崑崙日本、MMORPG「ほのぼのモグウ日記」CBTレポート

劉備が裸の王様になったり、多彩な仲間やスキルなど魅力たっぷりな作品


9月7日よりオープンβ開始



 崑崙日本株式会社が運営するWindows用MMORPG「ほのぼのモグウ日記」は「三国志演義」をユニークにアレンジした楽しい作品だ。プレーヤーは劉備、関羽、張飛と共に「桃園の誓い」を行なった未来の英雄として冒険していく。

 本作は8月23日より8月30日までクローズドβテスト(CBT)が行なわれた。9月7日よりオープンβが開始される予定で現在は「オープンβテスト先行登録受付キャンペーン」が行なわれている。本稿ではCBTで体験できた本作の要素を紹介していきたい。

 本作はクエスト中心の作品で、その「三国志演義」のアレンジはかなりぶっ飛んでいる。劉備が「裸の王様」のように、「さっき商人から“最強の鎧”を買った!」と大いばりで裸で立っていたりする。また、敵や多くのNPCを仲間にできる武将システムや、自由な転職システムなど、多数のユニークなシステムがある。ぜひ注目してもらいたいMMORPGだ。なお、基本要素は以前にこちらで紹介しているので、併せて参照して欲しい。





■ モンスターや街の人も仲間に、職業に縛られないスキル構成、自由度の高さがセールスポイント

桃園の誓いに立ち会う。メインストーリーは三国志演義をなぞるものとなる
原作では戦いに出なかったようなキャラクターも、武将として一緒に戦える
職業レベルを上げることで、専用のアバター装備が入手できる

 「ほのぼのモグウ日記」の最大の特徴は「三国志演義」を大胆にアレンジしたシナリオにある。基本的な展開は「三国志演義」そのままなのだが、各キャラクターが織りなすドラマはコミカルで演出も凝っている。さらに“民話”的なエピソードも多く、とても味のある面白いストーリーが展開する。この要素は後でたっぷり紹介するとして、まずは本作ならではのシステムを紹介していきたい。

 本作は“武将”という仲間を連れて行くことができる。戦闘で体力を減らし、“捕獲”することで武将化することができる。この武将にすることができるキャラクターはとても多く、桃園の誓いを行なった張飛の故郷で、原作では村を守るために残った好漢達も仲間にすることも可能だ。さらにモンスター、敵として登場する黄巾軍にも仲間にできるキャラクターがいる。キャラクターの頭の上に緑のマークが出ているものは全て仲間にできる。行く先々で多くの仲間を見つけることができる。

 武将はステータス、様々なスキル、レベルアップすると成長しやすいステータス、親密度などが設定されており、戦闘だけでなく、プレーヤーキャラクターがクエストをこなした経験値でも成長する。武将は様々なアイテムで強化させることができ、“継承”というシステムで武将を仲間から外す代わりその武将が持つスキルを、他の武将に写すことも可能だ。お気に入りのキャラクター、その気になれば最初に登場するニンジン型のモンスターすら、三国志の英雄達に匹敵するような力を持たせることができるシステムなのだ。

 戦闘に参加できるのは1人のみで、ストックできるのは3人(アイテムによって6人)と連れ歩けるキャラクターは多くないのに、それぞれのモンスターの集合場所に仲間にできるキャラクターがいて、各街にも多数の仲間候補がいる。誰を連れて行けばいいのか目移りしてしまう。反面スキルを継承させるには手間がかかるため、まずはどんどん新しい仲間を使ってみて、ゲーム中盤に役に立つ武将をさだめ、必要なスキルを吟味していく、という展開になる。

 一方、プレーヤーキャラクターはベースレベルと職業レベルが設定されており、ベースレベルが15以上になる事で「見習い戦士」と「見習い神官」に転職することができる。本作の転職は固定されるものではなく、いつでも変更可能で各職業で習得したスキルを他の職業で使用できる。ステータスによってもキャラクターの特性は変わってくるので“万能”とまではいかないが、かなり幅広いキャラクターメイキングが可能だ。

 本作には振りの早い「片手剣」、一撃が大きい「大剣」、貫通攻撃ができる「長柄兵器」、魔法攻撃が高くなる「巻物」など8種類の武器があり、こちらも自由に装備を代えられる。こちらもユーザーのプレイスタイルを固定するよりも、色々な武器を使っていく楽しさを追求していく感じだ。

 戦闘はターン制のバトルで、コマンドでキャラクターと武将それぞれに命令を出していく。各スキルは凝っており、武将達も多彩なスキルを持っていて、戦闘は見応えがある。初期のモンスターでも、レベルアップで新たなスキルに開眼し強いキャラクターになるのが楽しいし、イベントバトルでは劉備達と協力して戦うことも多い。本作はかなりクエストに重きを置いたバランスだが、ゲームが進むごとに戦闘要素が大きくなってきそうだ。

 本作はゲーム序盤から多数の要素が提示される。武器の強化システムや生産などもあるが、武将システム、職業、多彩な武器など、正直誰もがどう戦っていいのか、何がどう強いのかわからないまま各要素をつまみ食い的に体験していくという事になると思う。そしてプレーヤー達が中級者になったとき、皆が“鉄板”の組み合わせを目指すようになるのか、それとも多彩なプレイスタイルを生み出していけるのか興味が惹かれるところだ。こだわりのプレーヤーによるスキルの組み合わせによる“最強武将”にも期待したい。名もなき兵士や雑魚モンスターが、有名な英雄より遙かに強い、ということも可能なシステムとなっているのだ。


