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【CEDEC2013】PS3「ガンダム バトルオペレーション」のビジネスモデルの秘密

課金者が強くなるというビジネスに無課金者が納得する方法とは何か?

8月21日~23日 開催予定

場所:パシフィコ横浜

受講料:15,000円(デイリーパス)~

 プレイステーション 3ダウンロード専用タイトル「機動戦士ガンダム バトルオペレーション」は、オンライン専用の対戦アクションゲーム。開発はB.B.スタジオで、運営はバンダイナムコゲームスが行なっている。「機動戦士ガンダム」の「一年戦争」をモチーフにプレーヤーは連邦軍とジオン軍にわかれ、様々なMS(モビルスーツ)に乗り込み、2対2、6対6といったチーム戦を繰り広げる。2012年6月より基本プレイ無料アイテム課金制の正式サービスを開始し、2013年には90万ダウンロードを突破した。

 CEDECの講演では「家庭用ゲーム機でFree to Playゲームを開発したらこうなった! ~バトオペの事例~」というタイトルで、本作のディレクターを務めるB.B.スタジオの神戸秋義氏、テクニカルマネージャーを務めるB.B.スタジオの近藤亮二氏、本作のプロデューサーを務めるバンダイナムコゲームスの桑原顕氏によって「ガンダム バトルオペレーション」の課金に対する姿勢や、取り組みが語られた。

お金を使ったユーザーが他の人から反感を買わないための「出撃エネルギー」

本作のディレクターを務めるB.B.スタジオの神戸秋義氏
本作のプロデューサーを務めるバンダイナムコゲームスの桑原顕氏

 「ガンダム バトルオペレーション」は2008年にパッケージゲームとして企画がスタートしたという。しかし2010年にα版ができた時点で「どう売っていくか」という課題があった。

 コンシューマゲームでは2010年頃からDLCの販売も盛んに行なわれており、加えてモバゲーの「ガンダムロワイヤル」などでFree to Play(基本プレイ無料)で大きな利益を上げる状況も生まれてきた。バンダイナムコゲームス内でも様々なビジネスモデルを模索していた。そういった流れの中で「ガンダム バトルオペレーション」はFree to Playのサービス形態を選択することとなった。

 Free to Playを選択する際にB.B.スタジオが考えたことは「お金を使ったユーザーが他の人から反感を買わない対人戦ゲームを作ろう」ということだった。お金を使ったから強い、お金を使えば使っていないプレーヤーを圧倒できるようなゲームにしてしまえば、ユーザーはいなくなってしまう。かといって無料でどこまでも遊べては運営が成立しない。バランスをどう取っていくか議論を重ねた。

 そういった模索の中から開発チームは「出撃エネルギー」というシステムと課金方式を作った。出撃エネルギーは最大3つまでストックでき、1プレイで1つ消費する。エネルギーは2時間で1つ回復する。3回の出撃で1時間弱ゲームを楽しむことが可能で、それ以上のプレイをしたければ、課金で出撃エネルギーを買うという形にした。

 この方式ならば、長く遊びたいプレーヤーほどお金を使うという、アーケードゲームに近いプレイスタイルになる。また、プレイを重ねうまくなるにつれエンブレムやカラーリングの変更、様々なMSの「設計図」が入手できるようにした。エネルギー以外に課金せずとも様々なものが得られる形にしたのだ。

 この方式はユーザーに受け入れられた。出撃エネルギーは1個100円。480円なら6個、1,850円なら27個と多くの個数をまとめて買うほど出撃エネルギーの単価は下がる。現在、「ガンダム バトルオペレーション」の売り上げのうち70%が出撃エネルギーであり、しかも出撃エネルギーの購入の76%が最も高額ではあるが単価が低くなる1,850円のタイプを選択しているという。

