ネクソン、オンラインFPS「Shadow Company」体験レポート

4チームの混戦、ヘリへの援護要請など多彩な要素を実装


4月23日収録

会場:Doobic Games Studios本社



「Unreal Engine 3」によるリアルなグラフィックスと、カジュアルさが見られるFPS作品だ

 株式会社ネクソンは、Windows用オンラインFPS「Shadow Company」をサービスする。サービス時期は未定で、サービス形態は基本プレイ無料、アイテム課金を予定している。今回、サービスに先がけ開発元であるDoobic Games Studiosを訪問し、ゲームの体験やその基本要素を聞くことができた。

 「Shadow Company」は韓国ではCJ Internetが2012年夏にサービスを予定している。4チームにわかれたチーム戦や、倒れても仲間に助けてもらうことで復活できるルールなどの特徴を持つFPSになるという。海外のパブリッシングはNEXONが行ない、日本以外にも、北米、ヨーロッパで展開予定だ。

 Doobic Games Studiosはソウルの江南地区の中央にあり、50名ほどの社員がいる。そのうち35名が開発スタッフだという。2002年に最初のオンラインFPS「HEAT PROJECT」をサービス、さらに2006年にNEXONに吸収され、オンラインFPS「COMBAT ARMS」をサービスしており、韓国、台湾、中国だけでなく、北米やヨーロッパ、南米などにも展開している。その後独立し、現在はNEXONやCJ Internet、NHN等の出資を受けている。

 「Shadow Company」はDoobic Games Studiosのこれまでの開発経験を活かした作品となるという。オンラインでのラグを検証する専用のブースが用意されていたりと、1つのジャンルに特化した開発会社だという印象を受けた。


江南地区にあるDoobic Games Studios。開発室にはずらりとモデルガンが並べられている。下中央はサウンドクリエーターの作業コーナー




■ 4つどもえ、多彩なスキル、ヒーロー……ユニークな要素を多数盛りこんだFPS

Doobic Games Studios「Shadow Company」プロデューサーのガン・ヒョンシック氏
Doobic Games Studios「Shadow Company」日本地域PMのイ・ギョンジェ氏
最後にお金を持っていたチームが勝ちという「ブラックマネー」は特に注目のルールだ

 「Shadow Company」の説明はDoobic Games Studios「Shadow Company」日本地域PM(プロジェクトマネージャー)のイ・ギョンジェ氏によって行なわれ、ゲームの細かい部分への質疑応答は「Shadow Company」プロデューサーのガン・ヒョンシック氏が担当した。

 本作は金融危機と超巨大企業の登場により、混乱する近未来が舞台となる。超巨大企業は、現在では忘れられたある天才科学者のエネルギー技術の確保に乗り出し、傭兵を雇う。それは密かな戦争となっていった……というストーリー。本作のモチーフは「傭兵vs傭兵」。ゲームエンジンは「Unreal Engine 3」を使用しており、リアルなグラフィックスを実現している。

 ゲームモードは大きく分けると「チームデスマッチ」と、「バトルスクァード」がある。「バトルスクァード」は4チームにわかれて戦うゲームモードであり、4つどもえの戦いが展開する。1チーム6人で最大24人での戦いが可能だという。対戦ルールではオーソドックスな対戦から、2チームで行なう「爆破ミッション」、さらに4チームで行なう「ブラックマネー」というルールが明らかになった。

 「爆破ミッション」は爆弾を仕掛ける側と、守る側それぞれを担当し、指定されたラウンドで戦う。攻守を交代して、勝ったラウンド数を競うルールだ。「ブラックマネー」はマップ上に現われる「金の袋」を奪いあうモード。金の袋の所在地は常に表示されており、4つのチームでひたすら奪いあう。制限時間が設定されており、終了時にこの金のバッグを持っていたチームが勝利となる。最後の最後まで大逆転が狙えるモードだ。

 キャラクターは戦いを重ねることで経験値を得てレベルアップし、様々なスキルを習得可能になる。要請を出すことで指定地域に空爆を行なったり、ヘリを一定期間呼び寄せることでその地域の敵を攻撃できたりする。また、無人砲塔の設置や、爆弾を詰んだラジコンを走らせることもできる。姿を隠す偽装や、銃弾から身を守る障壁を作り出すことも可能だ。

