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【ChinaJoy 2013】チャイナモバイル、T3エンタテイメントが提案するスマホゲームの新たなスタイル

“家のTVでスマホゲームを楽しむ”中国ならではのプレイスタイル

7月26日~29日開催(現地時間)

会場:上海新国際博覧中心(Shanghai New International Expo Centre)

 「スマートフォンを使って家のテレビでゲームを遊ぶ」。スマートフォンはどこでも持ち運びができるのが利点であり、そのデバイスをわざわざ家でゲームをするのに使うのは矛盾ではないか? そう考えてしまいそうになる。しかし、今回のChinaJoyでは2つのメーカーが家でスマホのゲームを遊ぶ、その提案を積極的に行なっていた。

 チャイナモバイルはゲームコントローラーを中心に家で自社のサービスをコンシューマーゲームのように遊ぶ方法を提案し自社コンテンツをアピールしていた。また、T3エンタテイメントはHisenseのスマートフォンをWiiリモコンのように使って遊べるTV、「VIDAA TV」を紹介していた。

家庭用テレビとコントローラを使ったゲームスタイルを提案するチャイナモバイル

ゲーム機風の模型。しかしチャイナモバイルがアピールしたいのはこのデバイスではないのだ
コントローラーでプレイ。コンシューマ機では当たり前のプレイスタイルだが、中国市場では受け取り方が変わってくる

 チャイナモバイルのブースはゲーム機型の大きな看板をつけた試遊台が何台も展示してあった。そこにはモニターとコントローラーが設置してあり、様々なゲームを楽しむことができた。最初に思ったのは、チャイナモバイルが新しいゲーム機を開発したのかな、ということだったが、Windows版や、Android版のゲームをコントローラで楽しめる、ということだった。

 その後会場で調べてみたのだが、コントローラーなどがセットになったシステムの名前や価格といった情報がない。そこで初めて気がついたのだが、チャイナモバイルがブースでアピールしているのは、コントローラーでゲームをプレイできる“システム”ではないのだ。「チャイナモバイルがサービスしているタイトルは、こういった形でコンシューマゲームの様に遊ぶことも可能だ」という、“プレイスタイルの提案”をしていたのである。

 PC向けだけでなく、スマホ向けのタイトルをTVでプレイしたいのか、というところに中国ならではの「モバイル事情」もある。中国では日本のように常にサーバーとデータをやりとりするようなモバイルゲームは好まれない。それは中国はモバイルの通信費において、「パケット使い放題」という定額サービスがなく、従量課金制のビジネスモデルしかないのだ。

 一定量以上のパケットを使うと、かなり割高な通信料を請求されることになる。このため中国のユーザーはパケットのやりとりに敏感であり、アプリをダウンロードする場合はWiFi環境のある場所で行なっているという。ゲームもまたWiFi環境があるような家でプレイするということが多いという。

 チャイナモバイルは今回、モバイル向けのゲームをサービスする会社でありながら、家庭用テレビを使い、腰を落ち着けて自社タイトルをプレイする“提案”を行なっていたのだ。PC向けのタイトルに関しても、マウスやキーボードを使うのではなく、コンシューマーゲームの様にコントローラーだけでプレイ可能なタイトルもあるということを強調していた。

 中国は他国のようにコンシューマーゲーム機が流通していない。だからこそ、家庭用ゲーム機とコントローラーを使ったゲームのプレイスタイルをアピールすることに意味が生まれるのだ。モバイル向けとはまた違った方向で、中国国内だからこそ効果的な自社タイトルの紹介方法と言えるだろう。

【チャイナモバイルブース】
コントローラを使って、PC向け、モバイル向けゲームをプレイできる。チャイナモバイルのコンテンツはこのようにも遊べる、ということこそが彼らが会場で見せたかったことだ

スマートテレビ向けゲームに、スマホの加速度センサーを活用

 T3エンタテイメントは中国のHisenseが開発した「VIDAA TV」を使ったコーナーを設けて機能を紹介していた。VIDAA TVはインターネットに接続可能なスマートTVで、専用リモコンにより、様々な自社サービスを使用できる。サービスを通じて番組や情報など多彩なコンテンツが利用できる様になる。

 自社サービスで魅力的なのが「ゲーム」である。「バトミントン」や「ボクシング」など専用のゲームが用意されている。T3エンタテイメントはこれらのタイトルの開発を担当している。これらのゲームでは、スマートフォンの加速度センサーや傾きセンサーを活用し、まるで「Wiiリモコン」のような使い方ができるのだ。バトミントンではスマホをラケットに見立て、飛んでくる羽に向かって振る。ボクシングではスマホを握ってテレビに向かって振るとキャラクターがパンチを繰り出す。

 スマホをコントローラーにするためには専用のアプリが必要で、プレイする前に画面にQRコードを出し、ダウンロードさせる。スマホからの信号を感知するため、テレビにはセンサーを取り付ける必要がある。会場では、自分の動いたとおりにキャラクターが動くのが受けて、多くの人が楽しそうにプレイしていた。

 Hisenseは「VIDAA TV」だけでなく、セットトップボックス形式の通常のTVに接続することで「VIDAA TV」と同じサービスが利用できる「I'BOX」も販売している。こちらは上海の電気街で見ることができたので、併せて紹介しておきたい。

 スマホをゲームのデバイスに使うというアイディアはWiiやKinectがある市場とはまた違った魅力を持つのではないかと感じた。モーションコントローラーを使ったゲームは独特の楽しさがある。スマホという「ユーザーがすでに持っているデバイス」に新たな魅力を追加するHisenseの試みは注目したい。

【T3エンタテイメントブース】
スマホをモーションコントローラーとしてゲームをプレイ。QRコードを読み込み、自分のスマホでプレイする人も

【I'BOX】
電気街で見ることができたHisenseの「I'BOX」

(勝田哲也)