SCEAブースレポート、PS3の注目タイトル編

「RESISTANCE 3」、3D立体視対応版「ワンダと巨像」など


6月7日~9日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center


 PS Vitaで盛り上がりを見せていたSCEAのプレイステーションブース。しかし、プレイステーション 3が下火となっていたわけではない。「Uncharted3」は空前の盛り上がりを見せているし、PS3は成熟期を迎えた“今”ならではの盛り上がりを見せている。

 本ポートでは、E3のSCEAブースに展示されていたSCEグループ・スタジオ、ファーストパーティ・スタジオが手がけている注目のPS3向けタイトルを中心に紹介するとしよう。


ブースの風景。かなりの人で常にごった返していた

■ 「RESISTANCE 3」~ついにキメランが地球を占拠。どうする人類!?

 PS3のローンチタイトルとして人気を博した、「RESISTANCE」シリーズは、今作の「3」で新たな展開を迎える。

 この、もう1つの地球では、第二次世界大戦が起きなかった代わりに、地球外からエイリアン(キメラン)が侵攻してきており、地球全土で、人類が力を合わせてキメランと戦っている。人類同士の結束が、未知の世界からやってきた侵略者に対抗するために高まったというのはなんとも皮肉な話。こうした、1950年代の世界観に、宇宙戦争を持ち込んだ独特な世界観は、日本でもSFファンからを中心に高い評価が得られている。

 前作で、「1」「2」と主人公を務めてきたネイサン・ヘイル中尉は、「2」のラストで壮絶な死を遂げている。その「2」のラストでヘイル中尉を殺した脇役キャラ、ジョー・カペリ伍長を新主人公に迎え、今作はスタートする。

 時代設定は1957年。ヘイル中尉の死から4年が経過したこの頃、地球のほぼ全土がキメランによって押さえられてしまい、人類は圧倒的不利な戦局の中で、ゲリラ的な戦いを挑むしかないまでに追い込まれてしまっている。シリーズを通して登場しているヒョードル・マリコフ博士は、キメラン族を一掃する計画を発案し、その実現のためにカペリ伍長に協力を要請するが……。シリーズの回を重ねるごとに、キメランとの関係性が疑わしく思えてくるマリコフ博士。深まりきった謎を、果たして、今作で解決してくれるのかが注目される。

 今作では「Longleg」(アシナガ)と呼ばれる細身ののっぽ新種キメランが登場。高速に移動し、バッタのような高いジャンプ力で立体的な攻撃を仕掛けてくるアシナガ・キメランはこれまで以上にプレーヤーを苦しめてくる。

 2人協力プレイに対応したオンライン・マルチプレーヤーモードも搭載。オフラインでは画面分割で対応する。

 開発は、これまで通り、Insomniac Gamesが担当する。北米では9月6日発売予定。

【実機によるプレイ映像】
SCEAプレスカンファレンスで公開された実機によるプレイデモ。全2作よりもグラフィックスクオリティが各段に向上している

■ 「JOURNEY」~「flOw」、「Flower」を手がけた癒やし系ゲーム専門スタジオ(?)の最新作


「JOURNEY」展示セクションの様子。各ゲームメディアのベストオブE3のノミネートを多数獲得していた

 PSNで人気を博した癒やし系ゲーム「flOw」と「Flower」を開発した米thatgamecompanyの新作が「JOURNEY」だ。今作はスタイライスドレンダリングを採用した幻想的なタッチのグラフィックスが特徴で、やはりテーマは「癒やし」

 果てしなく砂漠が広がるゲームフィールドを彷徨いながら旅(JOURNEY)をするのがこのゲームのコンセプト。


 腕のない主人公は、魔法の布の破片を集め、自分の体に尻尾のように繋げていくことで、飛翔や跳躍、新しい歌を歌う能力などの新たな能力を得られるようになっている。ゲームシステム的には、地形障害パズルをクリアしていき、ゴールを目指すようなメカニクスとなっている。

