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新「アトリエ」シリーズがPS3に登場

「エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術師~」

6月27日 発売予定

価格:
7,140円(通常版)
10,290円(プレミアムボックス)

 コーエーテクモゲームス本社において6月27日、ガストの「アトリエ」シリーズ最新作となるプレイステーション 3用旧約錬金術RPG「エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術師~」(以下、エスカ&ロジーのアトリエ)の発表会が開催された。価格は通常版が7,140円で、プレミアムボックスが10,290円。

ガスト20周年を記念するシリーズ15作目のタイトル

 本作は、アトリエシリーズとしては15作目。また、今年の10月には創立20周年を迎える、記念タイトルとなる。前作の「アーシャのアトリエ」の正当続編となっており、アーシャで語られたイメージを元に、さらに幻想的な雰囲気や、超自然地形といったファンタジー色を強く押し出した作品である。

 本作の最大の特徴はPS3で発売されるシリーズとしては初めて、女の子の「エスカ」、少年の「ロジー」2人から選んでプレイできること。同じイベントであっても、エスカ側のストーリーとロジー側のストーリーでは、違った視点で展開される。もちろん、起きるイベントもそれぞれで異なる。

【登場キャラクター】
エスカ・メーリエ:業績の悪い落ちこぼれの開発班に引き入れられた新人役人。自分の錬金術で人々が幸せになってくれればと願い、仕事に役立てようと努力する
ロジックス・フィクサリオ:中央から派遣されて町へやってきた若い役人。剣術と錬金術を組み合わせることで扱える最新式の錬金剣を駆使する

 発表会にはコーエーテクモホールディングス社長の襟川陽一氏が登場。襟川氏は「コーエーテクモホールディングスの社長だが、ガストの社長でもある」と前置きしながら、「ガストの社長をしながら、現在はシブサワ・コウとして『信長の野望・創造』の開発もしている。信長の野望シリーズは30年で14作だが、アトリエシリーズは20年で15作。皆さんに愛されたことを感謝する」と述べ「男の子と女の子どちらかを選んで遊ぶことができる。非常に幅広い方々、男性のファンも女性のファンも、十分楽しめる内容となっているので期待してほしい」と語った。

コーエーテクモホールディングス代表取締役社長 襟川陽一氏が登壇し、挨拶した
発表会にはこのほか、ソニー・コンピュータエンタテインメント・ジャパンアジア プレジデントの河野弘氏からのビデオメッセージも紹介。河野氏は「アトリエシリーズはプレイステーションフォーマットを支えてくれた大切なシリーズ」と語った

よりわかりやすくなった調合システム

本作のディレクターである岡村佳人氏

 引き続き、ガストのディレクターである岡村佳人氏より、本作の内容について紹介された。

 先ほどもあったように、昨年発売された「アーシャのアトリエ」に続く「黄昏シリーズ」の2作目。そして主人公選択制を取り入れているのが特徴だ。エスカとロジーそれぞれで異なる視点から、ストーリーを進めていくことができる。

 「これまでのアトリエシリーズとしては、ほのぼのとした女の子のRPGというイメージが強かった。女の子を主人公として捜査することで敬遠していた一般のRPGユーザーや、アトリエを男の子主人公でプレイしたいと望んでいたユーザーのニーズにも応えたかった。それに加えて、これまでのようにかわいらしい女の子でアトリエを楽しみたい、こうしたユーザーに答えるためにも、主人公選択制を採った」とのこと。

 「エスカを主人公とした場合には、これまでのアトリエシリーズのような、ほのぼのとした日常的なイベントを楽しむことができる。ロジーを主人公とした場合には、ほのぼのとしたイベントではなく、“黄昏の世界”の謎、錬金術の秘密など、世界観に焦点が当たっている、ややシリアスなストーリーが展開される」と岡村氏は続けた。

