東京ゲームショウ 2011レポート

「Dance Central 2」開発者インタビュー&試遊レポート
EXILEの「I Wish for You」を収録するなどストーリー、演出全てがパワーアップしたシリーズ第2弾


9月15日~18日 開催(15日、16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 日本マイクロソフト株式会社は東京ゲームショウ期間中、Kinect専用ダンスアクション「Dance Central 2」の開発者インタビューを会場に近いホテルニューオータニで実施した。

 「Dance Central 2」は世界中で大ヒットした「Dance Central」の続編で、最大の特徴は2人で並んで同時に踊れるところだ。他にも多彩な点がパワーアップしており、楽曲として日本のアーティストEXILEの「I Wish for You」が楽曲に加わる点も注目ポイントだ。発売日は10月27日を予定し、価格は5,880 円。CEROレーティングはA(全年齢対象)。

 今回インタビューを行なったのは開発元の米HARMONIXのCo-FounderでありCEOであるAlex Rigopulos氏。同社の今後の戦略なども聞くことができた。



■ EXILEの「I Wish for You」は日本人スタッフの選曲。全てがパワーアップした「Dance Central 2」

米HARMONIXのCo-FounderでありCEOであるAlex Rigopulos氏
画面では背景が大きくパワーアップ。ホームを地下鉄が走る
地下鉄の中に移動も。変化に富んで楽しい

 Alex Rigopulos氏は最初に「Dance Central」が世界的なヒットを記録したことを受けて、「ゲーム開発者として、自分の作品が評価を受けるのは本当にうれしいことです。特にこの作品がテーマにするダンスは深い喜びを人に与えるもので、何百万人の人が、このゲームをきっかけに、ダンスを始めていると言うことがうれしいですね」と語った。

 ゲーム開発者は常に開発が終わると「もっとあれがやりたかった」と思う。前作が世に出てからHARMONIXは入念にリサーチを行ないユーザーがどんな要望を持っているかをまとめ「Dance Central 2」の内容に反映した。最大の特徴がKinectの機能をより深く使う形で実現した2人同時プレイだ。「Dance Central 2」では2人のプレーヤーが画面の前で並んでプレイできる。

 2つ目の特徴がストーリー要素だ。プレーヤーは「クルー」と言う仲間を得て、彼と共にチームを組んで、他のチームと対戦していく。登場キャラクターは個性的で彼らとのやりとりは楽しい。シングルプレイでもNPCと協力して戦うという、前作にはなかったドラマチックなストーリー展開が楽しめる。また友達と2人でチームを組み、NPCと戦うということも可能だ。

 3つ目がより充実したトレーニングモード「Break it down」だ。例えば20のムーブ(振り付け)で構成されたダンスがあるとして、その内の5つのムー部だけを集中的に練習することも可能だ。今作ではボイスコマンドへの対応もしているが特にトレーニングモードではボイスでのやりとりとが相性が良く、やりやすい。

 そして「Dance Central 2」のもっとも大きな魅力が楽曲である。前作以上に充実し著名なアーティストの曲が収録されている。日本のアーティストとしてはEXILEの「I Wish for You」が収録される。楽曲の選択に関しては本作や「Rock Band」シリーズにも参加している日本人のスタッフのSati Satou氏が音楽の選択を行なってる。今後DLCの曲は今後世界中のアーティストをピックアップしていきたいという。ちなみに前作「Dance Central」の楽曲はゲームを持っていれば今作にエクスポートできる。その際、権利の関係で数百円程度の料金が発生するという。

 ダンスのモーションの一部は同じ物があるが大幅にパワーアップし、新しいムーブが追加されている。Rigopulos氏はTGSで「Dance Central 2」をプレイするユーザーを見て「HARMONIXは10年音楽ゲームを作っていますが、ずっと日本でゲームをリリースしたいと思っていました。やっとその夢が叶い、会場で私達のゲームを楽しんでくれている日本ユーザーを見ることができてとてもうれしいです」と語った。

 「Dance Central 2」は「Rock Band」の開発者も多く関わっている。Satou氏もそういったスタッフの1人だ。「Rock Band」はロック好きの開発者が集まっていたが、「Dance Central 2」でR&Bやダンスミュージック好きの開発者が争うように参加を希望したのが面白かったという。今回の作品で日本のプレーヤーにもより広い音楽ファンが増えて欲しいとRigopulos氏は語った。

