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工学院大学、大学を体験できる「オープンキャンパス」で「シムシティ」を活用

8月3日~4日 開催

会場:工学院大学 新宿キャンパス

研究室の展示会場の様子。3日の午前中は、いつもたくさんの来場者が訪れ、「シムシティ」のプレイを希望する学生も多かった

 工学院大学は、8月3日と4日の2日間にわたって、新宿キャンパスと八王子キャンパスで「オープンキャンパス2013」を開催した。このイベントは、キャンパスライフの一部を体験できるというもので、開かれた学内で入試相談や学科相談できるコーナーが用意されていたり、ミニ実習や研究室が公開されているところもある。

 高校生たちへのアピールの場となる「オープンキャンパス2013」において、建築学部まちづくり学科に属する遠藤新准教授の研究室は、エレクトロニック・アーツのWindows/Mac用シミュレーション「シムシティ」(Mac版は8月リリース予定)を使用したプレゼンテーションを行なった。遠藤研究室の学生たちは、作成したプレゼンテーション用パネルとPCの中で都市構築を体験できる「シムシティ」を組み合わせ、来場した高校生に対し、都市計画のさわりを理解してもらい、実社会でどのように役立っているか説明していた。

 新宿キャンパス・9階奥に設置された遠藤新准教授の研究室のコーナーには、東京の実際にある都市の構造などを研究した成果をまとめたパネルとジオラマなどを展示。日頃の研究を披露すると共に、4台のノートPCを置き、ネットワークを繋いで「シムシティ」をプレイできる環境を設置。来場者の高校生に開放していた。

 「シムシティ」のプレイ方法を始め、どのような考え方で都市を造り始めると上手く都市が作成できるかを、日頃の研究をベースにしながら来場した高校生達に説明。さらにプレイ中の学生に「シムシティ」での街作りと、現実との違いなどを説明していった。聞いてみたところ、ゲームの説明に約10分ほどかかるが、皆約20分ほどプレイしていったという。

 説明を担当していた同校学生に話を聞いてみたところ、プレイしてみると現実と「シムシティ」の違いを感じるが、都市の構造を理解することや都市計画を考える入り口としては、「シムシティ」はわかりやすく最適だという。

 また、今回の試みはEAも大きく関わっている。「シムシティ」のゲームとしての面白さを広めるのはもちろんだが、同時にこういったゲーミフィケーションとしての側面もアピールしていきたいという。

 「オープンキャンパス2013」当日には残念ながら遠藤新准教授はいらっしゃらなかったのだが、いくつかコメントをお願いしたのでここにお届けする。遠藤氏の研究内容としてはこちらこちらに詳しく書かれている。遠藤氏によれば、都市をデザインする方法論について研究し実践しているということだ。

 日頃はゲームをプレイしないという遠藤氏だが、「『シムシティ』に関してはゲームとシミュレーターの中間的なところに興味を持ちました」という。導入の経緯については、「実際に都市計画をする上でのツールというより、都市計画を学ぶ最初の段階で色々と使えるのではないかと直感的に思い、今回の話に至りました」という。

 今後の課題として「講義やゼミでの本格導入」も考えているという。しかし現段階では学生に「シムシティ」を触ってもらいながら、「シムシティ」を用いた都市計画の導入教育の可能性について、あれこれと仮説を考えているところなのだとか。今回のオープンキャンパスでの高校生の反応も見ながら、教育への活用方法の可能性を考えてみたいと思っているという。

両親と訪れた学生もあれこれ話しながら「シムシティ」をプレイしていた。友人3人でプレイしていた来場者は、税率などにも悩んでいたようだ。ゲームとしてどこがデフォルメされ、一方で、都市のできる過程としてどこがリアルなのかを大学生達の説明で学べていたようだ
展示室内には「シムシティ」についての考察されたパネルも展示されていたほか、ウィル・ライト氏のインタビュー映像なども上映されていた
学生達の日頃の研究成果も数多く展示され、来場者も日頃どのような活動や研究をしているのか熱心なまなざしで眺めていた
「シムシティ」をプレイした人には、各種アンケートに答えてもらっていた

(船津稔)