 さらに岡村氏は、ユーザーから「エスカとロジー両方をプレイしないと本作は楽しめないのではないか」という声が出ていることも知っていると前置きしつつ「基本的なストーリーは変わらないので、どちらの主人公を選んでも楽しんでもらえる作品になっている」と語った。

 アトリエシリーズの醍醐味である「調合システム」もパワーアップ。前作で実装した調合システムを踏襲しながら、材料の投入順とスキルを活用するのが重要となるそうだ。また、前作ではできることが多すぎて奥深いが、自由にできるようになるまでには時間が掛かる、といったユーザーの声にも応える形で、本作ではゲーム開始から順次、段階的に調合システムの仕組みが配置されるように改変。ユーザーがゲームシステムを理解しながら調合を進めていけるようにしたそうだ。重要なスキルについても、うまく使うことで、よりよいアイテムが調合できるようになったとのことだ。

 また、「作ったアイテムを活用する場所がなかった」ということが大きな要望としてあったが、今作のアイテムは戦闘で使えるとのこと。「作り込んだアイテムは非常に強力になっており、活用する場も多いので、楽しみにしてほしい」と岡村氏。武器と防具の調合復活してほしいというユーザーの声も多数あったそうで、こちらも本作では復活しているそうだ。

 なお、今回は主人公が2人いるので、それぞれ調合の役割が異なる。エスカは従来の主要アイテムや爆弾のようなアイテムを作る調合が中心。ロジーについては武器や防具などの装備品を作る調合システムを担当するといったように、役割を変えているとのこと。ただし主人公によってどちらかができなくなる、ということではなく、2人どちらを選んでも、調合を楽しめるようになっている。

コーエーテクモゲームスの「KTGL」に本格的に対応

 本作は、ガストのタイトルとして初めて、コーエーテクモグループの自社エンジンである「KTGL」に本格的に対応した。これにより、フィールドの空気感、グラフィックの描写など、前作よりも表現が大幅に向上した。またローディング速度の改善など、ゲームのユーザビリティについても向上が図られている。

 また本作では、フィールド上で発生する「フィールドイベント」が追加されている。これまでのアトリエシリーズでは材料の収集、敵とのバトルイベントが主だったが、ルーチンワークになりがちであった。そこでユーザーが選択して得られる“短期的なご褒美”というものをフィールドイベントとして実装した。

 フィールドでさまざまなことを行なうことでゲージが上がっていき、それを使うことでよりよいアイテムを得られたり、といった効果をもたらしてくれるとか、その後の調合が有利になったり、また非常に強いモンスターと戦闘できるなど、ユーザーに選択肢を提供して、その中からユーザーが選んで、結果を受け入れられるようなシステムを導入することで、よりフィールドでのプレイを楽しめるようにしたそうだ。

 今回の戦闘システムだが、前作を踏襲しており、コマンド入力によって行動が変化するというコストターンのターン制バトルとなっている。なお、今回からは前衛3人、後衛3人の合計6人でのバトルが可能になったのが大きな変更点。たくさんのパーティキャラクターが登場するので、できるだけ多くのキャラクターを使いたいというユーザーの声に応えたものだ。これも「KTGLに対応したからできた戦闘システム(岡村氏)」とのこと。キャラクターが連続で行動したり、他のキャラクターが敵からの攻撃を守ってくれるといったこともあるそうだ。「入り乱れバトルとアイテムの調合を楽しんでほしい」と岡村氏は語った。

 今回は初回特典としてプレイステーション 2で発売された「マナケミア2~おちた学園と錬金術師たち~」の無料ダウンロードコードが付属するのだが、本作はこのタイトルの戦闘システムを取り入れたとのこと。「このタイトルと一緒に遊んでもらって、この数年間のガストのクオリティアップを感じてほしい」と岡村氏も感慨深げ。

 なお、GAMECITYにて「アトリエ検定(アーシャ編)」が6月12日午後1時30分より開始される。ここでは「アーシャのアトリエ」に関する難問・奇問を100種類以上掲載。開発の人でもわからないような、非常にコアなコンテンツになっているとのこと。スコアランキングも表示されるので、ファンの人は検定を受けてみてはいかがだろうか。

