「機動戦士ガンダムオンライン」クローズドβテストレポート

報酬と成長システムが整理され、“プレイの目標”が明確に


10月24日~31日クローズドβテスト実施



 バンダイナムコオンラインは、Windows用オンラインアクション「機動戦士ガンダムオンライン」において、10月24日から31日までの期間、クローズドβテスト(CBT)を実施した。オープンβテストや、正式サービスの日程はまだ発表されていないものの、募集枠3万人というかなり規模の大きなテストとなり、正式サービスに向けて手応えを感じさせる内容となった。

 「機動戦士ガンダムオンライン」では、プレーヤーはジオンと連邦にわかれ、100人以上が参加する戦場でぶつかりあう。本作はバンダイナムコオンラインがかなりの時間をかけ、開発を行なっている。2011年12月にαテスト、2012年4月にα2テスト、8月にα3テストを実施し、様々な調整を行なった。

 CBTではモビルスーツ(MS)のパラメーターや武装が細かく設定され各MSの個性がはっきりした。ミッション内での報酬も調整され、デイリーミッションなど様々なボーナス要素も追加され、「MSをどう育て、どうプレイしていくか」という“目標”がはっきりわかるゲームとなった。

 CBTでは、これまでαテストでテストを重ねていた戦場での様々なシステムも盛り込まれ、いよいよサービス開始に向けた本作の真の姿が見えてきたと思う。本作の基本的な要素に関してはα2テストレポートを見ていただき、本稿ではCBTで見ることができた様々な追加要素を紹介し、感触を語っていきたい。





■ 戦場でどんな働きをするか、どのMSに乗るか? とことんこだわれる成長システム

出撃画面。あらかじめ組んだデッキから選択する
こちらはジオンのセッティング画面。初期でも多彩なMSが選べる
CBT専用アイテムで、GPが入手できた
デイリーミッションをクリアするとボーナスが得られる

 「機動戦士ガンダムオンライン」は最大51対51のプレーヤーがぶつかりあうオンラインアクションだ。「一年戦争」を題材としており、プレーヤーは連邦軍か、ジオン軍に所属するパイロット、あるいは指揮官となり、様々な戦場でぶつかっていく。

 本作には多彩なMSが登場する。ザク、ドム、ズゴックといった代表的なMSはもちろんのこと、ジムに至ってはジム寒冷地仕様、装甲強化型ジム、ジム・スナイパーなど、多彩なバリエーションが登場する。MSぶつかりあう戦場というのは、他のロボット作品だけでなく、他のFPSや、TPSにもない独特の雰囲気がある。

 そして面白いのは、ズゴックやゴックなど、30年以上前にデザインされたMSも基本的なデザインを変えることなく登場し、他のMSと戦っていて、何ら違和感のないところだ。「機動戦士ガンダム」は33年前に登場したコンテンツであるが、現在も一年戦争は題材となり続けている。こういった“進化”を続ける架空世界というのは、他にはないのではないだろう。MSの起動音や、様々な警告音、武器の発射音などにも“ガンダムらしさ”が溢れている。改めて「ガンダム」という文化を考えさせられる作品である。

 「機動戦士ガンダムオンライン」は、特に“MS”にこだわった作品だと感じた。ゲームでは最初から近接攻撃が得意な「強襲機体」、中距離の攻撃中心の「重撃機体」、機体を修理できる「支援機体」、広範囲に砲撃が行なえる「砲撃機体」、さらに狙撃能力のある「狙撃機体」が揃っており、プレーヤーは“デッキ”を組んで出撃する。機体が破壊されると待機時間が発生するため、プレーヤーは他の機体で出撃しなくてはならない。いくつかの機体を組み合わせた、自分なりのプレイスタイルを確立していくこととなるのだ。

 CBTでは“自分のスタイルを確立する”という部分が、MSのカスタマイズに色濃く出るようになった。ゲームでは戦闘を繰り返すことで様々なパーツと、GPというゲーム内通貨が手に入る。また戦闘を繰り返すことで経験値を得ることができ、一定の経験値を獲得すると、階級が上がる。階級が上がると報酬としてMSの“設計図”が入手でき、新MSを作ることができるようになる。

