NHNブースで、大作オンラインゲーム「ASTA」と「Dungeon Striker」を試遊

今後は“カジュアル”、“スポーツ”、“PCオンライン”の3本柱に注力


11月8日~11日開催



ハンゲームのロゴをイメージしたという曲線で構成されたNHNのブース

 今年のNHNは、ハンゲームのシンボルマークをイメージした丸に近い流線型のブースを出展した。中は大きく3つに仕切られ、2つのWindows用オンラインゲーム「ASTA(アスタ)」と「Dungeon Striker」、iOS/Android用アプリ「FISH ISLAND」と「Online Baseball Golden Glove」が出展されていた。

 NHNは昨年までに比べると多少規模が縮小した感がある。NHNのゲーム部門は、「TERA」の不振やスマートフォン市場での出遅れが響いて、今年の6月に大規模なリストラが行なわれた。ゲーム部門はスマートフォンとPC向けを融合する形で再編が行なわれた。今後のNHNは“スポーツ”、“スマートフォン”、“PCオンラインゲーム”に注力することが決まっている。今回の出展はそんな方針に沿ったものだ。景気の悪い話を吹き飛ばすように、出展されたタイトルには試遊を待つ大勢のファンが行列を作り、ブースを盛り上げていた。

 会場の外には、検索サービス「NAVER」のプロモーショントラックが設置されて、スマートフォン用の「NAVER APP」のPRが行なわれていた。このトラックは7月からキャンペーンで韓国内36カ所を巡ってきたもので、「G-STAR 2012」が最後の会場となる。このレポートでは、展示されていたゲームの紹介や、ブースの様子をお届けしたい。





■ 「Diablo」ライクなアクションMO「Dungeon Striker」

このイベントにために作られたという「Dungeon Striker」のフィギュア

 「Dungeon Striker」は「Dragon Nest(ドラゴンネスト)」の開発会社EYEDENTITY GAMESが手がける最新作のアクションMO。斜め見下ろしの視点固定タイプで、敵を倒してアイテムを集めていくいわゆるハック&スラッシュ系のアクションゲームだ。10月7日にパシフィコ横浜で開催された「Hangame Festival★2012」でNHN Japanによる日本独占契約の調印式が行なわれたばかりなのでご存じの方も多いだろう。

 EYEDENTITY GAMESの特徴である画面の美しさは今作でも健在。さらに今回は敵や味方のモーションにかなりのこだわりを感じる。デフォルメされたキャラクターはとても可愛いが、アクションのモーションは多くて動きは非常に滑らか。カジュアルゲームだが、リッチさを感じさせる。

 試遊台で使えたのは4種類の1次ジョブと5種類の2次ジョブ。1次ジョブは「WARRIOR」、「RANGER」、「MAGE」、「CLERIC」。2次ジョブは「BERSERKER」、「ASSASSIN」、「CANNON BLAZER」、「WIZARD」、「HIGH PRIEST」。ゲーム内の転職ツリーにはまだロックしてある2次ジョブや、おそらく将来のアップデートで登場するのであろう3次ジョブの枠も用意されていた。

 試遊では2次ジョブの「CANNON BLAZER」を使って、骸骨や死霊がうろつくダンジョンで、一番奥にいるボスと戦うところまでをソロプレイで体験できた。ただ、実際にはパーティーで遊ぶゲームになるようで、パーティー人数はまだ確定ではないが6~12人程度が検討されている。

 今回は。通常攻撃は担いでいる大砲から扇形に弾を発射する。それ以外にスキルを使うことができる。通常のMORPGだと、レベルをあげていくことで使えるスキルが増えていくが、本作は最初からある程度の数のスキルを使うことができるそうだ。

 操作はキーボード、キーボード&マウス、コントローラーの3つの方法が選択可能。キーボードの場合は、「C」が通常攻撃、「SHIFT」がジャンプ、「X」がダッシュで、「space」が回避、移動は矢印キー、スキルはキーボード左側にショートカットキーがまとめられている。