 敵キャラのような物はほとんど登場せず、戦闘らしき戦闘はない。PSNに接続している際に、自分の旅しているエリアと他プレーヤーの旅しているエリアが一致している場合には、他プレーヤーが自分のプレイ画面に出現することがあるが、会話などを行なうことはできず、限られたアクションで対話を試みるしかない。その「意思疎通の難しさ」も「JOURNEY」の魅力の1つだとか。

【プロモーション映像】

 グラフィックスはセルシェーディングに近いスタイライズド・レンダリングを採用。ただし、砂の表現にはプロシージャル的なアニメーションを導入しているとのことで、プレーヤーキャラクターがステップを踏むたびに、周囲に流砂が起きたり、砂面が波立ったりする。流砂の表現には独特なテクスチャアニメーションが施されており、こうした幻想的なタッチは、「ICO」や「ワンダと巨像」に代表される上田ワールドのテイストを感じる。

 北米では2011年内にPSNで配信予定。日本でのリリースも予定されているとのこと。


ブースで1人ぽつんとたたずむJOURNEYの主人公キャラ。腕がない設定なので握手にも応じることができない隣にいるラチェットは大人気なのに……

■ 「Ratchet&Clank:All 4 One」~みんなは1人のために! “4”人協力プレイでドタバタ・ラチェットアクションを楽しもう!


デモ実演をしてくれた開発元Insomniac GamesのMike McManus氏

 PS3専用ソフトとしてシリーズを重ねてきたこともあって、今やプレイステーション・ユニバースのイメージキャラクターにもなりつつある、「ラチェット&クランク」シリーズの最新作。

 シリーズお馴染みの悪役・ネファリウス博士は、今回も“しょうもない”邪悪な計画を企てるが、毎度の如く、その計画は予想外な方向に進展してしまい、主人公ラチェットと相棒のクランク、お邪魔虫のキャプテン・クォーク、そしてネファリウス博士自身までをも巻き込んで、謎の機械兵軍団と戦うハメになってしまう。

 今作のサブタイトル「All 4 One」は、ラグビーに代表される、チームスポーツで用いられる標語的合言葉「ONE FOR ALL,ALL FOR ONE」から取られている。お互いに助け合うチームプレイの必要性を訴えた言葉なわけだが、今作は、なんとマルチプレイ、それも最大4人の協力プレイ前提のゲームとなっており、その言葉通り「助け合いプレイ」が求められる。

 プレーヤーキャラクタとしては、ラチェット、クランク、クォーク、ネファリウスの4人のいずれかでプレイすることができるようになっていて、それぞれが持つ異なるスキルを活かしつつ、ゲームを進めていくことになる。

 4人プレイは、PS3、1台、1画面でワイワイ同時にプレイすることでも可能だが、PSN経由でのオンラインプレイにも対応している。

 マルチプレイ前提のタイトルとは言っても、ストーリーはちゃんとこれまでの歴代シリーズと同等以上のクオリティを誇る。今回も、真面目だか不真面目だかわからない、いつもの微妙なテンションで各キャラクタ達が暴れ回る。

 北米での発売は2011年秋を予定。開発担当はもちろん、シリーズ通して手がけてきたInsomniac Gamesだ。

■ 「RUIN(仮称)」~PS VitaとPS3で同一ゲームを楽しもう

 現在、「RUIN(仮称)」として開発進行中のこの作品はPS VitaとPS3のクロスプラットフォームプレイが可能なオンライン対応アクションRPGだ。

【実機によるプレイ映像】
SCEAプレスカンファレンスで公開された実機によるプレイデモ。PS Vita版でプレイして保存したセーブデータを用いて、PS3版で再スタートする様子が実演された