 これらにはカウンタースキルが用意されており、爆撃機やヘリを落とせる地対空ミサイル、自動砲塔を機能させなくするEMP(電磁パルス)、さらに敵の姿を発見する赤外線などがある。さらに、スライディングをしながら銃を撃てるスキルや、移動しながら残像を生み出すスキル、壁の穴を飛び込みながらくぐれるスキルなど、多彩な移動系スキルも存在する。これらのスキルはさらに効果が強いスキルに成長させられるが、スキルは戦闘時には3つまでしか持って行けない。こういったスキルを装備し、自分なりの戦闘スタイルを確立していくのだ。

 「Shadow Company」はキャラクターそのものには“職業”といったカテゴリーはなく、一般キャラクターはプレーヤーの好みに合わせて自分なりのバトルスタイルに合わせたスキルの選択や、武器のカスタマイズができる。装備はアバターアイテムもあり、こだわりの兵士を生み出すことが可能だ。武器のカスタマイズは特にこだわっており、スコープを付けたり、グレネードランチャーをつけるなど、最も注力しているという。

 RPGのようなクエストシステム「X-files」も用意されていて、世界観を掘り下げている。クリアすることでゲーム内マネーや経験値などのボーナスが得られ、キャラクタの成長を助ける。ストーリーは「シーズン」という形で区切られ、アップデートで追加されていくという。毎日挑戦できるクエストなど、ゲーム的要素の強いものもある。メインストーリーには、エンディングも用意されている。

 さらに「Heroes system」という要素がある。本作には特別な外見を持ったキャラクター「ヒーロー」がいて、プレーヤーはキャラクターレベルを上げ、ゲーム内マネーを使うことでヒーローを購入できるようになる。ヒーローは専用のスキルセットや武器を持っており、通常のキャラクターとはひと味違うプレイ感覚が味わえる。さらに各ヒーローには「バックストーリー」が用意されていて、クエストでストーリーを進めていける。ヒーローには女性キャラクターもあり、海外向けに特化したキャラクターなども考案中だそうだ。

 マップも大人数向けから少数のものまで多彩なものが用意される。スキルによって移動経路が変わるので、マップでのルートは多彩で、攻略要素は深いものになりそうだ。全体的にカジュアルで、激しいバトルを体験できる作品だと感じた。


スキルや外見で自分なりのキャラクターが作れるほか、ヒーローキャラクターも用意されている
スクリーンショット。リアルな戦場の雰囲気がある
多彩なマップが用意される。中にはDoobic Games Studiosの以前の作品で人気だったいうマップもある




■ 助け、助けられる。多人数での対戦を体験

日本メディア4人の他、開発チームの24人対戦を体験

 説明の後、ゲームをプレイすることができた。最初は2チームでの対戦、次が4チームでの対戦、そして最後は「ブラックマネー」をプレイした。操作は一般的なFPSと同様となっており、弾は比較的当たりやすく、最初からアサルトライフルと、ショットガン、手榴弾を持っている。敵と味方の表示もわかりやすいので、初心者でも楽しくプレイできるバランスだと感じた。

 初期で使えるスキルは自動砲塔を設置するもので、ゲームがスタートするとスキル使用ゲージが上昇し、一定時間で使用可能になる。リロードを早くしたり、グレネードの威力が上がると言ったパッシブスキルもある。

 4チームでの対戦の場合、敵に倒されても瞬時に死亡せず、数秒間はその場に倒れるというルールとなっていた。味方の場合は、倒れている人の近くでFキーを押すことで復帰させることができる。また敵の場合は倒れた敵の近くでFキーを押すことでとどめを刺せる。このルールのためゲーム中は死ににくくなっており、より長い時間戦い続けられた。一方で長く戦えるため弾切れになるということもあったが、倒れている敵から武器を奪えるので、上手く立ち回ればそのまま戦い続けることも可能だ。

 「ブラックマネー」では、激しい奪い合いが発生した。金が常に戦場の中心になるので、正面の敵に注力していたために、横合いから向かってくる敵に蜂の巣にされる、という状況もあった。敵チームには何人かキャラクターレベルの高い人がいたようで、彼らの呼び出すヘリは強力で特に恐ろしかった。ちなみにヘッドショットを決められると倒れることなく直ちに絶命してしまうが、それでもすぐにリスポーン可能となっていた。

 カジュアルなゲーム性と共に、やはりこのリアルなグラフィックスは魅力だ。ヘリや爆撃機などが登場する派手さも楽しい。「Shadow Company」は昨今のコンシューマーのFPSを学びながら、カジュアルな方向を目指したゲームだと感じた。新しい韓国産オンラインFPSとして注目されるタイトルとなりそうだ。

激しい戦いが繰り広げられる。味方は緑のランプが点っていてわかりやすい。時には集団で倒されることも……

(2012年 5月 2日)

[Reported by 勝田哲也]