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NHN Japan、WIN「TERA」プロデューサーインタビュー

新規・復帰ユーザーを呼び込む基本無料モデル転換の狙い

 NHN Japanは12月26日、現在正式サービス中のWindows用MMORPG「TERA(The Exiled Realm of Arborea)」において月額課金制モデルから基本無料モデルへの転換を発表した。

 「TERA」は韓国Bluehole Studioが4年の歳月と30億円の制作費をかけて開発した大作MMORPGで、ノンターゲッティングバトルシステムを導入したアクション性の高さと、美しいグラフィックスが特徴。

 日本では2011年8月8日にオープンβテストが、2011年8月18日に正式サービスが開始したが、1月には10個のサーバーを、3個に統合するなどプレーヤー数が伸び悩んでいた。今回の施策は、プレーヤー不足を解消し、新規ユーザーにも既存プレーヤーにも更にゲームを楽しんでもらうためのものとなる。

 そんな基本無料化モデルへと大きな方向転換を行なう「TERA」について、基本無料化に伴う疑問点や懸念、今後のアップデート情報について本作のプロデューサー鈴木貴宏氏にお話を伺った。

基本無料モデルに転換し多くの新規ユーザーを獲得し、既存のプレーヤーにも楽しんでもらうのが狙い

プロデューサーの鈴木貴宏氏

――今回の基本無料への転換発表に驚いたのですが、無料化へ踏み切った理由を教えて下さい。

鈴木貴宏氏: 多くのお客様にもっと「TERA」を遊んで頂きたいというのが大きな目的です。昨年正式サービスを開始いたしましたがが、年末にサーバー統合を行なったことからもわかる通り、遊んで頂いているプレーヤーさんの数が減っているのは事実です。

 「TERA」はMMORPGである以上、多くのプレーヤーが遊んでいないと、パーティを組むことやギルドを結成することが難しくなってしまいます。基本無料にすることによって多くのプレーヤーに遊んで頂き、この部分を解消するのが目的です。

――多くのプレーヤーが減っていた事実があると。

鈴木氏: はい。プレーヤーが減り、サーバー統合を行なっていますので、その点は隠しようもない事実です。

――それは3,000円という月額料金の高さが影響しているのでしょうか。

鈴木氏: そうですね。3,000円ということも大きいですが、サービス開始前から言われている、コンテンツの量とアップデートの速度、密度が見合っていなかったのが反省点です。

――11月28日からは新規プレーヤー、復帰プレーヤー向けに30日間無料のキャンペーンを行なっていますが、反響はありますか?

鈴木氏: 新しいお客様と、これまで「TERA」を休止していた方も多く戻ってきて頂いています。

――いつ頃から基本無料モデルへの転換を検討されていたのでしょう?

鈴木氏: 基本無料モデルへの転換の話と、利用券の値下げの話は今年初頭から行なっていました。「TERA」は月額モデルのゲームとしてスタートしたので、基本無料モデルに転換するにはかなりゲーム構造にかなり手を入れなければなりません。その為、「TERA」の開発をしている韓国Bluehole Studioがどれほど無料化に向けた対応を行なえるかが課題でした。開発会社の体制を含め、具体化したのは今年の8月くらいです。

――基本無料化に伴っての仕様の変更について教えて下さい。

鈴木氏: 基本無料化に転換するにあたって、キャラクター作成数の上限が減少するなど、いくつかの仕様変更を行ないますが、これまで「TERA」をプレイしてくださったプレーヤーの皆様には、無料化後も仕様変更の一部を受けない状態でプレイできるようにいたします。
 また既存プレーヤーの皆様には、「既存ユーザー特典」というゲームメリットを受けられる特典を、これまでプレイしていただいた期間に応じてプレゼントさせて頂きます。

――無料化に転換するタイミングでサーバーを増やす予定などはありますか?

鈴木氏: 無料化時点ですぐに新サーバーを追加する予定はありませんが、サーバーをすぐに追加できるように準備はしています。

――基本無料化になることによって、RMTやゴールドファーマーが更に増加する懸念はないのでしょうか?

鈴木氏: 確かに「TERA」の正式サービス開始直後に、BOTとRMT行為への対応について、多くのお叱りを頂きました。不正アカウントに制裁を行なって基本無料化にようってより一層ゲームに戻ってきやすくなりますので、もちろんその部分でも対策を行なう予定です。

――本格的なアイテム課金モデルに転換することで不安なのが、例えばお金を払った分だけユーザーが強くなるようなアイテムが実装される事なのですが、その辺りはいかがでしょうか?

鈴木氏: 既存プレーヤーさんは心配される部分だと思いますが、現状は基本的に利便性を高める、時間を短縮できるようなアイテムがメインとなっており、バランスに大きな影響を及ぼすものはありません。バランスは開発会社にとって、敏感な部分となっているため、今後検討する際にも影響を十分に考慮した形での開発になると思います。

――例えばどの様なアイテムでしょう?

鈴木氏: 詳しくはまだ申し上げられませんが、獲得する経験値や信用ポイント量が多くなったり、街や自分で登録した場所へ移動できるようになるものがあります。

――基本無料化に向けて今後のスケジュールを教えて下さい。

鈴木氏: 12月26日から既存の方も新規の方も、現在の仕様で利用券なし、制限なしで遊ぶ事ができる「無料化記念決定キャンペーン」にて無料開放を行なっています。そして2月中旬に「解放」アップデートを実施し、このタイミングで完全に基本無料モデルに転換します。

 12月26日から実施している「無料化記念決定キャンペーン」では、解放アップデートまでの間にLv50以上、ギルド加入を達成する事で豪華プレゼントをゲットできるチャンスがあります。また、キャラクター作成上限数の減少など仕様変更による制限を一部受けなくなる特典があります。

 更に、新規のプレーヤーへの支援として、レベルが一定以上に達したらゲーム内アイテムが貰える「新兵歓迎キャンペーン」も実施しています。

――復帰者向けのキャンペーンはありますか?

