角川ゲームス、「角川ゲームス カンファレンス 2011 SUMMER」開催

須田剛一氏の最新作「ロリポップチェーンソー」や
エクスペリエンスの「迷宮クロスブラッド リローデッド」などを発表


8月1日 発表



角川ゲームスの代表取締役社長・安田善巳氏が挨拶を行ない、発表会の進行も手がけた

 株式会社角川ゲームスは、新作タイトルおよび新規パートナーの発表を東京のnicofarre(ニコファーレ)にて行なった。

 角川ゲームスは1月20日に発表会を行ない、中裕司氏がエグゼクティブディレクターを務めプロペが開発を担当するWii/ニンテンドー3DS用フライングアクション「天空の機士ロデア」をパブリッシュすると発表したが、早くも2つめ、3つめの話題作のパブリッシュを行なうと今回発表した。明らかになったタイトルは、前回の発表会でも挨拶を行なった須田剛一氏の最新作「ロリポップチェーンソー」と、株式会社エクスペリエンスとパートナーシップを組んで開発中の「迷宮クロスブラッド リローデッド」だ。

 角川ゲームスの安田善巳代表取締役社長は、冒頭挨拶をおこない東日本大震災についても触れ「いまだにご苦労なさっている方が大勢いる。我々の本分とも言えるきちんとゲームを作り皆さんに届けられたらなと思う」と語り、「角川ゲームスは3年間順調に拡大を続けてきた。今回は新作と新たなパートナーを発表したい」と語り、近々発売される角川グループの各作品の紹介に続き、新作タイトルの発表を行なった。




■ 「ロリポップチェーンソー」

 安田氏は「映画や音楽業界をも巻き込んで制作されている。底抜けに明るくて楽しい、エンターテイメント性の高い作品」と紹介したのがグラスホッパーが制作を進めているプレイステーション 3/Xbox 360用「ロリポップチェーンソー」だ。同作は、ゾンビハンター一家とゾンビ達の物語であり、主人公の女子高生ジュリエットがチアリーディングで培ったアクロバティックなアクションで、チェーンソーを使用してゾンビを切り倒していくアクションゲームとなっている。発売は2012年を予定。

 まず最初に公開された新しいムービーは、これまで何度となくCMや様々な場面などでも使われてきたザ・コーデッツの「ロリポップ」をBGMに、カラフルに彩られたポップな仕上がり。しかしそこは須田氏のテイストがちりばめられており、にっこり微笑みポンポンをチェーンソーに持ち替え醜悪なゾンビを真っ二つにはじけさせ、バッタバタと切り捨てていく。

 須田氏は開発をスタートさせた経緯について説明。恐ろしいゾンビゲームではなく、ポップなスタイルのゾンビゲームがずっと作りたかったという須田氏は、キーポイントを3つ設定。1つは学園、2つめはゾンビだったが、それだけでは弱いと考え、最後に設定したのが可愛くてキュートな女の子が活躍するというキャラクターだった。2009年に角川ゲームスの安田氏にいくつかの企画を提示したところ、この「ロリポップチェーンソー」が目にとまり、ゲーム化が進むこととなった。

 この時、安田氏は「日本で成功して欲しい」と注文をつけたという。須田氏は「誰でもできる奥の深いゲーム」作りを目指し、現在75%程度までゲームの制作が進んでいるという。

 ゲーム自体が面白くなることはもちろんだが5年から10年続くIPとして育て、ジュリエットをヒロインとして育てていきたいという。須田氏は「怖くない。OLさんでも遊べるゾンビゲーム」と表現。キュートでちょっとだけバイオレンスで、爽快感のあるアクションゲームに仕上げたいという。これまでのグラスホッパーとは違った作風となることから、「グラスホッパーとしても挑戦になる」と話ながらも勝算アリといった体だった。


 同作への応援メッセージを送ると言うことでここで登場したのが、セガの名越稔洋氏。名越氏は「彼(須田氏)の作品はアグレッシブで、本来積極的にやらなければならないオリジナルタイトルの制作を前向きにやっている。新しい作品を作って業界を盛り上げていこうとしている」と語り、「ロリポップチェーンソー」についても「彼には『イカレてるよね。同時にイカしてるよね』と言った。クリエイターは好みに走りすぎてはダメだが、市場に迎合しすぎてもエッジが出なくてダメ。彼はその辺の微妙な空気をコントロールできる。国内で売れて欲しいし、頑張って欲しい」とエールを送った。

