を持つキャビンアテンダントのOlivia Jonesや、血の付いた保安官バッジの持ち主であるDerek Buchananという名の保安官、そして彼に逮捕されて、護送されている麻薬の売人Antonio Zapatero、最後にマネキンSukeyを連れて飛行機に乗り込んでいるヤバい系のデザイナーDuncanなどなど。いずれも非常に個性的で、様々な思惑を持って主人公に接してくる。

 この機内のステージでは、機内のトイレから始まり、トイレから出て、様々な人物と接触して情報を集めたり、機内のオブジェクトを調べたりして、血の付いた保安官バッジの謎を解き明かしていくことになる。手を前にしてパーの形でかざしながら、オブジェクトを調べたり、拾ったり、人物を揺すったりしてゲームを進めていく。トイレのドアや、電子レンジの扉はアナログ操作で開いたり閉じたりでき、実際に操作している感覚が味わえる。

 調べるべきオブジェクトがわからなかったり、どこにオブジェクトがあるのかわからない場合は両手をこめかみの位置に添えることで、調べるべきオブジェクトが明示される仕組みになっており、謎解きに詰まることはない。ちなみに電子レンジを開けるとお金が拾えるなどのゲーム的な要素もあり、ステージ内のオブジェクトは1つずつ丁寧に調べるのがセオリーとなる。ちなみにお金を集めることで食べ物や服を買ったりすることができるという。もちろん、こうした手の操作を面倒くさいと感じる場合はすべてコントローラー操作で代用することもできる。

 バトルシーンは、いわゆるQTE(Quick Time Event)方式で処理される。といってもKinectをフルに使ったQTEになっており、指定のボタンを素早く連打するといった単純なものではない。「D4」のQTEは、左右の手もしくは両手を同時に上下左右のいずれかに動かしたり、トドメの一撃を食らわす場合は、そのまま殴るモーションのジェスチャーを繰り出したりなど、動きの多いものになっている。ただし、「D4」はアクションゲームではないため、QTEに失敗したからといってゲームオーバーになったりすることはなく、ストーリー進行にも影響はないという。

 敵をジェスチャー入力でとどめを刺し雲の上の大乱闘を制すると、デモは終わりとなった。今回のデモはかなり途中を端折って20分ほどの内容だったが、実際の1エピソードあたりのボリュームは2時間ほどで、メインストーリー以外に、謎解きの発生するサイドクエストもクリアすると3~4時間ほどのボリュームになるという。これを“1本いくら”というスタイルで販売していくことになるようだ。

 ゲームモードはこのシングルプレイキャンペーンのみで、クラウドサービスを使って仲間と各エピソードのリザルトを比較する仕様が導入されるという。イースターエッグをどれだけ集め、Kinectでどのようなアクションを繰り出したかを比較して楽しむことができるという。

 気になる日本語版については、基本的にはテキスト及び字幕のローカライズを考えているようで、ボイスについては検討中だという。

 SWERY氏にXbox Oneで発売することを決めた理由を尋ねると、もともとXbox 360のKinectを見て着想を得たということで、SWERY氏が当時実現したいと考えていた“感情移入できる物語を盛り込んだ、感覚を再現できるゲーム”を、このKinectなら実現できると考えたという。

 それではプラットフォームにXbox 360ではなくXbox Oneを選択した理由としては、Kinectの精度の違いを挙げた。3つのジェスチャーやボイスを使ったコマンド、座りながらくつろいだプレイといったことは実はXbox 360のKinectでは難しい部分があったという。また、日本の住環境も意識し、Xbox OneのKinectは画角が広い、つまり狭い場所でもKinectを展開できるため、日本の住環境でも遊びやすいと考えたという。

 Kinectの機能をフルに活かしたサスペンスアドベンチャーゲームは今までありそうでなかった分野だが、初の登場にして早くも決定版、しかもそれが日本のデベロッパーが作っていることは何より嬉しい部分だ。今回、完成度がメーカーの水準に達しなかったためか、メディア限定での公開となってしまったのが残念だが、Xbox One専用タイトルとして「D4」という純国産のアドベンチャーゲームがあることをこの機会に覚えておこう。

【登場キャラクター】
個性的な登場キャラクター達。それぞれの登場シーンもおもしろい

【スクリーンショット】

(中村聖司)