Rovio Entertainment CMO PETER VESTERBACKA氏インタビュー

「Angry Birds」がロックバンド「Green Day」とコラボ、惑星1番のエンタメへ!


8月19日収録



 フィンランドのゲームメーカーRovio Entertainmentは8月20日、Facebookの「Angry Birds Friends」においてアップデートを行ない、北米のロックバンド「Green Day」とコラボレーションしたステージ「Green Day」を追加する。このアップデートは日本時間で夕方には行なわれる予定だ。

 今回実装に先がけ、Rovio Entertainment CMO(Chief Marketing Officer)のPETER VESTERBACKA氏が来日し、新ステージ「Green Day」の紹介や、Rovio Entertainmentの今後の展開を語った。「Angry Birds」は現在も様々なプラットフォームに移植され続けるゲームであり、ゲームにとどまらずアニメーションや、グッズ、さらには「Angry Birds」をテーマにした「Angry Birds Park」まで生まれている。Rovio Entertainmentが夢見る“未来”とは、どのようなものなのだろうか。





■ Green Dayステージが追加。クリアすれば独占の新曲が聴ける!

Rovio Entertainment CMOのPETER VESTERBACKA氏
最初のステージは、Green Dayのマーク「グリーングレネード」をかたどったもの

 PETER VESTERBACKA氏は今回、8月18日と19日日本に滞在した。この日程は、パンクロックバンドGreen Dayが8月、幕張と大阪で開催されたロック・フェスティバル「SUMMER SONIC 2012」に出演するのに合わせたためだという。また、8月から日本では「Angry Birds」の様々なグッズが販売されているが、これから年末にかけても大きな動きがあり、その打ち合わせも兼ねており、18日には幕張の会場も訪れたが、滞在中様々な場所で、いくつもの日本企業とミーティングを行なっているということだ。

 「Angry Birds Friends」の新ステージ「Green Day」は、日本では8月20日に実装される。これまでも様々なアーティストからコラボレーションを打診されていたのだが、Rovio EntertainmentはGOサインを出さなかった。「Angry Birds」のアーティストとのコラボレーションは今回が初めてとなる。

 このコラボレーションの最も大きなところは、「ゲームのクリア報酬としてここでしか聞けないGreen Dayの新曲が登場する」というところだ。新ステージ「Green Day」は10ステージで構成されている。クリアすることで「ゴールデン グレネード」という称号が入手できる上に、「Angry Birds Friends」独占のGreen Dayの楽曲を聴くことができる。ゲームのクリアの報酬として、アーティストが楽曲を提供するのだ。特にGreen Dayファンはクリアするために夢中になるだろう。

 なぜ、Green Dayがコラボレーション第1弾のアーティストになったか、それは彼等のイメージカラーの“グリーン”が、「Angry Birds」の敵役として登場する「緑のブタ」にぴったりだからだという。ブタはかわいらしさの中に、ふてぶてしさ、不遜さ、憎たらしさ、を感じさせる。そのイメージは挑発的な楽曲を作るGreen Dayと重なる。「彼等は同じように“エッジ”な存在だ」とVESTERBACKA氏は語った。

 このため、「Green Day」はこれまで以上に緑のブタにフォーカスした内容になっている。新しいトリの追加や、ギミックなどはないが、Green Dayのメインメンバー3人をイメージしたブタや、最初のステージはGreen Dayのロゴ「グリーン グレネード」をかたどったステージとなっている。Green Dayを前面に押し出したステージ構成により、特にGreen Dayのファンには楽しいものとなるという。「Angry Birds Friends」のプレーヤーにとっては新しいステージが追加されたことで、友人と競う楽しみがさらに増えることになる。

 今回公開できる情報はここまでだが、Green Dayとのコラボレーションに関しては今後も行なっていくとのこと。VESTERBACKA氏は“ヒント”としてGreen Dayが今年の9月と11月、そして2013年の1月に新しいアルバムをリリースする事に触れた。Rovio Entertainmentは「Angry Birds」をゲームだけではなく、アニメーションやグッズなどに幅広く活用していく方針をとっており、ゲームにとどまらないコラボレーションを行なっていくかもしれないとのことだ。

 「Angry Birds Friends」はRovio Entertainmentの初めてのFacebookでのチャレンジとなった。1,400万人のユーザーが登録し、月に200万人以上のプレーヤーが積極的にプレイしている。これはVESTERBACKA氏にとって「グッドスタート」ではあるが、予想の範囲内とのことだ。「いい成績ですが、スマートフォン版のように“1位”を獲得していない。我々の目標は、Facebookのアプリでも1位になる事です」とVESTERBACKA氏は語った。

 今後はFacebookのタイムラインと連動し、プレーヤーが遊んだ時にタイムラインで「Angry Birds Friends」が表示されるだけでなく、クリックするとそのプレーヤーが遊んだステージに直接飛ぶことができ、プレーヤーのスコアに挑戦することをさらに容易にしていきたいという。ゲーム的な部分を強化すると共に、ソーシャル要素も積極的に強化していきたいとのことだ。