 どのMSを強化していくか、これはプレーヤーのプレイスタイルで大きく変わっていく。狙撃が好きなら狙撃機体を、砲撃なら砲撃用に、というだけではなく、例えば連邦の砲撃機体なら、ガンタンクか、ジムキャノンか、それともガンキャノンかで、プレーヤーのこだわりが見て取れる。さらに武装でも大きく変わってくる。ジムトレーナーは支援用の初期機体で、階級が上がると入手できるジム陸戦型の方が支援機体としての性能は上だ。しかし、陸戦型は戦闘能力は優れているが、レーダーや補給ポッドを装備できない。同じ支援型でも、戦場への役割が異なるのだ。

 装備できる武器でMSの個性はさらにはっきりと分かれていく、グレネードを強化するか、バズーカに持ちかえるか……例えば狙撃では当てている間中、継続ダメージが与えられるビームライフルと、1発で大ダメージが与えられる対艦ライフルがあり、これでも大きく戦い方は変わってくる。連射できるミサイルポッドがあるからこの機体、という感じで武器で機体を選ぶプレーヤーも多いのではないかと感じた。さらに同じカテゴリーの武器でも連射性を重視するか、威力を上げるかといったバリエーションがあるのだ。

 今回筆者は主に連邦側でプレイしてみた。初期の機体はやはり非力だ。強襲機体のジムは格闘戦に特化しており攻撃が当てにくい、狙撃用のジム・スナイパーはビームライフルは当てやすいが威力が低い、重撃の初期型ジムのチャージ・ビームライフルはとっさの戦いには使いにくかった。この中で、初期型ジムのビームライフルを強化し、チャージ時間を短くしたがやはり当てにくい。乱戦時にはサブ武器であるマシンガンが使いやすいが、威力は今ひとつで、それでいながら強化のためのコストはかなりかかる。どう強化していこうかと考えていた。

 そんな中、何とか階級を上げ、装甲強化型ジムを入手してみた。メイン武器がショットガンのように弾が広がるビームスプレーガンで、サブ武器は最初はグレネードだが、開発することでハイパーバズーカが使える。そこでビームスプレーガンの集弾率を上げ、ハイパーバズーカの装弾数を上げる強化をしたが、今度は重量オーバーになってしまって、機体の性能も上げる必要が出てきた。装甲強化型ジムはブースターをふかすことで、まるでドムのように地上を高速で移動できる。高速移動を活かした戦い方も面白く、この機体にフォーカスして育てていった。

 筆者はこの装甲強化型ジムと共に、支援機のジムトレーナーで行動することが多かった。コツを覚えると修理はかなり楽しい。修理ポッドの置く位置を工夫すると、前線を支えるのに貢献できる。今回は装甲強化型ジムのパワーアップに精一杯で、ジムトレーナーまで資産が回せなかったが、正直修理の方が確実にポイントが稼げていた。また、突っ込んでくる敵に対処するためには、サブ武器も強化が必要だと感じた。

 とにかく育てたくて、GPがすぐ足りなくなってしまう。CBTでは様々な機体を体験できるようにか、「特別報酬」があったが、それでも足りなかった。この機体を強化したいという気持が、プレイを後押ししていくと感じた。また、機体の強化には「成功率」があり、失敗すると素材が無駄になってしまう。現在、本作のサービス形態は未発表だが、この強化用には課金アイテムが投入されそうだと感じた。

 武器が変わると、MSの装備が変わり、外見の印象も異なっていく。この“MSV(モビルスーツバリエーション)”ぽい感覚が楽しい。「機動戦士ガンダムオンライン」に登場する機体は量産機だが、自分の思い入れで“専用機”に細かくカスタマイズできる。この改造の感覚はとても大事なところだと感じた。

支援型、狙撃型、強襲型。役割は大きく異なる
装甲強化型ジムを作成。武装もパワーアップする
連邦系のMSの機体と武装の強化。右はミッション終了時に得られる報酬。優秀な成績を残せばより多くの報酬が得られる
ジオン系の強化要素。グフも人気の機体だ




■ 原作の雰囲気を堪能し、奇襲ルートを模索する、様々な要素が詰まった戦場

アプサラスII登場。狙われないように気をつけねばならない
こちらはタクラマカン砂漠。戦艦ザンジバルが迫る
戦場のマップ。指揮官の指示と共に、自分が何をするかを考えて行動する
メニューでは「協力戦」、「局地戦」のメニューが。今後の追加要素だ

 今回は「鉱山都市」と、「タクラマカン砂漠」の2つのマップを体験できた。鉱山都市はOVA「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」の終盤のエピソード「震える山」の舞台となった鉱山都市がモチーフとなっている。エースとしてシローやカレン、サンダースなど08小隊のメンバーが登場する。ジオン側はアイナやノリスが登場する。

