ニュース

「クライシス 3」発売記念イベントにプロフェット登場!

Crytekマイク・リード氏インタビューを交えてイベントの模様をお届け

3月17日 開催

場所:秋葉原UDXシアター

参加費:無料(抽選100名)

 エレクトロニック・アーツは3月17日、秋葉原にて「クライシス 3」発売記念イベントを開催した。「ファン感謝祭!×お疲れ、我らがプロフェット隊長! 凱旋帰国イベント」と題されたこの催しには、Crytekで本作のプロデューサーを務めるマイク・リード氏など豪華ゲストも登場し、抽選で選ばれた100名のファンがQ&Aセッションや「クライシス 3」プレイステーション3版での対戦会を楽しんだ。

 また本イベントのサプライズとして、「クライシス 3」の主人公であるプロフェットも登場。もちろんコスプレだが、ナノスーツの構造を忠実に再現した精巧さと迫力が非常にハイレベル。エレクトロニック・アーツがこの日のために準備してきた本気度が伝わってくる出来栄えだ。

 本稿ではイベントレポートに加えて、本イベントのために来日したCrytekのプロデューサー、マイク・リード氏のインタビューをお届けしたい。

「クライシスとあのゲームの主人公はどっちが強い?」との質問も飛び出したユーザーイベント

イベントは秋葉原UDXシアターで開催された
突然登場するプロフェット
マイク・リード氏も登壇し、様々な質問に答えていった

 インタビューに続いて開催されたユーザーイベントでは、FPSプレーヤーuNleashed氏、BRSRK氏、StanSmith氏の司会進行でマイク・リード氏へのQ&Aなど各種のトークセッションと対戦会が催された。

 Q&Aコーナーでは様々な質問が飛び出したが、そのうち興味深いものをいくつかご紹介していこう。まずシリーズにおける本作の立ち位置が明確になった質問は、「『3』で始めて登場した弓。そのアイディアはどこから?」というもの。

 これについてマイク・リード氏。「これは本作で、シリーズの元のコンセプトに戻ろうということが反映されています。まずジャングルに戻る、ということです。もうひとつは、主人公は『2』で追い詰められる側に立ったわけですが、『3』では追い詰める側に戻ります。つまり狩られる者から狩るものへということで、弓という武器を取り入れようと考えました」。

 続いて「日本のゲームで好きなものはありますか?」という質問には、大の「メタルギア」シリーズのファンであると明かしたマイク・リード氏。ファミコン版の初代からのファンで、97年にプレイステーション版が出た際には、それまでメインで使用していたニンテンドー64を下取りに出してプレイステーションを買ってプレイしたほどだそうだ。

 これについてユーザーサイドからも面白い質問が飛び出している。「メタルギアとクライシス、両作の主人公が戦ったらどちらが勝つか?」というものだ。これにはマイク・リード氏も苦笑いしつつ、「とてもステルス性の高いバトルになるでしょうね」とコメント。

 さらに「いわば、総合格闘技でブラジリアン柔術同士のマッチアップになったら、と想像すればわかりやすいと思います。こればかりは五分五分で、なかなか勝負がつかないでしょうね」と、エスプリの効いたコメントで会場の笑いを誘った。確かに、互いに得意のステルスで牽制しつつ、決定打のないまま日が暮れてしまいそうだ。

 そして「シリーズの今後は?」という質問。これについては、まず「クライシス 3」でシリーズが完結したわけではないとの考えを披露。シリーズの歴史を踏まえ、「ナノスーツ」という固有のガジェットが広く認知されるにいたったことを評価した上で、次のように語っている。

 「『クライシス』の世界を生かして、また違ったスタイル、違ったエレメントのゲームをご提供できればと考えています。またしかるべき時期に、皆さんにお知らせできればと思っています」。

 いずれにしても、まだ「3」が出たばかりで公式に語れることは何もないというのはしかたのないところだ。とはいえ将来の展開としては、例えばRTS版の「クライシス」もありえるとするなど、あらゆる可能性を捨てていないようだ。