Green Dayステージでは、これまで以上に緑のブタにフォーカスした内容になっている。クリアすると、ここでしか聞けない曲を入手できる




■ コンシューマや、スマートテレビへも展開。「Angry Birds Park」も誕生

「Angry Birds Seasons」の新要素“ピンクのトリ”。左は通訳を担当したRovio Entertainment日本代表Antti Sonninen氏
「Angry Birds Park」。フィンランドやイギリス、中国などでできている。いずれは日本を始めとした世界中に展開したいとのこと
「Angry Birds」ドリンク。世界中で15,000以上のグッズが出ている

 その他の「アングリーバードファミリー」も現在も積極的なアップデートを行っている。「Angry Birds Seasons」では新たに“ピンクのトリ”が登場した。このトリはタップすることで泡を発生させ、その泡でものを破壊できる。また新たなゲーム性を追加している。「Angry Birds Space」はNASAとコラボレーションを行ない、この秋にアップデートを行なう予定だ。テーマは現在探査機が着陸している「火星」となる。

 NASAの探査機には「Mighty Eagle」という名前もつけられた。Mighty Eagleは「Angry Birds」の課金アイテムで、呼び出すとそのステージのものを全部破壊してくれる“ワシ”だ。そしてVESTERBACKA氏が自分の“役職”としてつけた名前でもある。もちろん「Angry Birds Classic」もアップデートを行なっていくし、「Angry Birds」シリーズとは異なる新タイトル「Amazing Alex」といった新たな挑戦も行なっていくという。

 Rovio Entertainmentは他のゲームにも力を入れていく。VESTERBACKA氏は、「弊社にとって、『Angry Birds』はコカ・コーラです。コカ・コーラ社にはファンタや、スプライトといった飲み物もある。我々も他のブランドも生み出していきます」と語った。「Angry Birds」は“柱”としてこれからも力を入れていく。

 「Angry Birds」シリーズはこれからも大きく広がっていく。今年の10月からはActivisionをパブリッシャーに、プレイステーション 3、Xbox 360、ニンテンドー3DSで「Angry Birds」をダウンロード版で配信する。値段はスマートフォン版より高くなってしまうものの、HDグラフィックスや、新たに描き起こした背景、カットシーンを追加し、KinectやPS Moveといったモーションコントローラーへの対応といった新機能が盛り込まれる。もちろんコントローラーでの操作にも対応している。

 さらにSamsungのスマートテレビにRovio Entertainmentチャンネルが登場し、モーションコントローラーによる「Angry Birds」のプレイが可能になる。この機能はこれから発売されるものだけではなく、2010年モデル、2011年モデルにも対応しているため、数値の上では一気に5,000万台のユーザーを獲得できるという。もちろんスマートテレビへの対応はSamsung独占ではなく、日本のメーカーなどとも交渉しているという。北米のストリーミングプレーヤー「Roku」にも対応し、「Angry Birds」は“リビング”での定着を狙っている。

 「Angry Birds」はゲームの枠を越えて広がっている。「Angry Birds」をテーマにした「Angry Birds Park」がフィンランドだけでなく、イギリス、さらに中国でも建設中で、いくつかはすでにオープンしている。遊園地よりは小規模だが、「Angry Birds」にモニターを越えてふれあえる場所となる。また、コラボレーションも積極的に行ない、イスラエルでは“アイス”を販売したところ爆発的なヒットとなり、「Angry Birds」のアイスを出した会社は、数十年業界トップのアイスクリーム会社を抜いてしまったとのことだ。現在世界で15,000以上のグッズが出ており、日本でもこれから年末にかけて、さらに積極的にコラボレーションによるグッズ販売を行なっていくという。

 「Angry Birds」は2009年末に生まれた。誕生から2年しかたっていないのに、爆発的な広がりを見せている。しかしVESTERBACKA氏は、「ただの始まりに過ぎない」と語る。Rovio Entertainmentは「Angry Birds」で、10億人のファンの獲得が目標だという。すでに10億ダウンロードは達成しているが、10億人が毎日のように「Angry Birds」に触れるそんな未来が目標だという。

 これだけのヒットしたゲームは「パックマン」や、「テトリス」にも匹敵するのではないか? と質問したところ、VESTERBACKA氏は「それらのタイトルよりさらに大きいでしょう」と答えた。「パックマン」はアーケードゲームだったし、「テトリス」や「スーパーマリオブラザース」はコピーが大量に出回るという事もあったが、「Angry Birds」はクローンも作られているが、正規のビジネスでここまで大きくなっている。スマートフォンという媒体が「Angry Birds」のヒットを後押しし、さらにアニメーション、本、グッズと広がり続けている。

 VESTERBACKA氏は“夢”として、「Angry Birds」をこの惑星で1番大きなエンターテイメント フランチャイズにしたいと語る。ポップカルチャーの永続的なものにしていきたい。そしてVESTERBACKA氏は最後にユーザーに向けて、「是非、『Green Day』ステージをプレイして下さい。『Angry Birds Friends』は友達と競うことができる。友達よりいいスコアを出すため、頑張って下さい」と語った。


【Angry Birds Seasons】


【Angry Birds Space】


Rovio Entertainmentの新作「Amazing Alex」。「ピタゴラスイッチ」のように、装置を作り上げてステージをクリアしていく

(C) 2012 Rovio Entertainment Ltd. Angry Birds. Privacy Policy. EULA

(2012年 8月 20日)

[Reported by 勝田哲也]