 鉱山都市では、砲台を基点とした攻防も熱かった。攻撃側は砲台を攻撃し、防御側は必死で砲台を修理し続ける。スピードを活かして一気に突破しようとするプレーヤーも多い。街の周囲は高い丘になっているが、思わぬところに抜け道があったり、速攻で敵の拠点を攻撃することもできる。経験を積むことで立ち回り方がうまくなっていくのを感じた。

 鉱山都市でインパクトがあるのはアイナだろう。巨大なモビルアーマー「アプサラスII」で登場し、強力なメガ粒子砲で周囲を焼き尽くす。連邦側の大きな脅威ではあるが、一方で空中を浮遊しているため狙いやすいところもあり、周囲からジム・スナイパーのレーザーが伸びるところは、劇中の名場面をそのままで参加していて楽しかった。連邦側のシローが対峙すると特別な会話パターンも発生する。また、グフカスタムで登場するノリスは、筆者の目の前でばったばったと連邦軍のMSを斬り倒し、こちらも劇中の活躍を思い起こさせた。

 タクラマカン砂漠は、「機動戦士ガンダム」でのランバ・ラルと戦いを繰り広げた砂漠地帯がモチーフだ。ここではランバ・ラル隊と、アムロ達ホワイトベース隊がぶつかる。こちらは砂漠の真ん中に遺跡のような街がある。このマップでは、中央での街での戦いが熱かった。街の上に巨大な橋が架かっており、ここでの攻防も面白い。

 さらにこのタクラマカン砂漠でユニークなのは「地下水路」が用意されていることだ。水中では通常の機体の移動速度が落ちる。ここでは水陸両用の機体が有利だ。この水路を使えば容易に敵本拠地に行けるが、待ち伏せされる可能性もある。水路内の空間は狭く、お互いの体力を削り合う戦いを余儀なくされる。筆者も支援機で潜入部隊をバックアップしていたが、待ち伏せに遭い全滅してしまったこともあった。

 「機動戦士ガンダムオンライン」はパイロットと指揮官とのコンビネーションが重要だ。いくつかぶつかりあうポイントは決まっており、その先には2~3の拠点ポイントがある。この拠点を落とすことができれば、相手の戦力ゲージを大きく減らせる。指揮官がスタート時にどの拠点を狙うか、どのルートを重視するかを宣言していると、かなり戦いやすくなる。本作では奪ったポイントから再出撃できるが、輸送機を送り込むことができれば、そこからの出撃も可能となる。このため、敵方は一刻も早く輸送機を倒さなくてはならない。

 α3テストから追加された戦艦は最大で5人のパイロットが搭乗可能で、パイロットが進路を決め、各砲座から砲撃ができる。希望者が多く競争率が高いが敵からの集中攻撃を食らいやすい。しかし出現ポイントとなるため、うまくいくと敵の拠点上空に降下することができる。また、「戦略兵器」という強力な爆弾もあり、これを敵拠点まで運ぶことができれば敵拠点を一気に殲滅することができる。戦略兵器が出現すると、味方はこれを運ぼうとするし、敵は止めようとする。戦略兵器を起動させ一気に戦いが終わったときなどは、皆が兵器を運んだプレーヤーの手腕を賞賛した。

 「機動戦士ガンダムオンライン」のCBTでは、本作のゲームとしての姿を明確に感じた。様々なギミックが仕掛けられた戦場と、原作気分を盛り上げるエース達、そして戦艦や戦略兵器といった要素。どこを守り、どこを攻めるか。明確に決めることで見えてくる補給ポイント。ここに、パイロットが置くレーダーポッドや補給ポッドで戦場の戦い方は大きく変わっていく。

 刻々変わっていく戦場の中でどう立ち回るか。そして活躍するためにはどんなMSが必要で、どう強化していくか。時間を掛けて戦い方を学びながら、お気に入りの機体を育てていく。じっくり取り組んでいくゲームだと感じた。自分なりのプレイスタイルを求めて、腰を落ち着けてプレイしたい。オープンβテストが待ち遠しい。

戦艦には5人で搭乗できる。強力な攻撃を上空からでき、さらにここから発進も可能だ
鉱山都市マップ。クレーターや、小さな丘もある。壊れた建物などで移動がしにくいところも。敵の防御をどう切り崩すかが鍵だ
タクラマカン砂漠。視界が広いところも多い。水路をどう活用するかも戦いの大きな要素となる

(C) 創通・サンライズ

(2012年 11月 2日)

[Reported by 勝田哲也]