 サービス開始時は100円や480円の低価格で少量の出撃エネルギーを買うユーザーが多かったが、サービス1年を経過し、長い時間プレイするというユーザーが多くなった。ファミ通が発表した2012年にPlayStation Storeで発売されたNewゲーム、追加ダウンロードコンテンツの売り上げベスト100で「ガンダム バトルオペレーション」の出撃エネルギーの1,850円が1位、950円が6位を獲得するなど、非常に好評だという。

【「ガンダム バトルオペレーション」における課金方法】
出撃エネルギーの販売数はかなり多い。金額に関しては非公開。課金ユーザーの率はソーシャルゲームなどよりも高いという。

プレイするほど強くなる。より長くプレイするための課金アイテム

テクニカルマネージャーを務める近藤亮二氏

 「ガンダム バトルオペレーション」では出撃エネルギー以外も課金アイテムを販売している。「階級expブースター」や「開発ポイントブースター」といった、ゲームをプレイすることで入手できるポイントをブーストできるアイテムだ。

 こういったアイテムはゲームプレイ時間を短縮させるアイテムで、使わないユーザーと差が大きくなってしまいがちだ。しかし「ガンダム バトルオペレーション」では効果を「チーム全体」に及ぼすことで、課金者が他のチームメンバーから感謝される形になっている。その感謝が嬉しく、もう一度使う、ということも多いとのことだ。

 ブースト系のアイテムの中で最も人気なのが「設計図ブースター」。「ガンダム バトルオペレーション」は戦闘終了時に一定確率でMSの設計図が入手でき、それを元に新しいMSが入手できる。ブースターはその確率を上げてくれる。やはりプレーヤーにとってプレイのモチベーションは新しい機体を入手できるというところが大きいと桑原氏は語った。

 この他にも課金アイテムとして人気なのが「機体」だ。「ガンダム バトルオペレーション」はガチャではなく、強い機体を直接販売している。ここにも仕掛けがある。販売しているのは「LV5機体」となっている。本作ではMSはLV1の機体でプレイしているとLV2の設計図が入手できるというように、1つずつレベルを上げなくては性能の高いMSは入手できない。LV5の機体を入手するには、その機体をLV4まで開発しなくてはならないのだ。ここにも「プレイした人ほど強くなる」という思想が込められている。

 課金アイテムの説明の次にテクニカルマネージャーの近藤氏が説明したのが、「ユーザーへの調査」だ。バンダイナムコゲームスでは2012年11月に2,000円以上課金した現役プレーヤーに働きかけ、パーソナルインタビューによる調査を実施した。ユーザーに連絡し、承諾したユーザーに会場に来てもらい、話を聞くというもので、その意見では無課金でもMSや装備が手に入る点、課金で目的のものが手に入る点、課金する人は強いが、チーム戦なために勝ち続けられるかはチームにかかっている点などが好意的に評価されていた。

 ガチャと比較する人も多く、ガチャと違い目的のものが手に入るところ、目的のものを入手するにはやり込まなくてはいけないところも評価された。そして「課金すれば単純に強くなる」という方向性に関しては、ほぼ全ての人が否定的だったという。プレーヤーはゲームをやりこみプレイの感触をつかみ、機体の特性を把握しながら強い機体にしていくというところに楽しさを見出しているのが調査を通じてわかったという。

 最後に神戸氏は「ガンダム バトルオペレーション」の成功に関して、「ぶっちゃけガンダムだからです」と言いつつも、「でもそれだけではなしえなかったことも今回の講演に含まれていると思います。もし参考になれば幸いです」と語った。

【「ガンダム バトルオペレーション」における課金方法】
チームのプレーヤーにも影響するブーストアイテム
販売機体は、その機体を強化し続けたものが使用できる
一部の課金機体のゲーム内ポイント販売なども行なっている。それでも課金ポイントで機体を購入するユーザーは多いとのことだ
インタビューで得られたユーザーの意見。強くなるには戦いを重ねなければならないと言うことに、好意的だ

(勝田哲也)