日本サーマルティク、「Gaming Field 1st STAGE by Tt eSPORTS」をアキバで開催
日本と台湾のプロゲーマーが「スペシャルフォース」で対決!


7月16日開催

会場:カフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原



日本サーマルティク代表取締役の郭季同氏

 株式会社サーマルティクは7月16日、秋葉原のリナックスカフェで、ゲームイベント「Gaming Field 1st Stage by Tt eSPORTS」を開催した。

 サーマルティクは、台湾に本社を持つPCパーツメーカー。PCパーツブランド「Thermaltake」やApple用のアクセサリーブランド「LUXA2」などをグローバル展開している。今回のようなゲームにポイントを絞ったイベントは日本では初めての開催で、同社のゲーミングPC用のパーツを展開するブランド「Tt eSPORTS」の名前を冠して、ゲーマー向けの商品がずらりと展示された。

 会場奥では、イベント最大の呼び物でもある、NHN JapanのオンラインFPS「スペシャルフォース」を使ったプロゲーマーとの対戦が行なわれた。サーマルティクがフルサポートしている台湾のプロゲーマーチーム「Tt APOLLOS」のメンバー“ゼウス”さんと“アテナ”さん、NHN Japanのプロゲーマー、Takahasi"SpyGear"KeiさんとAraki"Yuti"Yusekeさんが、プロの腕前を披露した。

 他にも、協賛企業のCorsairやNVIDIAによる製品紹介やゲーマーのための役立つセッションが行なわれた。NHN Japanがサービスしているオンラインゲーム「ドラゴンネスト」や「エルソード」や、DirectX 11対応パッチが入ったWIN用FPS「Crysis 2」(Electronic Arts)の試遊台も設置され、ハイエンドPCのパワーを体験する事ができた。

 イベントは正午から夕方の6時まで開催された。3連休の初日、猛暑の秋葉原では多くのイベントが開催されて大勢の人で混み合っていた。キャンペーンガールの呼びかけやフリードリンクのサービスに惹かれて足を止める人もいて、子連れやカップルから年配の夫婦まであまりこの種のイベントでは見かけないような人たちも会場で見かけた。

 イベント後に台湾のプロゲーマー2人と、日本サーマルティク代表取締役の郭季同氏に話を聞くことができたので、そのコメントも合わせてお届けしたい。


会場となったリナックスカフェ秋葉原会場入り口では周辺の店で指定されたパーツを購入した人に向けた抽選会を開催ステージを準備している間には、キャンペーンガールのダンスコーナーも
ゲーミングPC用のパーツブランド「Tt eSPORTS」の製品が並べられた協賛会社のパーツやPC、PCゲームやオンラインゲームの試遊台も「Crysis 2」は最新のDX11対応パッチが入ったものが3台展示された
NHN Japanの人気オンラインアクションゲーム「エルソード」と「ドラゴンネスト」各ゲームとも試遊台で自由にプレイすることができた開催している間、会場内はいつも人で混み合っていた
開会式の冒頭には郭氏が挨拶して、東日本大震災の被災者のため黙とうを行なった。その後のプレゼンテーションでは、ゲームパーツ、イベント、プロゲーマーチームをすべて自社で用意することでそれぞれのシナジー効果を出すと大会の趣旨を説明した



■ 台湾のプロゲーマーチーム「APOLLOS」が日本チームやファンと対決

「APOLLOS」のゼウスさん
「APOLLOS」のアテナさん

 奥で行なわれた「スペシャルフォース」の対人戦は事前登録以外に飛び入りでも参加することができたため、「スペシャルフォース」は今日が初めてという人も参加していた。対戦相手のプロゲーマーは台湾のプロチーム「APOLLOS」のメンバー2人と、NHN Japanのプロゲーマー2人。

 「APOLLOS」は2009年に結成された、台湾では5つめとなるプロゲーマーのチーム。現在は総勢16名で、「スペシャルフォース」、「StarCraft II」、「CartRider」のチームに分かれてプロリーグを戦っている。平均年齢は19歳の若いチームだ。今回来日したのは、コーチとして全員をまとめているゼウスさんと、現在台湾の「スペシャルフォース」リーグでは唯一の女性プロゲーマーでもあるアテナさん。

 対戦の合間に行なわれたゲーミング講座では「APOLLOS」の活動や日々の生活なども紹介された。台湾ではe-Sportsの人気が高く「APOLLOS」にもファンクラブがある。台湾の専門店ではTシャツや帽子、ブロマイドなどのグッズも販売されている。このショップのオープニングには200人ものファンが集まったのだそうだ。

 アテナ以外の男性メンバーは全員寮暮らし。スポーツのプロ選手と同じく、試合のない日は1日11~12時間をゲームの練習にあてている。体力づくりのための運動にも余念がなく、バスケットボールで遊んだりもするそうだ。

 現在の目標は台湾のプロリーグ「TeSL」の制覇。ちょうどこのイベント開催日には「StarCraft II」のチームが決勝まで残ったという知らせも入ってきた。2年の活動でこれだけの成績を収めるのはかなり優秀なのだそうで、大会には100人以上のファンが横断幕を持って応援に駆けつけてくれたと語ってくれた。


台湾にはファンクラブもあるという「APOLLOS」。プロとして日々勝利を目指して厳しい練習を続けている

NHN JapanのプロゲーマーTakahasi"SpyGear"Keiさん(左)とAraki"Yuti"Yusekeさん(右)

 対戦は世界大会用のクライアントを使用して、一般ユーザー3人とプロゲーマー1人の個人戦と、2人ずつのチーム戦の2種目で行なわれた。司会進行役はNHN Japanの「スペシャルフォース」プロデューサーの佐野亘氏が務め、ナイフを持って早く移動したり、ジャンプやしゃがみを利用した独特の動きなど本作のテクニックを解説した。