鈴木氏: 復帰者は既存のプレーヤーと同じように、過去のプレイ期間に応じて「既存ユーザー特典」をプレゼントいたします。

無料転換だけでなく、新インスタンスダンジョンなども追加される「解放」アップデート

これまで「TERA」をプレイしたことのない方はぜひこの美しく広大な世界を探検してみて欲しい
エンドコンテンツ不足というユーザー意見もあるが、今後は今以上のペースでコンテンツが追加されていくという

――「解放」アップデートの詳細について教えて下さい。

鈴木氏: インスタンスダンジョンが1種類、3vs3の「闘志の戦場」がリニューアルして追加されるほか、各クラスのバランス調整も行ないます。

 また、これまでのご要望の多かった「ペット」の追加やフレンドリスト枠の増加も決定しています。これは「解放」アップデート後になりますが、要望が多い中では「エモーション」のショートカット化などについても具体化な話をしています。

――基本無料化になってもアップデートや機能修正などの開発のペースは緩めないということですね?

鈴木氏: むしろ強めていっている形ですね。これまでにも日本用向けアバターを制作するなど、開発会社も日本への力の入れ方は強くなっていましたが、今後は更に開発を進めていただく形になっています。

――では、追加されるコンテンツについて詳しく教えて下さい。インスタンスダンジョンはどのような特徴がありますか?

鈴木氏: 「業火の穴」(仮)というタイムアタック型のダンジョンで、ランキングシステムがあるインスタンスダンジョンになっています。

 「サイクロプス」という新たなグラフィックスの中型モンスターが登場したり、ボスを倒すと上空からコインが降ってきて、それを沢山集めるとポイントを得られるというユニークなギミックも用意されているダンジョンです。ランキング上位になったパーティは、黒い獅子型の限定の乗り物が入手できます。

――どのくらいのレベルから挑戦できますか?

鈴木氏: カンスト(Lv60)帯が対象です。

【「業火の穴」(仮)】
2013年2月の「解放」アップデートに追加される予定のタイムアタック型ダンジョン。ボスモンスターを倒すと上空からコインが降ってくるという演出もあるという

――ペットについてもう少し詳しく教えて下さい。

鈴木氏: 調整中なのですが、ペットは種類によってスキルや採集などの機能がついており、任意の名前をつける事ができます。残念ながら、現在は見た目があまりかわいくありませんが、先ほどお話した通り、開発会社が日本に力を入れる内容の1つとして、日本向けの独自グラフィックスも後々追加を予定しています。

――「闘志の戦場」についてはいかがでしょう?

鈴木氏: 3vs3の戦場ですので、15vs15の「名誉の戦場」にくらべてガチンコのPvPコンテンツとなります。ランキング上位に入ると「殺意」(仮)というユニークスキルが獲得でき、発動させると目が赤く光る特別なエフェクトが入り、ステータスが若干上昇します。

「連盟」イメージ

――エンドコンテンツ不足という意見もありますが、解放アップデートで実装される内容もエンドコンテンツという認識で間違いないでしょうか?

鈴木氏: そうですね、解放アップデートの大きな追加コンテンツはエンドコンテンツになります。エンドコンテンツ不足というのは以前から「TERA」の命題ですので、できるだけ短い期間でコンテンツを追加できるように、開発を行なっていきます。

 解放アップデートの後になりますが、「連盟」という新しい形のコンテンツを開発しています。プレーヤーは3つの勢力に所属し、他の勢力と争う・協力するなど、ギルド単位で楽しんでいただけるコンテンツになる予定です。アルゴン戦争終結後に訪れた平和な時は終わり、再び激動の時代が訪れる事になります。

――それはPKサーバーもNonPKサーバーでも楽しめるコンテンツですか?

鈴木氏: はい、日本ではPK、NonPKサーバーの両方がありますので、どちらのサーバーでも楽しんで頂ける形になると思います。

――では最後に、これまで「TERA」をプレイしてきたプレーヤーと、これからプレイする新規プレーヤーそれぞれにメッセージをお願いします。

鈴木氏: まずこれまで「TERA」をプレイしてくれたユーザーの皆様へ。プレイして頂いて本当にありがとうございます。基本プレイの無料化ですが、無料化に伴う仕様変更の一部を適用しないなど、これまで「TERA」をプレイしてきてくれたプレーヤーさんを重視し、楽しんで頂けるように努めております。

 新しいヴァルキオン連合の仲間たちと「TERA」を楽しんでもらえればと思いますので、引き続きご愛顧頂ければと思います。

 そして「TERA」をこれから始めていただける皆様へ。月額課金制という事で「TERA」のプレイを敬遠していた方も多くいらっしゃると思います。今回、2013年2月中旬より無料化への完全転換をするにあたって、今すぐ無料で遊ぶ事ができる無料開放や、お得なキャンペーン、イベントも開催していますので、ぜひ1度、次世代の美しい世界をプレイしてみてください。

―― ありがとうございました。

(八橋亜機)