街にいるキャラクターから、モンスター、黄巾軍まで、様々なキャラクターを武将化できる。三国志演義の有名武将も多数登場するという。武将は1人を出陣させ、連れ歩ける
職業はいつでも転職可能。武器も持ち替えることで攻撃範囲やスピードが変わる。スキルは習得すれば、他の職業でも使うことが可能だ
戦闘では武将達のユニークなスキルが連発する。派手で見応えがある




■ 三国志演義を大胆にアレンジし、民話要素もプラス。ミニゲームなど遊びを広げる要素も

関羽がオラウータンの怪物に! 思い切ったアレンジが本作の魅力だ
劉備が裸の王様に。「劉備はひょっとしたらころっと騙されてしまうかもしれない」と思わせるところもある
次のマップに行くには、公孫サンと戦わねばならない。パーティープレイが初めて必要となる

 そして、最もアピールしたいところがストーリー要素だ。「ほのぼのモグウ日記」は「三国志演義」をモチーフにしており、プレーヤーは“桃園の誓い”からストーリーをなぞっていく。キャラクター達は場面に合わせ細かく演技をし、セリフを話す。1つ1つの演出が凝っている。クエストは文字が出るだけ、内容もお使いとモンスター退治のみ、ストーリーは読み飛ばしてしまってどんな物かわからない、という作品も多い中、きちんとストーリーを体験できるところが楽しかった。

 三国志を知らないプレーヤーでも本作をプレイすることで、物語を知っていくことができる。また、桃園の誓いが行なわれる場所は張飛の家の裏だったり、街で英雄達の装備が揃えられたり、展開はとても丁寧で、改めて「そういえば、こうだったか」と感心させられることも多い。開発者が「三国志を知って欲しい、楽しんで欲しい」と強く思っていることが伝わってくる。

 それでいながら、ただ原作を忠実になぞっているだけでない。桃園の誓いが終わった後、プレーヤーは劉備達を追っていくのだが、関羽が1人歩いている。「腹が減った」と屋台の饅頭を買うのだが、その饅頭に入っていた効果でオラウータンのようなサルの怪物に変身させられてしまうのだ。

 「ウキ、ウキキ」としかしゃべれなくなってしまう関羽というのは、三国志の英雄像がガラガラと音を立てて崩れてしまいそうなシーンだ。紆余曲折あって元に戻るのだが、「サルになるのも面白かった。もういちど饅頭屋を探してみよう」とか言い出すところに、開発者なりの関羽像を感じさせる。ちょっと天然ボケが入った器の大きさを感じさせる人物として描かれている。

 劉備は前述した通り裸で立っていて、「あなた、騙されてますよ」と指摘すると烈火の如く怒り出し、だました商人に対して悪態をつき、部下があきれるほど短気な一面を見せる。何とか衣服を見つけて持って行くと草むらで隠れて待っていたりする。張飛は猪突猛進のキャラクターで、敵の罠を説明しても全く耳を貸さずに何度もはまってしまったりする。一方、黄巾軍のリーダー張角は自分が禿頭であることをコンプレックスに思っていて、頭を光らせて街の人々の目をくらますという悪行を行なっている。アレンジの仕方はかなり思い切ったものだが、きちんと原作を踏まえていることを感じさせてくれるところが面白い。

 また、最初の村では村の守り神が「もっと村の人と交流したい」と思って出てくるのだが、姿が怖くて恐れられてしまった。プレーヤーは化粧品や、衣服でその姿を変える手伝いをする、といったおとぎ話や、民話風のクエストも展開する。三国志だけでなく、東洋ファンタジー的な要素や、住民達の交流のエピソードも楽しい。なぜか恐妻家のキャラクターが多いのだが、ここは女性の社会進出が盛んな台湾ならではかもしれない。

 本作には“実績”というシステムがあり、モンスターを一定数倒す、武将を一定数仲間にする、といった項目をクリアしていくとボーナスを得られる。「その地域のクエストを全てクリアする」という項目もある。本作のストーリー展開の楽しさは、実績クリアを大きく後押ししてくれる。本作をきっかけに三国志演義に興味を持つプレーヤーも多いだろうと感じた。

 最後に、筆者はやはり本作を「ほのぼの三国志」から、「ほのぼのモグウ日記」にタイトルを変更したことは疑問を感じざるを得ない。崑崙日本に問い合わせたところ「ユーザーから“三国志”というのは取っつきにくいイメージがあるという指摘があり、今後はローディング画面などでもモグウをピックアップしていく。モグウと毎日遊ぶゲーム、というイメージでアピールしていく」とのことだ。モグウは街の中にもいるマスコットキャラクターで、ムービーなどでも姿を見せる。今後どう強調されていくかは注目したい。

 しかし一方で、本作は開発者の「三国志への愛」に溢れたゲームであり、ここをタイトルでアピールしなくなってしまうのは残念だ。本作はいくつものMMORPGが乱立する中で、個性を確立するためにあえて三国志をコミカルにアレンジしていこうと制作されたゲームである。タイトルにはやはり“三国志”を入れるべきだと思う。


イベント中のキャラクターはセリフをしゃべったり、演技したり、演出が細かい
劉備や関羽と共に戦うことも。ダンジョンなどではパーティプレイが多くなってくるという
クエストは民話的要素も強い。時にはクイズに答えたり、エモーションを使って進める場合も
ソーシャルゲーム要素の「領地システム」、パズルゲームのイベント、プレーヤーランキング、実績など多彩な要素が詰め込まれている。
マップはどこも細かく作り込まれている。のどかな雰囲気もウリだ

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(2012年 9月 4日)

[Reported by 勝田哲也]