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【特別企画】ゲームハード戦争に“PCゲーム機”勢力が参戦!!

そして、ゲームコンソールは消えるのか?

そして、ゲームコンソールは消えるのか?

 今回話題にしたような“PCゲーム機”が登場する兆候は以前からあった。モバイル端末からスーパーコンピューターまでに至るコンピューター・アーキテクチャの画一化。ゲーム配信システムの発達。ユーザー生態系のオンライン化。ゲーム機と汎用機を隔てていた様々な壁が次々に取り払われてきてきた。

 言葉の意味も変わりつつある。“ゲームプラットフォーム”という用語は今やSteam、PlayStation Network、Xbox LIVE、GREE、モバゲー、Facebookといったオンラインプラットフォームを指すのが実態であり、それらをどのハード上で実行するかはあまり本質的な問題ではなくなってきている。

 確かに、以前はハード間のアーキテクチャがあまりにも異なり、それが強烈なバリアとなってハードごとに閉じた世界を形成せざるを得なかったし、それを前提にゲーム市場の生態系が形作られていた。しかし現在では、ハード間の相違はゲームエンジンや各種ミドルウェアで吸収できるようになり、ゲームコンソールで動作するゲームタイトルはスペック的に安価なPCやモバイル端末でも動作できるようになってきている。メーカーがどのプラットフォームでタイトルを提供するかの判断は、技術的というより、もはや純粋にマーケティング的な問題だ。

 そのマーケットのカタチを最終的に決めるのはユーザーだ。エンドユーザーにとってみれば、おもしろいゲームが簡単に、安価にプレイできれば問題ない。その要求を制限するような、余計なバリアは無いほうがいい。その意味で、今回のCES 2013で発表された3つの“PCゲーム機”は、時代の必然がもたらした産物だ。

 中でもSteamの膨大なゲームタイトル資産とワンパッケージとなる「Steam Box」はおおいに有望だ。同じPCベースの「Razer Edge」も早々に「Steam Box」のコンセプトを取り入れることになるだろう。

 スイッチオンで即Steam Big Pictureが起動し、さくさくゲームを遊べる手軽さ、柔軟な端末の選択肢、PC市場ならではの世代交代・端末価格低下の速さ。PCだから、もちろんSteam以外のゲームだって遊べる。ゲーム機然として見るからに使いやすそうな「Steam Box」が多数出てくることになれば、独自ハードの壁で陣営を築くSCEやMicrosoftによる次世代機の存在意義を大いに脅かすに違いない。

 それでは、ポータブルゲーム市場はどうだろうか。モバイルプロセッサが今ほど発達していなかった時代、小さな筐体内に十分なゲーム性能を閉じ込めることは非常に難しい問題だった。それで、ニンテンドーDSでは非常に特殊なポリゴン描画システムであったり、PSPでは独自規格の記録媒体であったりと、据え置き機にも増してアーキテクチャの特殊化が図られていた。

 それがいまや、スマートフォンを始めとするモバイルプラットフォームに強力なCPU・GPUが搭載されるようになり、ソフトウェアの流通は完全にオンライン化され記録媒体は汎用的なフラッシュメモリとなった。あとは適切なゲームパッドさえついていれば、ゲームコンソールでなくとも幅広いジャンルのゲームが遊べる。さらに「Project SHIELD」が目指しているように、クラウドゲーミングサービスの台頭で可能な遊びの幅も広がっていくとなれば、特殊仕様で独自の生態系を作るゲームコンソールはごくニッチな存在にならざるを得ない。

 だからこそ、独自性で勝負しなければならないゲームコンソールはゲームファンにとってさらに面白いものになる可能性がある。それに負けじと汎用機ベースのゲーム機も次々に新しい遊びや、さらなる利便性を打ち出していくだろう。2013年早々に始まった新たなゲームハード戦争は、我々を、ワクワクするようなゲームの未来に連れて行ってくれる違いない。

(佐藤カフジ)