 スキルはとにかくド派手。自キャラの何倍も巨大な据え置きのマシンガンを設置して集団で襲ってくる敵をなぎ倒したり、空爆クラスの激しい爆発で敵を掃討したりと、初めて見るときに思わず「おお」と感嘆が漏れるようなすごい攻撃がそろっている。「CANNON BLAZER」をは「RANGER」の上位職なので、スキルの中には、素早くジャンプして相手の背後に回り込むような忍者っぽい技も含まれていて、回避と組み合わせることで素早く敵の包囲網を突破することができる。

 基本的にはカジュアルなゲームだが、プレーヤースキルが関与する要素も多く、何も考えずに爽快感を楽しむゲームと言うよりは、プレーヤースキルを活かしていかにスマートに大量の敵を処理していくかという部分にやり込み要素がある。途中撮影のために、開発スタッフに操作を交代してもらったのだが、攻守を使い分ける巧みな攻撃でほとんどダメージを食らわずにボスまで到達していた。

 本作はすでに韓国では第2次クローズドβテストが終了しており、「G-STAR 2012」が最初のオープンβテストになる。韓国での正式サービスは来年の予定。日本でもすでにNHN Japanがパブリッシング契約を結んでいるので、まだ時期は未定だがサービスされる可能性は高い。日本版の情報を楽しみに待とう。


【「Dungeon Striker」プロモーションムービー】


キャラクター選択画面。現在は9種類の職業が選択できる据え置きしたマシンガンで敵を攻撃する床から激しい爆発がわき起こるド派手な攻撃




■ オリエンタルな世界観と多人数参加型のコンテンツが魅力のMMORPG「ASTA」

ブースで試遊すると、メイドインベトナムの帽子がもらえる

 「ASTA」は韓国の開発会社Polygon Gamesが開発しているWindows用のMMORPG。2010年の「G-STAR」レポートでも1度紹介して以来、2年ぶりの出展となった。韓国では間もなくCBTが始まる予定だ。

 「ASTA」は韓国、中国、日本という東アジアのオリエンタルな雰囲気のアートワークを全面に採用ている。Cry engine 2を使った色鮮やかな世界は、どちらかというと「World of Warcraft」のような西洋のゲームを彷彿とさせるが、その風景を作っているのが純アジア風味のオブジェクトや敵や味方だという違和感が、このゲーム独自の世界観を生み出している。

 本作の世界は2つの地域に別れている。我修は緑の多い世界で、黄泉は少しダークな雰囲気の世界。同じ種族でも住んでいる世界によって多少外見に違いがある。2つは対立していて、それぞれに所属しているプレーヤー同士のRvRコンテンツは本作の見所の1つとなる。

 種族は職業に紐づいている。「武人」は尖った耳と鬼のような牙を持っている。武器は大剣や、剣と盾を使う。「文人」は攻撃系の術を使う。「積人」は素早い近接攻撃に長けている。「義人」は回復系の術を得意とする。そして「弓人」は名前通りの弓使いだ。

 試遊ではあらかじめ用意された3つの種族の6つのクラスから1つを選んで、大人数が参加できるクエストに挑戦した。このクエストは、特定のエリアで発生するもので、そのイベントが発生している時にエリアに入れば誰でも参加することができる。クエストは何段階かに別れていて、条件をクリアすると少しずつストーリーが進んでいき、最後にボスが現れる。

 キャラクターの攻撃のモーションはわりと重めで、派手ではあるがリアリティを重視したアクションになっている。ターゲットの決定はクリックで、ぱっと見の印象で武侠系のゲームだと思うかもしれないが、操作感はベーシックな西洋ファンタジーMMORPGに近い。筆者は文人を使ってみたが、氷の固まりを投げつける遠距離魔法や、相手を状態異常にする範囲魔法、テレポートで素早く敵から逃げる魔法などが使えた。