発表会にはエスカ役の村川梨衣さんも登場

エスカ役の村川梨衣さん(左)、キャラクターデザインを担当した左さん(右)

 発表会の最後には、エスカ役の村川梨衣さんと、前作に引き続き本作のキャラクターデザインを担当した左さんが登場した。

 左氏は前作の時に、時間がかかったキャラクターとかからなかったキャラクターの差や、時間がかかったときのつまり具合などを、本作では系統立てて考えていけたので、より早く、明確に作れるものから始めていったそうだ。

 主人公に関しては、前回のアーシャとは違って、最初は「少し元気なキャラクター」という設定があっただけで、細かい方向性は決まっておらず、いろいろなパターンを出して、そこから決めていったとのこと。「頼りにするものがないといった意味では、非常に大変だった」という。

 村川さんはエスカの印象について、「ふわふわで可愛くて。個人的にピンクの髪の毛の女の子はすごく好きなので、一目見たときから、わたしの好きな可愛い女の子のどんぴしゃだった」そうだ。

 ちなみにエスカにはしっぽがある。これについては社内でも評判だったそうだが、「せっかくしっぽがあるので、感情に合わせて動く方がいいとか、特徴的に使わせてもらった」と岡村氏。左氏は「アクセサリと言うより、見た目のかわいらしさを出す中の試行錯誤の1つとしてしっぽを付けてみた」とコメント。イベントシーンでは使われているので、そこに注目してほしい、とも。

 ロジーについても苦労してキャラクターを作ったそうだが、男の主人公とすると、髪の毛が長かったり、たくましかったりするなど、いろいろとぶれたわけではなかったのだが、ボトムにしても太い感じで行こう、としてみたり、熱血タイプだったり、中二病っぽかったり、さまざまな形で試行錯誤したとのこと。岡村さんは開発側としては、アトリエシリーズのキャラクターなので、一部の人に受け入れられるのではなく、万人に愛されるようなキャラクターを目指したいと思い、このようなキャラクターになったそうだ。左氏は「上半身でも下半身でもスリムだとシルエットが普通になってしまったので、腰に巻くものを付けたり、あとは剣を下げるものを合わせてみたりした」という。

 村川さんはロジーを見たときに「やっぱりイケメンだなー」と思ったそうだ。「エスカとしては、ロジーは恋愛対象と言うより“お兄さん”といった感じで、親しみや友情、仲間としての絆が強いと思うのですが、自分としては他の女の子とからんでいるときに『ロジーさん、そうなの?』と思っていた」と笑いながら答えた。

 なお、ロジー役の石川界人さんからのビデオメッセージも紹介された。石川さんは分厚い台本にびっくりしたそうだが、ロジーはゲームで初めて主役を演じたこともあり、思い入れの強いキャラクターだとのこと。これを機にアトリエシリーズをプレイしてみたいとも語った。

「この目線の先に私がいたい(笑)」(村川さん)
ロジー役の石川界人さんからはビデオメッセージが

 最後に左氏は「アーシャの頃と違ったのは、今回は前作をプレイして面白かったから次も買ってみよう、といった時の評価もからんでくると思いますので、アーシャの時とは違った緊張感を持っています。皆さん是非とも、遊んでみてください」と語った。

 村川さんは「先ほども言ったのですが、初めて見たときからエスカはかわいいと思ってました。エスカの声が担当できたらいいなーと思っていたので、選んでいただけてとてもうれしく思うとともに、皆さんの期待に応えるエスカを演じたいと思っていました。エスカちゃんは左先生のこだわりがたくさんあるのでそれを見ていただきたいですし、景色もきれいなので、そのあたりを皆さんに見ていただきたいなーと思っております」とコメントし締めくくった。

(今藤弘一)