ユーザー対戦会の様子。デスマッチルール10分勝負
成績優秀者にはプロフェットとマイク・リード氏が賞品を授与
参加者全員で記念撮影

 その後はBRZRK氏、StanSmith氏の実況を交えつつユーザー対戦会が開催された。会場内の希望者が10名ずつ集まってフリー・フォー・オールのデスマッチでランキングを決めるというものだ。シンプル極まりないルールゆえに、本作のマルチプレイゲームのハイテンポさが際立つゲーム内容が披露された。対戦会の上位3名には記念品としてオリジナルTシャツが贈られている。

 イベント途中にはエレクトロニック・アーツがこの日のために制作したナノ・スーツに身を包んだ「プロフェット」も登場。その出来栄えは、世界中で様々なバージョンのプロフェットを見てきたマイク・リード氏も舌を巻き、「世界で1番よく出来てる」と絶賛。しかし10分以上着ているとかなり辛いシロモノのようで、“エネルギーを補充するため”としてたびたび退席する様が、とくに会場にウケていたようだ。

 「クライシス 3」はプレイステーション 3、Xbox 360、Windows PCの各プラットフォームで現在好評発売中。マイク・リード氏の言うとおり、初心者でもプレイしやすく、シリーズ全体の集大成となるゲームになっているので、興味のある方はぜひチェックしてみよう。

「クライシス 3」で目指したものとは? マイク・リード氏インタビュー

インタビューに応えるCrytekのマイク・リード氏

──本作の開発におけるマイクさんの役割について教えて下さい。

マイク・リード氏:「クライシス 3」の開発は比較的フラットな組織体系で行なっています。ディレクター委員会という組織がありまして、そこでストーリーやアニメーション、オーディオなどのあり方を決定してきました。私の場合は特に外部スタッフや開発チームとのやりとりを担当していまして、Crytekのマーケティングとゲームの方向性が合致するように調整するといったことをやってきました。

──「クライシス」シリーズに加わる前と後で、ゲームへの印象はどう変わりましたか?

マイク・リード氏:実は初代「クライシス」は、当時所有していたPCでは性能が足りなかったため結局やらずじまいでした。とはいえCrytekは技術的な面で多くを成し遂げ、「クライシス」の1と2を通じてFPSジャンルにおける非常にユニークなポジションを確保している会社だなという認識を持っていました。そして「クライシス 3」の開発にあたっては、「Farcry」からのベテランも多くいる本当に素晴らしいチームと仕事をすることができました。その意味では、開発チームの情熱や能力を目の当たりしたことが印象の変化だったと思います。

──開発のゴールとして、「クライシス 3」をどのようなゲームにしようと思いましたか?

マイク・リード氏:それまでの「クライシス」シリーズの集大成にすると同時に、開発当初にターゲットとしたPCの能力に合わせて、出来る限り最高のゲームを作ろうと考えました。その上で、従来のシリーズから大幅に変えるのではなく、1と2を楽しんでくれた皆さんがそのまま入り込めるような作品にしようと考えました。

 その中で、ストーリーテリングの面では、役者の声だけでなく動きも取り入れるパフォーマンス・キャプチャーを用いることでシネマティクスをさらに進化させています。この流れはシリーズの今後でも追求していきたいと考えています。

──これからプレイする人にはどんなところに注目してほしいと思いますか?

マイク・リード氏:今回は新規の方でもすぐにゲームに入り込めるよう、システム面で様々な変更を加えています。例えばゲーム中にチュートリアルのシステムを組み込みました。また各スーツモードの切り替えをよりスピーディにすることで、さらにプレイしやすく調整してあります。

 また、2007年の初代からの伝統ですが、本作もまた他のFPSとは違った遊びができるという部分を重視して開発しています。それはシングルプレーヤーゲームもそうですが、特に今回はマルチプレーヤーモードの内容に反映されていると思いますね。