 遊んでみたところ、よくできてはいるが、ゲームとしてとてもベーシックな作品で、特徴が見えにくい。そこで開発スタッフに、この作品の特徴を聞いてみたところ、1つはアジアに特化したアートワーク。そしてMMORPGと聞いて思いつくすべてのコンテンツを今までにないクオリティで遊べることだと答えてくれた。特にRaidやRvRなどの大人数で参加するコンテンツの開発に力を入れているそうだ。そしてそのためのユーザーコミュニティ作りも大事にしているという。

 2年前の出展ではまだその部分しかできていなかったが、今回は紹介できていないコンテンツも数多くあるという。まだ日本へのサービスは未定だが、ぜひ日本でも遊んでみたい作品だ。

【「ASTA」プロモーションムービー】

試遊台で選ぶことができたキャラクターたち。肌の白さが、日本画のような風情を感じさせる
3~4段階に別れたクエストには、区切りごとに強そうな巨大ボスが現れる




■ 美少女がコスプレで釣りをする「FISH ISLAND」が人気急上昇中!

釣りをしている女の子が本気で可愛い「FISH ISLAND」
デフォルメされたキャラクターでリアルな試合を楽しめる「Online Baseball Golden Glove」

 モバイルゲームはiOSとAndroidで配信中の「FISH ISLAND」と「Online Baseball Golden Glove」がスマートフォンとタブレットで出展されていた。「FISH ISLAND」はリズムアクションゲームと釣りゲームを組み合わせて、魚が動くタイミングでタッチすることで、魚の体力を減らしてつり上げる。アニメ調の可愛らしい女の子キャラクターには様々な衣装が用意されており、普段はずっと後ろを向いているがタッチすると振り向いて手を振ったり、お尻を振って愛嬌を見せてくれる。現在韓国で人気急上昇中のタイトルだそうだ。

 「Online Baseball Golden Glove」は韓国の実在する野球選手が登場するフル3Dの野球ゲーム。キャラクターは布デフォルメされているが、能力については実在する選手の最も成績の良かった時のデータが使われている。プレーヤーは好きなチームでスタートするが、その後友達とのトレードで選手を交換することで、自分だけのチームを作っていくことができる。試合中の操作はバットを振るスピードや位置、パワーなど細かく決めることができ、見た目よりもずっと本格的な試合を楽しめる。

「FISH ISLAND」はアクションゲームで遊んでいるようなリズミカルな操作が楽しい。スク水で釣りをする美少女キャラは日本でも受けそうだ
韓国ではスポーツゲームの人気が高い。その中でも野球ゲームはサッカーゲームと並んで外せない存在だ




■ 「NAVER」の人気漫画のキャラクターやLINEのグッズがもらえるプロモーションも

移動式のプロモーショントラック。ここまでに36カ所でPRイベントを開催してきた

 会場の外ではプロモーション用トラックで、NHNがサービスしている検索ポータルサイト「NAVER」のスマートフォンアプリ「NAVER App」のイベントが開催されていた。「NAVER App」からは、検索はもちろん翻訳からカラオケの番号検索まで様々なサービスを使うことができる。トラックの中にはクイズが用意されていて、参加者は自分のスマートフォンアプリに入れた「NAVER App」で検索して答えを探す。例えば「まぐろ」という日本語をカメラで撮影して、スキャンしたあと韓国語に翻訳する。「カンナムスタイル」のカラオケ番号を調べるといった形だ。解答者にはNAVERやLINEのノベルティがプレゼントされた。

 トラックの周りには、NAVERで連載している人気漫画「心の音」のキャラクターのポップが立っており、多くの人が記念撮影を行っていた。漫画は週に1回の更新で、漫画家自身と彼女をモデルにしたキモカワ系のキャラクターが人気だそうだ。


スマホアプリでは後発の「NAVER App」だが、トラックに向かう行列は一日中途切れることがなかったトラックの中はプラモデルのパーツのようなインテリアになっているNAVER漫画で人気のキモカワキャラ。手前が漫画家で奥がその彼女らしい

(2012年 11月 10日)

[Reported by 石井聡]