 最後に日本のユーザーに向けてRigopulos氏は「この作品でダンスを踊ることでより深い喜びを感じてもらえると思います。ぜひその体験をしてください」と語った。今後の楽曲など、どのような展開を見せるか楽しみだ。




■ コンパニオンの丁寧なサポートで誰でもみんな楽しくダンス

コンパニオンに応援されながら、一緒にダンスが楽しめる
常に来場者と踊りサポートするという役割を3人交代で行なっているという

 TGS会場では「Dance Central 2」は他のKinectタイトルと並んで出展されていた。一台のみの展示で、E3会場と比べるとだいぶ小さい。「Gears of War 3」などに比べるとプレイ待ちの人も少なかったのだが、これは設置場所もブースの中程なためで、もっと大きくアピールすればもっともっと人気が得られたのではないかと思った。爆発的ではない物の、常に多くの人が試遊台の周りにいて、ダンスが終わるとプレーヤーに拍手が上がった。

 E3会場ではスタッフが何もしなくても来場者が試遊台の前に立ちノリノリのダンスを始めるのだが、TGSの来場者はちょっとおっかなびっくりで試遊台前に立つ。ここではコンパニオンが優しくプレイをサポートしていた。ゲームの説明は丁寧で、ダンス中も横で一緒に踊り、次のムーブに対して声をかける。最初はぎこちない人も、コンパニオンの応援でどんどん曲にノッてくる。日本の来場者達の傾向をきちんと把握したサポートは感心させられた。

 踊っている人たちを見て改めて「Dance Central 2」の楽しさを再確認させられた。踊りがあんまり得意そうに見えない人も音楽に乗り、コンパニオンに励まされると動きが大きくなっていく。緊張からか時々妙に素早くなったりするのも面白い。ぎこちなくても体を動かすこと、踊ることを楽しんでいることが伝わってきて、見ているこちらも楽しくなってくる。見ている人たちも音楽に小さく体を動かしたりして周りの空間そのものが楽しい空気に変わっているのを実感した。

 筆者はこれまで「Dance Central 2」を見てきたが、発売前のバージョンである本作は特に演出の派手さに目を奪われた。前作はあまり背景に動きがなかったのだが、今作では地下鉄のホームで踊り、左右に電車が走ってきたり、恐竜型のオブジェクトの上で観客が手を振っていたり動きがあって楽しい。さらにダンスがうまくいくと背景がダイナミックに変わり、派手なダンスフロアに変わっていくのだ。また踊りがうまくいくと画面のキャラクターの手足に動きに合わせて光の帯が生まれるなど演出もパワーアップしていた。より踊るのが楽しい作品になっていると感じた。

 一方で、楽曲は来場者に馴染みが薄いかなと感じた。試遊台では多数の曲が選べるが、自分にあった曲として直感的に選べる人は少なく、コンパニオンに「ノリのいい曲」、「ダンスが優しい曲」、「スローな曲」といった形で曲を選んでいた。開発側ではEXILEを入れたり、ネットで人気を博したスウェーデンのアーティストO-zoneの「Dragostea Din Tei(恋のマイアヒ)」なども入れているが、もっと間口を広げてもいいのではないか。アイドルの曲やアニソンなど思いっきり間口を広げた「カラオケ感覚」の展開もありかと思った。

 会場の反応を見ていると、「Dance Central 2」は多くの人が惹きつけられる強い魅力のあるゲームであることが再確認できた。また、ストーリー要素と相棒と共に踊るダンスバトル要素を盛り込んだというストーリーモードも興味深い。発売日が楽しみな作品だ。


最初はぎこちなくても次第にノリノリに。周囲全体が楽しい雰囲気になっていた



スクリーンショット。最新のバージョンではさらに画面が派手になっていた

(C) 2011 Harmonix Music Systems, Inc. All rights reserved. Dance Central and all related titles and logos are trademarks of Harmonix Music Systems, Inc. Dance Central developed by Harmonix Music Systems, Inc. All other marks are the property of their respective owners.

(2011年 9月 17日)

[Reported by 勝田哲也]