インタビューの最中、突如乱入してきたエレクトロニック・アーツ謹製プロフェットと記念撮影

──本作のストーリー面での注力点を教えて下さい。

マイク・リード氏:従来のシリーズではストーリーをきちんと追いながらプレイすることが難しいという問題があったように思います。そこで本作ではキャラクターの個性を出すことを非常に重要視しました。パフォーマンス・キャプチャーという新しい技術を使ったこともそうです。初代は全て内部で作成したのですが、今回はイギリスのスティーブン・ホールさんという方にキャラクターの肉付けをお願いして制作を進めてきました。

 また西欧で人気のある「Walking Dead」のように、ストーリーを深い部分で語りつつ、プレーヤーには強い感情をともなう難しい選択を迫るといった手法を取り入れたいと考えていました。「クライシス 3」ではゲームならではのインタラクティブな体験と、シネマティックな体験を上手に組み合わせることに注力し、その点で多く学べることがありましたし、さらに将来に向けて追求していきたい部分だと思います。

──マーケティングの面で、新しいファンを獲得するために工夫したことはありますか?

マイク・リード氏:今回は新しいファンを取り込むために、「スーツ・アップ・キャンペーン」と題してこれまでと違ったことに取り組みました。これまではわりとシリアスな印象を与えるアピールをしてきたのですが、それをあまり崩しすぎない範囲で、ある程度くだけた表現を全面に押し出すという感じですね。

 またゲーム内容についても新規の方が遊びやすいように工夫しています。シングルプレーヤーモードはそれほど変えていないのですが、マルチプレーヤーモードはいろいろと変えました。マップを大きく、よりスピーディなゲーム展開にした上で、実質的に2つのボタンだけでスーツの機能を使いこなせるようにするなどシンプル化し、新しいプレーヤーでも簡単にプレイできるよう調整しています。

──今回のマルチプレーヤーモードでは、「ハンターモード」という非対称ルールがユニークだと思います。このモードを制作した狙いについて教えて下さい。

マイク・リード氏:こういった非対称型のゲームルールは他のゲームでもいくつか実装しているものではありますが、私達としても以前から作りたいという思いがあり、今回ようやく本作の中で実現することができました。ちょっとユニークなのは、ゲームの終盤になって最後のひとりになった時など、プレーヤーにある種の絶望感を味合わせることができることですね。これについてはさらに発展させて、より長いストーリーを展開できるようなものにして欲しい、という声もいただいています。

──映像表現にかなり注力していますが、ハリウッド等映画業界との交流はあるのでしょうか?

マイク・リード氏:そうですね、今回はアルバート・ヒューズさんという有名な映画監督にトレイラームービーの制作をお願いしまして、よりビジュアル的に魅力的なものを展開できました。それだけでなくゲームと映画産業のコラボレーションは業界全体に広がっていまして、ゲームが映画にどんな影響を与えるか、あるいは映画産業からどんなことを学べるか、ということがどんどん見えるようになっていることがひとつのトレンドになっています。双方の良いところを組み合わせることで、さらに良い物を作っていきたいです。

──今後「クライシス 3」のDLCなど将来の計画はありますか?

マイク・リード氏:現在お話できることはありませんが、今後いくつか手を打っていきたいとは思っています。DLCに限らず、フランチャイズ全体の中で「クライシス 3」をどう位置づけていくべきかという視点で考えています。これまでのシリーズで多くの蓄積がありましたし、それを活かす形で新しいものを提案していきたいという感じですね。

──日本のファンに向けて何かメッセージをお願いします。

マイク・リード氏:「クライシス」シリーズを愛してくださるファンの皆さん、また日本で活動しているエレクトロニック・アーツのスタッフの方々には深く感謝をしています。「クライシス」シリーズのみならず、Crytek全体にとって日本は大切な国です。その日本のファンの方々に、さらに多彩なエンターテイメントをご提供できるように努力していきたいと考えています。

会場にはAMDの提供で、4K解像度(3,840×2,840)で動作する「クライシス 3」のデモを展示。GPUはRadeon HD 7970を2枚のCROSSFIRE構成で、シャープの4Kディスプレイにディスプレイポートで接続。フレームレートはシーンによって開きがあるが、30~60fpsを確保。ドットが全くわからないレベルの映像が描き出されていた
Amazonで購入

(佐藤カフジ)