 「APOLLOS」とともにファンと対戦を行なったのは、NHN Japanのチームに所属するSpyGearさんとYutiさん。まだまだ数の少ない日本人のプロゲーマーだ。日本にはプロリーグがないので、現在は韓国のプロから指導を受けたり台湾に視察に行ったりして、勉強中という段階。佐野氏が視察にいったとある台湾のプロチームでは、毎日午前中に一般のユーザーに混ざってプレイして30回連続で1位を獲らなければ、チーム内で行なう午後の練習に参加できないそうだ。

 通常の大会では1チーム5人で戦うルールなので、今回は少々変則的。さらに、慣れないデバイスということもあり、時には一般のユーザーがプロに勝利することも。勝ちを収めると「Tt eSPORTS」のゲーミングマウスなど豪華なアイテムがもらえた。

 「APOLLOS」と日本のプロチームとのエキシビションマッチも行なわれた。攻撃側、防御側を入れ替えてキル数を競う2セットのチーム戦で、日本が1セット目からリードしてそのまま勝利した。その後はお互いのユニフォームを交換して、Tシャツにサインを寄せ書きした。

 イベントに参加していたユーザーは10代が多く、中には小学生らしき姿も。飛び入り参加した人の中には女性もいた。対戦のコーナーは合間にステージイベントをはさみながら計3回行なわれ、大勢の人がプロとの対戦を楽しんでいた。


対戦の様子。1回の対戦は5分程度。次々に挑戦者が現れて、プロに挑んでいた。次々にキル数を稼いでいくプロのテクニックはさすが
「APOLLOS」対日本プロゲーマーの対決は日本勢の勝利。ユニフォームを交換して健闘を称えた



■ 「APOLLOS」にショートインタビュー。日本のファンは予想以上

「今年中に、第2回、第3回のイベント開催も予定している」と郭氏
プロの楽しさや厳しさをインタビューからも感じることができた

 イベント終了後には、ゼウスさん、アテナさん、郭氏にショートインタビューをすることができた。日本のユーザーと戦った感想を聞いてみたところ「日本のゲーマーは、使いなれないデバイスにもすぐに慣れて使いこなしていた」と感心していた。アテナさんも「日本にはプロリーグがないのに予想よりも強かった」と語った。

 ゼウスさんはプロになる前から「スペシャルフォース」のコアゲーマーとして名を馳せていた。4年前にプロリーグの募集を見つけて応募し、採用された。得意な戦法は、物陰から一瞬だけ出ての射撃。現在は現役を引退してコーチとして後輩を指導している。

 アテナさんはなんとヒマつぶしに「スペシャルフォース」を遊び始めたのがきっかけなのだとか。その後試合に出るほどにはまり、スカウトされてプロになった。現在たった1人の女性プロとしてプレッシャーはあるという。それでも会場では、しゃがみと歩きを交互に繰り返して足音を消す「すべり」というテクニックを駆使したプレイで対人戦の参加者を翻弄していた。

 2人にはさらにFPSの魅力を聞いてみた。ゼウスさんは「FPSはみんなが決まった空間に入ってから始まるので、外部要因がなく公平」なところが魅力で、アテナさんは「相手の動きを予想しながら戦うところ」だそうだ。プロゲーマーという仕事の楽しさも聞いてみたが、仕事になると看板を背負って戦うプレッシャーや、日々の勉強が大変で「好きじゃなければできません」と中々に厳しい答えが返ってきた。その仕事でお金を稼いでいるプロらしい真剣さを感じることができた。両名とも、「e-Sportsは韓国や北米では盛り上がっているが、日本にはまだプロリーグがない。ぜひ日本にもプロリーグができて欲しい。たくさんあったほうが面白いですから」とも語っていた。

 郭氏は今回のイベントについて、これで終わりというわけではなく、すでに年内に第2回、第3回の開催を予定していると語った。業務用以外でハイスペックパソコンを必要とするシーンがあるとすればそれは「遊び」だと郭氏。パソコンパーツのトータルソリューションを提供するメーカーとして「ゲームを通じてすべての製品をユーザーに提供したい」、そしてそれが今度は「ゲーム自体を広めていくことになって欲しい」と語った。


アテナさんが「Tt APOLLOS」の製品を紹介。手の汗を冷やす冷却ファンが付いたゲーミングキーボード「Challenger Pro」、ゲーミングマウス「Black」、リーズナブルなゲーミングヘッドセット「SHOCH Spin」




日本サーマルティクのオールインワンの水冷のCPUクーラー「BigWater A80」。太めのチューブで大量の水を流す。ファンの回転数は調整が可能。近日発売予定。PCケース「Level 10GT」に水冷のシステムをビルドインしたモデルも黒と白の2つが紹介された。ケースのトップの部分に240mmのラジエーターを内蔵している


Corsairのセッション。ヒートスプレッダーが付いて冷却性能に優れた新しいメモリのラインナップ「VENGEANCE」。ハイエンド向けのSSD「Force Series GT」、PCケース「Carbide」シリーズなどが紹介された


NVIDIAのセッションは「ゲームに勝つためのグラフィックス講座」と題して、120Hzモニターを使うことでGPUの性能を最大限に引き出す仕組みをわかりやすく解説した。そして3D Visionにも完全対応したGeForce GTXシリーズのグラフィックボードラインナップと、アメリカで発売されたUSB接続できるリーズナブルな3Dメガネなどを紹介した。セッションの最後には、PCケースが当たるじゃんけん大会も開催された

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(2011年 7月 19日)

[Reported by 石井聡]