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趣味のUnityゲーム開発が収入に? デジタルサイネージへの応用も!
「Unite Japan」で披露された個性的なアプリの開発模様をチェック
(2013/4/17 00:00)
4月15日~16日にかけて開催されたUnityゲーム開発者向けの大規模カンファレンス「Unite Japan」。そこではポストモーテム系のセッションを通じて、十人十色のアプリ開発模様を見ることができた。
多くの人にとって気になるのは「本当に個人レベルでゲームをつくれるのか?」ということだろう。これについてはいくつもの実現例があり、起業に至った成功例も、趣味の範囲で楽しみながら収入にも繋がっているという例もある。
またUnityはゲーム開発に使われるだけでなく、その柔軟性を生かしてノンゲームコンテンツの制作にも活用されている。街で見かけた綺麗なデジタルサイネージが、実はUnityで動いていたということも大いに有り得るのだ。本稿ではそれら個性的なアプリ開発の実例をご紹介しよう。
「作ること、そのものが目的」。Unityで実現した幸せな趣味のゲーム開発
Unityで実現可能になるとされる個人レベルでのゲーム開発。その実例をわかりやすく紹介してくれたのは、Tokyo I minuteという名前で個人製作ゲームを公開している田村幸一氏と、テラシュールウェアというグループ名で萌え系のインディーズゲーム開発を行なっている山村達彦氏だ。
田村氏はウェブ関係の本業を持ちながら、趣味でゲーム開発を続けているひとりだ。個人開発を始めたのは昨年6月、38歳のとき。プログラム経験はほとんどないものの、常々モバイルアプリを作ってみたいという思いがあり、周囲にUnityを使い始めている人が多く出始めたこともあって、自分もチャレンジしてみたということらしい。
作業は自宅でひとり。平日に1時間の基礎研究をしながら、実際の制作は週末などにまとめて行なうというスタイルだ。仕事も妻子もあるという立場なので無理のない範囲でやっており、いわば日曜大工という感じである。それでもほぼ1年足らずで2本のゲームをリリースできたそうだから大したものだ。
かけたコストは、Unity関連書籍と、AssetStoreでのちょっとしたアセットの購入費用のみ。Unityライセンスは無料キャンペーン時にゲットしたとのことで、事実上ほとんどお金もかかっていない。それでいて、それぞれ実作業30時間ほどで仕上げたという2本のゲームは34万ダウンロードにもなっており、アプリ内広告でそれなりの収入が得られているという。
ゲームを作り公開することで別の利益もあった。Unity関連の各種イベントへの参加などを通じて、多くの出会いがあり、Unityに関する情報がどんどん集まるようになってきたという。また、作成したゲームは子供にも遊んでもらうことで、親子のコミュニケーション促進に繋がっているようだ。最近は子供がゲームを作りたがっているそうで、本格的に作り方を教えようかと検討しているところだそうだ。
こうして趣味を楽しみながらうまく実益も得ている秘訣について、田村氏は「ゲームを作る事自体を目標にしているから」と語る。時間も労力もかかるような機能ははじめから入れない。難しいことは端折って、とにかく動くものを作る。それによって、開発が長引くことによるモチベーションの低下も避けられると語っていた。
一方、山村氏のテラシュールウェアは4人組みのチームで、もっと本格的なゲームを作成している。それゆえの開発期間の長期化などによるモチベーションの低下など苦しい思いもしてきたようだ。その分、マネタイズの部分には力を入れ、有料アイテムを実装するなど商用ゲームとしての仕様をもりこみ、前作と今作を通じてそれなりの収益が得られているとのことだ。
山村氏も、ゲームを作ることを通じて人とのつながりや、自分の世界が広がっていたところに良さを感じている。この活動を通じて、いまや山村氏はユニティ・テクノロジーズ・ジャパンのスタッフとしてUnityの普及に勤める立場だ。
2人はUnityの利便性、AssetStoreの活用による容易なクオリティアップが見込める点などを強調しつつ、「5年前にこのようにゲーム開発をすることは不可能だった。5年後にはもっとスゴイものがつくれるようになるはず」として、今後もゲーム開発を楽しんでいくことに意気込みを見せていた。