 名越氏は、エッジの効いた部分と、市場に受け入れられるボーダーがどこにあるかを考えられるクリエイターとして須田氏の名前を挙げ、「ロリポップチェーンソー」は「その真骨頂と言える作品(バランスが取れている)」として期待しているという。

 成功する作品について名越氏は「クリエイターがコレが主張したいというものがあるゲーム」とし、「『龍が如く』シリーズも海外でそこそこ数字を出している。海外の人の評価は『熱くていい』ということで、国内とあまり変わりない」とコメントした。


 同作のパブリッシングは日本とアジアを角川ゲームスが担当し、この地域を除く全世界をワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンタテインメントがグローバルパートナーとして担当することが発表された。

 発表会に登壇した同社のSenior Vice President Business Operationsを務めるDebra Baker氏は、「須田氏は欧米では熱狂的なファンがいる。今作はそれ以外のファンにも届けていきたい。今回のプロジェクトを通して、日本のエネルギーと創造性を世界に知らせたい」とし、主人公のジュリエットについてもより、広めていきたいとしている。

 ワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンタテインメントとの関係はただパブリッシングだけに留まるものではないという。「ロリポップチェーンソー」については、欧米を初めとした西欧でのマーケットに対応したスクリプトを制作するべく、シナリオの監修をゾンビ映画の監督やライターとして人気のジェームズ・ガン氏(映画「スーパー!」の監督・脚本、「スリザー」の監督・脚本、「ドーン・オブ・ザ・デッド」の脚本など)にお願いしているという。映画関係と強いパイプを持つ同社の強みを最大限に活かしているという。今回は明らかにされなかったが、このほかにも日米の映画関係、音楽関係者から多くのサポートを受けているという。その内容については、今後、順次明らかにしていくとしている。


グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏角川ゲームスの安田氏と須田氏は固い握手を交わしたSenior Vice President Business Operationsを務めるDebra Baker氏。「同作を世界に広めたい」とコメント
応援のコメントを残したセガの名越稔洋氏須田氏は名越氏と握手を交わし、深々と頭を下げた名越氏と須田氏のゲーム作りについての哲学も聞かれた


【スクリーンショット、イメージショットなど】

■ 「迷宮クロスブラッド リローデッド」

 安田氏が「志を持ったスタジオが日本にはある。そういった所と角川ゲームスはやっていきたい。そこで、新しいパートナーを発表したいと思います」とコメントにあわせ招き入れられたのが、株式会社エクスペリエンスの千頭 元代表取締役社長。ダンジョンRPGを得意とする同社が角川ゲームスとタッグを組んで取り組んでいる新作が学園ダンジョンRPG「迷宮クロスブラッド リローデッド」だ。2011年11月の発売を目指しXbox 360用タイトルとして開発が進められている。

 千頭氏は「(角川ゲームスは)心強いパートナーと感じ、協業を提案した」と言い、今作がパブリッシングタイトル第1弾となる。PC用ゲームソフトのダンジョンRPG「ジェネレーションエクス」シリーズ4作目であり、集大成となる最新作。システムもこれまで以上に練り込まれ、最大級のボリュームとなるという。これまで同社のタイトルを楽しんできたコア層はもちろんのこと、初心者でも楽しめるものにしたいと千頭氏は語った。

 会場では、シリーズの歴史をビジュアルで語るビジュアルファンブックと、シリーズの人気曲を収録したサウンドトラックが先着購入特典となることが明らかにされた。

 また、同作のオープニングテーマを歌うELISAさんが登場。今回の楽曲はアップテンポな曲で、バラードを歌うことが多かったELISAさんとしては珍しい曲調だという。ELISAさんは「今までで1番スピード感のある曲。疾走感を表わせたらと思う。ゲームを盛り上げられるよう頑張ります」と意気込みを語った。自身もゲームが好きと言うことで「ダンジョンRPG楽しみにしています」とコメントを残した。


エクスペリエンスの千頭 元代表取締役社長会場では先着購入特典の内容も発表された
オープニングテーマを歌うELISAさん安田氏、千頭氏、ELISAさんによるトークでは楽曲の話題に終始した。スピード感あふれたゲームにあった曲に仕上げられているという

【スクリーンショットなど】
【先着購入特典】

「ロリポップチェーンソー」
(C)KADOKAWA GAMES / GRASSHOPPER MANUFACTURE
「迷宮クロスブラッド リローデッド」
(c)Experience Inc. Published by KADOKAWA GAMES

(2011年 8月 1日)

[Reported by 船津稔]