将来的には、この「RUIN」のように、PS VitaとPS3で同一ゲームをいつでも楽しめるようになるかもしれない

 ディアブロタイプの見下ろし型視点のダンジョン探索型、戦闘中心のRPGというのは、画面を見ただけでわかるのだが、なんといっても特徴的なのは、プレイ経過をクラウド(PSN)側に保存でき、これをPS3版とPS Vita版とで透過的に利用できるというところ。

 PS Vitaは3GネットワークやWiFiホットスポットなどを利用すれば、外出先、屋外でもPSNに接続が可能だ。特に3Gネットワーク対応版のPS Vitaでは常時PSNに接続が可能であり、例えば電車の中やバスの中などでプレイしていても、任意のタイミングでPSN側にゲームを保存することが可能となるのだ。

 プレーヤーは、自宅に戻った際など自分のPS3を起動した際に、このPSN側に保存したセーブデータを読み出せば、外出中時のプレイをPS3で継続プレイできるのだ。この、「ゲームデータのクラウド保存機能」は、今回紹介された「RUIN」以外にも広がりをみせるかもしれない。

■ 「ワンダと巨像」~世界初の「1080p/30fps」立体視対応!?「ワンダと巨像」~世界初の「1080p/30fps」立体視対応!?

 「ICO」や「ワンダと巨像」など、独特の世界観で独創的なゲームを創出しているクリエイター上田文人氏。最新作となるはずの「人喰いの大鷲トリコ」は、発売日未定の延期発表が4月に行なわれてしまい、上田ワールドのファンの人はさぞかし意気消沈したことだろう。

 しかし、上田ワールドの代表作である「ICO」と「ワンダと巨像」をフルHD化して1パックにした「ICO & ワンダと巨像 コレクション」も発表され、ファンはなんとか「期待して待ち続けよう」という活力を手に入れた。

 SCEAブースでは、この「ICO & ワンダと巨像 コレクション」がプレイアブル展示されており、なんと3Dテレビで立体視にてプレイすることが可能となっていた。


立体に視対応している今作「ワンダと巨像」の設定画面。3D関連項目が目に付く


北米版ロゴ

 そう、「ICO & ワンダと巨像 コレクション」はフルHDリマスターされただけでなく、立体視にも対応していたのだ。

 筆者は「ワンダと巨像」の方を立体視でプレイしたが、巨像のスケール感と奥行き感が素晴らしく、大画面の3Dテレビでプレイしたいと強く感じた。クラシックタイトルではあるが、本作はPS3における立体視ゲーミングのコンセプトに最も適合するタイトルの1つだと感じた。


フルHDで蘇る「ワンダと巨像」
あの感動を再び

 なお、ゲーム内容に大きな変更はなく、グラフィックスもレンダリング解像度が引き上げられたのみで、PS3特有のシェーダーグラフィックスが導入されてはいない。ただし、元々ベース30fpsの可変フレームレート仕様だった両作は、PS3のハイパワーに助けられる形で、安定した30fpsが得られるようになっているという。レンダリング解像度は1080p(1,920×1,080ドット)だということだ。

 サウンドは7.1chサラウンドサウンドにリミックスされる。

 立体視に関しては、最終仕様がまだ不明だとのことだが、ブースにいた担当者によれば「現状では1080p/30fpsの立体視に対応している」と自信を見せていた。一般的な立体視対応ゲームは720p/60fpsを選択してフレームレートを重視する中で、解像度重視を採ったこの決断はユニークである。

 パッケージはブルーレイの1ディスク仕様で、ゲーム起動時に「ICO」をプレイするのか、「ワンダと巨像」をプレイするのかの選択ををする形式だという。発売はワールドワイドで2011年9月27日を予定している。トロフィ機能には対応するが、PSNを用いたマルチプレイには対応しない。

 移植/開発は「ゴッド・オブ・ウォー コレクション」も手がけた米Bluepoint Gamesが担当。

(2011年 6月 12日)

[Reported by トライゼット西川善司]